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尊敬語と謙譲語の一覧—見分け方と、まちがえやすい使い方|武蔵野個別指導塾

尊敬語は相手の動作を立て、謙譲語は自分の動作を低めて相手を立てる言葉です。行く・言う・見るなど主な動詞の対応の表と、二重敬語の見つけ方を、文法のテストと面接の場面に合わせて整理しています。
尊敬語と謙譲語の見分け方は、次の4つの手順で決まります。
- 動作をするのが誰かを見ます。相手や目上の人の動作なら尊敬語、自分や自分の側の人の動作なら謙譲語です。
- 特定の形があるかを思い出します。行く→いらっしゃる(尊敬語)・伺う(謙譲語)のように、形そのものを覚える語は表で引きます。
- 特定の形が無ければ一般の形で作ります。「お(ご)〜になる」「〜れる・られる」が尊敬語、「お(ご)〜する」「〜いたす」が謙譲語です。
- 作った形が二重になっていないかを見ます。「お読みになられる」のように同じ種類の敬語を重ねた形は、一つに戻します。
よくあるのは、国語の文法のテストの前の日、教科書の後ろの敬語の表を開いたまま「いらっしゃる」と「参る」のどちらが尊敬語だったかがわからなくなる、という場面です。表には20も30も語が並んでいて、全部を丸暗記しようとすると、見た順に頭から抜けていきます。テストでは「次の文の線部を正しい敬語に直しなさい」と出るので、暗記した語を思い出せても、どちらを使うかで迷えば点になりません。暗記の前に、たった一つの軸を手に入れると、この迷いが消えます。その軸は「誰を立てるか」です。
書く前にすること
敬語を答える前に、文の中の「誰」を指でさす練習をします。敬語は言葉の種類の問題に見えて、実は人の位置関係の問題です。文化庁の「敬語の指針」は、尊敬語を「相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるもの」と説明しています。立てるとは、言葉の上でその人を高く位置づけて述べることです。先生が来るなら「先生がいらっしゃる」と言い、先生を立てます。
謙譲語は、自分の側の動作に使います。同じ指針は謙譲語を2つに分けています。一つは「伺う・申し上げる」の型で、自分の側から相手や第三者に向かう動作について、その向かう先の人を立てるものです。「先生のところに伺う」は、向かう先の先生を立てています。もう一つは「参る・申す」の型で、自分の側の動作を、話や文章の相手に対して丁重に述べるものです。「明日から海外へ参ります」は、聞いている相手に対して改まって述べています。学校のテストでは、この2つをまとめて謙譲語として扱うことがほとんどです。ただ、「弟のところに伺います」が不自然で「弟のところに参ります」は言える、という違いの説明に、この分け方は役に立ちます。伺うは立てるべき向かう先が要るのに対し、参るは向かう先が誰でも使えるからです。
丁寧語は「です・ます・ございます」で、聞き手に対して丁寧に述べる言葉です。動作をする人が誰かとは関係なく付くので、尊敬語の文にも謙譲語の文にも付きます。「先生がいらっしゃいます」の「いらっしゃる」は尊敬語、「ます」は丁寧語です。

図1のように、尊敬語は相手の動作を上へ持ち上げる言葉、謙譲語は自分の動作を下へ置いて相手を上に見せる言葉です。矢印の向きが反対なだけで、どちらも相手を高くするという目的は同じです。この図を頭に置くと、「申す」が尊敬語か謙譲語かを思い出せなくても、「自分が言うときの言葉だった」という記憶から謙譲語だと判断できます。
書く前の準備として、ノートに3列の表を自分の手で作ります。左に基本の形、真ん中に尊敬語、右に謙譲語です。次の表は、文化庁の「敬語の指針」の語例を中心に集めたものです。横線は、その欄に特定の形が無く、一般の形で作ることを表します。
| 基本の形 | 尊敬語(相手の動作) | 謙譲語(自分の動作) |
|---|---|---|
| 行く | いらっしゃる・おいでになる | 伺う・参る |
| 来る | いらっしゃる・おいでになる・お見えになる | 参る |
| いる | いらっしゃる・おいでになる | おる |
| 言う | おっしゃる | 申し上げる・申す |
| する | なさる | いたす |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| 見せる | — | お目にかける・ご覧に入れる |
| 食べる・飲む | 召し上がる | いただく |
| もらう | — | いただく |
| くれる | くださる | — |
| 上げる | — | 差し上げる |
| 会う | — | お目にかかる |
| 聞く・尋ねる・訪ねる | — | 伺う |
| 知る | ご存じだ | 存じ上げる・存じる |
| 思う | — | 存じる |
| 借りる | — | 拝借する |
| 着る | お召しになる | — |
| 寝る | お休みになる | — |
この表で気づいてほしいのは、同じ語がいくつもの基本の形に対応していることです。「いらっしゃる」は行く・来る・いるの3つの尊敬語で、「伺う」は行く(訪ねる)・聞く・尋ねるの謙譲語です。テストで「先生が教室にいらっしゃる」の意味を問われたら、文脈で「いる」か「来る」かを決めます。表を覚えるときは、語を一つずつ覚えるのではなく、「いらっしゃる、おいでになるは、移動と存在の尊敬語」のように束で覚えると、見分けが速くなります。
書き方の手順
テストで「線部を適切な敬語に直しなさい」と出たときも、作文や面接で敬語を使うときも、頭の中で同じ4つの手順を踏みます。図2に示した順番です。

一つ目の手順は、動作の主語を決めることです。文に主語が書いていないときは、自分で補います。「資料を届ける」なら、届けるのは自分か先生か、問題文の前後から読み取ります。主語が相手や目上の人なら尊敬語、自分や自分の側の人なら謙譲語です。自分の側の人には、家族や同じ学校の後輩、会社なら同僚が入ります。「母が先生に申し上げました」と、家族の動作に謙譲語を使うのはこのためです。
二つ目の手順は、特定の形があるかを表で確かめることです。「行く」「言う」「見る」「食べる」「する」「いる」「来る」「知る」「もらう」「くれる」「会う」は、特定の形を持つ代表です。特定の形がある語は、一般の形で作るよりも特定の形を使う方が自然です。「先生が言われた」は文法として誤りではありませんが、「先生がおっしゃった」の方が整って聞こえます。テストでは特定の形を書く答えが求められるのが普通です。
三つ目の手順は、特定の形が無いときに一般の形で作ることです。尊敬語の一般の形は「お(ご)〜になる」と「〜れる・られる」で、「読む」なら「お読みになる」か「読まれる」です。謙譲語の一般の形は「お(ご)〜する」と「〜いたす」で、「届ける」なら「お届けする」、「案内する」なら「ご案内する」か「案内いたす」です。「お」と「ご」の使い分けは、和語には「お」、漢語のサ変動詞には「ご」が基本です。「読む→お読みになる」「出席する→ご出席になる」のとおりです。「お(ご)〜する」は、向かう先の人がある動作にだけ作れます。「食べる」には向かう先の人がいないので「お食べする」とは言えません。可能の意味を足すときは、先に敬語の形にしてから可能の形にします。「お読みになれる」「伺える」「お届けできる」の順番です。
四つ目の手順は、できた形を見直すことです。見直す点は3つあります。同じ種類の敬語を一つの語に二重に重ねていないか、相手の動作に謙譲語を使っていないか、自分の動作に尊敬語を使っていないかです。「お読みになられる」は、「お読みになる」という尊敬語に、さらに尊敬語の「れる」を重ねているので二重敬語です。「お読みになる」に戻します。
テストの出方は、だいたい3つの型に収まります。一つ目は「線部の敬語の種類を答えなさい」で、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれかを選ぶ型です。主語を見れば決まります。二つ目は「線部を敬語に直しなさい」で、表の特定の形を書く型です。「先生が見る」なら「ご覧になる」、「私が見る」なら「拝見する」と、同じ基本の形でも主語で答えが変わります。三つ目は「誤りを含む文を選び、正しく直しなさい」で、二重敬語や、相手の動作に謙譲語を使った文を見つける型です。この型は手順の四つ目がそのまま答えになります。どの型でも、最初にすることは主語に印を付けることです。印を付けずに語だけを見ると、「申す」と「おっしゃる」のどちらも「言う」の敬語なので、半分の確率で外します。
例文で見る
例文を2つ置きます。どちらも自作の短いもので、型を見るためのものです。自分の言葉に置き換えて使います。
一つ目は、面接の受け答えの例です。
「本日は学校の説明会に参りました。校長先生のお話を伺い、図書室を拝見して、この学校で学びたいという気持ちが強くなりました。先生方がおっしゃっていた『自分で問いを立てる』という言葉を、家に帰ってからも考えております。」
この例で良いのは、自分の動作がすべて謙譲語にそろっていることです。来たのは自分なので「参りました」、聞いたのも見たのも自分なので「伺い」「拝見して」、考えているのも自分なので「考えております」です。先生の動作である「言う」だけが尊敬語の「おっしゃっていた」になっています。主語が自分か先生かで言葉の向きが切り替わる様子が、一つの段落の中で見えます。面接では、文の数を増やすより、この向きが一度も狂わないことの方が評価されます。
二つ目は、作文の中で先生とのやりとりを書く例です。
「放課後、職員室の前で先生にお会いしました。先生は私の下書きをご覧になって、『書き出しを変えてごらん』とおっしゃいました。私はもう一度教えていただきたいと申し上げ、翌日、直した原稿をお持ちしました。」
ここで良いのは、同じ「見る」という動作が、主語によって「ご覧になる」と「拝見する」に分かれる場面を避けつつ、先生の動作だけに尊敬語を当てているところです。「ご覧になって」「おっしゃいました」は先生の動作で尊敬語、「お会いしました」「教えていただきたい」「申し上げ」「お持ちしました」は自分の動作で謙譲語です。「お会いする」「お持ちする」は、表に特定の形が無い語を「お〜する」の一般の形で作ったものです。作文で敬語を使うときは、このように一人の目上の人を決めて、その人の動作と自分の動作を分けて書くと、読み手に関係が伝わります。
2つの例に共通するのは、敬語の数ではなく向きの一貫性です。例文を写して提出しても、面接で自分の言葉として話せなければ意味がありません。例の「参りました」を「来ました」に変えて読み比べると、謙譲語が文に何を足しているかが体でわかります。
まちがえやすいところ
よくある誤りを3つ挙げます。誤りの文、どこが違うか、直した文の順に置きます。
一つ目は、相手の動作に謙譲語を使う誤りです。「先生が明日の予定を申されました」は、「申す」が自分の動作に使う謙譲語なので、先生の動作に使うと先生を低めてしまいます。「れる」を付けても尊敬語にはなりません。直した文は「先生が明日の予定をおっしゃいました」です。同じ型の誤りに「お客様が参られる」「受付で伺ってください」があります。前者は「いらっしゃる」、後者は「お聞きください」か「お尋ねください」に直します。「伺う」は聞く相手を立てる言葉なので、聞く人を立てたいときには使えません。
二つ目は、二重敬語です。図3のように、一つの語に同じ種類の敬語を2回かけた形を言います。

「校長先生がご覧になられましたか」は、「ご覧になる」が既に「見る」の尊敬語で、そこに尊敬語の「れる」を重ねています。直した文は「校長先生がご覧になりましたか」です。「お読みになられる」「おっしゃられる」も同じ仕組みで、「お読みになる」「おっしゃる」に戻します。ただし、文化庁の「敬語の指針」は、習慣として定着した二重敬語の例に「お召し上がりになる」「お見えになる」「お伺いする」「お伺いいたす」「お伺い申し上げる」を挙げています。テストで二重敬語を見つける問題が出たら、「お読みになられる」のように、「お〜になる」や特定の形に「れる・られる」を足した形から探すのが確実です。
三つ目は、謙譲語の一般の形「お(ご)〜する」を尊敬語のつもりで使う誤りです。「先生、その荷物もお持ちしますか」は、「お持ちする」が自分の動作に使う謙譲語なので、「私が持ちますか」と自分の動作を尋ねた文になります。先生が持つかどうかを尋ねたいなら、「お持ちになりますか」です。「ご利用される」「ご説明される」のような「ご〜される」の形も、「ご利用する」という謙譲語に「れる」を付けた作りになるので、尊敬語としては適切な形とされていません。「ご利用になる」「ご説明になる」か「利用される」「説明される」に直します。
よくある質問
「いただく」と「くださる」はどう違いますか
「いただく」は「もらう」の謙譲語で、もらう側の自分が主語です。「くださる」は「くれる」の尊敬語で、くれる側の相手が主語です。「先生にご指導いただく」は私がもらう文、「先生がご指導くださる」は先生がくれる文で、意味はほぼ同じでも主語が反対です。テストで「主語を変えずに敬語を直す」問題が出たら、この主語の違いが答えの分かれ目になります。
「参る」と「伺う」はどちらも「行く」の謙譲語ですか
どちらも「行く」の謙譲語ですが、働きが違います。「伺う」は向かう先の人を立てる言葉なので、「先生のところに伺います」とは言えても、「弟のところに伺います」は不自然です。「参る」は話している相手に対して改まって述べる言葉なので、「弟のところに参ります」とも言えます。行き先が目上の人なら両方使え、行き先が身内なら「参る」だけを使います。
「お伺いする」は二重敬語なので使ってはいけませんか
形の上では「伺う」という謙譲語に「お〜する」の謙譲語を重ねた二重敬語です。ただ、文化庁の「敬語の指針」は、これを習慣として定着した二重敬語の例に挙げています。面接や手紙で「お伺いします」と言っても誤りとは扱われません。テストで「二重敬語を選びなさい」と問われたときは、「お読みになられる」のように定着していない形が答えになるのが普通です。
親の手伝い方と個別指導で確かめること
家で手伝うなら、表を一緒に暗記するよりも、夕食の会話で主語を当てる遊びが効きます。「先生が来た」と子どもが言ったら、「先生が主語なら、どう言う」と一言だけ返します。答えを教えずに、主語を指さすだけで十分です。個別指導で確かめているのは、暗記した語の数ではなく、問題文の主語に印を付けてから答えているかどうかです。印を付けずに正解している子は、次の問題で主語が変わると外します。印を付ける癖が付けば、初めて見る語でも一般の形で作れるようになります。
まとめ
尊敬語は相手の動作を立て、謙譲語は自分の動作を低めて相手を立てます。表を覚える前に主語に印を付け、特定の形があれば表から引き、無ければ「お〜になる」「お〜する」で作り、最後に二重になっていないかを見ます。誰の動作かを指でさせた瞬間に、尊敬語と謙譲語の迷いは消えます。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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