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奨学金とは—種類の全体図と、高校生と親が最初に知ること|武蔵野個別指導塾

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もらう奨学金と借りる奨学金の違い、国と大学と民間の分かれ方、高3の春に始まる申し込み。夕食で聞かれて答えに詰まった親が最初に押さえる順番を、月額の表と一緒に並べています。

奨学金は、大きく分けると「もらう奨学金」と「借りる奨学金」の2つです。もらう方を給付、借りる方を貸与と呼びます。国の奨学金は日本学生支援機構(JASSO)が扱い、そのほかに都道府県や市区町村、大学そのもの、民間の財団が出す奨学金があります。申し込みの中心は高校3年の春で、進学してからでは間に合わない枠があります。借りるときの名義はお子さま本人で、返すのもお子さま本人です。2026年度時点の国の制度を表にすると、次のようになります。

種類 返す必要 利子 月額の目安(大学)
給付奨学金 なし なし 7,300円から75,800円(所得の区分と進学先で決まる)
第一種奨学金 あり なし 20,000円から64,000円
第二種奨学金 あり あり 20,000円から120,000円(10,000円きざみ)
入学時特別増額貸与奨学金 あり あり 100,000円から500,000円を初回に1回だけ

よくあるのは、夕食の席でお子さまから「奨学金って、うちはもらえるの」と聞かれて、箸が止まるという場面です。もらえるのか借りるのか、いくらなのか、いつ申し込むのか。どれも聞いたことはあるのに、答えが口から出てきません。「あとで調べておく」と言ったきり、茶碗を下げる音だけが残ります。その「あとで」を、今夜のうちに終わらせるための全体図です。

もらう奨学金と借りる奨学金は、別の制度です

図1のように、奨学金という言葉の中には性格の違う制度が同居しています。まず、給付奨学金は返さなくてよいお金です。高等教育の修学支援新制度の一部で、世帯の所得をもとに第Ⅰ区分から第Ⅳ区分までの支援区分が決まり、区分と進学先(国公立か私立か)、通学の形(自宅か自宅外か)で月額が決まります。日本学生支援機構の案内によると、大学に進む場合の月額は、第Ⅰ区分で国公立の自宅通学が29,200円、国公立の自宅外が66,700円、私立の自宅が38,300円、私立の自宅外が75,800円です。第Ⅱ区分はその3分の2、第Ⅲ区分は3分の1、第Ⅳ区分は4分の1で、第Ⅳ区分は扶養する子どもが3人以上の多子世帯だけが対象です。給付奨学金に採用されると、授業料と入学金の減免も同じ申し込みで受けられます。

図1 奨学金の全体図。もらう給付と、借りる貸与の中の第一種と第二種

次に、貸与奨学金は借りるお金で、第一種と第二種に分かれます。第一種は利子がつきません。大学に進む場合の月額は、国公立の自宅通学なら20,000円・30,000円・45,000円のいずれか、私立の自宅外通学なら20,000円から64,000円の範囲で選びます。最高月額を選べるのは家計の基準を満たす場合に限られます。第二種は利子がつきます。月額は20,000円から120,000円まで10,000円きざみで選び、利率は貸与が終わるときに決まります。参考として2026年1月に貸与が終わった人の利率は、利率固定方式で年2.512%、利率見直し方式で年1.700%でした。この利率は毎月変わるので、申し込みの時点では確定しません。

入学時特別増額貸与奨学金は、第一種か第二種に上乗せして、入学後の初回に1回だけ100,000円から500,000円を借りる制度です。単独では申し込めず、日本政策金融公庫の国の教育ローンを申し込んで利用できなかった人が対象です。名前に「入学時」とありますが、振り込まれるのは進学後です。入学金の納入には間に合わないという点を、最初に知っておいてください。

給付と貸与は同時に申し込めます。ただし、給付奨学金か授業料の減免を受けながら第一種を借りる場合、第一種の月額が調整され、0円になることもあります。これを併給調整といいます。「給付が通ったから第一種も満額」とは限らない、と覚えておくと後で慌てません。

国・自治体・大学・民間、出どころで性格が変わります

奨学金の出どころは4つに分けると整理できます。1つ目は国で、日本学生支援機構の給付と貸与がこれにあたります。対象の学校が広く、金額の表が公開され、毎年同じ時期に募集があります。全体図の中心に置くのはこの国の制度です。

2つ目は都道府県や市区町村です。県内の高校を出た人や、卒業後にその地域で働く人を対象にするものがあり、返還を免除する条件がついていることもあります。金額や条件は自治体ごとに違い、募集の人数が少ないので、締め切りが早い傾向があります。お住まいの自治体の名前と「奨学金」で、自治体の公式ページを見るのが近道です。

3つ目は大学そのものが出す奨学金です。入学前に申し込む予約型、入試の成績で決まる特待の制度、入学後に家計の急変で申し込むものなど、学校ごとに形が違います。志望校の募集要項と、学生支援の案内ページに載っています。ここで大事なのは、国の奨学金とは別枠で、併用できるかどうかも学校が決めるという点です。

4つ目は民間の財団や企業です。給付のものが多い一方で、学部や地域、家庭の状況を絞っていることがほとんどです。募集は高校3年の春から秋に集中し、応募に作文や推薦が要るものもあります。学校の進路指導室に掲示が出るので、お子さまに「掲示を見てきて」と頼むだけで入口が開きます。

4つのうち、どれか1つに決める必要はありません。国の制度を土台にして、自治体と大学と民間を上に重ねる組み立て方が基本です。ただし、重ねられるかどうかは各制度の規則で決まるので、申し込む前に「他の奨学金との併用」の項目を必ず読んでください。

申し込みは高校3年の春に始まります

図2のように、国の奨学金は進学する前の年に申し込む予約採用が中心です。日本学生支援機構の案内では、高校3年の春に在籍する高校を通じて申込関係の書類を受け取り、インターネットで申し込み、本人と生計維持者(原則として父母)のマイナンバーを提出し、「奨学金確認書兼地方税同意書」を郵送します。文部科学省の案内によると、受付は高校3年の4月下旬ごろから始まり、締め切りは学校ごとに違います。選考の結果は秋から冬に「採用候補者決定通知」として高校を通じて渡されます。

図2 申し込みから返還までの流れ。高3の春に申し込み、進学後に振込、卒業の7か月後から返還

進学したら、その通知を大学に出し、インターネットで「進学届」を提出します。それから採用が決まり、初回の振込は4月から6月のいずれかの月です。つまり、入学金と前期の授業料を払う時点では、まだ1円も振り込まれていません。入学時特別増額貸与奨学金も同じで、進学後の初回振込に乗ります。入学時に要るお金は別に用意するか、学校の納入猶予の制度を確かめるか、国の教育ローンなど進学前に使える制度を検討する必要があります。

学力の基準も、申し込む前に知っておくと話が早くなります。日本学生支援機構の案内によると、第一種は高校1年から申込時までの全履修科目の評定平均値が5段階で3.5以上、第二種は学習成績が平均水準以上であることなどが基準です。経済的な理由で修学が特に難しい場合、第一種の学力基準は緩和されます。給付奨学金は成績だけでは判断されません。「成績が足りないから無理」と決めつける前に、どの制度のどの基準なのかを分けて見てください。

予約採用を逃しても、進学後に在学採用の募集が春と秋にあります。ただし、在学採用は進学先の学校が給付の対象校として確認を受けている必要があり、採用の時期も遅れます。高校3年の春に動くのが、いちばん選べる道が多い時期です。

名義はお子さま本人で、返すのも本人です

貸与奨学金の借り主は保護者ではなく、お子さま本人です。振込先も本人名義の口座に限られ、保護者名義の口座は使えません。返還の義務を負うのも本人で、卒業して7か月目(3月卒業なら同じ年の10月)から口座の引き落としで返還が始まります。第一種は所得連動返還方式と定額返還方式のどちらかを選べ、第二種は定額返還方式だけです。

借りるときには保証を付けます。機関保証を選ぶと保証機関の連帯保証を受け、毎月の奨学金から保証料が差し引かれます。人的保証を選ぶと、父か母が連帯保証人になり、おじやおばなどが保証人になります。連帯保証人は本人と同等の責任を負います。「名義は子ども」と「親は無関係」は別の話で、人的保証を選んだ親は返還の責任を共有します。夕食の席で「誰が返すのか」を話す場面は、ここから始まります。

総額を計算してみます。第二種を月50,000円で4年間(48か月)借りると、50,000円かける48で2,400,000円です。月80,000円なら3,840,000円、最高の120,000円なら5,760,000円になります。第一種を国公立の自宅通学で月30,000円借りると、1,440,000円です。一方で給付奨学金は、私立の自宅外通学で第Ⅰ区分なら月75,800円、年に909,600円、4年で3,638,400円が振り込まれ、返す必要はありません。同じ「奨学金」という言葉でも、片方は4年後に2,400,000円の借金として残り、片方は残りません。この差を最初に見せることが、親子で話す土台になります。

月々の返還額と回数は貸与の総額で決まり、第二種は利子が上乗せされます。具体的な返還額は、日本学生支援機構の「奨学金貸与・返還シミュレーション」で、種類と月額と利率を入れると出ます。借りる前に、卒業後の手取りから毎月いくら引かれるかを、お子さま自身に計算させてください。借りすぎを防ぐ一番の方法は、数字を本人の目で見ることです。

大学の奨学金と、入学時に要るお金は別に考えます

国の制度の全体図を押さえたら、次は志望校ごとの制度です。大学が出す奨学金には、入学前に採用が決まる予約型のものがあり、合格と同時に金額が確定する形は、家計の見通しを早く立てられます。入試の成績で授業料を免除する制度を持つ学校もあります。どちらも募集要項に書かれていて、出願の前に申し込みが要るものがあるので、志望校を絞る段階で一緒に調べます。

もう1つ、入学時に要るお金の話を切り離しておきます。国の給付も貸与も振込は進学後なので、入学金と前期の授業料、自宅外なら住まいの初期費用は、手元の貯えか、進学前に使える制度で用意します。日本学生支援機構の案内では、日本政策金融公庫の国の教育ローン(融資限度額3,500,000円・有利子・保護者が借りる)、都道府県社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度の教育支援資金(就学支度費500,000円・無利子・低所得世帯が対象)、労働金庫の入学時必要資金融資(入学時特別増額貸与奨学金の採用候補者が、その額を上限に進学前に借りる)が挙げられています。どれも審査があり、使えない場合もあります。奨学金が「進学後の毎月」を支え、これらの制度が「進学前のまとまったお金」を支えると分けて考えると、何をいつまでに用意するかが見えてきます。

よくある質問

年収がいくらまでなら給付の対象になりますか

日本学生支援機構の案内に、世帯の人数ごとの目安の表があります。たとえば本人と親1人と中学生の3人世帯で給与所得者の場合、第Ⅰ区分の目安は年間の総収入で221万円、第Ⅱ区分は298万円、第Ⅲ区分は373万円、第Ⅳ区分は630万円です。ただし、この表はあくまで目安で、世帯の構成によって上回っても対象になる場合も、下回っても対象にならない場合もあります。進学資金シミュレーターで家庭の数字を入れて試算し、結果は参考として見てください。確定するのは選考の結果だけです。

給付と貸与は両方もらえますか

同時に申し込めます。給付奨学金と第二種は重ねて使えますが、給付か授業料減免を受けながら第一種を借りると、第一種の月額が調整されて0円になることがあります。「全部申し込んで、通ったものを選ぶ」という考え方で問題ありませんが、採用後に辞退や月額の変更をする手続きがあることも覚えておいてください。

高校の成績が悪いと借りられませんか

第一種は評定平均値3.5以上という基準がありますが、経済的な理由で特に修学が難しい場合は緩和されます。第二種は平均水準以上などが基準で、第一種より広い範囲が対象です。給付奨学金は成績だけでは判断されません。「成績」のひとことで諦めず、どの制度の基準なのかを分けて確かめてください。

親が借りる教育ローンと、何が違いますか

奨学金は本人が借りて本人が返す制度で、振込は進学後に毎月です。国の教育ローンは保護者が借りて保護者が返し、進学前にまとまった額を受け取れます。入学金を払う時点で要るのは後者で、4年間の授業料と生活費を支えるのは前者です。どちらか一方ではなく、時期で使い分けるものだと考えると整理できます。

確かめる順番

図3のように、今週のうちに家庭で確かめることを4つに絞ります。制度は年度で変わりますので、最新の条件は高校の進路指導室と日本学生支援機構の窓口で確かめてください。

図3 家庭で今週確かめる4つ。高校の締め切り・家計の試算・志望校の制度・名義と保証
  1. 高校の奨学金の担当の先生に、予約採用の書類の配布日と校内の締め切りを聞く。高校3年なら今すぐ、高校2年以下なら「来年の何月ごろか」を聞いておく。
  2. 日本学生支援機構の進学資金シミュレーターで、家庭の収入と世帯の人数を入れて、給付の区分と貸与の家計基準の目安を見る。源泉徴収票か確定申告の控えを手元に置く。
  3. 志望校の募集要項で、大学独自の奨学金と授業料減免の有無、予約型の申し込み時期、国の奨学金との併用の可否を読む。
  4. 貸与を使う可能性があるなら、名義が本人であること、保証を機関保証にするか人的保証にするか、返還が卒業の7か月後から始まることを、お子さまと一緒に声に出して確かめる。

この4つが終わると、夕食で聞かれた「もらえるの」に、「給付の区分はこのくらい、貸与ならこの月額、申し込みは何月」と答えられるようになります。

進路の話とつなげる

お金の心配は、志望校の話と切り離せません。「私立は無理」と先に決めてしまうと、給付の区分や大学独自の減免を調べる前に選択肢が消えます。逆に「奨学金があるから大丈夫」と先に決めると、4年後の借入総額を見ないまま進みます。個別指導の進路面談では、志望校ごとに要るお金の時期と、使える制度の締め切りを一枚にして、学習の計画と並べて話します。成績の目標と制度の学力基準をつなげて考えるのも、この面談の範囲です。

まとめ

もらう給付、借りる貸与、出どころは国と自治体と大学と民間、申し込みは高校3年の春、名義と返還はお子さま本人。今夜の夕食で答えられなかった問いは、この一枚の全体図で答えが出ます。

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