【中3理科】遺伝の規則性と進化を図解で総まとめ—顕性・潜性と分離の法則|武蔵野個別指導塾

丸い種子からしわの種子が現れる理由を、遺伝子の組合せの表と確率の例題で整理します。DNAと染色体の関係、相同器官から読み取る進化まで、根拠をたどって学べます。

よくあるのは、園芸店の種の棚の前で、エンドウの写真を見ながら「丸い種子の親どうしなのに、どうしてしわの種子ができるのだろう」と考え込む場面です。親に似ることが遺伝なら、親と違う特徴が現れるのは矛盾しているように感じます。ところが、外から見える特徴と、受け継がれている遺伝子の組合せを分けると、この疑問を説明できます。

遺伝の問題で出てくる 3:1 は、理由なく覚える数字ではありません。親がもつ遺伝子を確かめ、生殖細胞に分かれる様子をたどり、受精で再び組み合わさるところまで追えば、自分で導けます。この手順は、生物が親から子へ特徴を伝えながら、長い時間の中で変化してきた進化を考える土台にもなります。まずは「見える特徴」と「見えなくても受け継がれるもの」の区別から始めましょう。

この単元で身につけること

  • 形質と遺伝子を区別します。 種子の形などの特徴が形質で、その現れ方に関係するものが遺伝子です。見た目だけでは遺伝子の組合せを決められない場合があります。
  • 顕性と潜性の意味を説明します。 対になった遺伝子が異なるときに、どちらの形質が現れるかを表す言葉です。生物としての優劣を意味しません。
  • 分離の法則から表をつくります。 生殖細胞には対の一方が入ることを使い、受精でできる組合せを重複なく数えます。
  • 比と確率を使い分けます。 遺伝子の組合せの比と、現れる形質の比を区別し、多数の子で予想される数を求めます。
  • 進化の証拠を読み取ります。 化石や相同器官を手がかりに、共通の祖先から枝分かれしてきた関係を考えます。

細胞と染色体の学習、そして生殖の単元で学ぶ減数分裂と受精が、この単元につながります。多くの教科書では中3で学びますが、計算より先に、細胞が何を受け渡すかを押さえることが出発点です。

基本の考え方

形質・遺伝子・DNAの関係

生物の形や性質などの特徴を形質といい、親の形質が子に伝わることを遺伝といいます。エンドウの種子が丸いかしわがあるか、花の色がどう現れるかなどが形質の例です。同じ種類の生物でも、個体によって形質には違いがあります。

遺伝子は、形質の現れ方に関係しています。核の中には染色体があり、染色体にはDNAという物質が含まれています。DNAのうち、遺伝子としてはたらく部分が、形質に関係する情報を担います。「核・染色体・DNA・遺伝子」は同じものの別名ではなく、場所や物質、はたらきの違いに注目した言葉です。

ここからは、エンドウの種子の形を決める一対の遺伝子に注目します。丸くなることに関係する遺伝子を A、しわになることに関係する遺伝子を a と表します。この文字は説明のための記号で、種子の中に文字そのものが入っているわけではありません。組合せは AA、Aa、aa の3種類です。

純系と顕性・潜性

エンドウは、自分の花の花粉がめしべにつく自家受粉をします。自家受粉を何代重ねても、注目している形質が同じように現れる系統を純系といいます。種子の形に注目すると、丸の純系を AA、しわの純系を aa と表せます。純系という言葉は、その生物のあらゆる特徴が同じだと断定するものではありません。

丸の純系としわの純系をかけ合わせると、子の組合せはすべて Aa になり、種子は丸くなります。このように、対になった遺伝子が異なるときに現れる形質が顕性形質、現れない形質が潜性形質です。この例では丸が顕性、しわが潜性です。Aa でしわが現れなくても、a がなくなるわけではありません。

AA と Aa は、どちらも丸い種子になります。そのため、丸いという情報だけから AA と決めることはできません。一方、この条件でしわの種子なら aa と判断できます。この見分け方が、親の組合せを逆に推定する問題で役立ちます。

分離の法則から進化へ

対になっている遺伝子が、生殖細胞をつくるときに分かれ、別々の生殖細胞に入ることを分離の法則といいます。Aa の個体では、A をもつ生殖細胞と a をもつ生殖細胞が同じ割合でできます。図1のように、1個の生殖細胞に Aa がそろって入るのではなく、一方が入ります。受精すると、両親から受け取ったものが再び対になります。

図1 対になった遺伝子の分離と受精による組合せ

図1では、子の Aa をつくる1通りの受精を示しています。a をもつ生殖細胞も子に受け継がれるので、親に現れなかった潜性形質が次の世代に現れることがあります。これは、途中で消えた形質が突然つくり直されたという意味ではありません。

生物の特徴が世代を重ねる間に変わっていくことを進化といいます。遺伝する変異が生じ、その違いが子孫に伝わることが、進化につながります。例えば、ある環境で生存や繁殖に有利な特徴をもつ個体がより多く子孫を残すと、世代を経てその特徴が集団に広がることがあります。これを自然選択といいます。個体が必要に応じて体を変え、その変化が必ず子に伝わるという仕組みではありません。

例題で解き方を確かめる

例題1 純系どうしをかけ合わせる

丸い種子の純系 AA と、しわの種子の純系 aa をかけ合わせます。子の遺伝子の組合せと、現れる形質を答えましょう。種子の形について、丸が顕性とします。

  1. 親の組合せを AA と aa と書きます。見た目だけでなく「純系」という条件があるため、丸の親も AA と確定できます。
  2. 生殖細胞がもつ遺伝子を取り出します。AA からは A、aa からは a だけが入るので、受け渡される種類はそれぞれ1種類です。
  3. 受精で A と a を組み合わせます。どの組合せも Aa となり、顕性形質の丸が現れます。

答えはすべて Aa、すべて丸です。子は両親から遺伝子を受け取っていますが、見た目が両親の中間になるとは限りません。「丸としわを混ぜて少ししわになる」と考えず、Aa のときにどの形質が現れるかを条件から決めます。

例題2 子どうしをかけ合わせたときの比

例題1で得た Aa どうしをかけ合わせます。次の世代の遺伝子の組合せの比と、丸・しわの比を求めましょう。図2では、一方の親の生殖細胞を上に、もう一方を左に置いています。

図2 Aaどうしのかけ合わせでできる四つの組合せ
  1. 表の上と左に、それぞれ A と a を並べます。両親とも Aa なので、どちらからも2種類の生殖細胞が同じ割合でできるためです。
  2. 交わるマスに、上と左の文字を1個ずつ入れます。AA、Aa、Aa、aa となり、同じ Aa でもでき方が2通りあることを残します。
  3. 遺伝子の組合せを数えます。AA が1マス、Aa が2マス、aa が1マスなので、比は AA:Aa:aa = 1:2:1 です。
  4. 見た目でまとめ直します。AA と Aa は丸なので、丸:しわ = 3:1 になります。

図2の各マスの確率は 1/2 × 1/2 = 1/4 です。表に Aa が2回出るのは数え間違いではなく、A をどちらの親から受け取るかが違うためです。比を答える前に、問題が「遺伝子の組合せ」と「形質」のどちらを聞いているかを確認します。

例題3 丸い親の組合せを推定する

組合せのわからない丸い個体と aa の個体をかけ合わせたところ、子にしわの種子が現れました。丸い親の組合せを答え、そのかけ合わせで丸としわが現れる比を求めましょう。

  1. 丸い親の候補を AA または Aa とします。丸という見た目だけでは2通りが残るためです。
  2. しわの子 aa ができた理由を考えます。片方の a は aa の親からですが、もう片方の a は丸い親から来なければなりません。
  3. 丸い親を Aa と決めます。A も a ももつので、A または a を同じ割合で生殖細胞に渡します。
  4. aa の親から来る a と組み合わせます。Aa と aa が半分ずつでき、丸:しわ = 1:1 です。

答えは丸い親が Aa、比は 1:1です。ただし、少数の子がすべて丸だったという結果だけでは、親を AA と断定できません。Aa の親でも、偶然に丸い子だけが続く場合があるからです。潜性形質の子が現れたことと、現れなかったことでは、判断できる範囲が違います。

例題4 予想される種子の数を求める

Aa どうしのかけ合わせで種子が800個得られるとします。しわの種子は何個程度と予想できますか。遺伝子の違いによって生存しやすさなどに差はないものとします。

  1. しわが現れる aa の確率を求めます。図2の4マスのうち1マスなので、1/4 です。
  2. 全体の個数に確率をかけます。800個 × 1/4 = 200個 となります。
  3. 答えを「200個程度と予想される」と書きます。確率は多数での割合の目安で、実際の個数を固定する規則ではないためです。

同じ条件でも、種子が4個なら必ず1個がしわになるわけではありません。表の4マスは「4個の種子を並べたもの」ではなく、1個の種子について起こりうる組合せを示しています。

つまずきやすいところと直し方

顕性を「強くて優れた性質」と考える

「顕性のほうが強いので数が多く、潜性はやがて消える」という考えは誤りです。顕性・潜性が表すのは、対になった遺伝子が異なるときの形質の現れ方であり、生存への有利さや集団の中での多さではありません。

正しくは、Aa では a が受け継がれたまま、丸が現れると考えます。ノートには「顕性=優秀」ではなく「Aa で現れる形質」と書くと、言葉の意味を問題の条件に結びつけられます。人の能力や性格を、この一対の遺伝子だけの例に当てはめることもできません。

どんなかけ合わせでも3:1にする

「遺伝の比はいつも 3:1」とするのは、親の条件を省いた誤りです。AA と aa なら子はすべて Aa、Aa と aa なら Aa と aa が同じ割合で現れます。Aa どうしでも、遺伝子の組合せの比を聞かれれば 1:2:1 です。

正しくは、親、生殖細胞、子の順に表を埋め、最後に形質でまとめます。この順番を守ると、問題文の一部を変えられても対応できます。すべての形質がこの単純な規則で説明できるわけではなく、複数の遺伝子や環境が関係する形質もあります。

進化を「努力して体を変えること」と考える

「泳ぐ練習をした動物の腕がひれになり、そのまま子に伝わった」という説明は、個体の変化と世代を重ねた変化を混同しています。正しくは、遺伝する違いが子孫に伝わり、長い世代の間に集団の特徴が変化すると考えます。進化は、決まった目標に向かって優秀になることでもありません。

図3 ヒト・クジラ・コウモリの前あしの基本構造

図3は、前あしの骨のつながりを簡略化した模式図です。紺は上腕の1本、橙は前腕の2本、緑は手首付近から指へ続く部分を表し、細かな骨の区切りは省いています。ヒトの腕、クジラの胸びれ、コウモリの翼は、使い方が違っても基本的なつくりが共通しています。このように起源が同じ器官を相同器官といい、共通の祖先から進化したことを示す証拠の一つです。

形やはたらきが似ているだけで、相同器官とは決められません。また、図3はヒトがクジラになった順序を示すものではありません。化石の現れる地層の順序なども合わせ、共通の祖先から枝分かれした関係を考えます。

練習問題

丸が顕性で、遺伝子を A と a で表すものとして解いてください。各問で親の組合せを先に書くと、比を取り違えにくくなります。

練習1 Aa の個体の生殖細胞には、どの遺伝子がどの割合で入りますか。また、このとき対の遺伝子が分かれる規則を何といいますか。

練習2 AA と Aa をかけ合わせると、子の遺伝子の組合せの比と、丸い種子が現れる割合はどうなりますか。

練習3 Aa と aa のかけ合わせで種子が600個できるとき、しわの種子は何個程度と予想されますか。式も書きましょう。

練習4 ヒトの腕とクジラの胸びれを相同器官と考える根拠を、はたらきとつくりの違いに触れて説明しましょう。

答えと解説

練習1 A と a が 1:1 の割合で入り、規則は分離の法則です。1個の生殖細胞には、この対の一方が入ります。

練習2 AA:Aa = 1:1、丸はすべてです。AA の親は A だけを渡すため、aa はできません。

練習3 600個 × 1/2 = 300個 程度です。Aa と aa が同じ割合でできるので、しわになる確率は 1/2 です。

練習4 はたらきは異なりますが、骨の基本的なつくりが共通し、共通の祖先に由来すると考えられるためです。「どちらも動かすものだから」だけでは根拠が不足します。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

遺伝と進化の考え方は、生物の多様性や、環境と生物の関係を学ぶときに使います。分類も、見た目の似方を集めるだけでなく、共通の祖先との関係を考える手がかりになります。

家庭では、まず5分で、A と a を書いた紙を2組用意し、片方ずつ選ぶ全4通りを机に並べてみましょう。Aa が2通りになる理由を、紙の出所で説明できます。別の5分では、図3を見て腕・胸びれ・翼の共通部分を同じ色で紙に描き、「同じつくり」と「違うはたらき」をそれぞれ1文にします。

個別指導で表が埋められない場合は、分数の計算だけでなく、減数分裂で対が分かれる場面まで戻って確かめます。表が合っていて答えを誤る場合は、形質と遺伝子の組合せのどちらを数えたかを確認します。

まとめ

丸い種子からしわの種子が現れても、遺伝の規則が破られたわけではありません。見た目に現れない a の受け渡しを追えば、結果まで筋道が通ります。進化も、目の前の姿だけで決めず、骨のつくりや化石といった証拠から、生物どうしの関係をたどります。

答えの比が合った後に「どの親から何を受け取ったか」を説明できれば、条件の違う問題にも進めます。遺伝の 3:1 に意味を与えるのは、暗記した数字ではなく、表の四つのマスへ至る道筋です。


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