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イオン化傾向の覚え方—語呂と反応の関係を一覧で|武蔵野個別指導塾

塩酸に入れた銅から泡が出ないのは、銅が水素より右の席にいるからです。リッチに貸そうかなの語呂で17個を並べ、水と酸の反応と電池の向きまで一本の列で読み切りましょう。
| 順 | 記号 | 名前 | 語呂 | 水との反応 | 酸との反応 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Li | リチウム | リッチに | 常温の水と反応 | 塩酸・希硫酸に溶ける |
| 2 | K | カリウム | 貸そう | 常温の水と反応 | 塩酸・希硫酸に溶ける |
| 3 | Ca | カルシウム | か | 常温の水と反応 | 塩酸・希硫酸に溶ける |
| 4 | Na | ナトリウム | な | 常温の水と反応 | 塩酸・希硫酸に溶ける |
| 5 | Mg | マグネシウム | ま | 熱水と反応 | 塩酸・希硫酸に溶ける |
| 6 | Al | アルミニウム | あ | 高温の水蒸気と反応 | 塩酸・希硫酸に溶ける(濃硝酸では不動態) |
| 7 | Zn | 亜鉛 | あ | 高温の水蒸気と反応 | 塩酸・希硫酸に溶ける |
| 8 | Fe | 鉄 | て | 高温の水蒸気と反応 | 塩酸・希硫酸に溶ける(濃硝酸では不動態) |
| 9 | Ni | ニッケル | に | 反応しない | 塩酸・希硫酸にゆっくり溶ける(濃硝酸では不動態) |
| 10 | Sn | スズ | す | 反応しない | 塩酸・希硫酸にゆっくり溶ける |
| 11 | Pb | 鉛 | んな | 反応しない | 塩酸・希硫酸にはほとんど溶けない(硝酸には溶ける) |
| 12 | (H₂) | 水素 | ひ | 比べる基準 | 酸の H⁺ が電子を受けて生じる |
| 13 | Cu | 銅 | ど | 反応しない | 硝酸・熱濃硫酸に溶ける(水素は出ない) |
| 14 | Hg | 水銀 | す | 反応しない | 硝酸・熱濃硫酸に溶ける(水素は出ない) |
| 15 | Ag | 銀 | ぎる | 反応しない | 硝酸・熱濃硫酸に溶ける(水素は出ない) |
| 16 | Pt | 白金 | 借 | 反応しない | 王水にだけ溶ける |
| 17 | Au | 金 | 金 | 反応しない | 王水にだけ溶ける |
語呂をつなげると「リッチに貸そうかな、まああてにすんな、ひどすぎる借金」です。1番がいちばん陽イオンになりやすく、17番がいちばんなりにくい。列で書けば Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H₂) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au です。
よくあるのは、実験のあと理科室の流しの前で、亜鉛板についた赤茶色のかすを指でこすりながら手が止まる、という場面です。硫酸銅水溶液の青は少し薄くなり、硫酸亜鉛水溶液に入れた銅板には何も起きていません。スポンジの泡が排水口へ流れていくあいだに、班の誰かが「どっちがイオンになりやすいんだっけ」と言い、誰も答えられないまま片付けが終わります。上の表は、その一言に答えるための一枚です。
一覧の読み方
イオン化傾向とは、金属が水溶液の中で電子を手放して陽イオンになろうとする性質です。その強い順に並べた列をイオン化列と呼びます。表の左の番号は席順で、原子番号ではありません。Liの原子番号は3ですが、この列では1番の席に座ります。番号そのものに量の意味はなく、言えるのは「どちらが先に電子を手放すか」だけです。
17個のうち金属は16種類で、残りの1個がかっこつきの水素です。金属の列に水素が混ざるのは、酸との反応を読むものさしになるからです。酸の中には H⁺ があり、水素より左の金属はこの H⁺ に電子を渡して、自分は溶けていきます。Zn + 2H⁺ → Zn²⁺ + H₂ がその動きです。水素より右の金属は電子を渡す力で H⁺ に負けるので、塩酸や希硫酸の中で静かなままです。
図1のように、17個は反応の相手が変わるところで7つに区切れます。

下のラベルは「ここから反応できる」という入口です。LiからNaは常温の水で水素を出し、Mgは熱水が要り、AlからFeは高温の水蒸気でようやく動きます。NiからPbは水では動かず、塩酸や希硫酸(図の希酸)で溶けます。Pbだけは例外で、理由はあとで書きます。H₂を越えたCuからAgは、酸化する力の強い硝酸か熱濃硫酸でないと溶けません。PtとAuの相手は、濃硝酸と濃塩酸を混ぜた王水だけです。左の金属は基本的に右の相手にも反応するので、入口さえ覚えれば表の右2列は自分で書き戻せます。
空気との反応も同じ並びで読めます。LiからNaは常温の空気で内部まで酸化され、MgからCuは加熱すると酸化されます。Hgは加熱で酸化されますが、さらに強く熱すると元に戻ります。Ag、Pt、Auは空気中で熱しても酸化されません。
ただし列の順番と反応の激しさは、完全には重なりません。1番のLiは、水との反応ではKやNaより穏やかです。教科書によってはBaをKとCaのあいだに入れた表もあり、語呂の言い回しにも少しずつ違う形があります。テストの前は手元の教科書の列を正にしてください。
中3と高校で、どこまで覚えるか
中3の理科では「イオンへのなりやすさ」という言い方が多く、順番を覚える金属も少数です。「イオン化傾向」という名前と17個の列は、高校の化学基礎で本格的に出てきます。
| 場面 | 呼び方 | 覚える順番 | 主に問われること |
|---|---|---|---|
| 中3の理科 | イオンへのなりやすさ | Mg > Zn > Cu が中心(教科書によって Fe や Ag も) | 金属板と水溶液の組み合わせ、ダニエル電池 |
| 高校の化学基礎 | イオン化傾向 | 17個すべて | 水と酸との反応、酸化還元の式、電池のしくみ |
| 高校の化学 | イオン化傾向 | 17個すべてと例外 | 不動態、両性金属、電気分解、金属の製錬 |
高校の欄は学校の進め方で前後します。中3の人は、このあとの語呂から「ま」「2つ目のあ」「ど」の3文字を拾えば足ります。全部を覚えるのは高校に入ってからでかまいません。
覚え方
語呂は3行に切って言う
よく使われる語呂は、図2のように3行に切ると入ります。1行目が4個、2行目が7個、3行目が6個で、足して17個です。

語呂が拾っているのは、記号ではなく、多くは日本語の名前の頭の音です。「リッチに」がリチウム、「貸そう」がカリウム、「か」がカルシウム、「な」がナトリウム。2行目は「ま」がマグネシウム、「あ」がアルミニウムと亜鉛、「て」が鉄です。「に」がニッケル、「す」がスズ、「んな」の「な」が鉛と続きます。3行目は「ひ」が水素、「ど」が銅、「す」が水銀です。「ぎる」が銀、「借」が白金、「金」が金で終わります。水素と白金だけは頭の音と合わないので、字と金属を丸ごと結びつけます。「す」は2回出てきて、前がスズ、後ろが水銀です。音と記号は別物なので、次の手順で記号まで結びつけます。
- 1行目だけを声に出し、言いながら Li、K、Ca、Na を指で机に書きます。紙はまだ使いません。
- 言えたら白紙に記号を書き、表と照らします。1字でも違えば次の行へ進みません。
- 3行つなげたら、AuからLiへ逆向きに言います。語呂の勢いが使えなくなるので、どの席が抜けているかが見えます。
- 翌日、3日後、1週間後に「Znの右どなりは」「H₂の左どなりは」と途中の席だけを聞きます。頭から言わないと出てこないうちは、まだ問題で使えません。
語呂の切れ目に反応を重ねる
語呂が言えたら、反応の境目を重ねます。数で言うと4・1・3・3・水素・3・2で、足すと17です。語呂に置けば「リッチに貸そうかな」までが常温の水、「ま」が熱水、「ああて」が高温の水蒸気です。「にすんな」は水はだめでも酸なら溶ける組で、「ひ」は基準です。「どすぎる」は硝酸と熱濃硫酸の組、「借金」は王水の組です。1行目がそのまま常温の水の組になっているので、ここは迷いません。最後の2個は、借金は王様でないと片づかない、と自分でつなげておくと離れなくなります。
同じ語呂の中から別の知識も拾えます。「あ」「あ」「す」「んな」のAl、Zn、Sn、Pbは、酸にも強塩基にも溶ける両性金属で、「ああ、すんなり」という語呂でよく覚えられています。新しい暗記を増やさず、17席の中に印をつけるだけで済みます。
身の回りの金属を席に置く
語呂だけだと、言えても使えません。手で触れる金属を席に置くと、順番に理由がつきます。1円玉はアルミニウムで6番、10円玉は主に銅で13番です。水素をはさんで反対側にいるので、同じ塩酸に入れても結果が変わる2枚だと思っておくと、「Alは酸に溶け、Cuは溶けない」が消えにくくなります。
トタンとブリキも席で説明がつきます。トタンは鉄板に亜鉛を、ブリキは鉄板にスズをめっきしたものです。亜鉛は鉄の左にいるので、傷がついても亜鉛が先に溶けて鉄を守ります。スズは鉄の右にいるので、傷がつくと鉄のほうが先に溶け出します。ナトリウムやカリウムが石油の中で保管されるのは、空気と水に触れさせないためです。金属なのに石油の瓶にしまわれるのは列の左端の組で、席順がそのまま保管のしかたを決めています。
電池は「左がマイナス」で覚える
2種類の金属を導線でつなぐと、列の左にいる金属が電子を押し出す側、つまりマイナス極になります。亜鉛板と銅板を組み合わせたダニエル電池を図にしたのが次の図3です。

図3のように、亜鉛板では Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ が起きて亜鉛が溶け、電子は導線を通って銅板へ向かいます。銅板の表面では液の中の Cu²⁺ がその電子を受け取り、Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu となって銅が付きます。電流の向きは決まりとして電子と逆なので、銅板から亜鉛板へ流れます。電圧は約1.1Vです。セロハンは小さな穴でイオンを少しずつ通し、2つの液がすぐに混ざるのを防ぎます。
列の上で離れた2種類を組むほど、電圧はおおむね大きくなります。銅の相手を亜鉛からマグネシウムに替えると電圧は上がります。同じ金属2枚を同じ液に入れても電流は流れません。席の差がないからです。
テストでの出方
中3の定期テストは、金属板と水溶液の組み合わせをそのまま読ませます。下の表で変化が起きるのは、板の金属が液の中の金属より左の席にいるときだけです。
| 金属板 | 硫酸マグネシウム水溶液 | 硫酸亜鉛水溶液 | 硫酸銅水溶液 |
|---|---|---|---|
| マグネシウム | 変化なし | 亜鉛が付く | 銅が付く |
| 亜鉛 | 変化なし | 変化なし | 銅が付く |
| 銅 | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
高校の定期テストは、金属を「水で溶ける、酸で溶ける、硝酸で溶ける、王水だけ」に振り分ける問題と、反応式を書かせる問題が中心です。入試では金属の名前を伏せ、実験の結果から順番を推理させる形でも出ます。電池は図の穴埋めで、極の名前と電子の向きが聞かれます。
例題1(中3)
亜鉛片を硫酸銅水溶液に入れました。(1) 亜鉛片の表面に付く物質は何ですか。(2) 液の青色はどう変わりますか。(3) 亜鉛と銅イオンに起きる変化を、電子 e⁻ を使った2つの式で書いてください。
答えは、(1) 銅、(2) 薄くなる、(3) Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ と Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu です。青色のもとになっている Cu²⁺ が銅に変わって減るので、色が薄くなります。銅が付いた分だけ、亜鉛が液の中へ出ていったと読みます。
例題2(高校の定期テスト)
Na、Mg、Fe、Cu、Au を次の4組に分けてください。ア 常温の水と反応する。イ 常温の水とはほとんど反応しないが、塩酸に水素を出して溶ける。ウ 塩酸には溶けないが硝酸に溶ける。エ 王水にだけ溶ける。あわせて、Feと塩酸の反応式を書いてください。
答えは、アがNa、イがMgとFe、ウがCu、エがAuです。反応式は Fe + 2HCl → FeCl₂ + H₂ です。ここで FeCl₃ と書くと誤りになります。鉄は塩酸の中で Fe³⁺ ではなく Fe²⁺ になるからです。
例題3(入試の形)
金属A、B、C、Dは、Na、Fe、Cu、Agのどれかです。Aは常温の水と反応しました。Bは塩酸に水素を出して溶けました。CとDは塩酸に溶けません。CをDのイオンを含む水溶液に入れると、Cの表面にDが付きました。AからDを答えてください。
答えは、AがNa、BがFe、CがCu、DがAgです。CとDは水素より右の2つに絞られ、CがDを追い出したのでCのほうが左の席にいます。起きた変化は Cu + 2Ag⁺ → Cu²⁺ + 2Ag で、銅線を硝酸銀水溶液に入れる実験と同じです。
まちがえやすいところ
1つ目は、水素より左なら必ず酸に溶けると決めてしまう誤りです。鉛Pbは11番で水素のすぐ左にいますが、塩酸や希硫酸に入れると、水に溶けにくい PbCl₂ や PbSO₄ が表面を覆って反応が止まります。アルミニウム、鉄、ニッケルは濃硝酸の中で表面に緻密な酸化物の膜ができ、溶けなくなります。これが不動態です。席順は電子の手放しやすさの順であって、溶け続けるかどうかは表面に何ができるかで変わります。
2つ目は、電池のプラス極とマイナス極を逆にする誤りです。「陽イオンになる金属だからプラス」と考えると逆になります。図3をもう一度見てください。亜鉛は陽イオンになって溶ける側ですが、そのとき電子を板に置いていくので、亜鉛板には電子がたまります。電子がたまる板がマイナス極です。プラスの粒が出ていく板がマイナスになる、と一度引っかかっておくと次は間違えません。電流の向きを電子と同じに書く失敗も、同じ図で防げます。
3つ目は、泡を見たら全部水素だと思う誤りです。銅を硝酸に入れても泡は出ますが、希硝酸なら一酸化窒素 NO、濃硝酸なら二酸化窒素 NO₂ です。希硝酸の反応は 3Cu + 8HNO₃ → 3Cu(NO₃)₂ + 4H₂O + 2NO と書きます。銅は H⁺ に電子を渡したのではなく、硝酸の酸化する力で溶かされています。だから銅の席は水素の右のままです。
逆に、亜鉛板と銅板を希硫酸に入れたボルタ電池では、銅板から出る泡は確かに水素です。ただし溶けているのは銅ではなく亜鉛で、H⁺ が銅板の上で亜鉛から来た電子を受け取っています。泡が出た場所と溶けた金属は、別々に確かめてください。
確かめの問題
- 語呂の「ああて」の3文字は、それぞれどの金属を指しますか。記号で答えてください。
- 常温の水と反応する金属を、イオン化列の順番どおりに4つ書いてください。
- 硫酸銅水溶液に鉄くぎを入れると、くぎの表面に何が付きますか。そのとき鉄はどのイオンになりますか。
- マグネシウム板と銅板で電池を作りました。マイナス極はどちらですか。電子はどちらからどちらへ流れますか。
- 銅を濃硝酸に入れたときに出る気体は何ですか。水素が出ない理由も一言で答えてください。
答え
- Al、Zn、Feです。「あ」が2回続いて、前がアルミニウム、後ろが亜鉛です。
- Li、K、Ca、Naです。語呂の1行目がそのまま答えになります。
- 銅が付きます。鉄は Fe²⁺ になって溶けます。FeがCuより左の席にいるので、Cu²⁺ から銅を追い出します。
- マイナス極はマグネシウム板です。電子はマグネシウム板から導線を通って銅板へ流れます。電流の向きはその逆です。
- 二酸化窒素 NO₂ です。銅は水素より右の席にいて H⁺ に電子を渡せず、硝酸の酸化する力で溶けるからです。
次に覚える一覧
イオン式の一覧は、Zn²⁺ や Ag⁺ の右肩の数字を迷わず書くための次の一枚で、陰イオンまでまとめて確かめられます。化学反応式の一覧は、金属と酸の反応を係数まで合わせて書くときの土台になります。元素記号の一覧は、語呂で名前だけ言えて止まりやすいHg、Pt、Auの記号を固めるつながりです。個別指導で列を言えているのに式が書けないときは、Zn²⁺ の2がどこから来るのか、原子の電子の数え方まで戻って確かめます。
まとめ
次に1円玉と10円玉を手にしたら、どちらが塩酸に溶ける側かを声に出さずに言ってみてください。流しで見た銅の赤を「亜鉛が電子を手放した跡」と言えたなら、あの実験は片付けと一緒に流れていきません。
亜鉛板の赤茶色も、電池の電圧も、古い金貨の光も、同じ17席の並びから生まれています。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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