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子供が勉強しないのは親のせいか—責める前に家の中で確かめる五つのこと|武蔵野個別指導塾

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「育て方が悪かったのか」と言い合う前に、机の上の物、寝た時刻、親が口にした言葉の型など家の中の五つを一週間だけ紙に書き、家で動かせる原因と学校へ持っていく原因に分けてみてください。

「親のせいか」と自分に問いかけても、その形のままでは答えは出ません。問いの中に、責任の問いと原因の問いが混ざっているからです。誰が悪いかを決めても、明日の夕方に家で変えることは一つも決まりません。一方で原因のほうは、家の中だけで確かめられる所が五つあります。机と物の置き場所、時間の割り振り、睡眠、会話の量、親の言葉の型です。今夜は紙を1枚出して、この五つの欄を作ってください。誰が悪いかを書く欄は、最初から作りません。

よくあるのは、日曜の夜、子供が自分の部屋に戻ったあとの居間で始まる場面です。片方が「小さいころから好きにさせすぎた」と言い、もう片方が「怒ってばかりいたからだ」と返す。最後にどちらかが「育て方が悪かったのか」とこぼして、テレビの音だけが残ります。戸の向こうでは、月曜の時間割もまだそろっていないかもしれません。言い合いには熱がこもっていたのに、翌朝の家は何も変わっていない。変える物を、誰も一つも口にしなかったからです。

「親のせいか」の中に入っている二つの問い

一つ目は責任の問いです。この問いは過去を向き、誰が悪いかを探します。「中学に上がったときにスマホを渡したから」「あの年は仕事が忙しくて見てやれなかったから」。仮に答えが出たとしても、過去の出来事は動かせないので、来週の家に打てる手は増えません。しかも責任の問いは、家族の誰かを被告の席に座らせます。夫婦の片方か、自分自身か、子供本人か。座らされた人は身構え、話はそこで止まります。

二つ目は原因の問いです。こちらは今を向き、何が起きているかを探します。「今週、何時に寝ているか」「数学の教科書は今どこにあるか」。答えは、見ればわかります。答えが出れば、来週動かす物が決まります。図1のように、同じ「親のせいか」という一言から、次の一手が出ない道と、手が打てる道に分かれていくのです。

図1 「親のせいか」を責任の問いと原因の問いに分けた図

原因の問いを進めていくと、勉強しない理由はおおむね三つの所に分かれていきます。一つは家の中の仕組みで、図1の「家で動かせる五つ」がここに当たります。机の上が物で埋まっている、夕食の時刻が毎晩ずれて勉強を置く時間がどこにもない、寝る時刻が遅くて夜の頭が働かない。これは親の手で動かせます。二つ目は、授業のつまずき、友人関係、体調です。図1でいう「家の外の三つ」で、家の中で棚を動かしても変わらず、学校や医療機関へ持っていく話になります。三つ目は、本人もまだ言葉にできていない理由です。「なんで勉強しないの」と聞かれて「わかんない」と答える子供は、ごまかしているとは限りません。本当に言葉が見つからないこともあります。その場合は無理に聞き出さず、一つ目と二つ目を確かめるうちに輪郭が見えてくるのを待ちます。

ここで一つ、言っておきたいことがあります。「親のせいではない」とも、すぐには言い切れません。家の中の仕組みに原因が見つかることは、実際にあるからです。ただ、それは「親が悪い」という判決にはなりません。「充電器の場所を変える」「夕食を19時にそろえる」という作業の一覧になります。責任の言葉を作業の言葉に置き換えたとき、夫婦の会話の温度も変わり始めます。

家の中で確かめる五つのこと

確かめる期間は1週間、月曜から日曜までです。用意する物はA4の紙1枚と鉛筆。紙は冷蔵庫に貼らず、親の手帳か引き出しにしまいます。子供を見張る表にしないためです。図2のように、縦に五つの行、横に七日分の欄を作り、見たことを短く書き込みます。

図2 一週間で見る五つの行と七日分の欄を並べた記録の紙
  1. 机と物の置き場所を見る(月曜の夜)。お子さまが居間で勉強するならその机の上を、自分の部屋で勉強するなら、本人がいるときに「机の上、ちょっと見せてもらっていい?」と断ってから見ます。見るのは三つ。教科書とワークが座ったまま手の届く所にあるか、勉強に使わない物が机の上にいくつ乗っているか、スマホの充電器がどこにあるか。学校のプリントがどこに溜まっているかも一行書きます。鞄の底で丸まっているなら、それもそのまま書きます。この日は片づけません。書くだけです。

  2. 時間の割り振りを書く(火曜)。平日の一日を、帰宅から寝るまで30分ずつに区切って、何をしていたかを埋めます。部活、習い事、夕食、入浴、移動、動画。たとえば部活のある日なら、18時半に帰宅、19時に夕食、19時半に入浴、20時から動画、と升目を一つずつ埋めていきます。埋めてみると、勉強に回せる30分の枠が一つも残っていない日が出てくることがあります。その家では、子供は勉強しないのではなく、勉強を置く場所がないのです。夕食の時刻が日によって1時間以上ずれていないかも見ます。始める時刻が毎晩動くと、机に向かうきっかけがつかめません。

  3. 睡眠の時刻を、見た事実で書く(毎日)。寝た時刻と起きた時刻を、本人に聞かずに、親が見た事実で書きます。部屋の明かりが消えた時刻、朝、居間に出てきた時刻。平日と土日の差も並べます。朝起きられない日が何日も続いているなら、その行に印を付けて、家の外の三つのうち「体調」の話として、紙の余白に日付と様子を書き添えます。夜更かしを叱って直す話ではなく、医療機関に相談する話かもしれないからです。

  4. 会話の量を数える(毎日、寝る前に1分)。その日にお子さまと交わした話を三つに分け、あった物に印を付けます。勉強の話(宿題、テスト)、用事の話(明日の弁当、学校の集金の封筒)、それ以外の話(部活の顧問のこと、見ていた動画のこと、夕食の味)。一週間並べて「それ以外」の印がほとんど付かないなら、家の会話は勉強と用事だけで回っています。その上に勉強の話を重ねると、子供にとってはいつもの取り調べの続きに聞こえます。

  5. 親の言葉の型を分ける(毎日、寝る前に1分)。勉強について自分が口にした言葉を、思い出せる分だけ書き、型で分けます。「やりなさい」の命令、「なんでやらないの」「いつやるの」の問い詰め、「どうせまたやらないんでしょ」の予告、そして「今日はどこまで進んだ?」のように中身を聞く言葉。言葉を直すのは後回しでかまいません。この週は、どの型がいちばん多いかを数えるだけです。

  6. 日曜の夜、紙を並べて一つだけ選ぶ。夫婦がそれぞれ紙を書いていたら、並べて見ます。片方しか書いていないなら、書いた側が読み上げ、もう片方は口をはさまずに聞きます。印がいちばん気になる行を一つだけ選び、来週の動かし方を決めます。充電器を居間に移す、夕食を19時にそろえる、寝る前に「それ以外」の話を一つ入れる、といった具合です。迷ったら、お子さまに一言断れば来週の月曜から動かせる物を選びます。本人の納得を何日もかけて取りつける物は、二週目以降に回します。動かすのは一つだけ。二週目も同じ紙を使い、選んだ行の印が変わったかを確かめます。

  7. 五つに目立った印がなければ、外へ目を向ける。机も時間も睡眠も会話も言葉も、ひどく崩れてはいない。それでも勉強しないなら、原因は家の外にあるかもしれません。次の三つへ進みます。

家では動かせない三つの原因と、持っていく先

一週間の紙には映らない原因があります。家の中でどれほど物の場所を変えても、ここには届きません。

授業のつまずきは、ある教科のワークだけが白い、答案のある大問から先が空いている、ノートの字がある単元から急に減る、といった形で家にも表れます。持っていく先は教科の先生と担任です。答案とノートを1冊、手を加えずにそのまま持っていきます。

友人関係の変化は、学校の話をしなくなった、休みの日に出かけなくなった、スマホを見たあとに黙り込む、といった様子で表れることがあります。家で問い詰めると、子供はますます口を閉ざします。担任とスクールカウンセラーに、見た様子だけを伝えます。

体調の崩れは、朝起きられない日が続く、頭やお腹が痛いと言う日が増えた、食べる量が変わった、といった形で出ます。病名を家で当てはめず、かかりつけの医療機関に相談します。学校での様子は、担任や保健室の先生に聞けます。

三つは重なることがあります。どれか一つに決めず、気づいた日付と様子を短くメモして持っていきます。

言葉と場面の例

日曜の夜の言い合いを、紙の前の話し合いに変えるための言い換えです。夫婦の間の言葉を三つ、子供に向ける言葉を二つ挙げます。

紙を前にした日曜の夜は、たとえばこう進みます。片方が「睡眠の行、水曜と木曜だけ0時を過ぎてる」と読み、もう片方が「水曜は部活の試合の前の日だった。木曜は」と言いかけて、手帳を開く。木曜の会話の行には、勉強の話の印しかありません。二人の声はまだ硬くても、話しているのは誰のせいかではなく、木曜の夜に何があったかです。言い合いの夜と同じ食卓で、同じ二人が、相手ではなく紙のほうを見ています。

やりがちな三つのずれ

一つ目は、紙が反省文になることです。「つい怒鳴った。親として最低だ」と書くと、翌週の紙と見比べられません。評価には、比べる目盛りが無いからです。直し方は、事実だけを書くこと。時刻と場所と回数と、口にした言葉そのままです。「21時、居間、『いつやるの』を2回」。これなら二週目に数が減ったかどうかが見えます。

二つ目は、五つを一度に変えることです。紙を見て気になる所が三つも四つも出ると、翌週から机も時刻も言葉も全部入れ替えたくなります。けれど急に変わった家に、お子さまは身構えます。どれが効いたのかも、あとでわからなくなります。図3のように、一つだけ動かし、二週目に同じ紙で確かめます。選んだ行の印が変わったら、三週目に次の行へ進めば十分に間に合います。

三つ目は、家の外の原因まで家で直そうとすることです。数学の答案が白いからと毎晩親が隣で教える、友だちのことを根掘り葉掘り聞き出す。家の中の衝突が増えるだけで、学校で起きていることには届きません。親が教えること自体がいけないのではありません。授業のどこで止まったのかを知らないまま教えると、親子で同じ所を空回りしやすいのです。答案とメモを持って、学校と相談先へ行きます。

図3 やりがちな三つのずれと、それぞれの直し方を並べた図

よくある質問

子供に「なぜ勉強しないのか」と聞いてもいいですか

聞いてもかまいませんが、答えが返ってこなくても責めないでください。大人でも「なぜ」と正面から聞かれると言葉に詰まります。聞くなら、答えやすい形に崩します。「いちばん手が止まるのは何曜日?」「宿題とワーク、どっちが重い?」。曜日や物の名前で返ってきた答えは、紙の五つの行か、家の外の三つのどこかに入れられます。

親が家で本を読まないから、子供も勉強しないのでしょうか

その問いも責任の問いの一つで、考えても次の一手が出ません。代わりに、お子さまが机に向かうはずの時間帯に、居間で何が鳴っているかを紙に書きます。テレビがついているのか、誰かが電話をしているのか。その時間帯だけ親が音の出ない物を手に取ればよいのか、お子さまの机を静かな部屋に移せばよいのか、手が見えてきます。

五つとも目立った印がないのに勉強しません

家の中の仕組みは崩れていない、という答えが出たことになります。それは無駄な一週間ではありません。次は、家の外の三つを確かめる番です。答案とノートを1冊ずつ、それに一週間の紙を持って担任に会います。紙があると、家では何を試して何が変わらなかったかを、短く伝えられます。

学校と相談先で確かめること

担任や教科の先生には、次のように聞けます。面談の前に紙に書いておくと、聞き漏らしが減ります。

学校の外にも相談先があります。武蔵野市にお住まいなら、市の教育支援センターで子育てや学校生活の相談ができ(予約制)、市のスクールソーシャルワーカーは家庭と学校と市の窓口をつなぐ役を持っています。都内に住むか都内の学校に通う、高校生の年齢までの子供と保護者なら、東京都教育相談センターにも相談できます。三鷹市や小金井市、西東京市など市の外にお住まいなら、住んでいる市の教育委員会の教育相談の窓口へ。体の不調が続くときは、かかりつけの医療機関が先です。

個別指導で確かめること

1対1の授業で最初に確かめるのは、「しない」と「できない」の境目です。いま学校で習っている単元の問題を1問解いてもらい、鉛筆が止まったら一つ前の単元へ、そこでも止まったらもう一つ前へと戻ります。迷わず解ける所まで戻れたら、そこがつまずきの入口です。ご家庭には、誰のせいかではなく、どの単元のどの問題で止まったかを伝えます。家の紙の五つの行と合わせると、家で動かす物と授業で埋める物が分かれて見えてきます。

まとめ

誰のせいかに答えが出る夜は来ません。けれど、どこで止まっているかには、来週の日曜の夜までに答えが出ます。机の上、寝た時刻、口にした言葉。紙1枚に七日分を書けば、家の中で動かせる物と、学校へ持っていく物が分かれます。そして日曜の食卓には、言い合いの代わりに、来週動かす物が一つだけ乗ります。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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