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数検準1級—高3程度の範囲、微分積分と複素数平面|武蔵野個別指導塾

準1級は1次が60分で7問、2次が120分で2題必須と5題から2題選択。微分積分と複素数平面を軸に、数学ⅢとCのどこを先に固めるかを16週の順番と自作の例題で確かめながら進めます。
数検準1級は、公益財団法人 日本数学検定協会の実用数学技能検定のうち「高校3年程度(数学Ⅲ・C程度)」の級です。結論を先に置きます。
- 1次(計算技能検定)は 60分で 7問、合格基準は全問題の 70%程度です。
- 2次(数理技能検定)は 120分で、2題必須と 5題から 2題選択、合格基準は全問題の 60%程度です。
- 検定料は個人受検 7,300円、団体受検 6,400円です。
- 2026年度の個人受検で準1級を実施する回は限られていて、2026年11月6日の時点で申し込みが間に合うのは 2027年2月13日(土)の回だけです(受付開始 2026年12月7日(月)、申込締切 2027年1月8日(金))。
- 範囲の中心は、数列と関数の極限、微分法・積分法、複素数平面、いろいろな曲線で、行列の演算と一次変換も含まれます。
よくあるのは、高3の春の自習室で、数学Ⅲの教科書を最後の章まで開いたことがないまま準1級の申込画面を見ている、という場面です。学校の進度は積分の途中で、複素数平面は冬に回ると聞いている。それでも受けたい。そのとき必要なのは気合ではなく、どの単元を何週目に終えるかの順番です。この記事では、その順番と、進み具合を自分で測るための例題を置きます。
試験のかたちと範囲
準1級には 1次と 2次があり、初めて受けるときは両方を受けます。図1のように、1次は計算技能検定で 60分 7問、2次は数理技能検定で 120分です。2次は 2題が必須で、残りは 5題の中から 2題を選びます。1次は全問題の 70%程度、2次は全問題の 60%程度を取ると合格で、どちらか片方だけ合格した場合は、次に受けるときに合格した方の免除を申請することができます。免除を申請したときの検定料は通常と異なるので、申し込む前に協会の検定料の表で確かめてください。

1次の 7問は 60分なので、1問あたり 8分強です。極限、微分、積分、複素数の計算が、途中の式を省かずに書いてなお時間内に収まる速さで求められます。2次は 120分で 4題を記述で解くので、1題 30分の配分になります。必須の 2題から逃げられないことが、2次の対策の方針を決めます。
協会が公開している準1級の検定の内容は、高校3年程度として「数列と極限、関数と極限、いろいろな関数(分数関数・無理関数)、合成関数、逆関数、微分法・積分法、行列の演算と一次変換、いろいろな曲線、複素数平面、基礎的統計処理 など」です。これに高校2年程度の内容(式と証明、高次方程式、複素数、指数・対数・三角関数、点と直線や円の方程式、軌跡と領域、導関数と微分係数、定積分と不定積分、確率分布と統計的な推測 など)も含まれます。いまの学校の科目で言えば、数学Ⅲの極限・微分・積分と、数学Cの複素数平面・平面上の曲線が中心です。行列の演算と一次変換は、学校の授業では扱いが薄いことがあるので、範囲に入っていることを先に知っておくと慌てません。
高校2年程度の内容が含まれる、という一文は軽く見られがちです。2級までで扱った三角関数や指数対数の計算は、準1級では問題の主役ではなく、微分や積分の途中に当然のように出てきます。sin と cos の加法定理が出てこない、log の底の変換が止まる、という状態で数学Ⅲに入ると、どこでつまずいたのかが自分で見えなくなります。範囲を確かめるときは、「数学Ⅲと数学C」ではなく「数学Ⅱ・B・Ⅲ・C」と読んでください。
合格までの進め方
準1級の勉強は、計算の型を手に覚えさせる期間と、記述で考える期間を分けると進みます。図2のように、16週を 4つの段階に切るのが基本の形です。1日の量は 60分を目安にします。毎日 60分を 16週続けると、合計で 112時間になります。

第1段階は 4週で、数学Ⅲの計算だけをやります。極限の有理化、はさみうち、微分の積と商と合成、部分積分と置換積分、この 4つの型を、毎日 10問ずつ、答えを見ずに最後まで書きます。ここで大事なのは、わからない問題を考え込まないことです。3分止まったら解答を読み、翌日に同じ問題をもう一度解きます。1次は 60分で 7問なので、この段階で身につけるのは正確さより先に、途中の式を一定の速さで書き続ける手の動きです。
第2段階は 6週で、分野ごとに固めます。1週ずつ、数列の極限、関数の極限と連続、微分法の応用(接線・増減・最大最小)、積分法の応用(面積・体積・曲線の長さ)、複素数平面、いろいろな曲線(楕円・双曲線・放物線・媒介変数表示・極座標)の順に回します。分野ごとに、その週の終わりに 1次の形式で 7問を 60分で解く練習を 1回入れます。1次の合格基準は全問題の 70%程度なので、7問のうち 5問を正解すれば目安に届きます。5問に届かない分野はノートに書き出して、第4段階でもう一度戻ります。
第3段階は 4週で、2次の記述を書く練習です。2次は 2題必須と 5題から 2題選択で、合格基準は全問題の 60%程度です。必須の 2題は避けられないので、まず必須の形に近い問題(微分積分と複素数平面が多い)を、答案用紙 1枚に収める練習をします。記述で落ちるのは、答えが違うからではなく、途中の理由が書かれていないからです。「ここで x は正だから」「この関数は区間で単調に増加するから」の一行を書く癖を、この 4週でつけます。選択の 2題は、第2段階で 7問中 6問以上とれた分野から選ぶと決めておきます。
第4段階は 2週で、1次と 2次を通して解きます。協会は準1級の検定過去問題を公開しているので、時間を測って 1次 60分、2次 120分を続けて解きます。本番は 1次と 2次を同じ日に受けるので、3時間の集中が続くかどうかも含めて確かめます。解いたあとは、間違えた問題を「計算の誤り」「型を知らなかった」「時間が足りなかった」の 3つに分け、計算の誤りは翌日に同じ問題を、型を知らなかった問題は第2段階のノートに戻って、時間が足りなかった問題は省ける途中式がないかを見ます。
例題で確かめる
例題は 3問とも自作で、答えは計算で確かめてあります。1問目は極限、2問目は積分、3問目は複素数平面です。どれも 1次に出る形で、手順を一つずつ書きます。
例題1。x が限りなく大きくなるときの、√(x² + x) − x の極限を求めます。そのまま x を大きくすると ∞ − ∞ の形になって値が決まりません。分子を有理化します。√(x² + x) + x を分母と分子にかけると、分子は (x² + x) − x² = x になり、式は x ÷ (√(x² + x) + x) になります。分母と分子を x で割ると、1 ÷ (√(1 + 1/x) + 1) です。x を限りなく大きくすると 1/x は 0 に近づくので、値は 1 ÷ (1 + 1) = 1/2 です。答えは 1/2 です。
例題2。x eˣ を x = 0 から x = 1 まで積分します。x と eˣ の積なので部分積分を使います。微分して簡単になる方を x、積分しやすい方を eˣ と決めます。x eˣ の積分は、x eˣ から eˣ の積分を引いたものなので、x eˣ − eˣ が原始関数です。x = 1 を入れると e − e = 0、x = 0 を入れると 0 − 1 = -1 です。引き算をして 0 − (-1) = 1 です。答えは 1 です。原始関数を微分して x eˣ に戻ることを一度確かめる習慣が、部分積分の符号の誤りを防ぎます。
例題3。z = 1 + √3 i のとき、z の 6乗を求めます。複素数平面では、絶対値と偏角で考えると楽になります。絶対値は √(1² + (√3)²) = √4 = 2、偏角は実部 1、虚部 √3 なので 60°、つまり π/3 です。したがって z = 2(cos 60° + i sin 60°) と書けます。ド・モアブルの定理で、z の 6乗は絶対値が 2 の 6乗 = 64、偏角が 60° × 6 = 360° です。360° は 0° と同じなので、答えは 64(cos 0° + i sin 0°) = 64 です。展開して確かめることもできます。z² = 1 + 2√3 i + 3i² = -2 + 2√3 i、z³ = z² × z = (-2 + 2√3 i)(1 + √3 i) = -2 − 2√3 i + 2√3 i + 6i² = -8 です。z の 6乗は (z³)² = (-8)² = 64 で、同じ値になります。
3問を通して見ると、準1級の 1次の問題は「形を見た瞬間に使う道具が決まる」ところまで練習が要ることがわかります。∞ − ∞ なら有理化、積の積分なら部分積分、累乗なら極形式。道具を選ぶのに 1分、計算に 5分、見直しに 2分で 8分です。1問に 15分を使っている間は、まだ第1段階です。
まちがえやすいところ
準1級で落とすところは、難しい問題ではなく、知っているはずの基本の扱いです。3つ挙げます。
1つ目は、x が限りなく小さくなる(負の方向に大きくなる)ときの √x² の扱いです。例題1 と同じ形で、x が -∞ に向かうとき √(x² + x) + x の極限を求めるとします。x が負のとき √x² = -x なので、分母と分子を x で割るときは √(x² + x) ÷ x = -√(1 + 1/x) になります。ここで符号を落とすと、答えが -1/2 であるべきところで 1/2 と書いてしまいます。x の符号を先に書き留めてから有理化するのが、唯一の防ぎ方です。
2つ目は、複素数の偏角を象限で確かめないことです。図3のように、-1 + i と 1 − i は、どちらも虚部 ÷ 実部が -1 ですが、偏角は 135° と -45° で、まったく別の点です。tan の値だけで偏角を決めると、第2象限の点を第4象限に置いてしまいます。実部と虚部の符号を見て、点が平面のどこにあるかを先に描いてから偏角を書くと、この誤りは消えます。

3つ目は、部分積分で「どちらを微分するか」を決めずに始めることです。x sin x の積分で sin x の方を微分すると、x² cos x のような、もとより複雑な式が出てきて止まります。多項式があればそれを微分する、log があれば log を微分する、と決めておけば迷いません。例題2 の x eˣ もそうです。原始関数を書いたら、必ず微分して元に戻るかを確かめます。2次の記述では、この確かめの一行があるかどうかで、採点者の読み方が変わります。
確かめの問題
例題と同じ形で、数を変えた問題を 3問置きます。時間は 3問で 25分を目安にします。答えを見る前に、途中の式を全部書いてください。
問1。x が限りなく大きくなるときの、√(x² + 4x) − x の極限を求めてください。
問2。x sin x を x = 0 から x = π まで積分してください。
問3。(1 + i) の 8乗を求めてください。
答えと解説
問1 の答えは 2 です。分子を有理化すると、分子は (x² + 4x) − x² = 4x、分母は √(x² + 4x) + x です。分母と分子を x で割ると 4 ÷ (√(1 + 4/x) + 1) になり、x を大きくすると 4/x は 0 に近づくので、4 ÷ 2 = 2 です。例題1 の分子が x だったところが 4x になった分だけ、答えが 4倍の 2 になります。
問2 の答えは π です。多項式の x を微分する側に決めます。x sin x の原始関数は、-x cos x に cos x の積分を加えたもので、-x cos x + sin x です。x = π を入れると -π × (-1) + 0 = π、x = 0 を入れると 0 + 0 = 0 です。引き算をして π − 0 = π です。cos π = -1 の符号を落とすと -π になるので、π での cos の値を書いてから代入します。
問3 の答えは 16 です。1 + i の絶対値は √2、偏角は 45° です。8乗すると絶対値は (√2) の 8乗 = 2 の 4乗 = 16、偏角は 45° × 8 = 360° なので、答えは 16 です。展開で確かめると、(1 + i)² = 2i、(2i)² = -4、(-4)² = 16 で一致します。
3問とも、例題の手順をそのまま使えば解けます。もし問1 で有理化を思いつかなかった、問2 で符号を間違えた、問3 で偏角が 45° と出なかったなら、それぞれ第1段階の極限、部分積分、複素数平面に戻ります。戻ることは遅れではなく、時間の使い方として正しい選択です。
次に受ける級と入試での扱い
準1級に合格したあとの次の級は 1級(大学程度・一般)で、2026年度の個人受検では 4月、7月、10月の 1〜11級を実施する回で受けられました。1級は 1次 60分 7問、2次 120分で 2題必須と 5題から 2題選択という形は準1級と同じですが、内容は大学程度に変わります。急いで受ける級ではなく、準1級の 2次で選択の 2題を余裕をもって書けるようになってから考えるのが自然な順番です。
大学入試での扱いは、学校ごとに違います。協会は入試における活用校を検索するページを公開しているので、志望校の名前で確かめてください。総合型選抜や学校推薦型選抜の書類に書けるかどうかも、募集要項の記載が基準です。準1級が合格に直接つながると断定することはできませんが、数学Ⅲ・C の範囲を一通り終えた証明にはなります。
個別指導では、準1級の相談を受けたとき、最初に数学Ⅱの三角関数と指数対数の計算を 10問解いてもらい、そこで止まるなら数学Ⅲに入る前に 2週だけ戻ります。遠回りに見えて、第1段階の 4週が速くなります。
まとめ
準1級は、1次 60分 7問、2次 120分 4題で、合格基準は 1次 70%程度、2次 60%程度です。範囲は数学Ⅲ・C が中心で、数学Ⅱ・B の計算も当然のように使われます。16週を 4段階に切って、計算の型、分野ごとの固め、記述、通し解きの順に進めてください。準1級の合否は、数学Ⅲの計算を頭ではなく手が覚えているかどうかで決まります。
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