【中2理科】生物のからだと植物のはたらきを図解で総まとめ—細胞・光合成・蒸散|武蔵野個別指導塾

植物と動物の細胞を比べ、光合成の対照実験や蒸散量の計算を図と例題でたどります。道管・師管の役割と、昼も続く呼吸を区別して説明できるようにしましょう。

よくあるのは、日曜日のベランダで鉢植えに水をやりながら、「根から養分を吸うなら、葉で光合成をするのはなぜだろう」と手が止まる場面です。水、肥料、日光はどれも植物の生育に関係しますが、同じ役割をしているわけではありません。植物の体内で、何が材料となり、どこを通り、何に変わるのかを結びつけると、ばらばらだった用語がつながります。

葉を拡大すると細胞があり、その中には光合成をする葉緑体があります。一方、根で吸収した水は茎を通って葉へ届き、葉から水蒸気として出ていきます。植物のはたらきを読むときは、「場所」「物質」「条件」の3つを順に押さえましょう。実験問題でも、色が変わった場所だけで答えを決めず、何を変えて比べたかまでたどると、理由を自分の言葉で説明できます。

この単元で身につけること

  • 細胞の共通点と違いを説明します。核や細胞膜を土台に、植物の細胞に見られる細胞壁や葉緑体の位置を比べます。
  • 単細胞生物と多細胞生物を区別します。体の大きさではなく、1個の細胞で生活するか、多数の細胞で体をつくるかで考えます。
  • 光合成と呼吸を物質の出入りで表します。明るい場所では両方が同時に起こり、外から見える変化はその差になります。
  • 蒸散と水の移動を結びつけます。道管、師管、気孔を、それぞれ何が通る場所かと対応させます。
  • 対照実験の組み合わせを選びます。調べたい条件だけを変え、ほかの条件をそろえる理由まで説明します。

花・葉・根のつくりで学んだ器官を、細胞と物質の移動から見直す単元です。多くの教科書では中2で学びます。名称を覚えたあとには「この部分がなければ、どのはたらきが困るか」と問い直すと、つくりと役割が結びつきます。

基本の考え方

細胞から器官へ、つくりを拡大して見る

生物のからだをつくる基本単位が細胞です。植物と動物の典型的な細胞には、核、細胞膜、細胞質が見られます。核は生命活動に関わる重要な部分です。細胞膜は細胞の境界をつくり、物質の出入りに関わります。核のまわりの部分を細胞質といいます。図1のように、植物の細胞では細胞膜のさらに外側に細胞壁があります。

図1 植物と動物の細胞の共通部分と植物に見られるつくり

図1の左は葉の細胞を表す模式図です。細胞壁は細胞の形を保ち、体を支えることに関わります。緑色の粒として見える葉緑体は、光合成をする場所です。液胞には水分やさまざまな物質を含む液が入り、成熟した植物の細胞では大きく発達するものがあります。図は部位の位置関係を示したもので、すべての細胞が同じ形や大きさをしているわけではありません。

植物の細胞なら必ず葉緑体が見える、とは限りません。根の細胞やタマネギのりん茎の内側の表皮では、ふつう葉緑体は見られません。葉緑体がないことだけを根拠に動物の細胞と決めないようにしましょう。顕微鏡で見つけにくい部分があっても、「見えなかった」と「存在しない」は区別して記録します。

ゾウリムシやミカヅキモのように、1個の細胞で生活する生物を単細胞生物といいます。ヒトや多くの身近な植物は、多数の細胞からなる多細胞生物です。多細胞生物では、形やはたらきの似た細胞が集まって組織をつくり、複数の組織が組み合わさって葉や根などの器官をつくります。1枚の葉そのものを、1個の細胞と考えないことが出発点です。

光合成でつくり、呼吸で利用する

光合成は、植物が光のエネルギーを利用して、二酸化炭素と水からデンプンなどの有機物をつくるはたらきです。このとき酸素も生じます。材料は二酸化炭素 CO₂ と水 H₂O、条件は光、主な場所は葉の細胞の葉緑体と分けて整理します。光は物質として取り込む材料ではなく、変化に必要なエネルギーです。

根から吸う肥料の成分は、生育に必要な無機養分です。それがそのままデンプンになるのではありません。葉でつくられた有機物は、体をつくる材料や呼吸に使われ、一部は根や種子などに蓄えられます。葉のデンプンは、水に溶けやすい物質に変えられてから運ばれます。

呼吸は、酸素を使って有機物を分解し、生命活動に必要なエネルギーを取り出すはたらきです。二酸化炭素と水が生じ、植物も昼夜を通して呼吸します。光合成と呼吸は物質の出入りが逆向きですが、目的も条件も異なります。光が十分に当たると、光合成による二酸化炭素の取り込みが呼吸による放出を上回り、全体では二酸化炭素を吸収しているように見えます。

水を運ぶ道と、外へ出す窓

根の先端に近い部分には根毛があり、土と接する表面積を大きくして、水や水に溶けた無機養分を吸収しやすくしています。吸収された水などが通る道が道管です。有機物のうち水に溶けやすい形になったものが通る道は師管で、道管と師管が集まった部分を維管束といいます。葉脈にも維管束があります。

植物の体内の水が水蒸気となって出ていく現象が蒸散です。葉の表皮にある気孔が主な出口で、孔辺細胞がその開閉に関わります。蒸散は根から水を吸い上げることを助け、体内の水の移動に関わります。気孔は水蒸気だけの出口ではなく、二酸化炭素や酸素の出入りにも関わる場所です。

例題で解き方を確かめる

例題1 細胞の特徴から説明する

ある細胞に、核、細胞膜、細胞壁、大きな液胞が見られましたが、葉緑体は見られませんでした。「葉緑体がないので動物の細胞である」という説明は適切ですか。植物と動物の細胞を比べる問題として考えます。

  1. まず、観察された特徴を分けます。核と細胞膜は両方に見られるので、それだけでは区別できません。
  2. 細胞壁に注目します。動物の細胞には細胞壁がないため、ここが区別の手がかりになります。
  3. 葉緑体の有無を見直します。植物でも部位によって葉緑体が見られないので、最初の説明は適切ではありません。

答えは「適切ではない。植物の細胞でも葉緑体が見られないものがあり、細胞壁が見られるため、植物の細胞と考えられる」です。細胞壁と細胞膜は別の部分なので、答案でもまとめて「外側の膜」とせず、名称を使い分けます。

例題2 光が必要かを対照実験で調べる

鉢植えを十分な時間暗い場所に置いたあと、葉の一部を両面からアルミニウムはくで覆い、光を十分に当てました。その後、はくを外して葉を処理し、ヨウ素液で調べると、覆わなかった部分だけが青紫色になりました。この結果から何がいえますか。

図2 葉の一部を遮光して光の有無とデンプンの有無を比べる
  1. 暗い場所に置いた目的を考えます。先に葉に蓄えられていたデンプンを減らし、今回の光照射による変化を調べやすくするためです。
  2. 比べる条件を確かめます。同じ葉の緑色の部分を比べ、主に光が当たるかどうかを変えています。
  3. 色の意味を読み取ります。ヨウ素液はデンプンに反応するので、青紫色の部分ではデンプンが確かめられたといえます。
  4. 結論を条件に結びつけます。この実験は、光合成でデンプンができるためには光が必要だという考えを支持します。

図2の右側はヨウ素液で調べた結果を模式的に示しています。紺色が青紫色になった部分、灰色が青紫色にならなかった部分です。灰色に塗られた帯は、処理前にはくで覆っていた位置に対応します。

学校で葉を調べる際は、湯に浸したあと、温めたエタノールで葉の緑色を抜き、水で洗ってからヨウ素液を使います。脱色は反応の色を見やすくするためです。エタノールは引火しやすく、直接火で加熱しません。先生の指示で火気から離した湯を用い、保護眼鏡を着けて扱います。熱い湯や薬品を使うこの操作は、家庭では行いません。

この比較だけでは、二酸化炭素も必要かどうかは確かめられません。二酸化炭素の必要性なら、その有無だけを変え、光や植物の状態などをそろえる別の対照実験が必要です。結論は、実際に比べた条件の範囲で述べましょう。

例題3 蒸散量を質量の差から求める

同程度の葉をもつ枝を水に挿し、水面からの蒸発を防いだ装置を用意しました。葉を処理しないAと、葉の裏側だけにワセリンを塗ったBを同じ環境に置くと、1時間後に装置全体の質量がAは6.0 g、Bは2.0 g減りました。葉の裏側をふさぐことによって抑えられた水の放出量は何gですか。

  1. 測定したものを確認します。水面からの蒸発などを無視できる条件なので、装置全体の質量の減少を、外へ出た水の質量と考えます。
  2. 同じ時間の値を比べます。違う時間の量をそのまま引くと、処理の効果以外の違いまで含まれてしまいます。
  3. 処理しない場合から処理した場合を引きます。6.0 g – 2.0 g = 4.0 g なので、抑えられた量は4.0 gです。

1時間あたりで表すなら4.0 g/hです。Bでも水は出ているので、葉の裏側だけが唯一の出口だとはいえません。また、この値は実験条件のもとで処理により減った量です。葉の大きさ、光、風、温度、湿度をそろえ、複数の枝で確かめると、個体ごとの違いに左右されにくくなります。

つまずきやすいところと直し方

「昼は光合成、夜は呼吸」と切り替えてしまう

誤った考え方は「昼は呼吸しない」です。違うのは、外から見える気体の出入りと、体内で起こるはたらきを同一にしている点です。植物は昼も呼吸し、光があるときには光合成もします。光合成の方が盛んなら、全体では酸素を放出しますが、その間も呼吸では酸素を使っています。

正しくは「呼吸は昼夜、光合成は光があるとき」と重ねて考えます。暗い場所では光合成ができず、全体として酸素を取り込み、二酸化炭素を出します。昼であっても光が弱ければ、必ず酸素が増えるとは限りません。

「根から吸うものは全部、師管を通る」と考える

誤った考え方は「養分という言葉があれば師管」です。根で吸収する無機養分と、葉でつくられる有機物を区別していない点が違います。水や水に溶けた無機養分は道管、葉でつくられ水に溶けやすい形になった有機物は師管、と中身を具体的に言い換えます。

図3 根から葉へ水を運ぶ道管と有機物を運ぶ師管の模式図

図3の紺色の矢印は根から葉への水の移動、橙色は葉から根へ有機物を運ぶ一例です。師管の移動先は根だけではなく、芽や果実などにもなります。したがって「道管は上、師管は必ず下」と方向だけで暗記すると誤ります。緑色の矢印は、葉から水蒸気が出ていく蒸散を示します。

「気孔はどの植物でも葉の裏だけにある」と決める

誤った考え方は「裏側にワセリンを塗れば蒸散は完全に止まる」です。多くの陸上植物では葉の裏側に気孔が多いものの、分布は植物によって異なります。葉の表側やほかの部分から水が出る場合もあるので、裏側をふさいだだけで全部の蒸散が止まるとはいえません。

正しくは、実験した植物で、どの処理によって質量の減少がどれだけ小さくなったかを読みます。袋に付いた水滴を見る実験でも、葉を入れない袋を同じ条件で置くと、袋の中の空気に初めから含まれる水蒸気の影響と区別しやすくなります。

練習問題

練習1

ミカヅキモとホウセンカを、単細胞生物と多細胞生物に分けてください。また、多細胞生物で「組織」と「器官」はどちらが細胞に近い段階ですか。

練習2

例題2で、葉をはくで覆った部分と覆わなかった部分を比べるとき、主に変えた条件は何ですか。また、ヨウ素液が直接確かめる物質は何ですか。

練習3

水面からの蒸発を防いだ蒸散の実験で、装置全体の質量が30分間に3.0 g減りました。同じ速さで水が出続けるとすると、1時間では何g減りますか。

練習4

十分な光のもとで植物が全体として酸素を放出しました。このとき呼吸は止まっていますか。光合成との関係で説明してください。

答えと解説

練習1:ミカヅキモは単細胞生物、ホウセンカは多細胞生物です。細胞に近い段階は組織で、細胞、組織、器官の順に考えます。

練習2:変えた条件は光が当たるかどうか、確かめる物質はデンプンです。ヨウ素液で光や二酸化炭素を直接検出するわけではありません。

練習3:3.0 g × (60分 ÷ 30分) = 6.0 gです。時間の比には単位が残らないため、答えの単位はgになります。

練習4:呼吸も続いています。光合成でつくられる酸素の量が、呼吸で使う量を上回っていると説明できます。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

細胞で呼吸が続くことは、動物の消化や血液循環を学ぶ土台です。また、植物が無機物から有機物をつくることは、食物連鎖で植物が出発点になる理由につながります。

家庭での5分の確認は、まず鉢植えの葉を取らずに表と裏から観察し、葉脈を指でたどって根までの水の経路を言葉にしてみましょう。気孔は肉眼では確かめにくいので、見えたと決めつける必要はありません。もう1つは、紙に葉と根を描き、水、二酸化炭素、酸素の出入りを矢印にする方法です。明るい場合と暗い場合を描き比べます。

個別指導では、対照実験で迷うときは、まず「変えた条件」と「測った結果」を別々に指せるところまで戻って確かめます。お子さまへの問いかけも、用語を順に聞くより、矢印1本の意味を説明してもらうと理解の様子が見えます。

まとめ

実験の答案で理由が書けないときは、結論の前に、比べた2つの条件を書き出してみましょう。「光が当たった」と「青紫色になった」の間に、葉緑体での光合成とデンプンの生成を置くと、観察した事実から説明への道筋が通ります。細胞の名前も、植物の中で何が起きているかを語るための言葉です。

葉の色の変化が語るのは、覚えた用語の数ではなく、そろえた条件のもとで確かめた植物のはたらきです。


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