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球の表面積と体積の公式—覚え方となぜその形になるか|武蔵野個別指導塾

半径 r の球は表面積 4πr²、体積 (4/3)πr³。ぴったり入る円柱との比 2:3 と切り口の比べ方をたどれば、忘れた公式を自分の手で作り直せます。
| 求めるもの | 公式 | 単位の例 |
|---|---|---|
| 球の表面積 S | S = 4πr² | cm²、m² |
| 球の体積 V | V = (4/3)πr³ | cm³、m³ |
r は球の半径(中心から表面までの長さ)、π は円周率(およそ 3.14)です。問題に直径が書かれていたら、2 で割って半径にしてから入れます。面は r を 2 回、中身は r を 3 回掛ける。この 1 行を先に持って帰ってください。
よくあるのは、夕食のあとの食卓で、転がってきたみかんを片手で止めながら宿題を開く場面です。プリントには「半径 3 cm の球の表面積と体積を求めなさい」とあります。4 だったか、3 分の 4 だったか。2 乗だったか、3 乗だったか。円の面積はすぐ出てくるのに、球になると急に霧がかかります。けれど手の中のみかんには、皮という面と、中身という塊がすでにそろっています。2 本の公式の違いは、その 2 つの違いです。
公式の形と文字の意味
球の公式に出てくる文字は r と π だけです。4 や 3 分の 4 という係数はどの球でも変わらないので、球の大きさを決めるのは半径ただ 1 つです。中1の空間図形で学び、高校入試の立体の問題でそのまま使い、数学Ⅲでは積分を使ってもう 1 度同じ式を導きます。
- 表面積 S = 4πr²: 球の外側を包む面の広さです。みかんなら皮の広さにあたります。
- 体積 V = (4/3)πr³: 球の中身の大きさです。みかんなら皮の内側に詰まった部分にあたります。
- 半径 r: 中心から表面までの長さです。直径は r の 2 倍です。
- 円周率 π: 問題に指定がなければ π のまま答えます。「π を 3.14 とする」とあるときだけ数に直します。
図1のように、半径 r の球がぴったり入る円柱を置いてみます。円柱の底面の半径は r、高さは球の直径と同じ 2r です。円柱の体積は πr² × 2r = 2πr³、表面積は側面の 2πr × 2r = 4πr² に上下の円 2 枚ぶんの 2πr² を足して 6πr² です。球の体積と表面積は、どちらも円柱の 3 分の 2 になります。古代ギリシャのアルキメデスが示した比で、公式を思い出すときのいちばん太い手がかりです。

図1のいちばん下の行にも目を向けてください。球の表面積 4πr² は、円柱の側面の広さとちょうど同じです。丸くふくらんだ面の広さが、紙を筒に巻いただけの面と一致します。この不思議な一致の理由は次の節で扱います。
半径が変わるとき、表面積と体積は同じ割合では増えません。
| 半径 | 表面積 | 体積 |
|---|---|---|
| 2 倍 | 4 倍 | 8 倍 |
| 3 倍 | 9 倍 | 27 倍 |
| 10 倍 | 100 倍 | 1000 倍 |
半径が 2 倍のみかんは、皮の広さが 4 倍、中身が 8 倍です。S ÷ V を計算すると 3 ÷ r になるので、大きな球ほど中身に比べて表面が少なくなります。
単位は、表面積が cm²、体積が cm³ です。入れ物の問題では 1 cm³ = 1 mL、1000 cm³ = 1 L を使います。半径を m で測ったときは 1 m² = 10,000 cm²、1 m³ = 1,000,000 cm³ です。長さの 100 倍が、面積には 100 × 100 倍、体積には 100 × 100 × 100 倍で効くためです。
なぜこの形になるのか
順番は体積が先で、表面積が後です。2 本を別々の事実として覚える必要はなく、1 本目から 2 本目が出てきます。
まず半球の体積を求めます。図2の左は半径 r の半球、右は底面の半径 r・高さ r の円柱から、同じ底面・同じ高さの円錐を逆さまに抜いた立体です。どちらも底から高さ h のところで水平に切ります。

左の切り口は円です。図2の左上にある直角三角形に三平方の定理を使うと、切り口の半径の 2 乗は r² − h² なので、面積は π(r² − h²) です。右の切り口は輪です。外側の半径は r で、内側の半径は h です。抜いた円錐は底面の半径と高さがどちらも r なので、高さ h のところの半径もちょうど h になるからです。輪の面積は πr² − πh² で、左と同じ式になります。
どの高さで切っても切り口の面積が等しいなら、2 つの立体を薄い板の積み重ねと見たとき、板が 1 枚ずつ同じ面積です。だから体積も等しくなります。カバリエリの原理と呼ばれる考え方です。右の立体の体積は、円柱と円錐の公式で計算できます。
半球の体積 = 円柱 − 円錐 = πr³ − (1/3)πr³ = (2/3)πr³
これを 2 倍すると、球の体積は V = (4/3)πr³ です。3 分の 4 の分母にある 3 は、円錐の 3 分の 1 から来ていました。底面の半径 r・高さ 2r の円錐の体積は (1/3)πr² × 2r = (2/3)πr³ なので、円柱と並べると 円錐 : 球 : 円柱 = 1 : 2 : 3 というきれいな比が残ります。
次は表面積です。球の表面を細かいマス目に区切り、各マスを底面、球の中心を頂点とする小さな錐を作ります。みかんを中心から細かく切り分けるようなものです。マスを十分に細かくすれば、どの錐も高さは半径 r とみなせます。錐の体積は (1/3) × 底面積 × 高さ なので、全部足すと V = (1/3) × S × r です。ここに V = (4/3)πr³ を入れ、両辺を 3 倍して r で割ると S = 4πr² が出ます。
図1の円柱の側面と同じ広さになる理由も、短く言えます。球の表面を水平な細い帯に分けると、上のほうの帯ほど 1 周は短くなりますが、面が斜めになるぶん帯の幅は広がります。この 2 つの変化がちょうど打ち消し合い、どの帯も同じ高さの円柱の帯と同じ広さになります。全部の帯を足せば、円柱の側面 4πr² です。
みかんの皮でも確かめられます。半径 4 cm の中身に厚さ 0.1 cm の皮がつくと、増えた体積は正確には (4/3)π(4.1³ − 4³) で約 6.56π cm³ です。表面積 × 厚さで見積もると 64π × 0.1 = 6.4π cm³ となり、ほとんど同じです。皮が薄いほど 2 つの値は近づきます。数学Ⅱの微分で V を r で微分すると 4πr² になるのは、このことの別の言い方です。数学Ⅲまで進むと、図2の切り口の式がそのまま計算になり、中心から距離 x で切った面積 π(r² − x²) を x = -r から x = r まで積分すると (4/3)πr³ が出ます。
例題で使い方を確かめる
易しい順に 4 問です。どの問題でも、まず半径が書かれているかを見ます。直径が書かれていても、何も書かれていなくても、表面積を出すには半径が要るからです。
例題 1: 半径が書かれた球
半径 3 cm の球の表面積と体積を求めなさい。
- r = 3 を確かめます。問題文が半径で書かれているので、そのまま使えます。
- S = 4π × 3² = 4π × 9 = 36π と計算します。2 乗を先に済ませるのは、4 × 3 を 2 乗してしまう誤りを防ぐためです。
- V = (4/3)π × 3³ = (4/3)π × 27 = 36π と計算します。分母の 3 と 27 を先に約分すると、整数だけで計算が終わります。
- 単位を別々に付けます。片方は広さ、片方は中身の大きさで、数字がそろっても同じ量ではないからです。
答え: 表面積 36π cm²、体積 36π cm³
4r² と (4/3)r³ の数字がそろうのは、r がちょうど 3 のときだけです。プリントの問題でこの一致に驚いたら、たまたまだと知っておいてください。
例題 2: 直径が書かれた球
直径 8 cm のみかんを球とみなし、皮の厚さは考えないものとします。π を 3.14 として、表面積と体積を四捨五入で小数第 1 位まで求めなさい。
- 8 ÷ 2 = 4 で、r = 4 とします。公式の r は半径で、直径を入れると別の球の答えになるからです。
- S = 4π × 16 = 64π と、π を残して止めます。先に 3.14 を掛けると桁が増えて、計算間違いの入り口が増えるからです。
- V = (4/3)π × 64 = (256/3)π と、こちらも π を残します。分数のまま持っておけば、途中で丸めた誤差がたまりません。
- 最後に 1 度だけ 3.14 を掛けます。64 × 3.14 = 200.96、256 × 3.14 ÷ 3 = 267.946… です。
- 問題の指定どおり小数第 1 位に丸めます。200.96 は 201.0、267.946… は 267.9 です。1 cm³ = 1 mL なので、中身は約 267.9 mL の水と同じかさだと読むこともできます。
答え: 表面積 約 201.0 cm²、体積 約 267.9 cm³
例題 3: 半球
半径 6 cm の半球の表面積と体積を求めなさい。
- 体積は V = (1/2) × (4/3)π × 6³ = (2/3)π × 216 = 144π です。球をまっすぐ半分に切れば、中身もちょうど半分になるからです。
- 丸い面(曲面)は (1/2) × 4π × 6² = 72π です。球の表面積のちょうど半分が、半球の外側に残るからです。
- 切り口の円は π × 6² = 36π です。切ったことで、もとの球には無かった面が新しく現れるからです。
- 72π + 36π = 108π と足します。表面積は立体を包むすべての面の合計だからです。
答え: 表面積 108π cm²、体積 144π cm³
例題 4: 円柱の体積から逆にたどる
ある球がぴったり入る円柱の体積は 250π cm³ です。この球の体積と表面積を求めなさい。
- 球の体積は円柱の 3 分の 2 なので、(2/3) × 250π = (500/3)π です。比は球の大きさによらないので、半径を出さなくても体積だけは求まります。
- 表面積には半径が要るので、円柱の体積の式 2πr³ に戻って 2πr³ = 250π とします。図1の高さ 2r がここで効きます。
- 両辺を 2π で割ると r³ = 125 で、r = 5 です。3 回掛けて 125 になる正の数を探します。
- S = 4π × 5² = 100π と計算します。ここからは例題 1 と同じ流れです。
- V = (4/3)π × 5³ = (500/3)π となり、手順 1 と一致するのを確かめます。別の道で同じ値が出れば、計算の誤りをかなり減らせるからです。
答え: 体積 (500/3)π cm³、表面積 100π cm²
まちがえやすいところ
直径をそのまま r に入れる
- 誤った書き方: 直径 10 cm の球の表面積を S = 4π × 10² = 400π cm² とする。
- どこが違うか: r は半径です。直径を入れると半径を 2 倍にしたのと同じで、表面積は 4 倍、体積は 8 倍に膨らみます。答えがちょうど 4 倍や 8 倍ずれていたら、まずここを疑ってください。
- 正しい書き方: r = 10 ÷ 2 = 5 として、S = 4π × 5² = 100π cm²。
2 乗と 3 乗を入れ替える
- 誤った書き方: 表面積を 4πr³、体積を (4/3)πr² と書く。
- どこが違うか: r は長さです。長さを 2 回掛けた量の単位は cm²、3 回掛けた量の単位は cm³ です。4πr³ の単位は cm³ で、広さを表す単位になりません。単位を見れば、公式を思い出せなくても誤りに気づけます。
- 正しい書き方: 面は r²、中身は r³ で、S = 4πr²、V = (4/3)πr³。
半球の表面積を 2πr² で止める
- 誤った書き方: 半径 5 cm の半球の表面積を 2π × 5² = 50π cm² とする。
- どこが違うか: 2πr² は曲面だけの広さです。図3のように、球を切ると切り口の円 πr² が新しく現れます。みかんを半分に切れば、切り口がむき出しになるのと同じです。
- 正しい書き方: 2πr² + πr² = 3πr² で、3π × 5² = 75π cm²。

ただし、ふたのないおわんのように「曲面だけの広さ」を問われたら、2πr² が答えです。図3の 3πr² も、いつでも使える公式ではありません。問題文が立体全体の表面積を聞いているのか、どの面を聞いているのかを読んでから足してください。
覚え方と忘れたときの戻り方
よく使われる語呂に、表面積の「心配あーる事情」(4πr²)と、体積の「身の上に心配あーる参上」(3 の上に 4、π、r、3 乗)があります。テストの直前には役に立ちますが、語呂は 1 字でも崩れると戻る場所がありません。だからもう 1 本、導き直す道を持っておきます。
- 図1の円柱を描きます。円柱の体積は πr² × 2r = 2πr³ で、これなら円の面積さえ覚えていれば出せます。
- 3 分の 2 を掛けます。(2/3) × 2πr³ = (4/3)πr³ で、球の体積が出ます。
- 円柱の側面を計算します。2πr × 2r = 4πr² で、球の表面積が出ます。
- r = 1 を入れて確かめます。表面積は 4π でおよそ 12.6、体積は (4/3)π でおよそ 4.2 です。半径 1 の球は 1 辺 2 の立方体(表面積 24、体積 8)にすっぽり入るので、どちらも立方体より小さくなければおかしいのです。体積の係数を取り違えて 4π と書くと、およそ 12.6 で 8 を超えるので気づけます。r = 1 では 2 乗と 3 乗の区別はつかないので、そちらは単位で見分けます。
台所でも確かめられます。みかんの皮を細かくちぎって、みかんと同じ半径の円を紙に描き、その上に敷き詰めてみてください。皮はだいたい円 4 枚ぶんで尽きます。4πr² は「円 πr² の 4 枚ぶん」と読めるのです。
練習問題
例題と同じ手順で解けますが、どの問題にも 1 か所、手が止まりやすいところを入れてあります。π は残したまま答えてください。
- 練習 1: 直径 12 cm の球の表面積と体積を求めなさい。
- 練習 2: 表面積が 196π cm² の球の半径と体積を求めなさい。
- 練習 3: 半径 3 cm、高さ 5 cm の円柱の上に、同じ半径の半球を、切り口をぴったり合わせてのせた立体があります。この立体の体積と表面積を求めなさい。
答えと解説
練習 1 は半径を取り出すところが勝負です。r = 12 ÷ 2 = 6 なので、S = 4π × 36 = 144π、V = (4/3)π × 216 = 288π です。答えは表面積 144π cm²、体積 288π cm³ です。
練習 2 は公式を逆向きに使います。4πr² = 196π の両辺を 4π で割ると r² = 49 で、r は長さなので正の数を選んで r = 7 です。体積は (4/3)π × 7³ = (4/3)π × 343 = (1372/3)π です。答えは半径 7 cm、体積 (1372/3)π cm³ です。
練習 3 の体積は足すだけです。円柱が π × 3² × 5 = 45π、半球が (2/3)π × 3³ = 18π で、合計 63π cm³ です。表面積は、外から触れる面だけを数えます。下の底面が π × 3² = 9π、円柱の側面が 2π × 3 × 5 = 30π、半球の曲面が 2π × 3² = 18π で、合計 57π cm² です。円柱の上面と半球の切り口は貼り合わさって外に出ていないので、足しません。半球だから 3πr² と決めつけると、ここで誤ります。
次に確かめる公式
- 円の面積と円周の公式: πr² と 2πr は、球の切り口と図1の円柱の側面を計算するたびに出てきます。
- 円錐の体積の公式: (1/3)πr²h は、半球の体積を導くときと、球を小さな錐に分けて考えるときの土台です。
- 三平方の定理: a² + b² = c² は、球を平面で切った切り口の半径を求めるときに使います。
個別指導では、球の問題で止まったときに、半径を取り出す段階か、2 乗と 3 乗の計算の段階かを分けて確かめます。切り口の話で止まるなら、円の面積と三平方の定理まで戻ります。
まとめ
公式を 2 本の丸暗記にしておくと、次のテストの前の晩にまた霧がかかります。ぴったり入る円柱を 1 つ描けば、3 分の 2 で体積が出て、側面の計算で表面積が出ます。半径を取り出すことさえ忘れなければ、計算はそこから迷いません。それでも手が止まる夜は、食卓を見てください。みかん 1 個の皮と中身は、r² と r³ の違いそのものです。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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