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小学校低学年の読書感想文—親と話しながら書く手順|武蔵野個別指導塾

小学1・2年生の読書感想文は、親が4つの問いで話を聞き、お子さまの言葉をメモに残してから、はじめ・まんなか・おわりの3つに分けて短い文で書くと仕上がります。親の手の出し方と直し方の線引きも順に追います。
小学1・2年生の読書感想文は、原稿用紙に向かう前に、居間で親子で話すところから始めます。手順は5つです。
- 本を1冊、親子で一緒に読みます。読み聞かせでかまいません。
- 親が4つの問いで話を聞きます。「どこがすき」「なんで」「自分だったら」「読む前と読んだ後でちがったこと」の4つです。
- お子さまが口にした言葉を、親がそのまま短くメモに書きます。
- メモを「はじめ・まんなか・おわり」の3つに分け、お子さまが自分の字で書きます。
- 声に出して読み返し、意味の通らないところだけを直します。
よくあるのは、小1の夏休み、夕方の居間で、原稿用紙を広げたまま30分たっても1文字も進まない、という場面です。隣で麦茶を飲む親が「何でもいいから、思ったことを書きなさい」と言い、お子さまは「思ったことって、何」と聞き返します。ここで止まるのは当たり前です。1年生は、まだ「思ったこと」を頭の中だけで文に組み立てられません。口に出して、誰かに受け止めてもらって、初めて考えが形になります。だから低学年の感想文は、鉛筆を持つ前の、話す時間が本番です。
書く前にすること
書く前にすることは、本を読むこと、話すこと、メモを作ることの3つです。順に見ていきます。
まず本です。低学年の読書感想文に向くのは、一度読んで、笑ったか、怖がったか、「もう一回」と言った本です。感想文のために新しく難しい本を選ぶ必要はありません。何度も読んだ絵本でかまいません。むしろ、場面を覚えている本のほうが、話が具体になります。薄い本でも、気持ちが動いた本なら足ります。迷ったら、お子さまが本棚から自分で取ってくる1冊にしてください。親が「これなら立派に見える」と選んだ本は、話を聞く段階で言葉が出てこなくなります。
次に、話すことです。ここが低学年の感想文の中心です。親は原稿用紙を片づけて、本を間に置き、図1のように4つの問いを順に投げます。

1つ目は「どこがすき」です。本のどのページが一番すきか、開いて指でさしてもらいます。場面を1つに絞ることが大事です。「全部すき」と言ったら、「じゃあ、一番は」と聞き直します。2つ目は「なんで」です。すきな理由を聞きます。「カメがとんだから」のような、短い答えでかまいません。理由が出てこないときは、「カメがとんだとき、どんな気持ちだった」と、気持ちの言葉に言い換えて聞きます。3つ目は「自分だったら」です。「自分がカメだったらどうする」「同じことがあったらどうする」と、お子さまを物語の中に入れます。ここで出てくる言葉が、感想文で一番その子らしい部分になります。4つ目は「読む前と読んだ後でちがったこと」です。これは難しい問いなので、「読む前はカメのこと、どう思ってた」「今は」と、前と後を分けて聞きます。「おそいと思ってたけど、今はかっこいいと思う」のような答えが出れば十分です。
最後に、メモです。親の役目は、お子さまの言葉を書き留めることです。書くときの決まりは3つあります。1つ、お子さまが言った言葉を、そのまま書きます。「かっこいい」を「勇気がある」に直さないでください。直した瞬間、親の感想文になります。2つ、1枚の紙に1つのことだけを書きます。付せんやカードを使うと、あとで並べ替えられます。3つ、短く書きます。「カメがとんだ。びっくりした。」で足ります。文にするのはお子さまの仕事なので、メモは言葉のかけらでかまいません。
話す時間は15分で区切ります。低学年は、それより長いと飽きて、答えが「べつに」になります。15分で4枚か5枚のメモができれば、その日の準備は終わりです。書くのは別の日でもかまいません。むしろ、一晩おいたほうが、お子さまの中で言葉が落ち着きます。
書き方の手順
書く前に、どれだけの長さを書くのかを決めます。学校の宿題なら、学校の指示が優先です。コンクールに出すなら規定があります。青少年読書感想文全国コンクールの2026年度の応募要項では、小学校低学年の部(1、2年生)は本文800字以内です。句読点はそれぞれ1字に数え、改行のための空白も数に入れます。題名、学校名、氏名は数に入れません。原稿用紙を使って縦書きで自筆し、原稿用紙の大きさや字詰めに決まりはありません。応募は学校を通じて行うので、学校が参加しているか、都道府県ごとの決まりがあるかは、担任か学校図書館の先生に確かめてください。要項は年度ごとに変わることがあるので、書く年の要項を公式サイトで見ます。
800字以内とは、400字詰めの原稿用紙で2枚以内ということです。ただし、低学年で2枚びっしり書く必要はありません。図2のように、「はじめ・まんなか・おわり」の3つのかたまりに分けて、それぞれの長さを先に決めておくと、途中で止まりません。

図2の例では、はじめが150字、まんなかが450字、おわりが150字で、合わせて750字です。800字の上限に少し余裕を残しています。1年生なら、まんなかを300字にして合計600字でも立派な感想文です。大事なのは、まんなかが一番長いことです。
「はじめ」には、本の名前と、読んだきっかけと、一番すきなところを1文で書きます。「わたしは『そらをとぶカメ』を読みました。お母さんがえらんでくれた本です。カメがそらをとぶところが一番すきです。」のように、3文あれば足ります。書き出しで長く考えないことが、低学年ではいちばんの近道です。
「まんなか」には、メモの2つ目と3つ目、つまり「なんで」と「自分だったら」を書きます。順番は、すきな場面を1文で説明し、なんですきかを書き、自分だったらどうするかを書く、の3段です。場面の説明は2文か3文までにします。あらすじを最初から最後まで書き始めると、まんなかが全部あらすじになって、気持ちを書く場所がなくなります。
「おわり」には、メモの4つ目、「読む前と読んだ後でちがったこと」を書きます。「読む前はカメはおそいと思っていました。でも今は、かっこいいと思います。」の2文で、感想文は終わります。「これからもたくさん本を読みたいです」という結びは、書かなくてかまいません。言いたいことがそれなら書き、そうでなければ書かないのが、まっすぐな文です。
文は短くします。1文は20字から30字が目安です。低学年の文が読みにくくなる一番の原因は、「〜て、〜て、〜て」と文をつなげて、主語がどこかへ消えることです。「カメがとんで、ぼくはびっくりして、お母さんに言って、お母さんも笑って」と続く文は、「カメがとびました。ぼくはびっくりしました。」と、「。」で切ります。短い文は、幼い文ではありません。1年生が自分の力で主語と述語をそろえられる長さが、20字から30字だというだけです。
書く順番にも工夫があります。原稿用紙の1行目から書き始めると、「はじめ」で止まります。そこで、まず「まんなか」から書きます。メモを机に並べ、「なんで」のカードを見ながら、お子さまが声に出して文を言い、それを自分で書きます。まんなかが書けたら、はじめとおわりは短いので、あとから足せます。原稿用紙に直接書くのが不安なら、まんなかだけ別の紙に下書きし、はじめとおわりは原稿用紙に直接書く、という分け方でも進みます。
文末はそろえます。低学年では「〜ました」「〜です」の形にそろえるのが書きやすい形です。途中で「〜だ」が混じったら、読み返すときに直します。話し言葉の「〜なの」「〜だよ」は、カギカッコの中の会話なら残してかまいません。
書いている間、親は隣に座りますが、鉛筆は持ちません。親の仕事は、メモを読み上げること、お子さまが言った文をもう一度言って返すこと、「それ、いいね」と言うことの3つです。漢字やひらがなのまちがいは、書いている最中には指摘しません。最後に読み返すときに、まとめて直します。
例文で見る
例文は2つとも、架空の絵本『そらをとぶカメ』を読んだ1年生が書いた、という設定の自作です。そのまま写すためのものではなく、型を見るための短い例です。自分の本、自分の言葉に置き換えて使ってください。1つ目は、「まんなか」の例です。
ぼくがいちばんすきなのは、カメがそらをとぶところです。カメは、はじめはみんなにわらわれていました。でも、あきらめないで、まいにちはねをうごかしました。ぼくは、カメがとんだとき、ぼくもとびたくなりました。ぼくだったら、わらわれたらやめてしまうかもしれません。でも、カメはやめませんでした。
この例の良いところは3つあります。1つ目は、場面が1つに絞られていることです。「カメがそらをとぶところ」と最初に言い切っているので、読む人はどこの話かすぐにわかります。2つ目は、「ぼくもとびたくなりました」という気持ちの言葉が、その子の言葉で書かれていることです。「感動しました」と書くより、何が起きたかが伝わります。3つ目は、「ぼくだったら」が入っていることです。自分とカメを比べているので、あらすじではなく感想になっています。あらすじの部分は2文だけで、残りは全部、その子の気持ちです。2つ目は、「おわり」の例です。
よむまえは、カメはおそいどうぶつだとおもっていました。でも、いまは、カメはあきらめないどうぶつだとおもいます。こんど、どうぶつえんでカメをみたら、はねがあるか、みてみたいです。
この例の良いところは、「読む前」と「読んだ後」が、はっきり切り替わっていることです。「おそい」から「あきらめない」へ、お子さまの中でカメの見え方が変わったことが、2文でわかります。最後の1文は、本の外の自分の生活につなげています。「どうぶつえんでカメをみたら」という具体があるので、「これからもがんばりたいです」という結びより、その子にしか書けない終わり方になっています。3文で90字ほどですが、低学年の「おわり」はこの長さで足ります。
2つの例に共通するのは、どちらも、話して出てきた言葉をそのまま文にしていることです。「わらわれたらやめてしまうかもしれない」は、親が「自分だったら」と聞いたときに、お子さまが口にしそうな言葉です。メモにその言葉が残っていれば、文にするのは難しくありません。逆に、メモに親の言葉しか残っていないと、例文のような文は出てきません。
まちがえやすいところ
低学年の感想文でよく見る誤りは3つです。誤りの文、どこがちがうか、直した文の順に見ます。
1つ目は、あらすじだけで終わることです。「カメがいました。カメはとびたいとおもいました。みんなにわらわれました。でもまいにちれんしゅうしました。さいごにとべました。おもしろかったです。」という形です。どこがちがうかというと、最後の「おもしろかったです」以外は、全部が本に書いてあることです。読んだ人は、本の内容はわかっても、その子が何を思ったかはわかりません。直すには、あらすじを2文に縮め、空いたところに「なんで」と「自分だったら」を入れます。「カメはみんなにわらわれても、まいにちれんしゅうしました。ぼくは、カメがとんだとき、ぼくもとびたくなりました。」のように、本のことを1文、自分のことを1文、と交互に書くと、あらすじに戻りにくくなります。
2つ目は、親の言葉になることです。図3のように、「ぼくは感銘を受けました」「努力の大切さを学びました」という文は、1年生の口から出る言葉ではありません。親がメモの段階で言い換えたか、書いている途中で「こう書きなさい」と言ったかのどちらかです。どこがちがうかというと、読む人は、その文がお子さまの言葉かどうかをすぐに見分けます。言葉だけ大人になった感想文は、気持ちが伝わらなくなります。直すには、「感銘を受けた」と書いたとき、本当は何が起きたのかを、もう一度お子さまに聞きます。「カメがとんだとき、どうだった」と聞けば、「ぼくもとびたくなった」が返ってきます。それをそのまま書きます。

3つ目は、「おもしろかったです」で全部を終えることです。すきな場面を書いたあと、「おもしろかったです」、別の場面を書いて、また「おもしろかったです」、と続く形です。どこがちがうかというと、「おもしろかった」は気持ちの名前であって、中身がありません。何が起きて、どうおもしろかったのかが書かれていないので、何回書いても感想が増えません。直すには、「おもしろかった」の前に、「〜ので」を足します。「カメが、はねをつけたままねてしまったので、おもしろかったです。」のように、理由がつけば、1回の「おもしろかった」で十分に伝わります。それでも理由が出てこないときは、その場面は書かずに削ります。
よくある質問
読み聞かせで読んだ本でもよいですか
よいです。低学年の読書は、自分で文字を追うだけが読書ではありません。親が読み聞かせて、お子さまが絵を見て、話を聞いて、気持ちが動けば、それは読書です。感想文に書くのはお子さまの気持ちなので、誰が声に出して読んだかは関係ありません。ただし、コンクールに出すときは、読み方について応募の決まりや学校の指示があるかを、先に学校に確かめてください。宿題の範囲なら、読み聞かせで読んだ本で書いてかまいません。
ひらがなをまちがえる、字がきたないときはどうしますか
書いている最中には直しません。1字ごとに止められると、お子さまは文を考えるのをやめて、字を気にし始めます。最後まで書き終えてから、親子で声に出して読み返し、読めない字と、「は・わ」「を・お」のようなまちがいだけを直します。字のきれいさは、感想文の中身とは別のことです。読める字で書けていれば足ります。消しゴムで全部消して書き直させると、書くこと自体が嫌になるので、直すのは必要な字だけにします。
長さが足りないときは、どうしますか
水増しはしません。「とてもとてもおもしろかったです」と言葉を足しても、感想は増えません。足りないときは、メモに戻ります。「自分だったら」の答えが1文しか書かれていなければ、「どうしてそうするの」ともう1つ聞いて、出てきた言葉を足します。それでも足りなければ、すきな場面をもう1つ、「どこがすき」から聞き直します。宿題で長さの指定がないなら、600字で終わってもかまいません。短くても、その子の言葉で書かれた感想文のほうが、長くて中身のない感想文より読む人に届きます。
親の手伝い方と個別指導で確かめること
親の仕事と、お子さまの仕事を分けておくと、手の出しすぎを防げます。親の仕事は、本を一緒に読むこと、4つの問いで話を聞くこと、言葉をそのままメモに書くこと、メモを読み上げること、最後に一緒に読み返すことです。お子さまの仕事は、問いに答えること、文を作ること、自分の字で書くことです。親が文を作った瞬間、その感想文は親のものになります。手を出したくなったら、「それ、どういうこと」と聞く側に戻ってください。
塾の個別指導では、書かれた文を見る前に、お子さまに本の話をしてもらいます。自分の言葉で、すきな場面と理由を言い直せるかを確かめます。言い直せれば、文の直しは最小で済みます。言い直せないときは、文ではなく、話す段階からやり直します。そのうえで、1文の長さ、文末のそろい、原稿用紙の決まりを、1つずつ一緒に見ます。
まとめ
低学年の読書感想文で、原稿用紙の前で止まるのは、書く力が足りないからではなく、話す時間が足りないからです。本を一緒に読み、4つの問いで話を聞き、お子さまの言葉をそのままメモに残し、はじめ・まんなか・おわりの3つに分けて短い文で書く。この順番を守れば、1年生でも、自分の言葉で最後まで書けます。低学年の感想文は、鉛筆より先に、親の耳が仕上げます。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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