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共通テストの圧縮とは—二次試験との比率を、自分の点で計算し直す手順|武蔵野個別指導塾

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「圧縮」は公式の文書に無い呼び名です。募集要項の配点で自己採点を教科ごとに掛け直す式と、同じ708点が334.4点にも367.2点にも変わる例を、1月の自己採点の夜に使える形で並べています。

「圧縮」は、大学入試センターや文部科学省の文書には出てこない言葉です。大学が募集要項の配点の欄で、共通テストの点を満点とは違う点数に直して数えることを、受験生のあいだでそう呼んでいます。点数で合否を決める選抜なら計算の形は一つで、教科ごとに「自分の点 × 募集要項の配点 ÷ 共通テストの満点」を出して足し、個別学力検査(いわゆる二次)の配点と並べれば、自分の総点の形が見えます。いまの高3が受ける令和9年度入試の配点は、各大学が2026年12月15日(火)までに出す募集要項の中にあります。

確かめること 決まっていること 何年度のどの文書か
「圧縮」という語 実施要項にも受験案内にも出てこない。大学が共通テストを満点と違う点数で数えることの呼び名 文部科学省 令和9年度大学入学者選抜実施要項・センター 令和9年度受験案内
配点が書かれる所 評価方法などを書いた募集要項を、各大学が2026年12月15日(火)までに発表する 文部科学省 令和9年度大学入学者選抜実施要項 第10 1(1)
共通テストの満点 国語200点、英語はリーディング100点とリスニング100点、数学・理科・地歴公民・情報は1科目100点 令和9年度 出題教科・科目の出題方法等
センターが大学に渡す成績 科目別の得点とその合計(英語はリーディングとリスニング別)と、9段階の段階表示。2027年2月2日(火)以降 令和9年度 共通テスト実施要項 14
成績の使い方 例えば資格試験的な利用や複数年度の利用など、多様な利用方法を工夫することが望ましい 文部科学省 令和9年度大学入学者選抜実施要項 第6 2(4)

よくあるのは、2027年1月17日(日)の夜、2日目の自己採点を終えた高3が、机の端に置いてあった志望校の募集要項を開き、配点の欄で手を止める場面です。共通テストの行には「500」、個別学力検査の行には「600」。さっき電卓で足し上げた自分の点は、1000点満点で692点です(ここに出てくる点と配点は、計算を見せるために作った数で、どの大学の配点でも、どの生徒の点でもありません)。692を500のどこに置けばいいのか。友だちが言っていた「志望校は圧縮がきつい」は、自分にとって有利なのか不利なのか。ノートの余白に式を書いては消し、日付が変わっても答えが出ない。その式を、一行ずつ組み立て直していきます。

「圧縮」を決めるのは大学、書かれる場所は募集要項

文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項と、大学入試センターの令和9年度の共通テスト実施要項・受験案内を端から読んでも、「圧縮」という語は一度も出てきません。出てくるのは「配点」「評価方法」「合否判定の方法や基準」です。文部科学省の実施要項は各大学に、合否判定の方法と基準をはっきり決め、前もって募集要項などで公表し、そのとおりに判定するよう求めています(第13 5(4))。共通テストの何点を何点として数えるかは、この判定の方法の中身の一つとして、募集要項の配点の欄に書かれます。

満点の側は全国で共通です。令和9年度の出題方法等では、国語が200点(近代以降の文章が3問で110点、古文と漢文が45点ずつ)、英語はリーディング100点とリスニング100点、数学は『数学I,数学A』と『数学II,数学B,数学C』がそれぞれ100点、地歴公民と理科は1科目100点で2科目なら200点、情報は100点です。たとえば国語・地歴公民1科目・数学2科目・理科2科目・英語・情報を受ければ、足して1000点満点になります。この1000は動かない値ではなく、その選抜が使う教科・科目の組み方で変わります。

大学入試センターが大学に渡す成績も決まっています。令和9年度の共通テスト実施要項の14では、センターが出すのは、一人ずつの科目別の得点とその合計点(英語はリーディングとリスニングの別。国語は大学が分野の利用を指定したとき分野別の得点も)、科目別の得点を9段階に置き直した段階表示などで、提供は2027年2月2日(火)以降です。この一覧に、大学の配点に直した点は入っていません。図1のように、センターから大学へ流れるのは共通テストの満点のままの科目別の得点で、配点の欄の比を掛けるのは大学の側です。

図1 センターは科目別の得点を渡し、大学が配点で換算して総点で判定する

大学はなぜ共通テストを圧縮するのか

圧縮する理由を一つに決めた公式の文書はありません。ただ、理由の向きは文書から読めます。国立大学協会の基本方針(令和4年1月28日)は、一般選抜で共通テストを第一次試験として課し、そのうえで第二次試験として個別学力検査等を行う組み合わせを、今後も続けるとしています。受験生の言う「二次」は、この文書の第二次試験と同じ位置を指しています。文部科学省の実施要項は、個別テストで共通テストと同じ教科を課すなら、論理的思考力や言語的表現力などで共通テストとは違う力の判定に重きを置く工夫が望ましいとし(第6 2(2))、共通テストの成績の使い方についても、例えば一定の水準に達しているかを見る資格試験的な使い方など、多様な工夫が望ましいとしています(第6 2(4))。

二つの試験は測る物が違い、どちらにどれだけ重みを置くかは大学が決めます。共通テストと二次の比率は、その決め方が数字になった物です。比の理由を知りたければ、同じ募集要項のアドミッション・ポリシーの欄を読みます。文部科学省の実施要項は、アドミッション・ポリシーと評価方法を同じ募集要項に書くよう求めています(第10 1(1))。

時期にも決まりがあります。各大学は、個別テストの教科・科目と評価方法などの基本的な事項を選抜区分ごとに決めて2026年5月27日(水)から7月31日(金)までに発表し、その後は大きな災害などの場合を除いて、受験者に不利益を与えるおそれのある変更をしないことになっています(第7 1)。夏の発表と12月の募集要項を並べ、配点の数字がどちらに、どの形で載っているかを自分の目で確かめておけば、自己採点の夜に探し回らずに済みます。なお令和9年度の受験案内のF3は、大学が段階表示を使って選抜することがあるとし、使うかどうかと使い方は募集要項で確かめるよう書いています。

配点の欄から、自分の計算に要る数字を拾う

計算を始める前に、募集要項の配点の欄から六つの数字の組を拾い、自己採点の表と同じ区切りで写します。式が正しくても、区切りが一つずれれば答えは合いません。

一つ目は選抜区分の名前です。文部科学省の実施要項は評価方法を選抜区分ごとに決めるとしているので、同じ大学・同じ学部でも、前期日程と後期日程で共通テストの配点が違うことがあります。出願を考えている区分の行だけを抜き出します。

二つ目は、共通テストの欄の教科・科目と、教科ごとの配点です。合計の数字(たとえば500)だけを見て全体を一律に割ると、後の節で取り上げる思い込みにはまります。教科ごとの数字を一つずつ写します。満点の側は、自分の受験票で登録した教科と、地歴公民・理科の科目数を見て決めます。

三つ目は英語の行です。リーディングとリスニングが一つの数字で書かれているか、二つに分かれているかを見ます。分かれていれば、自己採点もリーディングとリスニングを別々に置きます。英語の中の比の読み方は、特集「共通テストの細かい疑問」の『共通テスト英語の配点—リーディング100点とリスニング100点、大問ごとの点と大学ごとの比率』も読んでください。

四つ目は、地歴公民か理科を2科目受けた人の扱いです。令和9年度の受験案内のF4は、大学が1科目だけの得点を使う場合、第1解答科目の得点を優先して使うことがあるとしています。募集要項が2科目のうちどちらの点を使うと書いているかで、表に入れる点が変わります。書き方からどちらとも読めるときは、大学の窓口に聞きます。

五つ目は国語の分野です。大学が国語の特定の分野を使うと指定した場合、センターは国語の得点とは別に、近代以降の文章と古典の分野別の得点も出します。指定があれば、自己採点も近代以降の文章(110点)と古典(90点)に分けて置きます。

六つ目は、個別学力検査の欄と合否の決め方の文です。個別学力検査の教科と配点を写し、共通テストの換算点と足した総点で判定するのか、共通テストを一定の水準に達しているかの判定に使うのか、換算した点の端数をどう扱うかの記載があるかを読みます。

自分の側の材料も三つそろえます。問題冊子に書き込んだ自分の答え(問題冊子は試験の後に持ち帰れます)、各日の試験が全部終わった後にセンターのサイトに載るその日の科目の正解と配点、そして受験票です。もう一つ、得点調整を行うかどうかは2027年1月22日(金)に発表される予定で、行う場合は対象の科目の得点の換算表が出ます。対象になりうるのは地理歴史・公民・理科の決まった科目の間なので、その科目を受けた人は、この日に自分の点を置き直してから計算をやり直します。

共通テストの圧縮の計算方法—自己採点の夜から出願までの6つの手順

ここからは数字を入れて進めます。たとえば、ある選抜の配点の欄が、共通テストは国語200点を60点、地歴公民100点を30点、数学200点を140点、理科200点を140点、英語200点を100点、情報100点を30点で数えて合計500点、個別学力検査は数学250点・理科200点・英語150点で合計600点だったとします(計算のために作った配点です)。

手順1 自己採点の点を、配点の欄と同じ区切りで書く

1月17日(日)の夜、問題冊子に書いた答えをセンターの正解と照らし、点を教科ごとに一行ずつ書きます。英語はリーディングとリスニングを別の行に、国語は分野の指定があれば分野別に、地歴公民と理科は第1解答科目と第2解答科目を分けて書きます。合計の一行だけを書いて終わりにしないことが、この後の手順の土台です。

手順2 配点の欄の数字を、同じ行に写す

自己採点の右に「共通テストの満点」と「配点の欄の数字」の二列を足します。写したら、募集要項を見ずに表だけを声に出して読み、もう一度募集要項と照らします。前期日程の行に後期日程の数字を写していないかも、この時に見ます。

手順3 教科ごとに比を出し、自分の点に掛ける

比は「配点の欄の数字 ÷ 共通テストの満点」です。国語なら60 ÷ 200で0.3、数学なら140 ÷ 200で0.7。この比を自分の点に掛けたものが換算点です。表にすると次のようになります。

教科 満点 配点の欄 比 自己採点 換算点
国語 200 60 0.3 148 44.4
地歴公民 100 30 0.3 74 22.2
数学(2科目) 200 140 0.7 131 91.7
理科(2科目) 200 140 0.7 126 88.2
英語(リーディングとリスニング) 200 100 0.5 144 72.0
情報 100 30 0.3 69 20.7
合計 1000 500 — 692 339.2

もし配点の欄が英語をリーディング75点・リスニング25点のように分けて書いていれば、リーディング78点とリスニング66点をそれぞれ掛けて足します。78 × 0.75で58.5、66 × 0.25で16.5、合わせて75.0点です。同じ144点でも、英語を一つの数字で数える場合の72.0点とは3点ずれます。

手順4 合計して、個別学力検査の配点と並べる

換算点を足すと339.2点です。1000点満点の692点は割合にして69.2%でしたが、500点満点の339.2点は67.8%で、少し下がりました。この人は国語が得意で、比の大きい数学と理科がやや弱いので、比を掛けると目減りしたのです。個別学力検査の600点と合わせた総点は1100点で、共通テストの部分はそのうち500点、約45.5%に当たります。総点の中で、個別学力検査の数学だけで250点、約22.7%を占めることも、この時に書き添えておきます。

手順5 別の道で検算し、1月22日にもう一度計算する

検算は、別の道で同じ答えに戻れるかで確かめます。一つは逆算で、換算点を比で割ると自己採点に戻るか(91.7 ÷ 0.7で131)を行ごとに見ます。もう一つは、表を作った本人でない人が、電卓で上から計算し直すことです。保護者の方なら、お子さまの表にある配点の欄の数字が募集要項と同じかを、一行ずつ指で押さえて読み合わせるだけでも、写し間違いが見つかります。

計算し直す日は、図2のように三つあります。1月17日(日)の夜に自己採点の点で一度。1月22日(金)に得点調整の有無と段階表示の換算表が出たら(どちらも予定)、もう一度。そして国公立の出願の期間(1月25日(月)〜2月3日(水))に出願先を決める前に、もう一度です。募集要項は12月のうちに出ているので、自己採点の夜には手元にそろっているはずです。

図2 自己採点の夜から国公立の出願の終わりまで、計算し直す三つの日

手順6 1点の重さを書き出し、残りの日の使い方を決める

最後に、教科ごとの1点の重さを一行に並べます。この配点なら、国語・地歴公民・情報の1点は0.3点、英語の1点は0.5点、数学と理科の1点は0.7点、個別学力検査の1点は1点です。個別学力検査の1点は、共通テストの国語のおよそ3.3点分に当たります。共通テストの点は、自己採点が正しければもう動きません。ここから増やせるのは個別学力検査の600点の側だけです。この並びを見てから、前期日程(2027年2月25日(木)から)までの日々を、個別学力検査のどの教科の答案に使うかを決めます。

圧縮の比をめぐる思い込みを、文書の行で確かめ直す

一つ目は「センターが圧縮した点を大学に送っている」という思い込みです。令和9年度の共通テスト実施要項の14が挙げる提供の中身は、科目別の得点とその合計、段階表示、全体の平均点などで、大学の配点に直した点はありません。自分の点がいくつに換算されたかは、センターの成績のどこにも書かれず、自分で計算しない限り見えない数字です。

二つ目は「全体の比で一律に掛ければ足りる」という思い込みです。前の節の配点で、1000点満点で同じ708点を取った二人を比べます。国語172点・地歴公民86点・数学112点・理科118点・英語150点・情報70点の人と、国語120点・地歴公民66点・数学166点・理科156点・英語130点・情報70点の人です。全体を一律に半分にすると、どちらも354.0点。ところが教科ごとに掛けると、国語が得意な人は334.4点、数学が得意な人は367.2点になり、図3のように32.8点の差が開きます。個別学力検査の1点は1点のままなので、この32.8点は、二次の答案の32.8点分と同じ重さです。

図3 同じ708点でも、教科ごとの配点で換算点に32.8点の差が出る

三つ目は「共通テストの比が小さい選抜なら、共通テストの点は気にしなくてよい」という思い込みです。比が小さくても、1点が0点になるわけではありません。たとえば1000点満点を250点で数える選抜なら、共通テストの1点は0.25点として総点に残ります。文部科学省の実施要項が例に挙げる資格試験的な使い方なら、共通テストの点は総点の一部ではなく、一定の水準に届いているかを分ける線として働きます。第1段階選抜(いわゆる足切り)を行うかどうかとその基準も、大学が募集要項で決める事柄です(特集「共通テストの細かい疑問」の『共通テストの足切り(第1段階選抜)とは—いつ分かるか、どこに書いてあるか』も読んでください)。

四つ目は「去年の配点で計算しておけばよい」という思い込みです。前の年度の募集要項の配点が今年も同じとは限りません。令和9年度入試の募集要項は2026年12月15日(火)までに出るので、自己採点の夜に使うのはそちらの数字です。

確かめる先と聞き方

圧縮の計算に使う数字は、自己採点の表の外にあります。次の六か所で、配点の欄の読み方と換算の決まりを確かめます。

個別指導で確かめること

武蔵境の教室では、自己採点の表と募集要項の配点の欄の写しを机に並べ、教科ごとの比と換算点を生徒と講師が別々に計算して、答えが合うまで照らします。そのうえで個別学力検査の過去の答案を出してもらい、1点の重さが大きい教科の記述で、どの行の書き方が点を逃しているかを採点の跡から確かめます。二人の計算が一行でも食い違ったら、その行の配点を募集要項の現物に戻って読み直します。

まとめ

圧縮は、共通テストの点を小さく見せる仕掛けではなく、大学が教科ごとに掛ける比の呼び名にすぎません。その比を自己採点の表の右の列に書き込むと、692点という一つの数字が、数学の1点は0.7点、国語の1点は0.3点という重さの違いに分かれて並びます。配点の欄の二つの数字は、前期日程までの日々をどの教科の答案に注ぐかを決める物差しです。

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