
武蔵野個別指導塾の特徴
作文の書き方—小学生から中学生までの基本の手順|武蔵野個別指導塾

書く前に6つの箱でメモを作り、400字を4つの段落に分けて、一文を40字以内で書く。小学4年生と中学生の自作の例文で、固まった鉛筆を動かす手順を示します。
作文は、次の4つの手順で書くと止まりません。
- 書く前に、6つの箱(いつ・どこで・だれと・何をした・見た聞いた・思った)に短い言葉でメモを作る。
- 出来事を一つに絞り、始まり・出来事・そのとき思ったこと・いま思うことの4つの段落に分ける。
- 400字なら、出来事の段落に半分を使う。
- 一文は40字以内、一文に一つのことだけを書く。
よくあるのは、日曜日の午後、作文の宿題を前に小学4年生が固まっているという場面です。原稿用紙の1行目に題名だけ書いて、鉛筆が止まっています。横で見ている親が「何でもいいから書きなさい」と声をかけると、ますます動かなくなります。本人は何も考えていないのではありません。頭の中に昨日の出来事があふれていて、どこから出せばよいのかがわからないのです。出口を作るのが、書く前のメモです。
書く前にすること
書けない原因の大半は、書く前に何も決めていないことにあります。頭の中にあるものをそのまま原稿用紙に出そうとすると、最初の一文で全部を言おうとして止まります。先に紙の上に材料を並べると、原稿用紙には並べたものを順に写すだけになります。
メモは、図1のように6つの箱で作ります。いつ、どこで、だれと、何をした、見た聞いた、思った、の6つです。箱の中に書くのは、文ではなく言葉です。「日曜日の朝」「おばあちゃんの畑」「おばあちゃんと弟」「さつまいもをほった」「土のにおい、つるが長い」「思ったより重い」のように、名詞と短い言い切りだけで埋めます。文を書こうとすると、メモの段階でまた止まるからです。

6つの箱のうち、いちばん大事なのは「見た聞いた」の箱です。作文が薄くなる子は、この箱が空のまま書き始めています。「楽しかった」「うれしかった」は思ったことの箱に入りますが、それだけでは読んだ人の頭に何も浮かびません。さつまいものつるが自分の背より長かったこと、土が冷たくてしめっていたこと、弟が「まだあるよ」と言ったこと。目と耳に残ったものを3つ入れると、作文は急に具体的になります。
書く題材が思いつかないときは、箱を先に埋めるのではなく、「いつ」の箱から逆にたどります。先週の土曜日、先々週の日曜日、と日付を順に思い出して、「何をした」が一つでも出た日を選びます。大きな出来事でなくてかまいません。買い物に行って荷物を落とした、雨で傘がひっくり返った、そのくらいのことで十分です。出来事が小さいほど、見た聞いたの箱が細かく書けて、作文はおもしろくなります。
メモを作る時間は、長くても10分です。10分で6つの箱が埋まらないなら、題材を変えます。埋まったら、「何をした」の箱を見て、出来事を一つに絞ります。「畑に行って、いもをほって、昼ごはんを食べて、帰りに川を見た」と4つ入っていたら、いちばん「見た聞いた」が多い一つだけを残します。ここで絞らないと、朝から晩までを順番に書く作文になり、どの場面も1行で終わってしまいます。
絞った一つの出来事について、「思った」の箱をもう一度見ます。そのとき思ったことと、いま机の前で思っていることは、たいてい違います。畑では「重い」と思っただけでも、いまは「おばあちゃんは毎日これをしているのか」と思えるかもしれません。この2つを分けてメモしておくと、作文の最後の段落が自然に決まります。
中学生なら、6つの箱に「なぜ」の箱を一つ足します。なぜその出来事を選んだのか、なぜそう思ったのか。この箱が埋まると、作文は出来事の報告から、自分の考えを書いた文章に変わります。小学生のうちは無理に埋めなくてかまいません。
書き方の手順
メモができたら、段落の型に流し込みます。型は4つの段落です。1つ目は始まり、2つ目は出来事、3つ目はそのとき思ったこと、4つ目はいま思うことです。400字の原稿用紙なら、図2のように、始まりに50字、出来事に200字、そのとき思ったことに100字、いま思うことに50字をあてます。出来事に半分を使うのが、この配分の芯です。

1つ目の始まりの段落には、いつ、どこで、だれと、何をしたを、1文か2文で書きます。「日曜日の朝、おばあちゃんの畑で、弟といっしょにさつまいもをほりました。」これで始まりは終わりです。ここで感想を書き始めると、出来事の段落に入る前に書くことがなくなります。始まりは短いほど、読む人は先へ進みたくなります。
2つ目の出来事の段落が、作文の本体です。「見た聞いた」の箱に入れた3つを、起きた順に書きます。書き方は、一つの動きに一文です。「つるを引っぱりました。」「つるは私の背より長くて、先が見えませんでした。」「土の中から、赤むらさきのいもが出てきました。」動きを一つずつ切って書くと、読む人の頭の中で場面が動きます。会話があれば、かぎかっこで1つだけ入れます。「弟が『まだあるよ』と言いました。」会話は2つ以上続けると、だれが言ったのかがわからなくなります。
3つ目の段落には、そのとき思ったことを書きます。ここで大事なのは、「楽しかったです」で終わらせないことです。何が、どう楽しかったのかを、出来事につなげて書きます。「いもは思ったより重くて、両手で持ちました。おばあちゃんは毎朝これをしているのだと気づきました。」出来事の段落で書いた物の重さやにおいを、ここでもう一度使うと、感想が空回りしません。
4つ目のいま思うことの段落は、短くてかまいません。机の前で作文を書いているいまの自分が、その出来事をどう見ているかを1文か2文で書きます。「今度は、ほったいもで、おばあちゃんにいもごはんを作ってあげたいです。」出来事から一歩先に出た文で終わると、作文に区切りがつきます。
800字の原稿用紙なら、配分はそのまま2倍にします。始まりに100字、出来事に400字、そのとき思ったことに200字、いま思うことに100字です。出来事の段落は、400字あれば場面を2つに分けられます。ほり始めた場面と、いもが出てきた場面のように、時間の切れ目で分けて、段落も2つにします。800字になっても始まりは伸ばしません。伸ばすのは出来事だけです。
文の長さは、小学生なら一文を40字以内にします。原稿用紙の2行分です。「〜て、〜て、〜て、」とつないだ文は、3行目に入る前に「。」で切ります。切った文は、主語がはっきりします。「つるを引っぱって、長くて、先が見えなくて、びっくりしました。」を切ると、「つるを引っぱりました。つるは長くて、先が見えませんでした。私はびっくりしました。」になります。文が短いと、読む人は一つずつ場面を受け取れます。中学生は60字まで伸ばしてかまいませんが、一文に一つのことだけを書く決まりは変わりません。
段落の始めは1マス空け、「。」と「、」は1マスに1つ、行の最初に「。」や「、」が来るときは前の行の最後のマスに文字といっしょに入れる、という形が広く使われています。学校から指示があれば、その指示が優先です。
書き終えたら、声に出して読みます。読んでいて息が苦しくなった文は長すぎます。読んでいて「それで」と言いたくなった段落は、出来事が足りません。直す場所がこの2つに決まっていると、書き直しは10分で終わります。
例文で見る
型を写すための短い例を2つ置きます。どちらも自作で、このまま提出する形ではありません。段落の切れ目と、一文の長さを見るための例です。
1つ目は、小学4年生の400字を縮めた形です。
日曜日の朝、おばあちゃんの畑で、弟といっしょにさつまいもをほりました。
つるを引っぱりました。つるは私の背より長くて、先が見えませんでした。土はつめたくて、しめっていました。手でほると、赤むらさきのいもが出てきました。弟が「まだあるよ」と言いました。
いもは思ったより重くて、両手で持ちました。おばあちゃんは、毎朝これをしているのだと気づきました。
今度は、ほったいもで、おばあちゃんにいもごはんを作ってあげたいです。
よいところは3つあります。始まりが1文で終わっていること、出来事の段落に「つる」「土」「いも」「弟の言葉」の4つが見える形で入っていること、そのとき思ったことが「重い」という体の感覚から始まっていることです。「楽しかった」という言葉を一度も使わずに、楽しかったことが伝わります。
2つ目は、中学1年生の例です。「なぜ」の箱を足すと、こう変わります。
6月の雨の日、部活の帰りに、傘が風で裏返りました。
校門を出たところで、横からの風が来ました。傘の骨が一本、音を立てて折れました。かばんの中の体操着を守ろうとして、私は傘を閉じ、走りました。信号の手前で、同じように傘を閉じた先輩が、笑いながら「走れ」と言いました。
走っている間、ぬれることより、先輩と同じことをしているのがうれしいと思いました。練習で一度も話したことのない人でした。
傘が折れた日のことを、私はたぶん、部活をやめる日まで覚えています。
よいところは、出来事の段落が「風」「骨の音」「体操着」「先輩の言葉」で組まれていて、説明がないことです。そのとき思ったことの段落で「なぜうれしかったのか」が1文で書かれています。いま思うことの段落は、未来の自分から見た1文で終わっていて、感想の言い直しになっていません。
2つの例に共通しているのは、始まりが短く、出来事が長く、思ったことが出来事の中の物につながっていることです。この形を写して、中身を自分のメモの箱の言葉に置き換えます。例文の言葉をそのまま使うと、自分の出来事と合わなくなり、読む人にすぐわかります。
まちがえやすいところ
直す場所は、だいたい3つに決まっています。
1つ目は、一文が長すぎることです。「朝起きて、ごはんを食べて、バスに乗って、動物園に着いて、ゾウを見て、楽しかったです。」この文は、6つの動きが一つの文に入っています。どこが山なのかが読む人に伝わりません。直し方は、図3のように、「〜て、」のつなぎを「。」に変えて、3つの文に切ることです。切ると、どの文を残してどの文を消すかが見えてきます。「朝起きて、ごはんを食べて、バスに乗って」は始まりの段落に入れるか、まるごと消します。残るのは「ゾウを見た」だけで、そこを出来事の段落にふくらませます。

2つ目は、「楽しかったです」「うれしかったです」だけで段落を終えることです。どこが違うかというと、思ったことが出来事につながっていません。読む人は、何が楽しかったのかを知りたいのです。直した文は、「ゾウが鼻で水をかけたとき、前の列の人の帽子がぬれて、私は声を出して笑いました。」のように、何が起きて、自分がどうしたかを書きます。「楽しかった」という言葉を使わないで楽しさを書く、と決めると、文は自然に具体になります。
3つ目は、朝から順番に全部を書くことです。起きた順に全部書くと、どの場面も1行ずつで終わり、作文が日記の目次になります。どこが違うかというと、出来事を一つに絞る手順を飛ばしています。直し方は、メモの「見た聞いた」の箱がいちばん多い場面を一つ選び、その場面だけを200字に伸ばすことです。選ばなかった場面は、始まりの段落に「動物園に行きました」と1文で入れるか、消します。消すことをこわがる子が多いのですが、消した分だけ残った場面が濃くなります。
もう一つ、見落としやすいのが、段落を変えないことです。400字を1つの段落で書き切ると、どこで話が変わったのかが読む人に見えません。始まり、出来事、そのとき思ったこと、いま思うこと、の4か所で必ず行を変えて1マス空けます。段落を変えるだけで、同じ文章が読みやすくなります。
よくある質問
題名はいつ決めればよいですか
書き終えてから決めます。先に題名を決めると、題名に合わせて出来事をゆがめることがあります。書き終えてから、出来事の段落でいちばん目立つ物の名前を題名にします。「さつまいも」「折れた傘」のように、物の名前だけの題名でかまいません。「楽しかった畑」のように感想を題名に入れると、本文で感想を言い直すことになります。
何を書けばよいか、本当に思いつかないときは
出来事を探すのをやめて、「見た聞いた」の箱だけを今日の帰り道で埋めます。帰り道で見た物を3つ、聞いた音を2つ。それだけで始まりと出来事の段落は書けます。特別な出来事がない日の作文のほうが、読む人には新鮮です。
何年生から、この型で書けますか
小学3年生からです。低学年は、6つの箱を親が口で聞いて、答えを親が書き取るところから始めます。3年生は親と一緒に箱を埋め、4年生になったら自分で埋めます。中学生は、「なぜ」の箱を足して、そのとき思ったことの段落を長くします。型は同じで、箱の数と段落の長さだけが変わります。
親の手伝い方と個別指導で確かめること
親が手を出してよいのは、メモの箱を埋めるところまでです。「いつ」「どこで」「何を見た」と一つずつ聞いて、お子さまの答えをそのまま箱に書きます。文を直したり、言葉を足したりはしません。親の言葉が入った作文は、本人が読み上げるときに声がつまります。
個別指導で確かめるのは、3つです。メモの「見た聞いた」の箱に3つ入っているか、一文が40字をこえていないか、思ったことの段落が出来事の中の物につながっているか。この3つが通っていれば、作文は読める形になっています。
まとめ
作文で止まるのは、書く力が足りないからではなく、書く前の箱が空だからです。6つの箱を言葉で埋め、出来事を一つに絞り、4つの段落に流し込み、一文を40字で切る。手順はこれだけです。鉛筆が止まった小学4年生の作文は、6つの箱が埋まった瞬間に動き出します。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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