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都立高校の倍率の読み方—応募倍率、受検倍率、実質倍率はどこが違うか|武蔵野個別指導塾

2月8日夜の応募倍率は、取下げと不受検でまだ動く数です。受検倍率は受検人員÷募集人員、実質倍率は受検人員÷合格人員。表が載る日と例の計算を見て、割り算の下の数から読んでください。
都立高校の倍率は、割り算の上と下に置く人数で名前が変わります。応募倍率・最終応募倍率・受検倍率の3つは「募集人員」で割り、実質倍率だけが「合格人員」で割ります。令和9年度入試(2027年4月入学)で、それぞれの数が東京都教育委員会(都教委)のサイトに出る時期と並べると、次の表のとおりです。
| 倍率の名前 | 割り算 | 載る表 | 令和9年度に出る時期 |
|---|---|---|---|
| 応募倍率(推薦) | 応募人員÷募集人員 | 推薦の応募状況 | 1月20日(水)の夜 |
| 応募倍率(第一次募集) | 応募人員÷募集人員 | 第一次募集の応募状況 | 2月8日(月)の夜 |
| 最終応募倍率 | 最終応募人員÷募集人員 | 志願変更のあとの応募状況 | 2月12日(金)の夜 |
| 受検倍率 | 受検人員÷募集人員 | 受検状況 | 学力検査(2月21日(日))のあと |
| 実質倍率 | 受検人員÷合格人員 | 合格状況 | 合格発表(3月1日(月))のあと |
応募状況と志願変更のあとの状況は都教委のサイトで公表され、都立高校の校内に貼り出されることはありません。どの表を開いても、まず割り算の下に何が置かれているかを見てください。
よくあるのは、2月8日の夜、夕食の片づけが終わった台所でスマホの応募状況の表を開いた中3が、志望校の行の「1.40」で指を止める場面です。一つ上の行の学校は1.18。「10人のうち3人は落ちるってこと」とつぶやいたきり、開いていた問題集のページはめくられません。入学願書の取下げの受付は2月10日(水)の朝9時から。迷っていられる時間は丸一日と少しです。けれどもその1.40は、3月の合格発表のあとまでに、あと3回、別の名前の数に置き換わります。
5つの人数と4つの倍率—まず割る数を見る
都教委の表に並ぶ人数は5つです。募集人員はその募集で取る予定の人数、応募人員は出願を済ませた人数、最終応募人員は志願変更(入学願書の取下げと再提出)が終わったあとの人数です。受検人員は検査の日に実際に受けた人数で、最終応募人員から受けなかった人(不受検人員)を引いた数になります。合格人員は合格した人数。図1のように、人数は出願から合格まで左から右へ流れていき、4つの倍率はその途中の人数を割り算した数です。

令和8年度の受検状況の総括表は、欄の見出しに「受検倍率(C/A)」「不受検人員(B-C)」と、割り算と引き算をそのまま書いています。Aが募集人員、Bが最終応募人員、Cが受検人員です。ところが合格状況の総括表の「実質倍率(B/C)」では、Bが受検人員、Cが合格人員を指します。同じBとCが表によって別の人数になるので、記号ではなく欄の名前で読むのが確実です。応募倍率と最終応募倍率の欄には式が添えられていませんが、表の応募人員を募集人員で割ると、載っている数と一致します。どの倍率も小数第2位までの数で載ります。
たとえば、募集人員が200人の架空の学校で考えます(実在の学校の数ではありません。この先の例も同じです)。2月8日の応募人員が280人なら、応募倍率は280÷200で1.40。2月10日に18人が取り下げ、2月12日に別の学校から6人が出し直してくると、最終応募人員は268人で、最終応募倍率は1.34です。2月21日の検査を16人が受けなければ受検人員は252人、受検倍率は1.26。合格人員が208人なら、実質倍率は252÷208で1.21になります。同じ学校の同じ年に、1.40から1.21まで4つの数が並ぶわけです。
この例で合格しないのは、252人から208人を引いた44人です。受けた人の約17%で、冒頭の「10人に3人」は2月8日の1.40だけから割り出した見積もりにすぎず、実際に落ちる割合は6人に1人より少し多いくらいにとどまっています。もちろん逆の動きもあります。取下げより再提出が多い学校では、最終応募倍率は2月8日の数より上がりますし、受けない人が少なければ受検倍率もあまり下がりません。
第一次募集の「募集人員」は、推薦の手続が済んでから決まる
都教委は2026年10月8日に、令和9年度の都立高校の第一学年の募集人員を発表しました。ただ、2月8日の応募状況に載る第一次募集の募集人員は、推薦を行う学校ではその数より小さくなります。令和8年度の第一次募集の応募状況の表の注には、推薦の入学手続者のほか、連携型の入学手続者や在京外国人生徒等対象の枠など、別の道で入る人数を除いた数だと書かれています。都教委の令和9年度の実施要綱も、推薦で入学手続を済ませた人の数を除いた募集人員の分だけ、第一次の合格候補者を総合成績の順に決めるとしています。推薦の入学手続は2月2日(火)と3日(水)の2日間なので、第一次の分母はそれが済んでからやっと固まります。
たとえば、募集人員が全体で240人、推薦の枠が20%の学校なら、推薦の募集人員は48人です。ほかに除く枠の無い学校で、推薦の入学手続者が48人なら、第一次の募集人員は192人。推薦の手続者が46人にとどまれば194人になり、その2人分は第一次の側へ回ります。
推薦の応募倍率は、この48人で割った数です。分母が小さいので、応募者が5人増えるだけで、120人の2.50が125人の2.60へ動きます。同じ5人が第一次の192人の学校に加わっても、260人の1.35が265人の1.38になる程度です。推薦の2点台と第一次の1点台を並べて「推薦は倍率が高いから無理」と見比べるのは、分母の大きさが4倍違う数どうしを比べていることになります。
推薦の表には、もう一つ読み方の癖があります。令和8年度の推薦の合格発表の総括表の注は、募集人員・応募人員・受検人員を一般推薦と文化・スポーツ等特別推薦、理数等特別推薦の合計とし、合格人員についてだけ三つの推薦の間で重なりが無いと断っています。同じ学校の特別推薦と一般推薦には同時に出願できるので、両方に出した人は、応募人員の側では両方に数えられていると読むのが自然です。特別推薦を行う学校の推薦の応募倍率は、出願した人の頭数より大きめに出る場合がある、と覚えておくと読み違えません。
受検倍率と実質倍率—合格人員は募集人員と同じとは限らない
受検倍率と実質倍率は、上に置く数がどちらも受検人員で、違うのは下だけです。下が募集人員なら受検倍率、合格人員なら実質倍率。合格人員が募集人員とぴったり同じなら二つの倍率は一致しますが、都教委の令和9年度の実施要綱は、第一次の合格候補者の数を「入学手続者数が募集人員に対して過不足のないよう、適切に決定する」と定めています。合格しても私立や国立の高校へ進んで手続をしない人がいれば、その分だけ入学する人は減ります。そこを見込んで募集人員より多く合格を出す学校では、合格人員が募集人員を上回り、実質倍率は受検倍率より小さく出ます。反対に、受けた人が募集人員に届かない学校では、合格人員も募集人員より少なくなります。
先ほどの例に戻ります。募集人員200人の学校で受検人員が252人、合格人員が208人なら、受検倍率は252÷200で1.26、実質倍率は252÷208で1.21です。図2のように、上に置く252人は同じままで、下の数が8人違うだけで、表に載る二つの倍率に0.05の差が出ます。

志望校の実質倍率を前の年の表で調べるときは、一手間かかります。令和8年度の学校ごとの合格発表の表は、普通科も専門学科も、募集人員・受検人員・合格人員の3つの欄だけで、実質倍率の欄はありません。実質倍率の欄があるのは、学科ごとにまとめた総括表のほうです。学校ごとの受検状況の表には受検倍率が載っているので、そこに受検人員を合格人員で割った数を自分で書き添え、合格人員と募集人員の差も並べてみてください。その学校がどのくらい多めに合格を出したのかが、数字で見えてきます。発表のあとに出る入学手続状況の表では、学校ごとに募集人員と入学手続人員が並び、総括表には過不足の欄もあります。入学手続をした人が足りなかった学校は、第二次募集の候補になります。第二次募集を行う学校は、3月2日(火)の夜に都教委のサイトに載ります。
同じ1.30でも、合格の難しさは同じではない
倍率が同じなら難しさも同じ、とは言えない理由が3つあり、その先に、倍率を比べるときの読み違いがもう一つ待っています。
一つ目は分母の大きさです。たとえば募集人員40人の学科と320人の学校が、どちらも受検倍率1.30だったとします。受けた人は52人と416人で、合格人員が募集人員と同じなら、合格しない人は12人と96人です。そこへ受検者が4人増えると、40人の学科は56人で1.40に上がり、320人の学校は420人で1.31にしか動きません。小さな学科やコースでは、数人の出入りで倍率が大きく跳ねます。前の年の倍率が高かった、低かったという話は、小さな学科ほど当てにしにくいのです。
二つ目は、倍率が人数の比でしかないことです。都教委の応募・受検・合格の表には、点数の欄が一つもありません。同じ1.30でも、合格の線のすぐ上と下に人が詰まっている年もあれば、上と下が大きく離れている年もありえます。どちらなのかは、表からは読めません。自分の点が合格する人たちの中のどのあたりにあるのかは、倍率をいくら眺めても出てこないのです。
三つ目は、測っている物差しの違いです。推薦は調査書点と面接、小論文や作文などを合わせた総合成績の順で決まり、第一次募集は学力検査と調査書点を原則7対3で合わせた1000点に、ESAT-Jの20点を足した1020点で決まります。推薦の1.30と第一次の1.30は、別の競技の記録を一つの表に並べているようなもので、高い低いを比べても意味がありません。
そして読み違いのほうは、種類の違う倍率を並べてしまうことです。前の年の実質倍率と今年の2月8日の応募倍率を並べて「上がった」と慌てるのは、身長と座高を比べるようなものです。たとえば前の年の実質倍率が1.20だった学校で、今年の2月8日の応募倍率が1.35と出たとします。これだけでは何も言えません。前の年の2月の応募倍率が1.38だったなら、今年はむしろ少し下がっています。比べるなら、同じ時期に出た同じ名前の倍率どうしです。
倍率で志望校を決める前に、点で考える
倍率は、ほかの受検者がどう動いたかを数えた数です。自分で動かせるのは、1020点のうちの自分の点だけ。学力検査の素点は1.4倍して700点の尺度に直すので、5教科の合計で10点上げれば、総合得点は14点上がります。倍率の1.40と1.18の差を、こうした点に直す式はありません。
志願変更を考えるときに知っておきたいのは、判断の材料になる倍率が2月8日の応募倍率しかないことです。取下げは2月10日(水)、再提出は2月12日(金)の正午まで。最終応募倍率が都教委のサイトに出るのは同じ12日の夜で、そのときにはもう出し直しの受付は閉じています。2月8日の数を見て動く人がいれば、動いた先の倍率も上がります。数字を見て逃げた先が、逃げてきた人で混む。2月8日の倍率だけで学校を替えると、こういうことが起こりえます。
志望校を決める材料は、点の差と、その学校に行きたい理由の二つで足ります。今の総合得点の見込みと志望校の目安との差が何点あるのか、その差を2月21日(日)までに何点詰められるのか。倍率は、見込みが同じくらいの二校で迷ったときに、最後に見る数で十分です。学校ごとの配点や内申の目安は、塾のサイトの都立高校の入試の一覧にまとめてあります。
2月8日の夜にすることは三つだけです。志望校の行の募集人員と応募人員を書き写すこと、前の年の同じ2月の応募倍率と比べること、総合得点の見込みとの差を点で書き直すこと。この三つを済ませても気持ちが落ち着かなければ、翌朝、担任か進路の先生に話してください。取下げの受付は2月10日(水)の午後3時までですが、志願変更願は在学している中学校長の確認を経て出す決まりなので、相談はその前の日のうちに済ませておくのが確実です。
よくある質問
2027年の入試の倍率はいつ出ますか
令和9年度入試の倍率は、2026年11月の今はまだ都教委のサイトに出ていません。推薦と第一次募集の中で最初に出るのは推薦の応募人員で、2027年1月20日(水)の夜です。第一次募集は2月8日(月)の夜、志願変更のあとの最終応募人員は2月12日(金)の夜に都教委のサイトに載ります。第二次募集の分は、応募人員が3月4日(木)の夜、志願変更のあとの数が3月8日(月)の夜です。
推薦の倍率の一覧はどこで見られますか
都教委のサイトの「募集・応募状況等」の中にある「応募状況」の頁に、PDFの表で載ります。令和8年度の推薦は、総括表のほか、普通科(コース・単位制以外)、普通科(コース制・単位制)、専門学科など、文化・スポーツ等特別推薦、理数等特別推薦の表に分かれていました。都立高校では掲示しないので、志望校の門の前で待っていても貼り出されません。前の年の表も、同じサイトに残っています。
実質倍率が1.00なら、受けた人は全員合格ですか
倍率は小数第2位までの数なので、1.00でも全員とは限りません。たとえば受検人員301人、合格人員300人の学校なら、301÷300は1.0033で、表には1.00と載りますが、1人は合格していません。全員かどうかを知りたいときは、倍率ではなく受検人員と合格人員の二つの欄を見て、引き算で確かめてください。
倍率が前の年より上がったら、合格に要る点も上がりますか
表からは答えが出ません。応募・受検・合格の表に点数の欄が無いからです。倍率が上がっても、上位の人が増えたのか、合格の線の近くの人が増えたのかはわかりません。前の年と比べるなら、倍率より先に募集人員の増減を見てください。学級が減れば募集人員が減り、出願する人の数が同じでも倍率は上がります。令和9年度は、全日制の17校で募集の学級が減ると、都教委が2026年10月8日に発表しています。
確かめる順番
今週、家でできることを順に並べます。
- 都教委のサイトの「募集・応募状況等」から、前の年の推薦の応募状況と、第一次募集の最終応募状況・受検状況・合格発表の表を開き、志望校が載っている頁を印刷します。
- 志望校の行から、募集人員・最終応募人員・受検人員・合格人員の4つを書き写し、受検倍率と実質倍率を電卓で割ります。合格発表の表には実質倍率の欄が無いので、ここは自分の手で出します。
- 2026年10月8日に出た令和9年度の募集人員の発表で、志望校の学級が減っていないかを見ます。
- 図3の順番で、1月20日(水)・2月8日(月)・2月12日(金)の夜を家のカレンダーに書き込み、その夜に開く表の名前を書き添えます。
- 志願変更をするかもしれないなら、出し直せる学校の組み合わせを中学校の進路の先生に聞きます。募集案内には「都立高等学校入学願書再提出先一覧」の別表があります。

個別指導で確かめること
倍率の数を見て気持ちが揺れた生徒とは、まず直近の過去問の点を教科ごとに並べ、学力検査の素点を700点の尺度に直したうえで調査書点と足し、志望校の目安との差を「あと何点」と言える形で書き出します。差が開いている教科は、数学なら一次関数の式の立て方、英語なら長い一文の主語と動詞の見つけ方というふうに、どの学年のどの単元まで戻れば何点動くのかを、解き直した答案で一つずつ確かめます。
まとめ
2月8日の夜に見る1.40は、取下げと再提出、不受検、合格の出し方を通るたびに別の数へ変わる、割り算の途中の数です。上に誰を置き、下に誰を置いたのかを言えるようになれば、その数に志望校の名前を書き換えさせる理由はなくなります。分母を確かめた1.40は、もう脅しの数字ではありません。
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