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都立推薦の枠は募集人員の何割か—普通科とコースと専門学科で違う割合の読み方|武蔵野個別指導塾

普通科は20%が大半で、コースと総合学科は30%、工業や商業の科は40%が多い。スポーツ推薦の人数も枠の中にあり、手続者を引いた残りが第一次の席になる流れを募集人員320人の例で追います。
今の中3が受ける令和9年度の都立入試では、推薦の枠は学校ごと・科ごとの割合として、都教委の募集案内の「入試実施方法一覧」(実施要綱では別表4)に数字で書かれています。区分ごとによく出てくる値をまとめると、次の表になります。
| 学科・区分 | 推薦枠の割合(令和9年度の別表) |
|---|---|
| 普通科(学年制) | 20%の学校が大半で、22%の学校が一部 |
| 普通科のコース(外国語など) | 30% |
| エンカレッジスクール | 普通科の学校は30%、工業の学科の学校は40% |
| 単位制の普通科 | 20%の学校が多い(新宿は10%) |
| 専門学科 | 工業・商業は40%の科が多く、家庭・芸術・福祉・体育は30%の科が多い。農業には35%の科もある |
| 総合学科 | 30%が大半 |
| 島しょの普通科6校 | 推薦を行わない |
この割合は、その学校の募集人員(科やコースで分けていれば、その科やコースの募集人員)に掛けて使う数です。スポーツ推薦と呼ばれる文化・スポーツ等特別推薦の人数はこの枠の中に含まれ、推薦で入学手続を終えた人数を募集人員から引いた残りが、第一次募集の募集人員になります。
よくあるのは、12月の三者面談から帰ってきた中3が、玄関で靴をそろえながら「推薦の枠、2割なんだって」とだけ言い、夕飯のあいだ一言も話さない、という場面です。本人の頭の中では「10人受けたら8人は落ちる」という計算が勝手に回っています。けれども別表に書かれた2割は、受けた人のうち受かる人の割合ではありません。学校の席のうち、推薦に回す分の割合です。裏から読めば、残りの8割の席は2月21日(日)の学力検査の側で待っています。2割を人数に直し、その席がその後どこへ流れるのかまで追うと、黙り込む理由はかなり減ります。
「推薦枠 割合(%)」は募集人員に掛ける数
都教委が2026年9月に公表した令和9年度の実施要綱には、別表4として「令和9年度入学者選抜実施方法一覧」が付いています。10月に公表された募集案内にも、同じ表が「入試実施方法一覧」という名前で入っています。表を開くと、学校名と科の名前のすぐ右に「推薦枠 割合(%)」という細い欄があり、その右へ、文化・スポーツ等特別推薦の有無、調査書に評定と観点別評価のどちらを使うか、各検査の満点の欄が続きます。推薦の枠の話をするときに読むのは、この一番左の数字です。
数字の意味は単純で、その学校の募集人員のうち推薦で入る人の割合を表しています。たとえば募集人員が320人の普通科で欄に20とあれば、320人の20%で推薦の席は64人です。要綱は、科やコースごとに募集人員を分けている学校では推薦の人数もその単位で決めると定めているので、自分が出す科の行の数字だけを読みます。出願できるのは1校1コース(1科)です。ただし専門学科で、同じ学科の中に科が2つ以上ある学校(芸術の学科を除く)では、第2志望の科を1つ指定できる決まりがあるので、そのときは第2志望の科の行も見ておきます。
読み違えが起きやすいのは、この数字を「受かる確率」として受け取ったときです。64人の席に何人が出願するかは、出願の締切が来るまで誰にもわかりません。出願が多い年は推薦の倍率が上がり、少ない年は下がりますが、別表の割合はどちらの年も同じ数字のままです。倍率の欄の読み方は、この特集の倍率の回で扱います。
もう1つ、学校全体の募集人員の人数そのものは、別表の中には載っていません。都教委が別の資料で発表する数を使います。割合を掛けると端数が出る学校もあるので、推薦の席の人数を最後に確かめる場所は、推薦の出願の締切の後に都教委が出す推薦の応募状況の表です。そこでは学校ごとに、推薦の「募集人員」が人数で書かれます。
普通科は20%、コースは30%、専門学科は科ごとに違う
普通科(学年制)の行を上から読むと、20という数字がほとんど続き、ところどころに22が混じります。令和9年度の普通科の別表で22%になっている行は、どれも隣の特別推薦の欄に○が付いています。ただ、○が付いていて20%のままの学校のほうがずっと多いので、○を見ただけで22%だと思い込むのは早すぎます。島しょの普通科6校(大島・新島・神津・三宅・八丈・小笠原)は、推薦の欄に「実施しない」と書かれています。
外国語などのコースは30%です。普通科とコースを両方置く学校では、同じ学校の中でも普通科の行とコースの行に別の数字が書かれ、令和9年度はどの学校もコースの行のほうが大きくなっています。エンカレッジスクールは、普通科の4校が30%、工業の学科の2校が40%で、同じエンカレッジスクールという呼び名でも学科で数字が分かれます。単位制の普通科は20%の学校が多く、新宿は10%です。
専門学科は、学校名の横に科の名前が並び、1行ずつ割合が書かれています。工業・商業の科は40%が多く、家庭・芸術・福祉・体育の科は30%が多くなっています。農業の科は35%が並ぶ一方で、30%や40%の科もあります。理数に関する学科は推薦を理数等特別推薦だけで行い、割合は15%や20%と低めです。総合学科は30%が大半です。
図1のように区分ごとに多い値を並べると、普通科と工業・商業の科とでは、推薦に回す割合が2倍違うことが目で見えます。人数にするとさらにはっきりします。たとえば募集人員が210人なら、20%の普通科では推薦の席は42人、40%の科では84人です。20%と22%のわずかな差も人数に直すと見えやすく、たとえば募集人員350人の学校なら20%で70人、22%で77人と、7人分の違いになります。

なぜ区分によって割合が違うのか、その理由は別表にも要綱にも書かれていません。読む側にできるのは理由を推し量ることではなく、志望校の行に書かれた数字を人数に直すことです。とくに専門学科と、普通科とコースを両方置く学校では、学校名だけで判断せず、自分が出す科やコースの行まで指でたどってください。
スポーツ推薦の人数も、推薦の枠の内側にある
「スポーツ推薦の枠」と呼ばれているものは、都の決まりでは文化・スポーツ等特別推薦のことで、令和9年度は90校が行います。募集案内の「主な特色」は、この特別推薦について、推薦に基づく入試の対象人員の枠の中に募集人員の枠を設けて行うと説明しています。推薦の枠の外に、スポーツの席が別に上乗せされるわけではありません。20%の学校なら、その20%の中に特別推薦の席と一般推薦の席が同居しています。
種目ごとの人数は、募集案内の特別推薦の実施校の一覧の「人数」の欄に、男女別か男女合同で書かれています。要綱の決め方は2段です。まず種目ごとに、その人数を超えない範囲で特別推薦の合格候補者を決めます。次に、推薦の枠の人数から特別推薦の合格候補者の数を引き、残った人数を一般推薦の募集人員として、総合成績の順に一般推薦の合格候補者を決めます。
ここで効いてくるのが、特別推薦には学校が決めた基準があり、基準に届かなければ志願者が人数より少なくても不合格がありうるという決まりです。特別推薦の合格が種目の人数に届かなかった分は、引き算の結果として一般推薦の席に回ります。図2のように、たとえば推薦の枠が64人で、種目の人数を全部足すと16人の学校があり、特別推薦の合格候補者が12人だったとします。一般推薦の募集人員は64人から12人を引いた52人です。種目の人数のうち埋まらなかった4人分は、一般推薦で受ける人の席として数えられます。

特別推薦に出す人は、同じ学校の一般推薦にも同時に出願でき、そのときは一般推薦の面接や作文などの検査も受けます。入学考査料は一般推薦の分が別にかかります。一般推薦だけで受ける人から見ると、特別推薦の種目の人数の合計は「多くてもこれだけの席が先に使われる」という上限として読めます。特別推薦の仕組みの細部と実技検査は、この特集の特別推薦の回で扱います。
推薦の入学手続者を引いた残りが、第一次募集の席になる
1月26日(火)と27日(水)の検査を終えた推薦の結果は、2月2日(火)の朝に出ます。合格した人は決められた2日間の入学手続で入学確約書を出し、入学料を納めます。入学確約書を期間内に出さなければ合格を放棄したものとみなされ、入学料を期限までに納めなければ、出した入学確約書も無効になります。推薦の合格者は第一次募集に出願できません。こうした手続きをくぐり抜けた人の数、つまり推薦の入学手続者数が、次の計算の出発点になります。
要綱は、第一次募集で合格候補者を決めるときの募集人員を「推薦に基づく選抜の入学手続者数を除く」数と定めています。図3のように、たとえば募集人員320人の学校で推薦の入学手続者が64人なら、第一次募集で決まる席は256人です。推薦の出願が枠に届かなかった、手続きをしなかった合格者がいた、などの理由で手続者が60人にとどまれば、第一次の席は260人に増えます。推薦の枠で使われなかった席は消えずに、2月21日(日)の学力検査を受ける人の側へ移ります。

2月に都教委が出す第一次募集の応募状況で「募集人員」として書かれるのは、この引き算を済ませた後の数です。学校全体の募集人員と見比べれば、推薦で何人の入学が決まったのかの見当もつきます。推薦で不合格だった人は第一次募集に出願できるので、推薦を受ける人にとっても、第一次の席の数は自分の2つ目の入口の大きさです。冒頭の中3が聞いた2割は、裏返すと「8割の席は2月に決まる」という意味でもあり、推薦の準備をしながら5教科の勉強を止めない理由は、この引き算の中にあります。
よくある質問
推薦の枠が30%の学校は、20%の学校より推薦で受かりやすいのですか
割合だけでは決まりません。推薦の合否は、調査書点と面接、作文や小論文などを合わせた総合成績の順で決まり、席の数に対して何人が出願したかで競り合いの強さが変わります。30%の科でも出願が集まれば厳しくなりますし、20%の学校でも出願が少ない年はあります。割合は席の数、応募人員は競う相手の数と分けて読み、その両方がそろうのは推薦の応募状況が出たときです。
推薦の合格者が枠より少なかったら、残りの席はどうなりますか
第一次募集の席に回ります。第一次の募集人員は、学校の募集人員から推薦の入学手続者数を引いた数だからです。たとえば募集人員280人で推薦の枠が56人の学校で、推薦の入学手続者が50人なら、第一次募集の席は230人になります。推薦で使われなかった6人分は、学力検査で受ける人の席として数え直されます。
スポーツ推薦で受けると、一般推薦とは別の席になりますか
別の席ではなく、同じ推薦の枠を先に使う席です。反対に、普通科の行で特別推薦の欄が「-」になっている学校は一般推薦だけを行うので、要綱の決め方では推薦の枠の人数がそのまま一般推薦の募集人員になります。志望校に特別推薦があるかないかで、一般推薦で受ける人の席の数え方が1段変わるということです。
志望校の推薦の人数は、いつどこで確かめられますか
割合のほうは、9月に公表された実施要綱の別表と、10月に公表された募集案内で、もう読める状態です。人数のほうは出願の締切を待つことになり、推薦の応募状況の表が出た時点で、志望校の行の「募集人員」と「応募人員」が並んで見られます。学校ごとの数字を並べて見比べたいときは、塾の「都立高校の一覧」も開いてみてください。
確かめる順番
今週のうちに、次の順で確かめてください。用意するのは紙と鉛筆だけです。
- 都教委のサイトで令和9年度の募集案内を開き、「入試実施方法一覧」から志望校の行を探します。科やコースが分かれていれば自分が出す科の行まで下がり、「推薦枠 割合(%)」の数字に丸をつけます。専門学科で第2志望の科を指定するつもりなら、その科の行にも丸をつけます。
- 同じ行の「文化・スポーツ等特別推薦の有無」に○があれば、募集案内の特別推薦の実施校の一覧でその学校の種目と人数を見て、人数を全部足します。それが、推薦の枠のうち特別推薦が先に使うかもしれない席の上限です。
- 学校全体の募集人員を確かめ、割合を掛けて推薦の席の見当を出します。募集人員から推薦の席を引いた数を、第一次の席の見当として横に書きます。
- 中学校の担任か進路の先生に、校内で推薦を受けるための手続きと締切を日付で聞きます。推薦の書類は中学校から郵送されるので、校内の締切は学校ごとに決まります。
- 推薦の出願の締切(1月18日(月))の後に推薦の応募状況が出たら、志望校の推薦の「募集人員」と「応募人員」を手で書き写し、3で出した見当の数と合っているかを見ます。
- 2月に第一次募集の応募状況が出たら、その「募集人員」が推薦の手続者を引いた後の数になっていることを確かめます。
個別指導で確かめること
武蔵境の教室では、志望校の行の割合をその場で人数に直し、推薦の席と第一次の席を1枚の紙に並べて書くところから始めます。そのうえで、調査書点と面接・作文で競う推薦と、5教科の学力検査で競う第一次に、それぞれどれだけの時間を割くかを、2月21日までの週の数から決めます。推薦の席の小ささを知ったうえで、一般の準備を止めない計画にするのがねらいです。特別推薦の欄に○がある学校なら、種目の人数を足した数も同じ紙に書き込み、一般推薦の席の見当を一緒に出します。
まとめ
推薦の枠の割合は、合格のしやすさを示す数ではなく、学校の席をどう分けるかを示す数です。普通科の2割も、工業や商業の科の4割も、人数に直して、特別推薦の分と第一次へ回る分まで書き出すと、自分がどの扉をどの順で叩くのかが見えてきます。2割と聞いて黙り込んだ夜は、別表を開いて掛け算を始めるのにちょうどいい夜です。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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