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起立性調節障害で不登校の子の勉強—朝に机へ向かえない日の時間割と学校への相談|武蔵野個別指導塾

午後・夕方・夜に15〜20分の枠を三つ置き、2週間の体調の記録で1日の量を決める組み方から、遅れての登校や別室、課題の期限を担任に聞く質問まで、面談の日にそのまま持っていけます。
朝に机へ向かえない日の勉強は、学校の時間割に合わせず、その日に起きた時刻から数える家の時間割で組みます。午後・夕方・夜に15〜20分の短い枠を三つ用意しておき、どの枠を使うかはその日の体調を見て本人が選びます。1日に何時間やるかは先に決めず、2週間の体調の記録から「次の日も崩れなかった長さ」に合わせます。学校には遅れての登校、別室、課題の出し方と期限の三つを相談し、受診している医療機関から指示があれば、それをいちばん先に置いてください。今夜できる最初の一手は、冷蔵庫に記録の紙を1枚貼ることです。
よくあるのは、午後2時にようやく起き上がった中2が、居間のカーテンを開ける場面です。朝7時から三度声をかけ、昼にはもう声をかけるのもやめていた。差し込んだ光の中で、本人はソファに腰を下ろしたまま、しばらく動きません。親の口から出かかるのは「今から勉強すれば、まだ間に合う」の一言です。けれど学校ではとうに午後の授業が進んでいて、家の時計まで学校の時刻で回しているかぎり、この子の一日は毎日「遅れた」から始まります。
朝に机へ向かえない日、家の中で起きていること
医療機関で起立性調節障害と言われたあとも、家の困りごとは「体のこと」と「勉強のこと」が絡み合ったまま残ります。体の仕組みや治し方は医師の領分です。ここでは、家で目に見えることだけを四つに分けて書きます。
動ける時刻が、学校の時刻とずれている
家で一日を見ていると、午前中はほとんど横になったままで、夕方になると口数が増え、夜には冗談も出る、という日があります。親の目には「夜は元気なのに」と映りますが、それは怠けの証拠ではなく、その子が動ける時刻の並びです。学校の時間割は朝に始まり、午後の半ばで終わります。動ける時刻がその後ろにずれていると、学校の一日と本人の一日は、ほとんど重なりません。図1のように、学校の時間割と家の時間割を一本の時刻の線の上に並べると、ずれの大きさが目で見えます。

図1の家の段は、午後2時に起きた日の例です。起きてすぐの1時間には枠を置かず、午後3時、夕方5時、夜8時に短い枠を一つずつ置いています。1枠は15〜20分です。三つ全部を使える日はそう多くありません。一つ使えれば、その日は勉強した日として数えます。
遅れを細かく知っているのは本人
学校を休んでいるあいだも、授業が自分抜きで進んでいることを、本人は親より細かく知っていることがあります。友だちから届く連絡、学校の端末に並ぶ課題の通知、教科書に貼ったままの付箋の位置。勉強の話を避けるのは関心がないからではなく、教科書を開いた瞬間に遅れの量が目に飛び込むから、ということがあります。家の時間割の最初の役目は、遅れを全部見せることではなく、今日の1枠の中だけを見せることです。
調子のよい日にやりすぎて、次の日に崩れる
二日続けて昼前に起きられると、本人も親も「今日こそ」と思います。午後から夜まで3時間机に向かい、翌日はまた夕方まで起き上がれない。この並びが繰り返されると、本人の中に「勉強すると次の日がつぶれる」という結びつきができてしまいます。要るのは、やる気を引き出す言葉ではありません。調子のよい日にも超えない上限です。
起きられない日と、開かない日が同じ形に見える
親から見ると、起き上がれない日と、起きていても教科書を開かない日が、同じ「勉強していない日」に見えます。どちらなのかを顔色や口調で当てようとすると、外れたときに親子の両方が傷つきます。見分けるのは推測ではなく記録の役目です。起きた時刻と横になっていた時間を書きためておけば、2週間後には、どの日に何ができたかが紙の上に並びます。
家でできる手順
手順は八つあります。最初の2週間は、記録をとるだけで終わってかまいません。1日の枠の数を決めるのは、そのあとです。
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今夜、冷蔵庫に記録の紙を1枚貼ります。A4の紙に14日分の行を作り、列は「起きた時刻」「横になっていた時間」「机に向かった分」「ひとこと」の四つにします。書くのは本人でも親でもよく、本人が書けない日は親が代わりに書きます。点数や評価の欄は作りません。受診している医療機関から記録の様式を渡されているなら、新しい紙は作らず、その様式の余白に「机に向かった分」の列だけを足してください。
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起きてすぐの1時間は、枠にしません。起きた直後は、顔を洗い、何か口に入れ、着替えるだけで手一杯の時間です。そこへ勉強を重ねると、起きることと勉強がひとつながりになり、朝の一歩がさらに重くなります。家の時間割は、起きた時刻に1時間を足した時刻から始めます。
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午後・夕方・夜に、15〜20分の枠を三つ置きます。たとえば午後の枠を3時ごろ、夕方の枠を5時ごろ、夜の枠を8時ごろにします。時刻は家の暮らしに合わせて動かしてよく、決めておくのは「三つある」ことと「一つひとつが短い」ことだけです。夜の枠は、医療機関から寝る時刻について話があればそれより早く終え、話がなくても寝る前の1時間には入れません。夜に元気が出る日ほど、ここを守ります。
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使う枠は、その日にお子さまが選びます。起きてきたら、記録の紙の前で「今日はどの枠にする」と一つだけ聞きます。答えが「夜」でも「なし」でもかまいません。「なし」の日は、机に向かった分の欄に0と書き、ひとことの欄に本人の言葉を一つ書けば、その日の記録は終わりです。「全部」と答えた日も、まず一つ目の枠だけを始め、二つ目を使うかは一つ目が終わってから決めます。親が枠を指定しないのは、自分で選んだ枠なら、守れなかった日も自分の言葉で振り返れるからです。
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1枠の中身は、前の晩のうちに机へ置いておきます。枠が始まってから「何をやろう」と考えると、それだけで15分が過ぎてしまいます。クリアファイル1枚に1枠分を入れ、教科書の今日のページに付箋を一枚、プリントを1枚、終わったら書く小さな紙を一枚、と中身を決めておきます。科目は重さで分け、新しい単元の数学や英文法のような重い物は午後の枠に、漢字や英単語、教科書の音読のような軽い物は夜の枠に回します。夕方の枠はその中間で、前に習った単元の解き直しが合います。
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記録を2週間つけたら、1日の枠の数を決めます。机に向かえた日のうち、次の日もいつもと同じくらいの時刻に起きられた日、つまり崩れなかった日を見て、その日に丸をつけます。丸のついた日の「机に向かった分」を並べ、いちばん短い方に合わせて最初の1日の量にします。並びが20分・35分・40分なら、最初は20分、つまり1枠です。図2のように、それが1週間続いたら1枠足し、崩れたら1枠戻します。崩れた日は失敗として数えず、「上限が1枠多かった」という手がかりとして紙に残します。

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調子のよい日も、決めた枠の数に1枠足したところで止めます。遅れを取り戻したくなる気持ちは自然ですが、上限を超えた分は、次の日の分を前借りすることになりがちです。上限に来たら、プリントの途中でも手を止め、「続きはここから」と付箋に書いて閉じます。途中で止めた物が机に残っていると、次の枠の始まりが軽くなります。
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週に1度、5分だけ記録を一緒に見ます。日曜の夕方など、お子さまが起きている時刻を選びます。見るのは崩れた日ではなく、丸のついた日の並びです。見終わったら紙をスマートフォンで撮り、学校や医療機関に持っていく分として残しておきます。写真にしておけば、担任と話す日に紙を忘れても、画面でそのまま見せられます。
言葉と場面の例
起きてきた直後と、机に向かう前後の言葉は、短いぶん子供の耳に強く残ります。言いがちな言葉を五つ、言い換えと一緒に並べます。
「もうお昼過ぎだよ」は、「起きたね。今日はどの枠にする」に変えます。時刻を告げる言葉は、本人がいちばんわかっている遅れを、もう一度確かめさせるだけです。起きてきたことをまず受け取り、そのあとに選ぶ問いを一つ置くと、会話が「遅い」から「次」へ移ります。
「昨日はあんなにできたのに」は、「昨日の40分、記録に書いておいたよ」に変えます。比べる言葉は、調子の悪い今日の自分を、昨日の自分で責める形になります。昨日の分を紙に残したと伝えれば、できた日が消えずに積み上がっていることが本人に伝わります。
「夜は元気なんだから、夜にまとめてやれば」は、「夜の枠は20分で閉じよう。続きは明日の午後に回そう」に変えます。夜に詰めると寝る時刻が後ろへずれ、次の日に起きる時刻もずれていきます。閉じる時刻を親が先に口にしておくと、本人は「止められた」のではなく「決めたとおりに終えた」と受け取れます。
「先生に何て説明すればいいの」と本人にこぼしてしまいそうなときは、「先生には記録の紙を見せるね。書かないでおきたい所はある」と聞きます。親の不安をそのまま本人に預けると、学校への相談が本人の宿題になってしまいます。持っていく物を記録の紙に決め、見せたくない欄を本人に選ばせれば、相談は親の役目のまま、本人の気持ちも守れます。
「みんなもう期末の勉強してるよ」は、「範囲表、先生からもらっておくね。どこから手をつけるかは週末に決めよう」に変えます。周りの進み具合は、本人がいちばん気にしていることです。範囲表を取りに行く役は親が持ち、どこから始めるかを選ぶ役は本人に残します。
やりがちな三つのずれ
どれも、お子さまを思うからこそ出る動きです。ずれる所と直し方を、三つ並べます。
学校の時刻に合わせる
朝8時に起こして9時から机へ、という学校の一日を家で再現しようとすると、毎朝「できなかった」から一日が始まります。ずれているのは本人の頑張りではなく、時間割の基準の置き方です。直し方は、時間割の始まりを時計の時刻から外し、起きた時刻から数えることです。起きた時刻に1時間を足した所が、その日の一つ目の枠の始まりになります。
調子のよい日に取り戻そうとする
調子のよい日が二日続くと、遅れた単元をまとめて片づけたくなります。けれど上限を超えた日のあとに崩れると、記録の上では「よい日」と「崩れた日」が交互に並び、どの長さなら続くのかが読めなくなります。直し方は上限を守ることで、決めた枠の数に1枠足した所を天井にし、それを親子で紙に書いておきます。
学校への相談を先送りする
「起きられるようになってから相談しよう」と待つあいだにも、課題の締切や定期テストの日程は進みます。相談が遅れると、選べる手立てが少なくなってから話すことになりかねません。直し方は、記録を持って相談することで、2週間分がそろった時点で担任と話す日を今月のうちに決めます。図3に、三つのずれと直し方を並べました。

よくある質問
不登校のあいだ、1日に何時間勉強すればいいですか
時間で決めると、起きられなかった日はすべて「足りない日」になってしまいます。決めるのは何時間ではなく何枠で、最初の量は2週間の記録の中で崩れなかった長さに合わせます。1枠15〜20分から始め、1週間続くたびに1枠ずつ足していけば、何時間までやれるかは本人の記録が教えてくれます。学校の授業の長さに追いつくことを目当てにしない方が、机に向かう日は途切れにくくなります。
起きられない日は、勉強を全部休んでいいですか
休んでかまいません。その日は勉強の日ではなく、記録を書く日にします。起きた時刻と、ひとことの欄だけを埋めれば、紙の上で一日がつながります。受診している医療機関から休むように言われている時期なら、勉強の枠は置かず、記録だけを続けてください。
家での勉強は、学校の出席や成績に入りますか
家での学習を出席として扱えるかどうかは在籍している学校の校長が判断し、欠席中の学習を成績で考えに入れるかどうかも、要件に照らして学校が決めます。記録の紙を持って、担任に「家での学習を、学校ではどう扱えますか」と最初に聞いてください。高校生の場合は単位の扱いも学校ごとに違うので、同じ紙を持って早めに聞いておきます。
学校と相談先で確かめること
担任と話す日は、2週間分の記録の紙と、学校から届いている課題の一覧を持っていきます。そのまま聞ける質問は次のとおりです。
- 遅れて登校する日は、何時から入れますか。入るときの入口と、最初に行く場所はどこですか。
- 教室に入れない日に、相談室や保健室のような過ごせる場所はありますか。そこでは何をして過ごせますか。
- 課題は紙と学校の端末のどちらで受け取れますか。期限を延ばすことや、量を減らすことは相談できますか。
- 定期テストを、別の部屋や別の時刻で受けることは相談できますか。
- 受診している医療機関から学校へ伝えたいことがあるとき、どの先生に、どんな形で渡せばよいですか。
同じ紙は、保健室の先生(養護教諭)やスクールカウンセラーに見せてもかまいません。スクールカウンセラーが来る曜日は学校ごとなので、担任に聞いておきます。文部科学省も令和元年の通知で、登校してきた子が図書館や相談室、保健室といった教室の外の場所を足がかりに、少しずつ学校の生活に慣れていけるよう工夫することを学校に求めています。
学校の外では、武蔵野市にお住まいなら、予約制で親子の相談を受ける教育支援センターがあり、家庭と市の窓口をつなぐ役としてスクールソーシャルワーカーが市役所5階の教育支援課にいます。都の窓口には東京都教育相談センターがあります。武蔵野市の外にお住まいなら、その市の教育委員会が置く教育相談の窓口が同じ役を持っています。体調そのものの相談は、学校でも市でもなく、受診している医療機関へ持っていきます。
個別指導で確かめること
1対1の授業では、最初に学校の時間割ではなく記録の紙を見せてもらい、その子が動きやすい時刻と、1枠でやり切れる量を確かめます。そのうえで、教科書の目次のどこまでが授業で済んでいて、どこから先が止まっているかを、短い問題を解いてもらいながら一緒に確かめます。家の時間割で決めた上限は授業の日にもそのまま守り、体調が崩れた日の連絡の仕方も、始める前に親子と決めておきます。
まとめ
学校へは記録の紙を持って今月のうちに相談し、体のことは受診している医療機関の言葉をいちばん先に置きます。そのうえで家の物差しを、朝8時から数えるものから、起きた時刻から数えるものへ持ち替えてください。丸のついた日が紙の上に並びはじめたら、午後2時に開くカーテンは、遅れの始まりではなく、今日の一つ目の枠の合図です。
「落ち着いている」は、「学んでいる」ではない。
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