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不登校の子が勉強を嫌がる、泣くとき—教科書を閉じる日と、次に開く日の決め方|武蔵野個別指導塾

プリントを広げて泣き出した日は、涙・止まった鉛筆・二度目の「無理」のどれかで閉じてかまいません。閉じた教材を箱へしまう手順と、次に開く日を見極める三つの合図を、今夜使える言葉と並べました。
勉強を始めたとたんに嫌がる日、泣き出す日は、その場で教科書を閉じてかまいません。閉じる目安は三つです。涙が出たとき、同じ問題を見たまま鉛筆が3分動かないとき、「無理」が二度出たとき。どれか一つが見えたら、その日はそこで終わりにします。泣いたまま続けると、その教材を見るたびに今日の涙を思い出す形が残りやすく、次に開く日がかえって遠のくからです。
次に開く日は、親がカレンダーで決めません。お子さまが閉じた教材のことを自分から口にする、といった合図を待ち、教科書とは別の入口から開きます。今夜の最初の一手は、閉じたプリントを親が箱にしまい、机の上を何もない状態に戻すことです。
よくあるのは、学校から届いた数学のプリントを、本人が自分で机に広げた夕方の場面です。「やってみる」と言ったのは本人で、親は台所から様子を見ていただけでした。1問目は正負の数の計算です。鉛筆を持って10秒ほどで手が止まり、そのまま鉛筆を置いて、声を出さずに泣き出す。親は「どうしたの」と言いかけて、その先の言葉が出てきません。本人も理由を言えないまま、プリントの余白に涙の跡が丸く残ります。
プリントを広げた瞬間、子供の側で起きていそうなこと
泣く理由は一つに決まりません。本人にもはっきりしないことがあり、親が「これが原因だ」と決めてしまうと、外れたときに引き返せなくなります。図1のように、1枚のプリントには、問題の中身のほかに四つのものが同時に乗ってきます。どれか一つのこともあれば、全部が重なっていることもあります。

一つ目は、できない自分を見る怖さです。休んでいる間、「たぶん、もうわからない」という予感を本人は抱えています。プリントを広げることは、その予感を紙の上で確かめることでもあります。解けないこと自体より、解けないと決まってしまう瞬間がこわい。しかも、親が見ている前でです。手が止まってから涙までが早いときは、この怖さが先に立っていることがあります。
二つ目は、教室の記憶です。学校のプリントには、見慣れた書式、学年とクラスと名前の欄、先生の手書きの字があります。紙の形そのものが、教室の椅子の固さやチャイムの音を連れてくることがあります。そのとき本人が嫌がっているのは計算なのか、学校を思い出すことなのか、本人にも区別がつきません。同じ単元でも、親が手で書き写した問題なら鉛筆の動く日があるのは、このためです。
三つ目は、残りの量が見えることです。1枚目の下に束が透けて見える。教科書を開けば、進んでいないページの厚みが指に伝わる。本人は1問目を読みながら、頭の中で「これを全部」と掛け算をしています。1問の難しさではなく、終わりの見えない量に押されて泣いている場合、問題を易しくしても涙は止まりません。
四つ目は、「やると言ったのに」という自分への失望です。自分から出したプリントほど、できなかったときの落ち込みが深くなります。親を喜ばせたかった気持ちも、そこに混ざっています。泣いたあとで本人が謝ってくるなら、勉強そのものより、自分との約束を守れなかったことのほうがこたえている様子です。
四つのどれなのかを、泣いているその場で聞き出す必要はありません。親が見ておくのは三つだけです。机の上に何があったか。広げてから何秒、何分で手が止まったか。それが何問目か。理由の見当は、それが何回分か集まってからで間に合います。
家でできる手順—閉じる基準から、次に開く日まで
手順は、次に机に向かう前の準備から、泣いた瞬間、次に開く日までを一続きで組みます。全体の流れは図2のとおりです。
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次に机に向かう日より前に、閉じる基準を決めておきます。涙が出た。同じ問題を見たまま鉛筆が3分動かない。「無理」「わからない」が二度出た。この三つのどれか一つで閉じます。基準を先に決めておくのは、その場で親が「もう少しいけるか」を量ると、迷いが顔に出て、本人がその迷いを読み取るからです。基準は本人にも伝えます。慣れてくると、本人が自分から「今日は閉じる」と言えるようになり、閉じることが自分で選んだ行動に変わります。あわせて、ふたのある箱かA4の入る引き出しを一つ、親のメモ用の小さなノートを1冊、入口に使う材料(時刻表、料理の手順、家電の説明書など家にある物)を用意しておきます。
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泣き出したら、まず親が手を止めます。火を使っていれば止め、スマートフォンは伏せます。真横や背中側に立たず、斜め向かいの椅子に座ると、本人は見下ろされている感じを持たずに済みます。かける言葉は「今日はここまでにしよう」の一つだけにします。「どうしたの」「どこがわからないの」は、この時点では聞きません。泣いている最中に理由を言葉にするのは、大人でも難しいことです。
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閉じたら、プリントは親が片付けます。書きかけの答えは消させません。折らずにクリアファイルへ入れ、用意した箱にしまう。置き場所は、本人の部屋や食卓の外が向いています。涙でぬれた紙は、乾かしてからしまいます。机の上に何も残さず、いつもの夕方の机に戻すところまでが「閉じる」です。
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その夜は、勉強の話を出しません。夕食も寝る時刻も、いつもどおりにします。泣いた日だからといって好物を並べたり、急に優しい声を作ったりすると、本人は「大ごとにしてしまった」と受け取ります。
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親のメモに1行だけ残します。日付、時刻、机の上にあった物、何問目で止まったか、三つの基準のどれで閉じたか。本人には見せません。3回分ほどたまると、形が見えてきます。夕方の学校のプリントでだけ泣くなら、紙の形や時刻のほうが重い。教科書でも親の手書きでも同じ単元で止まるなら、中身のつまずきが重い。どちらなのかで、次に用意する入口が変わります。
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次に開く日そのものではなく、合図を確かめる「見直す日」を親が決めておきます。閉じた日から3日後を最初の見直す日にし、その日に合図が出ているかを見ます。合図は三つです。お子さまが閉じた教材のことを自分から口にする(「あのプリント、どこにある」)。勉強とは別の場面で、文字や数を自分から使う(買い物の合計を先に言う、遊びの手順書を読み込む)。「数学と、料理の分量の計算と、どっちならやれそう」と二択を出すと、どちらかを選べる。どれも見えなければ、開かずに見直す日を3日先へ延ばします。
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開く日は、入口を変えます。最初から教科書や学校のプリントに戻らず、読む・話す・作るのどれかから入ります。読む入口は、料理の手順や電車の時刻表、家電の説明書のように、教科書の形をしていない文章です。話す入口は、本人が見た動画や読んだ本の中身を親に説明してもらうことで、問題を出すのは親ではなく本人の側にします。作る入口は、夕食の材料を人数に合わせて直す、週末の買い物の予算表を作る、部屋の家具の寸法を測って図にする、といった手を動かすものです。
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入口で使った数を、教科書の1問へ渡します。予算表で「残りがマイナス300円」と書けたなら、正負の数の足し算を1問だけ、親が先に選んでおきます。本人が入口でできたことと同じ形の問題です。始める前に「7時半になったら終わり」と終わりの時刻を言い、閉じる基準も前と同じだと伝えます。

図2の流れで言えば、合図が出たら別の入口で開き、出なければ見直す日へ戻るだけです。開いた日にまた涙が出たときも、基準どおりに閉じて見直す日へ戻ります。それは失敗ではなく、入口がまだ合っていないという知らせなので、メモに1行足し、次は入口の種類を一つずらします。
言葉と場面の例
泣いた場面で親の口から出やすい言葉と、その言い換えを五つ並べます。言い換えの側は、どれも短くしてあります。
- 「泣くほど難しくないでしょう」→「難しく感じたんだね。紙は私が預かるね」。難しさを親が決めると、本人が感じた重さを打ち消すことになります。片付けを親が引き受ければ、本人は散らかった机の前に一人で残らずに済みます。
- 「あと1問だけやってみよう」→「プリントを自分で出せた。今日はそこまでで十分」。「あと1問」は、終わりを親の都合で動かす言い方です。終わりが動く家では、本人は次から始めること自体を避けるようになります。
- 「何がわからないのか言ってごらん」→(その場では言わず、翌日の昼に)「昨日のプリント、どの辺りで手が止まったか、指でさすだけでいいよ」。泣いている最中に理由を言わせるより、翌日に指でさす形にすれば、言葉にしなくても止まった場所が親に伝わります。
- 「いつになったらやるの」→「木曜日に、続きをどうするか相談させて」。開く日を迫るのではなく、相談する日を決めます。相談の日に「まだ閉じておく」を選んでもよいことも、一緒に伝えます。
- 「学校のみんなは、もうずっと先だよ」→「学校の進み方は、先生に聞いておくね」。比べるための情報は親が引き取ります。本人の机には、本人の1問だけを置きます。
場面も一つ書いておきます。見直す日の夕方、本人が「あのプリント、まだある」と聞いてきたとします。親は「あるよ。箱の中」とだけ答え、すぐには出しません。代わりに「今夜の鍋、4人分の材料をお客さんが来る日の6人分に直したいんだけど、手伝える」と、作る入口を差し出します。白菜と豆腐を1.5倍にする計算ができたら、その日はそこで終わりです。プリントの1問目に戻るのは、翌日でかまいません。本人から出た「あのプリント」という一言を、親がその日のうちに使い切らないことが、次の合図を呼びます。
やりがちな三つのずれ
図3に、泣いた日に親がやりがちな三つのずれと、その直し方を並べます。どれも心配から出る動きなので、やめるより向きを変えるほうが続きます。

一つ目は、泣き止んだら続き、とすることです。涙が止まると、親はほっとして「じゃあ、さっきの続きを」と言いたくなります。けれど、涙が止まったことと怖さが消えたことは別です。泣き止んだ直後に再開すると、本人には「泣いても結局やらされる」という覚え方が残ります。直し方は、泣き止んでもその日は閉じたままにすることです。閉じる基準は、一度出たら取り消しません。
二つ目は、その場で易しくすることです。難しすぎたのだと考えて、1学年前の問題や答えの見える問題に差し替え、同じ時間のうちに続けさせる。親の気づかいですが、本人は「易しいのしかできないと思われた」と受け取ることがあります。易しい物を用意すること自体はずれていません。ずれているのは出す日です。直し方は、易しい物は次の日へ回し、開く日のために箱の横に置いておくことです。
三つ目は、机に出しっぱなしにすることです。閉じたはずのプリントが机や食卓に残っていると、本人は毎日それを横目で見て過ごします。閉じた時間を、家の中で毎日思い出させる形です。直し方は、箱へしまい、開く日に出すのは1枚だけにすることです。束で出すと、泣く理由の三つ目に挙げた残りの量が、また一度に見えてしまいます。
よくある質問
泣くたびに閉じていたら、勉強しない日がずっと続きませんか
続くことはあります。ただ、閉じる日が続くのは手順のどこかが合っていないという知らせで、お子さまが怠けている証拠ではありません。見直す日を3回延ばしても合図が出ないときは、入口の種類を変えます。読む入口で動かなかったなら、話す入口か作る入口へ。それでも机に向かえない日が続くなら、家の中だけで抱えず、次の節の相談先へ持っていきます。遅れの量を数えるのは、泣かずに1問へ向かえる日が戻ってからで間に合います。
「勉強が怖い」「辛い」と言われたら、何と返せばいいですか
「怖くないよ」「辛くても今やらないと」と打ち消さずに、言葉をそのまま受け取ります。「怖いって言えたね。何が怖いかは、言えるときでいい」と返し、それ以上は聞きません。怖い、辛いと口にできたこと自体が、黙って泣くより一歩進んだ伝え方です。後で本人が「教室っぽい紙がいや」「全部終わらない気がする」と付け足してきたら、親のメモに書き、次の入口を選ぶ材料にします。
泣く日が増えて、眠れない、食べられない様子も出てきたら、どうすればいいですか
そこまで来たら、勉強の手順の話ではなくなっています。教材はいったん全部閉じ、学校の担任かスクールカウンセラーに家での様子を伝えてください。眠りや食事の乱れが続くなら、医療機関に相談します。「消えたい」のような言葉が出たときは、様子を見ずに、その日のうちに相談します。夜中や休日で学校に連絡がつかないときは、東京都教育相談センターへ。電話は昼夜を問わず受け付けています。
学校と相談先で確かめること
学校には、親のメモを持って相談します。担任にそのまま聞ける質問を並べます。
- 家に届くプリントを、束ではなく1枚ずつ渡してもらえるか
- 提出の期限を、いまの本人に合わせて延ばしたり、量を減らしたりできるか
- 学校の書式ではない形の問題(先生が手で書いた1問など)を届けてもらえるか
- 担任との連絡を、電話・連絡帳・保護者だけの面談のどれにすると本人の負担が軽いか
- スクールカウンセラーの来校日はいつか、親だけの面談も頼めるか
学校の外の窓口として、武蔵野市の教育支援センターがあります。子育てや学校生活の悩みを聞いてもらえる場所で、先に電話で予約を入れてから出向きます。家庭を訪ねて話を聞き、市の窓口や関係機関へつなぐのは、市のスクールソーシャルワーカーです。市の教育支援課は、不登校をテーマにした保護者の集い(講演会と意見交換会)も開いています。都の窓口は東京都教育相談センターで、1回ごとの相談として話を聞いてもらえます。三鷹市や小金井市など、武蔵野市の外に住む家庭は、それぞれの市の教育委員会にある教育相談の窓口が入口になります。体の不調が続くときの相談先は、医療機関です。
個別指導で確かめること
1対1の授業でも、泣いた場面のあとは家と同じ基準で閉じます。そのうえで確かめるのは、鉛筆がどこで止まったかです。問題文を読み終える前か、式を立てたところか、計算の途中か。止まった位置によって、怖さが先に来ているのか、中身のつまずきなのかの見当が変わります。
学校の書式が重いようなら、講師がホワイトボードに手で書いた1問から始め、入口で本人が使った数(予算表のマイナスなど)と同じ形にそろえます。授業の終わりには、次に開く物を本人に一つ選んでもらいます。
まとめ
泣いた日に教科書を閉じるのは、勉強から逃がすことではありません。閉じる基準を三つに決め、箱にしまい、見直す日に合図を見て、別の入口から開く。この順番があれば、閉じた日も、次に開く日への準備の一日になります。今夜は、三つの基準を紙に書き、ふたのある箱を一つ用意するところまでで足ります。閉じた教科書は、親が次の日のために預かっている一冊です。
「落ち着いている」は、「学んでいる」ではない。
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