「分からない」を選べても、知識と推測のしやすさは混ざります。回答保留の扱いは採点のルールによっても変わるため、選択肢と採点方法を合わせて確かめます。家では正答の理由と保留した理由を聞きます。
小テストで正解した子どもに聞くと、「なんとなく選んだ」と返ってきます。間違えた問題の横には、何も書いてありません。この答案でどこまで分かったのでしょうか。「分からない」の欄を作れば見えるようになるのでしょうか。
今回は自分に自信があるかを尋ねる自己評価ではなく、知識テストで回答を保留する選択を扱います。知識の測り方を工夫した研究、推測が得点に関わった知識テスト、保留への点の付け方を変えた試験を並べます。正答、保留、推測の区別を考える回です。
1. 論文を役割で並べる
Timo Seitzほか(2026)は、正誤の選択と「分からない」を含む一般知識のテストに、知識と推測の傾向などを考慮する統計モデルを用いました。従来の採点より知識の測定に関する妥当性が高かったと報告します。人や問題による違いも大きく、従来の採点は回答の方略に応じて偏る問題がありました。「分からない」の追加と、採点の方法を分けて読む論文です [1]。
Camilla M. McMahonほか(2024)は、学校で働く専門職の自閉症に関する知識テストを調べ、推測する割合が知識得点の最も強い予測指標だったと報告します。「分からない」を含むテストでも、推測の傾向が測定の系統的な誤りの原因になります。知識に関わる経験や職種も分析されました。回答保留を設ければ推測の問題が消える、とまとめないための論文です。対象となった学校の専門職はn = 396です [2]。
Nagore Iriberriほか(2021)は、選択式の数学テストで、誤答と無回答を同じ点にする問題と、無回答に点を与える問題を比べました。無回答に点を与えると女性の参加者が男性より多く回答を保留したと報告します。調査では自信やリスクを避ける傾向も扱われ、リスク回避が保留の差を説明する主な要因でした。回答の仕方が採点ルールに関わる例として並べます。採点ルールの比較には約10,000件の数学テストを使いました [3]。
2. 正解したなら知っていたことになりますか?
知識の測定を扱う研究は、正答が知識からも幸運な推測からも生じることを出発点にしています。そこで知識だけでなく、推測しやすさや推測するときの回答の偏りを含むモデルを考えています。正答の数をそのまま知識の量と同じに置かないための研究です [1]。
「分からない」が選べる一般知識のテストでも、従来の採点より妥当性が高くなったのは、モデルによる扱いまで含む結果です。選択肢を増やしたことだけの成果として取り出すと、採点方法の部分が抜けます。家庭で同じ欄を作るだけで、研究と同じ測定になったとは扱いません [1]。
家庭の復習では、丸が付いた答案にも理由を聞きます。「どうしてその選択肢?」と尋ね、本人が説明する内容を教科書と照らします。これは理解を確認する手順です。推測だった正答を責める場ではなく、次に何を取り出せるようにするかを決める場にします。
専門職の知識テストでは、推測の傾向に関わる経験や職種も調べられています。知っている内容の多さと、分からないときに回答するかという傾向が混じる測定として読むことが大切です。保留することを誠実さの点数にしたり、推測することを理解不足の印だけにしたりせず、答えの理由へ戻ります [2]。
数学テストの採点の比較で変えたのは、無回答に点を与えるかどうかです。家庭で「分からない」の欄を用意する場合も、無回答への点の扱いを区別して読みます。保留を促すルールを付けた研究の結果を読むときは、その条件を残して説明します [3]。
本人が選択肢を絞ったと話したら、捨てた選択肢の理由も聞きます。答えを選んだ根拠と、選ばなかった根拠を並べる確認です。正答や保留という印の奥にある説明を、次の復習の課題へ渡します。
3. 「分からない」を選んだ人は知識が少ないのですか?
自閉症の知識テストの研究では、推測する割合が知識得点を強く予測しました。知識に関連する経験や職種も調べていますが、得点を読む際に推測の傾向を考慮する必要がある所見です。推測する人と保留する人の違いを、そのまま知識の差にすることは避けます [2]。
この対象は学校で働く専門職です。生徒の教科テストと区別し、専門職の知識測定として読みます。それでも、「分からない」を設けた測定にも推測の問題が残る、という問いを知る役割があります [2]。
家では保留した理由を聞きます。用語を知らなかったのか、選択肢を絞れたが決めなかったのか、答えることにためらいがあったのかを聞きます。本人が言った理由と、解き直しで説明した内容を並べます。保留という印だけで、学習内容の理解を閉じない形です。
4. 点の付け方で回答の仕方は変わりますか?
数学テストの研究は、無回答への点の扱いを変えています。無回答に点を与えると、回答保留の仕方に男女差が現れ、女性の最終得点と順位に不利益が生じました。回答の選択には、知識に加えて採点ルールに応じた判断も含まれています [3]。
研究では、女性の参加者の自信が低くリスク回避が高いという調査結果もあり、両者を考慮するとリスク回避が主な説明要因でした。この参加者集団での結果を、女の子は保留するという決め付けへ広げないようにします。いま解く本人が、どのルールを理解し、どんな理由で保留したかを聞きます [3]。
家庭で「分からない」を記す場を設けるなら、採点用の答案と復習のための印を区別します。学校の試験では、定められた採点ルールを確認します。家の印は、後で理由を話す目印として使います。学校で保留する方略の推奨と、家庭で理解を聞く活動を混ぜないようにします。
【反証】この回が言えないこと
一般知識の統計モデル、専門職の自閉症知識、採点ルールを変えた数学テストは、同じ測定ではありません。「分からない」を加えるだけで、学校の教科の理解を正しく測れるとは言えません。推測の傾向による系統的な誤りや、採点に応じた保留の違いが残ります。男女差の結果を個々の生徒の性質に当てはめることもできません [1][2][3]。
実務——家でできる 3 つの確認
最初に、正答した問題から理由を聞きます。選択肢を選んだ根拠が出るかを確かめ、推測だった答えには復習の印を付けます。丸の数だけでは話を終えません。
続いて、保留した問題で分かった部分まで話してもらいます。教材を閉じて取り出せる言葉を聞くことをアクティブリコールにします。日を改め、同じ内容を説明する場を設けて間隔反復につなげます。
最後に、推測と保留の理由を講師と比べます。武蔵野個別指導塾の完全1対1では、回答の印と本人の説明を合わせて聞きます。「分からない」の中を開き、知識を見直す箇所と判断が止まった箇所を確かめます。
正答と保留の理由を聞く学習の入口に、武蔵境の定期テスト対策を用意しています。
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よくある質問
Q. 「分からない」を増やせば正確な小テストになりますか?
「分からない」の欄だけでなく、推測の傾向を考慮した採点方法が必要です。欄の追加と測定方法を別々に読みます [1]。
Q. 推測で正解したら知識として扱いますか?
家庭の復習では、理由を説明した答えと推測した答えを分けて確認します。今回の測定研究も、正答が知識以外から生じる問題を扱っています [1][2]。
Q. 学校の試験でも保留を選びますか?
学校の試験では、その採点ルールに沿って回答を判断します。数学の研究では、無回答の点の扱いで保留の仕方が変わりました。家の復習の印と、採点される回答を分けて考えます [3]。
出典
- Improving the measurement of knowledge in multiple-choice tests: A hierarchical multinomial processing tree approach.(Timo Seitzほか、2026、Acta psychologica)
- Re-Evaluating the Appropriateness of the “Don’t Know” Response Option: Guessing Rate as a Source of Systematic Error on Autism Knowledge Assessments(Camilla M. McMahonほか、2024、Journal of Autism and Developmental Disorders)
- Brave boys and play-it-safe girls: Gender differences in willingness to guess in a large scale natural field experiment(Nagore Iriberriほか、2021、European Economic Review)



