持ち込み可の試験は理解を測れるか——試験形式の全体効果に有意差なし|武蔵野個別指導塾が薦める学習の仕方

持ち込み可と不可の試験を比べた分析では、学習への全体の効果に有意差はありませんでした。資料を参照できること、試験中の得点、後に覚えていることは分けて読みます。家では資料を使って答えた理由と、閉じて説明した内容を比べます。

「教科書を見ていいなら、勉強しなくてもよさそう」。持ち込み可の小テストの話を聞いた子どもが言います。保護者は、調べて答える試験で何が分かるのか気になります。資料を使えるかどうかだけで、理解の深さや学習の成果を決めてよいのでしょうか。

今回の研究は、資料を参照できる試験と、参照できない試験を比べています。試験の前にどれだけ準備したか、試験中にどう答えたか、時間を置いて何を覚えていたかは、それぞれ異なる評価です。持ち込みの許可という条件を、学習全体の評価と分けて読みます。

1. 論文を役割で並べる

S. Durningほか(2016)は、持ち込み可と不可の試験を系統的にレビューしました。事前の結果は混在しつつ、持ち込み不可ではより広く準備する傾向があり、持ち込み可では試験を終えるまで長くかかる傾向があると報告します。試験成績は持ち込み不可に有利で、とくに準備の量が多い場合にその傾向がありました。試験後の学習効果には違いが少なく、複数の形式を組み合わせる方向を論じています。このレビューに含まれたのは37研究です [1]。

Vahe Permzadianほか(2025)は、高等教育の持ち込み可と不可の試験をメタ分析し、学習への全体の効果に統計的な有意差はなかったと報告します。結果は保持期間によっても変わりました。著者らは持ち込み可の試験を増やすことを推奨し、不安の軽減や学習の設計にも触れています。平均の比較結果と教育上の推奨を区別して読むための論文です。統合した全体の効果量はg = −0.22です [2]。

長期学習を扱ったVahe Permzadianほか(2023)は、持ち込み可と不可の試験が長期の学習へ及ぼす影響をレビューしました。全体の結果は混在する一方、持ち込み不可では忘却の割合が低く、生徒は持ち込み可を好むという所見を報告します。忘却は最初と最後のテストで覚えていた情報の変化として扱われています。好みと記憶の変化を分けるために並べます [3]。

2. 資料を使える試験の得点は何を表しますか?

レビューでは、持ち込み可の試験は終えるまで長くかかる傾向があり、試験成績は持ち込み不可に有利でした。ただし、とくに事前の準備が持ち込み不可で多い場合にその傾向がありました。試験形式の名前だけを読み、準備の違いを消して結果を説明することは避けます [1]。

資料を見られる条件と、そこで準備した量を合わせて読むことが、この比較の読み方です。逆に持ち込み不可の成績がよかったから、資料を使うことは学習に不要という結論にも進みません。試験中の成績と、試験後の学習効果ではレビューの所見が異なります [1]。

家では資料を使って答えたとき、参照した箇所と答えの理由を聞きます。ページが見つかったことと、その内容を答案にどう使ったかを分けて確認します。持ち込みのルールを説明するだけでなく、本人が使った情報を言葉にする場を設けます。

3. 試験のあとに覚えている量も同じですか?

メタ分析の全体では形式の効果に有意差がありませんでした。ただし、保持期間による違いも報告されています。平均の比較結果を「どんな期間でも同じ」と置き換えると、分析した条件が消えます。いつ学習を測ったかも読む必要があります [2]。

長期の学習を整理したレビューは、全体の結果が混在していた一方、持ち込み不可で忘却の割合が低いという所見を挙げています。これは、最初のテストから最後のテストへ情報がどう変わったかという評価です。試験中に点が取れたかだけで、後に取り出せる情報まで判断しない読み方になります [3]。

家庭で資料を開いた練習をするなら、日を置いて閉じた状態の説明も聞きます。その答えは本人の復習を確かめる材料です。研究の平均の効果を、その家庭の変化として語ることはしません。いつ、何を見ながら答えたかを区別することから始めます。

持ち込み可を好む結果を聞いたら、本人の好みとして受け取ります。そのあと、何を見て答えたかと、見ずに何を取り出せたかを聞きます。好みの理由と知識の説明を一緒に話すと、どちらを確かめたのかが曖昧になります。家庭の会話でも、問いを分けて進めます [3]。

持ち込み不可で準備が多かった場合の成績の傾向は、準備そのものに注意を向ける材料です。家で資料を使う予定の課題に取り組むときも、参照する箇所を知っていることと、内容を説明することを別に確かめます。研究が特定の家庭の準備方法を比較したという紹介にはしません [1]。

資料を使える試験を、単に記憶を使わない試験として片付けず、本人がどの内容をどう使ったかへ戻ります。その確認と、時間を置いて閉じた状態の説明を、異なる問いへの答えとして並べます。

4. 好みや不安が減ることは理解の証拠ですか?

長期学習のレビューでは、学生が持ち込み可を好むことが、忘却の結果とは別に挙げられています。形式への好みと、後の記憶の結果を別の評価として読みます。本人の希望を聞きながら、学んだ内容を別に確かめます [3]。

メタ分析の著者らは、持ち込み可の試験の増加を推奨しています。学習への全体の効果には有意差がなかったという結果も、その推奨と合わせて読みます。比較の結果と、著者らが教育の設計として勧めたことを並べて読みます [2]。

日本の家庭学習では、学校が指定する試験のルールを確認し、その条件で何を説明するかを考えます。練習のときは、資料を使った説明と、資料なしの想起をそれぞれ確かめます。どちらかの点だけで理解を決めず、参照した情報の使い方と、後で取り出した内容を本人の言葉で見ます。

【反証】この回が言えないこと

高等教育を含む研究の比較から、日本の中高生の持ち込み可の試験が理解を正しく測れるとは言えません。学習の全体の効果で有意差がないことは、形式が完全に同等だという保証でもありません。準備や保持期間が異なり、忘却で持ち込み不可が有利だった結果もあります。「持ち込み可なら勉強は不要」という結論は研究にありません [1][2][3]。

実務——家でできる 3 つの確認

最初に、参照した箇所を本人に指してもらいます。そこから答えを作るまでを説明してもらい、探せたことと使えたことを分けて聞きます。教科書を開いたままでも、説明の途中を確かめます。

次は、教科書を閉じて理由を話してもらいます。当塾が用いるアクティブリコールの場として置きます。後日、同じ内容を取り出す機会を間隔反復にし、参照した情報と想起した情報を比べます。

最後に、資料を使った答案と閉じて説明した言葉を講師に見せます。武蔵野個別指導塾の完全1対1では、どの情報をどう結び付けたかを聞きます。資料への依存を叱る話で止めず、取り出したい内容を決めます。

参照した内容と取り出した内容の学習相談には、武蔵境の定期テスト対策をご利用ください。

関連記事:検索練習

よくある質問

Q. 持ち込み可なら事前の勉強は省けますか?

持ち込み可でも事前の準備が試験成績に関わります。学校の条件に合わせ、資料で確かめる内容と、取り出す内容を整理します [1]。

Q. 持ち込み不可のほうが学習には有利ですか?

メタ分析の全体では有意差がなく、長期学習のレビューでは結果が混在しました。忘却の割合など、測るものごとの所見を確認します [2][3]。

Q. 本人が持ち込み可を希望したら理解も進みますか?

持ち込み可への好みと、長期の記憶の結果は別です。希望を聞いたあと、資料を使った理由と閉じた説明をそれぞれ確かめます [3]。

出典

  1. Comparing Open-Book and Closed-Book Examinations: A Systematic Review(S. Durningほか、2016、Academic Medicine)
  2. Does test format affect learning? A meta-analysis comparing the effect of closed-book and open-book examinations(Vahe Permzadianほか、2025、Assessment & Evaluation in Higher Education)
  3. Does the format of an assessment (closed book or open book) affect learning? A systematic review of the literature(Vahe Permzadianほか、2023、Teaching in Higher Education)

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