
武蔵野個別指導塾の特徴
三権分立—国会・内閣・裁判所の関係を図で|武蔵野個別指導塾

不信任は国会から内閣へ、解散は内閣から国会へ。白紙の図に入る言葉 12 個を表で押さえ、裁判所から出る矢印だけが法律や処分の中身を見るという見分け方で、向きの混乱をなくせます。
三権分立は、国の力を立法権・行政権・司法権の 3 つに分け、国会・内閣・裁判所に 1 つずつ持たせるしくみです。白紙の図に入る言葉は、役割の 3 つと、矢印に乗る 12 個がすべてです。
| 権力 | 持つ機関 | 役割 | 憲法 |
|---|---|---|---|
| 立法権 | 国会 | 法律をつくる | 41条 |
| 行政権 | 内閣 | 法律と予算にもとづいて国の仕事を進める | 65条 |
| 司法権 | 裁判所 | 法律にもとづいて争いや犯罪を裁く | 76条 |
| 番号 | 矢印の向き | 図に書く言葉 | 中身 | 憲法 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 国会→内閣 | 内閣総理大臣の指名 | 国会議員の中から国会が選ぶ | 67条 |
| 2 | 国会→内閣 | 内閣不信任の決議 | 衆議院だけができる。可決されると内閣は 10 日以内に衆議院を解散するか総辞職する | 69条 |
| 3 | 内閣→国会 | 衆議院の解散 | 衆議院議員全員を任期の途中で議員でなくす | 7条・69条 |
| 4 | 内閣→国会 | 国会の召集 | 開くことを内閣が決め、天皇が召集する | 7条・53条 |
| 5 | 国会→裁判所 | 弾劾裁判所の設置 | 訴えられた裁判官を辞めさせるかどうかを国会議員が裁く | 64条 |
| 6 | 裁判所→国会 | 法律の違憲審査 | 法律が憲法に反していないかを判断する | 81条 |
| 7 | 内閣→裁判所 | 最高裁判所長官の指名 | 内閣が指名し、天皇が任命する | 6条 |
| 8 | 内閣→裁判所 | その他の裁判官の任命 | 長官以外の最高裁判所の裁判官と、下級裁判所の裁判官を内閣が任命する | 79条・80条 |
| 9 | 裁判所→内閣 | 命令・規則・処分の審査(行政裁判) | 行政の決定が憲法や法律に反していないかを判断する | 81条 |
| 10 | 国民→国会 | 選挙 | 国会議員を選ぶ | 15条・43条 |
| 11 | 国民→内閣 | 世論 | 世論調査や報道を通して支持や不満を示す | 条文なし |
| 12 | 国民→裁判所 | 国民審査 | 最高裁判所の裁判官を辞めさせるかどうかを投票で決める | 79条 |
教科書や問題集によっては、図に次の 3 つが足されていることがあります。
| 矢印の向き | 足される言葉 | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 国会→内閣 | 国政調査権 | 証人を呼び、記録を出させて国の政治を調べる | 憲法62条 |
| 内閣→国会 | 連帯責任 | 行政権の使い方について、内閣全体で国会に責任を負う | 憲法66条 |
| 国民→裁判所 | 裁判員制度 | 重い刑事事件の第一審に、くじで選ばれた国民が加わる | 裁判員法 |
よくあるのは、公民の授業の終わりに白紙の図を配られ、「来週はこれを埋めてもらいます」と言われる、という場面です。箱が 3 つと矢印だけが印刷され、言葉の欄は全部空いています。矢印は行ったり来たりしていて、教科書と見比べるほど、どれがどちらへ向かうのか目が泳ぎます。となりの席からは「不信任って、国会から出るんだっけ」と小声が聞こえてきます。空欄は多く見えますが、入る言葉は 12 個しかありません。
一覧の読み方
矢印は力の向きです。出発点の機関が、矢印の先の機関をおさえます。たとえば 2 番の内閣不信任は、国会が内閣に「あなたたちを信任しない」と突きつける力で、3 番の解散は、内閣が衆議院に「それなら選挙で国民に聞こう」と返す力です。矢印の先にいるのは、おさえられる側だと読んでください。

図1のように、骨組みはいつも同じです。上に国会、下の両側に内閣と裁判所、真ん中に国民が座ります。矢印の色は出発する機関の色にそろえました。紺は国会から、緑は内閣から、赤は裁判所から、オレンジは国民から出る矢印です。矢印は全部で 9 本です。そのうち 3 本には言葉が 2 個乗るので、書き込む言葉は 12 個になります。図1の「指名・不信任」は表の 1 番と 2 番、「解散・召集」は 3 番と 4 番、「長官指名・任命」は 7 番と 8 番を縮めた形です。教科書によって内閣と裁判所の左右が入れ替わることはありますが、矢印の向きは入れ替わりません。
国民が真ん中にいるのは、国の政治を最後に決める主権者だからです。ここで 11 番に目を留めてください。内閣へ向かう矢印だけが世論で、投票がありません。日本には内閣を直接選ぶ選挙がないからです。国民は国会議員を選び、その国会が総理大臣を指名します。内閣が国会の信頼の上に立つこのしくみを議院内閣制といい、国会と内閣の間に言葉が 4 個も集まるのはそのためです。同じ三権分立でも、大統領を選挙で選ぶアメリカでは、議会は大統領を不信任できず、大統領も議会を解散できません。
なぜ分けるのかは、時代劇の奉行を思い出すとつかめます。江戸の町奉行は町の行政を受け持ちながら、事件を調べ、判決まで自分で出していました。その奉行がまちがえたとき、止める人は奉行所の中にいません。フランスの思想家モンテスキューは 1748 年の『法の精神』で、法律を作る力、実行する力、裁く力が同じ人に集まれば自由は失われると説きました。図の矢印は、止める人を必ず置くための配線です。
読みも確かめておきます。弾劾は「だんがい」、違憲は「いけん」、世論は「よろん」(「せろん」とも読みます)、召集は「しょうしゅう」です。国会を開くときの字は「召集」で、地方議会で使う「招集」とは字が違います。
覚え方
12 個を上から丸暗記すると、向きが必ず混ざります。言葉より先に、仕分けを 3 段で済ませてください。
1 段目は往復で組にする
三権の間の矢印は、必ず往復です。国会と内閣、国会と裁判所、内閣と裁判所の 3 組が、それぞれ行って戻ります。図2のように、不信任には解散、弾劾には違憲審査、任命には行政裁判を向かい合わせて、2 個で 1 組として口に出してください。片方を思い出せば、もう片方が引きずられて出てきます。

2 段目は人の話と中身の話に分ける
図2で赤くした 2 本を見てください。どちらも裁判所から出ています。違憲審査は法律を読み、行政裁判は命令や処分を読みます。どちらも、書かれた中身を見る力です。残りはすべて人を動かす力です。指名と任命は人を役につけ、不信任と弾劾は人を辞めさせる方へ押し、解散と召集は議員を動かします。
裁判所へ入ってくる矢印は、弾劾も任命も国民審査も、全部「裁判官という人」の話です。だから迷ったら、その言葉は人の話か、中身の話かと自分に聞いてください。人の話なのに裁判所から出ていたら、向きが逆です。中身の話なのに裁判所以外から出ていたら、やはり逆です。これは三権の間の 9 個に限った見分け方で、国民から出る 3 個と、足される国政調査権には当てはまりません。
3 段目は出発点ごとの合言葉
出発点ごとに、言葉の頭の音をつなげます。広く使われている語呂ではなく、この図のために作った合言葉です。自分で作り替えてもかまいません。
| 出発点 | 合言葉 | もとの言葉 |
|---|---|---|
| 国会 | ふだんの指名 | 不信任の「ふ」、弾劾の「だん」、指名 |
| 内閣 | かいしょう町人 | 解散の「かい」、召集の「しょう」、長官指名の「ちょう」、任命の「にん」 |
| 裁判所 | いぎょう | 違憲審査の「い」、行政裁判の「ぎょう」 |
| 国民 | 選ぶ、言う、審査する | 選挙、世論、国民審査 |
かいしょうは、頼りがいのことです。頼りがいのある町人を思い浮かべてください。店の人をいったん全員帰らせ、また呼び集めます。次に店の長を決めて、ほかの人に持ち場を任せます。これで、内閣から出る 4 個がこの順に並びます。裁判所は、法律も処分も読み直す偉業の持ち主だと覚えれば、2 個で終わりです。
最後は白紙で確かめます。箱を 3 つと国民を描き、矢印の向きだけを 9 本引きます。合言葉で言葉を入れたら表で答え合わせをして、まちがえた言葉だけ赤で直します。1 回は 3 分で足ります。今日、明日、3 日後、テストの前日と間をあけて 4 回くり返してください。
テストでの出方
定期テストで最もよく見るのは、図の空欄を埋める問題です。向きを印刷して言葉を書かせる形と、言葉を印刷して向きを選ばせる形があり、後の形のほうが理解の差がはっきり出ます。高校入試では、ニュースふうの短い文を読んで、どの矢印の働きかを答える形も出ます。記述では「なぜ分けるのか」が定番です。
思想家の組み合わせも、ここでまとめて押さえます。
| 思想家 | 国 | 主な本 | 結びつく言葉 |
|---|---|---|---|
| ロック | イギリス | 『統治二論』(1690 年) | 抵抗権 |
| モンテスキュー | フランス | 『法の精神』(1748 年) | 三権分立 |
| ルソー | フランス | 『社会契約論』(1762 年) | 人民主権 |
最高裁判所が「憲法の番人」と呼ばれる理由も問われます。違憲審査はすべての裁判所ができますが、最後の判断を下すのが最高裁判所だからです。大日本帝国憲法との比較も出ます。あの憲法の下にも議会と大臣と裁判所はありましたが、統治権は天皇がまとめて握っていました。
例題1 穴埋め
衆議院で内閣不信任の決議案が可決されると、内閣は(ア)日以内に衆議院を(イ)するか、総辞職しなければなりません。また、国会は、訴えられた裁判官を裁くために(ウ)裁判所を設けます。ア〜ウに入る語を答えなさい。
答え: ア 10、イ 解散、ウ 弾劾。
例題2 場面から矢印を選ぶ
「最高裁判所が、ある法律の規定を憲法に反すると判断した」。この働きは、どの機関からどの機関へ向かう矢印ですか。また、その後で法律を改めるのはどの機関ですか。
答え: 裁判所から国会へ向かう矢印(法律の違憲審査)で、法律を改めるのは国会です。2013 年には、結婚していない父母の子の相続分を、結婚している父母の子の半分とする民法の規定が憲法違反とされ、同じ年に国会が民法を改めました。裁判所は法律を書き換えません。止めるところまでが裁判所で、書き直すのは国会です。
例題3 記述
国の権力を 3 つに分けるのはなぜですか。「集中」「権利」の 2 語を使って、40 字程度で答えなさい。
答え: 権力が 1 つの機関に集中して乱用されるのを防ぎ、国民の権利と自由を守るため。「集中を防ぐ」で止めず、何のために防ぐのかまで書いてください。
まちがえやすいところ
不信任と解散の向きが入れ替わる
「内閣が不信任を出す」「国会が内閣を解散する」という答えは、言葉の意味を読めば防げます。信任しないと言えるのは、内閣を信任している側の国会です。解散されるのは議員なので、矢印の先は国会です。
もう 1 つの落とし穴は「国会」という書き方です。不信任の決議も解散も衆議院だけの話で、参議院にはどちらもありません。参議院の問責決議には、内閣を辞めさせる法的な効力がありません。また、不信任が可決されていなくても、内閣の判断で衆議院を解散した例は多くあります。「解散は不信任の後だけ」と書くと誤りです。
指名と任命が入れ替わる

図3のように、指名は「だれにするかを決める」こと、任命は「その役につける」ことです。総理大臣は国会が指名して天皇が任命し、最高裁判所長官は内閣が指名して天皇が任命します。指名する機関は違い、任命するのはどちらも天皇です。
ここで混ざるのが、その他の裁判官です。図3の下の段のとおり、任命するのは内閣で、天皇は任命しません。最高裁判所の判事や高等裁判所の長官には天皇の認証がつきますが、認証は任命とは別の手続きです。国務大臣を任命するのは総理大臣だということも、続けて確かめてください。
弾劾裁判所と国民審査が混ざる
どちらも裁判官を辞めさせる話なので、混ざります。4 つの点で比べると、別物だとわかります。
| 比べる点 | 弾劾裁判所 | 国民審査 |
|---|---|---|
| 判断する人 | 国会議員 | 国民 |
| 対象 | すべての裁判官 | 最高裁判所の裁判官だけ |
| いつ | 訴えがあったとき | 任命後はじめての衆議院議員総選挙と、その後 10 年を過ぎて最初の総選挙のとき |
| 矢印 | 国会→裁判所 | 国民→裁判所 |
弾劾裁判所は名前に「裁判所」とありますが、国会の側に置かれます。だから矢印は国会から裁判所へ向かいます。国民審査は、総選挙の投票所で渡される紙に、辞めさせたい裁判官の名前の上へ×を書く投票です。何も書かなければ、辞めさせない票として数えられます。憲法改正の国民投票とは別の制度です。
確かめの問題
図と表を閉じて答えてください。向きを聞かれたら、人の話か中身の話かを先に考えます。
- 三権分立を『法の精神』で説いたフランスの思想家はだれですか。
- 内閣不信任の決議ができるのは、衆議院と参議院のどちらですか。
- 国会から裁判所へ向かう矢印に入る言葉を答えなさい。
- 最高裁判所長官を指名する機関と、任命する人を答えなさい。
- 国民審査の対象になるのは、どの裁判所の裁判官ですか。
答え
- モンテスキュー。ロックやルソーと入れ替えないようにしてください。
- 衆議院。参議院には不信任の決議も解散もありません。
- 弾劾裁判所の設置。裁判官という人の話なので、裁判所へ入ってくる向きです。
- 指名するのは内閣、任命するのは天皇です。総理大臣の場合は、指名するのが国会に変わります。
- 最高裁判所。下級裁判所の裁判官は対象になりません。
次に覚える一覧
「歴代総理大臣の一覧」は、1 番の矢印で国会が指名してきた人を順にたどれる表です。「日本史の年表」は、1889 年の大日本帝国憲法から 1947 年施行の日本国憲法へ、三権の形が変わった節目を年で押さえるのに使います。「江戸幕府の将軍の一覧」は、町奉行が行政と裁判を兼ねていた時代と並べることで、分けることの重みがつかめます。
個別指導でこの図につまずいた生徒と確かめるときは、図に入る前に、法律と政令の違い、衆議院と参議院の違いまで戻ります。そこがあいまいなまま矢印だけ覚えても、言葉の向きはすぐ入れ替わるからです。
まとめ
白紙の図で問われているのは、記憶力だけではありません。法律を作る人も、実行する人も、裁く人も、まちがえることがあります。だから、まちがえる前に止める線を引いておくのです。小テストで埋める欄は、その線の名前です。箱が 3 つと矢印が 9 本。これは、権力者を信用しないという約束を、紙に描いたものです。
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