【中2理科】化学変化と質量を図解で総まとめ—質量保存の法則と酸化・還元の計算|武蔵野個別指導塾

銅を加熱すると質量が増える理由を、酸素の出入りと質量比から読み解きます。密閉容器の図や比例グラフ、酸素が不足する例題を通して、保存される全体と反応した量を区別して考えられます。

よくあるのは、理科室から戻った休み時間、実験ノートの「銅を加熱すると質量が増えた」という記録と、「化学変化の前後で質量は変わらない」という板書を見比べて、どちらを覚えればよいのか迷う場面です。両方とも正しいのですが、比べている物質の範囲が違います。銅だけを見ているのか、銅に結びつく空気中の酸素まで含めているのかが、読み分けの出発点です。

この単元の計算は、数字をすぐ比例式に入れるより、「何が入ってきて、何が出ていったか」を言葉にすると解きやすくなります。さらに、反応に使われた物質と、使われずに残った物質を区別できれば、少し複雑な問題にも道筋がつきます。酸化・還元という変化の名前、質量の保存、結びつく量の比、熱の出入りをつないで考えていきましょう。

この単元で身につけること

  • 酸化と燃焼を区別します。酸素と結びつく変化が酸化で、そのうち光や熱を出して激しく進むものが燃焼です。
  • 還元を酸素の移動として説明します。酸化物から酸素が取り除かれる変化を、酸化と組み合わせて読みます。
  • 質量保存の法則を使います。気体や容器を含め、反応の前後で同じ範囲を比べることが要点です。
  • 金属と酸素の質量比を計算に使います。比は最初に用意した量ではなく、実際に結びついた量に当てはめます。
  • 発熱反応と吸熱反応を見分けます。温度の変化を、反応と周囲との熱のやり取りに結びつけます。

多くの教科書では中2で学ぶ内容で、前の単元の原子・分子と化学反応式が土台になります。水溶液の学習で扱った「溶けても物質がなくなるわけではない」という見方も、目に見えない気体の質量を考える手がかりです。数字には毎回物質名と単位を添え、同じ質量でも何を表す値かを確かめます。

基本の考え方

酸化・燃焼・還元は酸素を追って考えます

物質が酸素と結びつく化学変化を酸化といいます。銅を空気中で加熱すると、赤褐色の銅が黒色の酸化銅に変わります。この変化は 2Cu + O₂ → 2CuO と表せます。銅が黒く焦げただけではなく、酸素と結びついて別の物質になったのです。

酸化のうち、光や熱を出しながら激しく進むものが燃焼です。マグネシウムの燃焼は 2Mg + O₂ → 2MgO と表され、白色の酸化マグネシウムができます。一方、鉄がさびる変化も酸化ですが、ゆっくり進むので燃焼とは呼びません。酸化には、炎を上げない変化も含まれます。

酸化物から酸素が取り除かれる変化は還元です。酸化銅と炭素の混合物を加熱して銅と二酸化炭素ができる反応は、2CuO + C → 2Cu + CO₂ と表せます。酸化銅は酸素を失って還元され、炭素はその酸素と結びついて酸化されます。同じ反応でも、どちらの物質に注目するかで説明が変わるのです。

加熱や薬品を使う実験は、学校などで先生の指示と決められた装置に従って行います。保護眼鏡を着用し、熱い器具には触れず、マグネシウムの強い光を直接見続けないようにします。気体が発生する反応や加熱を、勝手に密閉容器で行ってはいけません。

質量が保存される「全体」を決めます

化学変化では原子の結びつき方が変わりますが、原子の種類と数は変わりません。そのため、反応に関係した物質すべてを含めれば、変化の前後で質量の合計は等しくなります。これが質量保存の法則です。式では、反応前の物質の質量の合計 = 反応後の物質の質量の合計、と表せます。

図1のように、気体ができても外へ逃げない装置全体をはかれば、反応後も同じ質量です。反応後に気体の一部が外へ出れば、はかりに残った装置は軽くなります。図の数値は、装置内で反応を終えたあと、気体だけが 0.4 g 出た場合を示しています。ふたも装置全体に含め、温度や測定条件による影響は考えないものとします。

図1 密閉した装置と気体が外へ出た装置の質量比較

図1の差は、物質が消えた証拠ではありません。外へ出た 0.4 g まで加えると、103.6 g + 0.4 g = 104.0 g になります。逆に、空気中で銅を加熱すると、外から酸素が入って固体に加わります。固体の質量が増えても、空気側の酸素まで含めれば質量は保存されています。

結びつく比と熱の出入りを分けます

同じ化合物ができるとき、反応で結びつく物質の質量の比は一定です。中学校の問題で用いる比では、銅:酸素 = 4:1、マグネシウム:酸素 = 3:2 です。したがって、銅:酸素:酸化銅 = 4:1:5、マグネシウム:酸素:酸化マグネシウム = 3:2:5 になります。問題に実験値が示されていれば、その値から比を確かめます。

化学変化に伴って周囲へ熱を放出する反応が発熱反応で、燃焼や使い捨てカイロの中の鉄の酸化が例です。周囲から熱を吸収する反応は吸熱反応といい、適切な条件では周囲の温度が下がります。水酸化バリウムと塩化アンモニウムの反応がその例ですが、薬品を使うため家庭では試しません。

反応を始めるために加熱したかどうかと、反応自体が熱を放出するかどうかは別です。燃焼も最初に火を近づける必要がありますが、進行中は熱を放出します。「熱いから質量が増えた」と考えず、質量は物質の出入り、温度は熱の出入りで説明しましょう。

例題で解き方を確かめる

例題1 気体が出たときの質量を求めます

装置全体の質量が反応前には 86.4 g、反応後には 85.8 g でした。発生した気体はすべて外へ出て、液体の蒸発や飛び散りはなかったとします。外へ出た気体は何 g でしょうか。また、同じ反応を気体が逃げない適切な装置で行ったとき、装置全体は反応後に何 g でしょうか。

  1. はかりから外れた物質を確かめます。減少の原因が気体だけという条件なので、質量の差が気体の質量です。
  2. 86.4 g – 85.8 g = 0.6 g と計算します。答えは気体が 0.6 g です。
  3. 気体が逃げない場合は、反応後も 86.4 g とします。発生した気体が装置の内側に残るためです。

気体になったこと自体が、質量減少の理由ではありません。図1と同様に、測定する範囲の外へ出たことが理由です。答えに説明を求められたら、「気体が発生したから」で止めず、「その気体が装置の外へ逃げたから」まで書きます。

例題2 グラフから酸化銅の質量を求めます

図2は、銅をすべて酸化銅に変えたときの、銅と結びついた酸素の質量の関係です。銅 2.4 g をすべて反応させると、酸素は何 g 必要で、酸化銅は何 g できるでしょうか。

図2 銅の質量と完全に反応する酸素の質量の比例グラフ
  1. 軸の名前を読みます。横軸は銅、縦軸は酸素なので、縦軸を酸化銅の質量と取り違えないためです。
  2. 図2で銅 2.4 g に対応する酸素 0.6 g を読みます。計算でも 2.4 g × 1 ÷ 4 = 0.6 g となります。
  3. 2.4 g + 0.6 g = 3.0 g と足します。酸化銅には銅と酸素の両方が含まれるため、答えは 3.0 g です。

原点を通る直線なのは、銅が2倍、3倍になれば、必要な酸素も2倍、3倍になるからです。このグラフは酸素が十分にあり、銅がすべて反応した場合の関係です。加熱不足で銅が残る実験結果が、この直線から外れることはあります。

例題3 酸素が不足するときの残りを求めます

銅 2.4 g と酸素 0.4 g だけを反応させます。酸素がすべて使われるまで反応が進むと、酸化銅は何 g でき、銅は何 g 残るでしょうか。銅と酸素は 4:1 で結びつくものとします。

  1. 銅全体に必要な酸素を求めます。2.4 g × 1 ÷ 4 = 0.6 g なので、用意した 0.4 g では不足すると判断できます。
  2. 実際に反応する銅を求めます。酸素に合わせて 0.4 g × 4 = 1.6 g とするのは、先に使い切る酸素が反応量を決めるためです。
  3. 酸化銅は 1.6 g + 0.4 g = 2.0 g、残る銅は 2.4 g – 1.6 g = 0.8 g と求めます。反応した部分と未反応の部分を分けて集計します。

反応後の固体全体は 2.0 g + 0.8 g = 2.8 g です。これは反応前の 2.4 g + 0.4 g と等しく、計算が質量保存にも合っています。酸化銅の質量と、残った銅を含む固体全体の質量は区別してください。

例題4 酸化銅の還元を説明します

酸化銅 5.0 g を炭素で完全に還元し、銅 4.0 g が得られました。酸化銅から取り除かれた酸素は何 g でしょうか。また、炭素は酸化・還元のどちらを受けたでしょうか。

  1. 酸化銅のうち銅以外の部分を求めます。5.0 g – 4.0 g = 1.0 g なので、取り除かれた酸素は 1.0 g です。
  2. 酸素の行き先を反応式で確かめます。炭素が酸素を受け取って二酸化炭素になるので、炭素は酸化されたと説明できます。

発生した二酸化炭素の質量は 1.0 g ではありません。二酸化炭素には、この酸素に加えて炭素の質量も含まれます。差を求めたあとに、その数字が何という物質の量なのかを言い直す習慣が誤答を防ぎます。

つまずきやすいところと直し方

「質量保存なら、はかりの値は必ず同じ」と考えます

この考え方では、測定する範囲を物質が出入りする場合を見落とします。銅を空気中で加熱したときの固体は、空気中から酸素を受け取るので重くなります。気体が逃げる反応では、装置に残るものだけをはかると軽くなります。

直すには、問題文の装置を線で囲み、線を越えて入る物質と出る物質を書き込みます。法則の例外を探すのではなく、外にある物質も帳尻に含めます。ただし、液が飛び散った実験では減少分のすべてを気体とは決められないので、条件を読むことも必要です。

「混ぜた量はすべて一定の比で反応する」と考えます

一定なのは反応に使われる量の比であり、用意した量の比ではありません。例題3の銅 2.4 g と酸素 0.4 g は 6:1 ですが、6:1 の酸化銅ができるわけではありません。銅が余り、反応した部分だけが 4:1 になります。

図3 酸素が不足する場合の反応前後の質量の内訳

図3の棒は、長さが質量に比例しています。上は用意した銅と酸素、下は生成した酸化銅と残った銅です。全体の長さが等しいことと、下の棒のすべてが酸化銅ではないことを一緒に見てください。「できた物質」と「反応後に残る物質全部」を色分けすると、計算する対象が定まります。

「反応式の係数は質量の比」と考えます

2Cu + O₂ → 2CuO の 2:1:2 を、そのまま g の比として使うのは誤りです。係数は原子や分子などの個数の関係を表し、銅原子と酸素分子では1個あたりの質量が違います。質量比の 4:1:5 とは意味が異なります。

直すには、式の下に「個数の関係」、実験値の下に「質量の関係」と書き分けます。また、酸化銅 5 g に含まれる酸素なら 5 g × 1 ÷ 5 とします。銅の質量が出発点のときの ÷ 4 を、生成物の質量にそのまま使わないようにしましょう。

練習問題

練習1 銅 1.2 g が十分な酸素と反応して、すべて酸化銅になりました。結びついた酸素と、できた酸化銅の質量を求めてください。銅:酸素 = 4:1 とします。

練習2 マグネシウム 1.8 g と酸素 0.8 g を、酸素がなくなるまで反応させました。できた酸化マグネシウムと残ったマグネシウムの質量を求めてください。マグネシウム:酸素 = 3:2 とします。

練習3 気体が外へ出たことで装置の質量が 72.5 g から 72.1 g になりました。他の出入りはありません。出た気体は何 g ですか。質量保存の法則に反していない理由も説明してください。

練習4 鉄の酸化を利用するカイロは、周囲へ熱を放出します。この反応の熱による分類名を答えてください。

答えと解説

練習1 酸素は 1.2 g × 1 ÷ 4 = 0.3 g、酸化銅は 1.2 g + 0.3 g = 1.5 g です。増加分が酸素に当たります。

練習2 反応するマグネシウムは 0.8 g × 3 ÷ 2 = 1.2 g です。酸化マグネシウムは 2.0 g、残るマグネシウムは 0.6 g です。全体は反応前後とも 2.6 g になります。

練習3 気体は 72.5 g – 72.1 g = 0.4 g です。外へ出た気体を足すと反応前の質量に戻るので、法則に反していません。

練習4 発熱反応です。周囲から熱を吸収する吸熱反応と、熱の移動の向きで区別します。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

物質の出入りと熱の出入りを分ける見方は、電池やエネルギーの学習につながります。原子がどこへ移ったかを追う力は、水溶液の反応を考えるときにも役立ちます。

家庭では、まず5分で、紙片4枚を銅の質量4単位、別の紙片1枚を酸素の質量1単位と決めて並べてみましょう。銅役を6枚に増やすと2枚余り、例題3と同じ比を再現できます。紙片は原子の個数ではなく質量の単位です。もう1つは、例題2のグラフを紙に描き、横軸と縦軸の名前を隠して、単位と点の値から何の量か説明する5分の確認です。

個別指導では、比の計算で止まるなら同じ割合の作り方まで戻り、質量の増減で迷うなら装置の境界を描くところから確かめます。式を立てる前の一言に、理解の抜けが表れます。

まとめ

実験ノートの「増えた」「減った」の横には、物質名を1つ書き足す余地があります。増えた酸素、外へ出た気体、使われずに残った銅。その名前が書ければ、数字が表す実験の様子も説明できます。答えが出たあとも、生成物と残りを足して反応前と比べると、自分で計算を点検できます。質量保存の法則は、目に見えない物質の行方まで説明するための約束です。


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