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勉強中のペン回しがやめられない—考えが止まったときに動く手を、問題に戻す工夫|武蔵野個別指導塾

証明の2行目で指の上のシャーペンが回り出す中学生へ。条件に線を引く、図に印をつけるといった次の役を手に渡し、責めずに問題へ戻す手順を、授業中と家の違いとあわせて並べています。
勉強中のペン回しは、集中が切れた証拠というより、考えが止まった瞬間に手だけが空いているという合図です。だから「回さない」と我慢するより、止まったときに手がやる次の仕事を先に決めておくほうが、勉強の集中は戻りやすくなります。数学の証明なら、問題文の条件に線を引く、図に印をつける、結論から逆に書く。この3つのどれかにペン先を戻し、回った数ではなく、戻れた数を数えてください。
よくあるのは、数学の証明で手が止まると、指の上でシャーペンが3回転する中学2年の場面です。二等辺三角形の問題で、ノートには「△ABDと△ACDにおいて」と1行だけ書いてあります。次に何を並べればいいのかが出てこない。気づくと指の上でペンが回り、机に落ちた乾いた音で顔を上げる。拾って、また回す。15分たっても、ノートの証明は1行のままです。
なぜそうなるのか
ペン回しも、貧乏ゆすりも、髪を指に巻きつけるのも、出てくる場面には共通点があります。教室で中高生の手元を見ていると、手の癖が顔を出すのは、図1のようにおおむね3つの場面に分かれます。

考えが止まるとき
計算問題なら、手を動かしながら考えられます。移項する、かっこを外す、分母をはらうと手が先へ進むので、指が暇になる時間はほとんどありません。ところが、証明の次の一行や、文章題で式を立てる前の時間は違います。次に書く文が頭の中で決まるまで、紙の上でやることが何もない。考えている時間が、そのまま手の止まっている時間になります。この空いた数秒に、指は勝手に動き出します。回している間は見た目には考えているようですし、本人もそのつもりです。けれど実際には、目は問題文から離れて、ペン先が描く小さな円を追っています。回っている間、証明はほとんど進んでいません。
退屈なとき
逆に、頭が余っているときにも手は動きます。同じ型の計算が20問並んだプリント、漢字を10回ずつ書く宿題。手は動いていても、頭は暇です。暇になった頭は、手に別の刺激を探させます。ペンを回す、足を揺らす、消しゴムを指先でつぶす。勉強中にそわそわして集中できないと感じるのは、こちらの場面でよく起きます。問題がやさしすぎるか、量が多くて終わりが見えないときに出てきます。
待つとき
3つ目は、待つ時間です。全部解き終えて答え合わせを始めるまでの数十秒。授業中に先生が板書を書き終えるまでの間。家で夕食に呼ばれるまでの数分。やることのない短い時間に、手は手持ちのペンで遊びます。この場面のペン回しは害が小さいのですが、指に動きを覚えさせる練習の時間にもなっています。待つたびに回していると、考えが止まった場面でも同じ動きが出やすくなります。
3つに共通すること
図1の下の段にあるとおり、3つの場面に共通するのは「手だけが空く」という状態です。手の癖は手が空いた時間に出て、繰り返すうちに指がその動きを覚えます。だから、気をつけようと思っていても、気づいたときにはもう回っている。ペン回しそのものが悪いわけではありません。困るのは、回っている間に目と頭が問題から離れること、そして離れたことに本人が気づきにくいことです。直す相手は指ではなく、空いた時間の使い方のほうです。
今夜からの手順
ここでは、中学2年の証明でよく出る問題を例にします。AB=ACの二等辺三角形ABCで、頂点Aの角の二等分線と辺BCとの交点をDとし、△ABD≡△ACDを示す問題です。ノートに「△ABDと△ACDにおいて」と書いたところで手が止まった、という場面から始めます。
1. 3日だけ、回った場所に点を打つ
最初の3日は直そうとしないでください。回っていたことに気づいたら、そのとき解いていた問題の番号の横に、小さな点を1つ打つだけにします。数えるのは回った回数ではなく、回った場所です。3日たったらノートを開き、点がどこに集まっているかを見ます。証明の2行目、文章題で式を立てる前、英語の長文の2段落目。点の位置が、そのまま手の止まりやすい場所の地図になります。
点が計算プリントの後半に集まっているなら、考えが止まっているのではなく、量に飽きて退屈している場面です。証明の途中に集まっているなら、考えが止まっている場面です。この見分けがつくと、次の手順で選ぶ手が変わります。
2. 止まったときの3つの役を、ノートの表紙の裏に書く
図2のように、ペンを回す前に、ペンにやらせる仕事を3つ決めておきます。数学の証明なら、次の3つです。
1つ目は「条件に線を引く」です。問題文の「AB=AC」と「角の二等分線」に線を引くと、使える仮定が2つあると目に見えてわかります。頭の中だけで条件を探すより、ペン先で文字をなぞるほうが、止まった思考に足場ができます。
2つ目は「図に印をつける」です。等しい辺ABとACに同じ印を、等しい角∠BADと∠CADに同じ弧の印をつけます。すると、まだ印のない辺のうち、ADだけが△ABDと△ACDの両方に入っている辺だと気づきます。証明で止まるときは、この共通の辺が目に入っていないことがよくあります。
3つ目は「結論から逆に書く」です。ページの下のほうに「△ABD≡△ACD」と先に書き、その上に、使えそうな合同条件の名前と、辺・角・辺の枠を3つ並べます。AB=ACと∠BAD=∠CADで2つの枠が埋まれば、空いた1つの枠を埋める文が、そのまま次の一行になります。

3つを試しても次の一行が出ないときは、問題番号の横に三角の印をつけて、次の問題へ進みます。図2の下の段にある「まだ止まるなら印をつけて次へ」です。止まった問題の上で回し続けるより、いったん先へ進み、最後に三角の問題へ戻るほうが、その夜の残りの時間を守れます。
英語や社会なら、3つの中身を入れ替えます。英語の長文なら、知らない単語に丸をつける、文の動詞に線を引く、段落の最初の文だけを読み直す。社会なら、教科書の該当ページを開いて太字の語に指を置く、資料の表の見出しに線を引く。どの教科でも、ペンを持ったまま始められて、10〜30秒で終わる作業にしておくのがこつです。考えが止まった瞬間に、大きな作業は始められません。手がすぐに動ける小ささにしておきます。
3. 区切りを証明1題ずつ、10〜15分に縮める
長く座り続けるほど、空いた時間は積み重なります。証明なら1題、計算なら5問、英語なら1段落を1つの区切りにして、終わるたびにペンを机の右上の決まった位置に置いてください。置いて、次の問題文を読んでから、もう一度持つ。時間にすると10〜15分ほどの区切りになることが多いはずです。
区切りが短いと「あと少しで1つ終わる」という見通しが立つので、退屈な場面のそわそわが減ります。ペンを置く動きが、区切りごとの小さな合図にもなります。置いたペンは回せません。読むだけの時間はペンを持たない、と決めるだけで、待つ時間の癖はぐっと減らしやすくなります。
4. 手が空く時間に、先に別の役を渡しておく
待つ時間の癖には、待つ間の役を先に決めておきます。答え合わせの前なら、赤ペンに持ち替えて解答のページを開いておく。夕食に呼ばれるまでの数分なら、今日解いた証明を指でなぞって読み返す。手が空く前に、次の役を渡しておくのです。
ペン以外の癖も、同じ考え方で扱えます。足が揺れる人は、足の裏を床にぴったりつけて座り、届かなければ足の下に台を置く。髪を触る人は、勉強を始める前に髪を結んでおく。いつも回しているのが長くて重心のよいペンなら、勉強のときだけ短めのペンに替えるのも手です。ただし、物を取り上げるのは1つまでにしてください。理由は、後の「よくある失敗と直し方」に書きます。
5. 回っていたら、責めずに1行戻る
ここまでやっても、ペンは回ります。癖はすぐには消えません。気づいたら、心の中で「回った」と一言だけ言い、ペンを持ち直して、止まっていた行を指でなぞります。証明なら、最後に書いた「△ABDと△ACDにおいて」の行へ戻り、図2の3つの役のどれかを1つだけやる。戻れたら、手順1の点の横に小さな丸を1つ足します。
ここで自分を叱らないことが要です。叱っている数秒が、また問題から離れる時間になるからです。その日の終わりに点と丸を見比べてみてください。点の数は減らなくても、丸がつく問題が増えていく。回ってから戻るまでの時間の縮みが、ノートの上で見えるようになります。
学年と時期で変わるところ
中1は、小学校のころからの癖をそのまま持ち込む時期です。中1の数学は前半に正負の数や方程式の計算が続き、手を動かす時間が長いので、ペン回しが出るのは文章題で式を立てる前と、計算プリントの後半の退屈な場面です。区切りを短くする手順3が、いちばん合いやすい学年です。
中2は、証明が始まり、次の一行を頭の中で組み立てる時間が一気に長くなります。舞台の3回転が出てくるのも、この学年の図形の単元です。止まったときの3つの役を証明用に決めておく手順2が、中2ではいちばん役に立ちます。
中3は、入試に向けて時間を計って問題を解く練習が増えます。時間に追われると、焦りで手が動く場面が出てきます。本番の試験では、落としたペンを拾うのに時間も気持ちも取られます。ふだんから、迷ったら印をつけて次へ進む図2の下の段を練習しておくと、本番での止まり方が変わります。
高校生になると、数学の証明は長くなり、英語や現代文では長い文章を読む時間が増えます。止まる時間が長くなるぶん、3つの役は教科ごとに分けて決めます。教室では周りの目を気にして癖を抑えていて、家で反動が出る人もいます。
時期でも変わります。ふだんの週は、手順1の点の記録と手順2の役を試す時期です。テスト前の2週間は新しいやり方を足さず、すでに決めた役だけを使います。長期休みは1日に座る時間が長くなるぶん、空いた時間も増えます。午前と午後でそれぞれ区切りを決め、手順3の短い区切りだけは崩さないようにしてください。
授業中と家でも、手の癖の扱いは違います。授業中は、落としたペンの音が周りに響き、先生の目にも入ります。授業の中で手が空くのは、ほとんどが説明や板書を待つ時間なので、役は「先生が強く言った語を1つだけノートの端に書く」が合います。家では誰にも迷惑はかからないので、回すこと自体をなくすより、回ったあとに戻る練習の場として使ってください。
よくある失敗と直し方
手の癖を減らそうとして起きやすい失敗と、その直し方を図3に並べました。どれも、まじめな人ほどはまりやすい失敗です。

回さないと我慢する
「今日は1回も回さない」と決めて座ると、頭の一部がずっと手を見張る係になります。そのぶん、証明を考える頭が減ります。見張りに疲れたころ、反動でまた回り始めます。我慢できた日ほど、ノートを開くと証明が1行も進んでいない、ということが起こります。直し方は、禁止ではなく、やることで決めることです。「回さない」ではなく「止まったら線を引く」と決めれば、頭は問題の側にいられます。
ペンを取り上げる
回すペンを片づけて鉛筆だけにしたり、家の人がペンケースごと預かったりすると、空いた手は次の物を探します。消しゴムを削る、定規をしならせる、髪を指に巻く。空いた手が残っている限り、触る物が替わるだけです。物を減らすのは1つまでにして、手に別の役を渡すほうを先にしてください。手順2と手順4で決めた役が、その受け皿になります。
回った数を責める
手順1の点を「今日は何回回ったか」の採点に使うと、数が減らない日に落ち込み、記録そのものをやめてしまいます。点は叱るための数ではなく、止まる場所を知るための印です。数えるのは、回った数ではなく、戻った数の丸のほうにします。点が10個ついた日でも、そのうち3つに丸がついていれば、3回は自分の力で問題へ戻れたということです。
よくある質問
勉強中にそわそわして座っていられないのも、同じ理由ですか
手だけでなく体ごとそわそわするときは、退屈な場面か、終わりが見えない場面であることがよくあります。座ったまま我慢するより、体を動かす役を勉強の中に入れてしまいます。答え合わせのときは立って解答を取りに行く、英語の音読は立ってやる、1区切りごとに窓を開けて空気を入れ替える。体を動かす時間を先に決めておくと、座っている時間のそわそわは減ります。学年が上がって1回に座る時間が長くなるほど、この立つ役が要るようになります。
回しながらのほうが考えられる気がします。やめなくてもいいですか
やめどきの線は、回したあとに目が問題へ戻っているかどうかです。回し始めて数秒で問題文に目が戻り、次の一行が書けているなら、そのままでかまいません。回している間に目が窓や時計や指先に行き、気づくと数分たっているなら、そこがやめどきです。迷ったら1週間だけ手順1の点を打ち、点のついた問題が最後まで解けているかを見て決めてください。
テスト本番で回してしまわないか心配です
本番で困るのは、回すことより、ペンを落としたときです。拾うのに時間がかかり、焦りがあとまで残ります。本番の1〜2週間前からは、問題を解くとき、ペンを持たない手を問題用紙の端に置き、迷ったら問題番号に印をつけて次へ進む、という本番と同じ動きで演習してください。家での癖をゼロにするより、本番の手の動きを先に決めておくほうが間に合います。
保護者が手を貸すなら
お子さまのペンが回っているのを見ても、「また回してる」とは言わずに、少し間をおいてから「いま、どの問題で止まってる?」と聞いてみてください。癖を指摘されると、お子さまは癖を隠すことに気を使います。止まっている問題を聞かれると、目が問題へ戻ります。横に座って回数を数えたり、ペンを預かったりはしないでください。手の役を一緒に決めるところまでで十分です。声をかけるなら、区切りでペンを置いたときが合います。考えている最中に話しかけると、組み立てかけた次の一行が、そこで崩れてしまうからです。ペン回しに限らず指や足の動きが勉強以外の場面でも止まらず、お子さま自身が困っている様子が続くときは、まず本人の話を聞いたうえで学校に相談してください。
個別指導で確かめること
止まる場所が証明の2行目なら、講師はそこから1つ前へ戻り、合同条件を3つとも自分の言葉で言えるか、図に辺と角の印を自分でつけられるかを確かめます。止まる原因が手の癖ではなく、その前の段の抜けにあることがあるからです。必要なら、中1で習った角や垂直の記号の読み書きまで戻ります。授業では、手順1の点がついたページを一緒に開き、点のついた問題から順に見ていきます。
まとめ
指の上でシャーペンが3回転したとき、証明はたいてい「△ABDと△ACDにおいて」の次の行で止まっています。回ったことを責めている時間で、条件に線を1本、図に印を1つ足してください。ペンが回り出した行に打った小さな点は、明日の勉強をどこから始めればいいかを、本人よりも先に知っています。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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