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都立の自己PRカードの書き方—3つの欄の埋め方と、面接で読まれるまでの流れ|武蔵野個別指導塾

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点数にしない自己PRカードは、面接官の手元で質問の種になり、推薦で同点のときの資料にも使われます。期待する生徒の姿の動きの語に線を1本だけ引き、3つの欄を1つの体験でつなぐ手順を追います。

都立の自己PRカードは、点数にはならない紙です。それでも面接官の手元に置かれて質問の土台になり、合格判定の資料の一部にも使われます。推薦では受検者の全員が出し、第一次募集と第二次募集では面接を行う学校を受ける人だけが出します。欄は次の3つで、黒のペンかボールペンで手書きするか、電子ファイルに打ち込んで印刷して仕上げます。

欄の名前 書くこと 材料にするもの
志望理由について その学校を選んだ理由と、入学してから取り組みたいこと 志望校の「本校の期待する生徒の姿」、学校案内、学校のホームページ
中学校生活の中で得たことについて 学校の内外の体験から1つを選び、そこで自分が得たこと 総合的な学習の時間、行事、部活動、学校の外の活動、資格や検定
高等学校卒業後の進路について 将来の夢や目標、就きたい仕事とその理由、いま続けている努力 いまの自分の考え

長さは様式の枠に収まる分が目安で、欄ごとに何文字と決めた定めはありません。

よくあるのは、12月の机の上に、志望校の「本校の期待する生徒の姿」を印刷した紙が1枚置かれ、並んだ3つの項目のすべてに黄色の蛍光ペンが引かれている場面です。どの行も大事に見えて、結局は全部に線を引いた。横の下書きの紙には「私がこの学校を志望する理由は」とだけあり、続きが出てこない。線を引いたことで読み終えた気になり、学校の言葉と自分の体験をつなぐ作業がまだ始まっていないのです。カードが止まるのは、たいていこの段階です。

点数にならない紙が、面接官の手元で果たす役割

都教委の令和9年度の実施要綱は、自己PRカードを点数にしないと定めています。そのうえで、個人面接ではこのカードを面接の資料として使う、という一文が続きます。募集案内のQ&Aはさらに、面接の資料のほかに、合格判定の資料の一部にしたり、学校生活への意欲を確かめたりする資料になると説明しています。点にはならないのに、読まれないわけではない。受検生が自分の言葉で書いて出す紙は、多くの人にとってこの1枚だけです。

図1のように、カードは家で書き上げたあと中学校に渡り、調査書などと一緒に中学校から志望校へ郵送されます。推薦の場合、この郵送は1月8日(金)から18日(月)のあいだに志望校へ届くように行われ、カードを読んだ面接官と向き合うのは1月26日(火)と27日(水)の検査の日です。届いたカードは面接官の手元に置かれ、「ここに書いてある活動について、もう少し聞かせてください」という問いの出どころになります。

図1 自己PRカードが書かれてから面接官の手元に届き、使われるまで

推薦には、もう1つ使い道があります。調査書点と面接や作文などの点を合わせた総合成績が同じ点で並んだとき、要綱は、自己PRカードを含む資料を使って順位が並ばないようにするとしています。めったに起きない場面だとしても、最後の1人を分ける紙になりうるということです。図1の下の段の右端は、この使われ方を指しています。

出す人の範囲もはっきりしています。推薦はどの学校も面接をするので、推薦を受ける人は全員が出します。第一次募集と第二次募集では、面接をする学校を受ける人だけが出し、面接のない学校を受けるならカードは要りません。12月に推薦の分を書いておくと、一般入試で面接のある学校を受けるときにも、その下書きが出発点になります。

「本校の期待する生徒の姿」は、線を引く前に読み方を決める

都教委は、都立高校の全校の「本校の期待する生徒の姿」を1つの資料にまとめ、募集案内の中で出しています。学校ごとに番号のついた項目が数行並び、学校によっては、推薦の選抜で特に望むことを別に書き足しています。カードの様式にも、この資料を参考にしたり、学校案内やパンフレット、学校のホームページを見たりして、学校の特色を理解してから書くようにという助言が刷ってあります。

読み方のこつは、線の色を名詞と動きの語で分けることです。たとえば、次の3項目が並ぶ学校があるとします。

  1. 学習に意欲的に取り組み、入学後も努力を続ける生徒
  2. 学校行事や部活動に主体的に参加し、仲間と協力できる生徒
  3. 将来の進路について目的意識をもつ生徒

塾の面接練習では、ここで「学習」「行事」「部活動」「進路」のような名詞に赤、「努力を続ける」「主体的に参加し」「仲間と協力できる」のような動きを表す語に青を引いてもらいます。名詞は話題の範囲を示し、動きの語は、その話題の中で学校が見たい姿を示します。カードで答えるべきなのは青の方です。「部活動をがんばりました」は赤の名詞に答えただけで、仲間と協力できる人なのかどうかは、何も伝わりません。

次に、図2のように、左に学校の言葉、右に自分の体験を3つずつ書き出し、青の語の1つと体験の1つを太い線で結びます。結ぶのは1本で足ります。全部の項目に答えようとすると、3つの欄のどれもが薄くなるからです。

図2 学校の言葉と自分の体験を3つずつ並べ、1本だけ線で結ぶ

結べた体験は「中学校生活の中で得たこと」の欄の柱になり、結んだ語は「志望理由」の欄で、学校の言葉として自分の言い回しに直して使えます。1枚のカードの中で学校の言葉と自分の体験が同じ線の上にあると、面接官はその線をたどって質問を立てられます。逆に、線を引かなかった項目について面接で聞かれても、慌てなくてかまいません。カードに書いていないことは、その場で考えて話せばよいのです。

志望理由の欄は「選んだ理由」と「入ってからやること」を対にする

様式の見出しの下には、この学校を志望した理由と、入学してから取り組みたいことを、期待する生徒の姿を参考に書くようにという添え書きがあります。つまり、この欄は2つの問いに答える欄です。片方だけで終えると、面接ではもう片方を聞かれることになります。

選んだ理由は、学校のどこを見て決めたのかを具体的に書きます。「自由な校風」「行事が盛ん」のような、どの学校にも当てはまる言葉で止めると、面接官は「それならほかの学校でもよいのではありませんか」と聞くしかなくなります。説明会や学校見学で見たもの、在校生から聞いた話、パンフレットの中で目に留まった授業や行事など、その学校でしか言えない材料を1つ入れます。

入ってからやることは、選んだ理由と同じ向きにそろえます。たとえば、「説明会で、在校生が行事の進め方を自分たちの話し合いで決めていると聞いた」を理由にしたなら、入学後は「行事の係に入り、班で意見をまとめた中学校での経験を生かしたい」とつなげます。このとき、図2で結んだ青の語(ここでは「仲間と協力できる」)を、自分の言葉に言い換えて入れておくと、学校が求める姿と自分の計画が重なって読めます。

骨組みは、選んだ理由、その学校で見たもの、入学後にすること、の3つの文で先に作ります。肉づけはそのあとです。避けたいのは、期待する生徒の姿の文をそのまま写すことです。「私は将来の進路について目的意識をもつ生徒です」と書いても、面接官はその根拠を尋ねるだけで、カードは何も答えていないことになります。学校の言葉は引用として置くのではなく、自分の体験が裏づけになっている言い換えとして使います。

中学校生活と卒業後の進路の欄は、1つの場面と1つの目標に絞る

「中学校生活の中で得たことについて」の欄には、様式の中に材料の例が4つ刷られています。総合的な学習の時間で学んだこと、学級活動や生徒会活動・学校行事・部活動などの学校の中の活動、文化やスポーツ・ボランティアの活動や資格・検定の取得などの学校の外の活動、そしてその他の活動です。この中から特に伝えたいことを選び、その体験から得たことを具体的に書くように、と添え書きがあります。

選ぶのは1つで十分です。3年間の出来事を並べると、得たことが1行ずつに割れて、どれも浅く見えます。たとえば、総合的な学習の時間で地域の防災マップを作った体験を選んだとします。書く順は4段です。まず何をしたか(班で通学路の危ない所を調べ、地図にまとめた)と、どこでつまずいたか(調べた場所を増やすほど地図が読みにくくなった)を書きます。続けて、どう変えたか(地域の方に聞き取りをして、困っている声の多い所に絞った)と、何を得たか(数を集めることより、使う人に届く形にすることの大切さ)を書きます。つまずきと変え方が入っていると、面接官は「聞き取りでは誰に、何を聞きましたか」と、その場面の続きを尋ねられます。

「高等学校卒業後の進路について」の欄は、将来の夢や目標、就きたい仕事とその理由、そのために努力していること、高校を出たあとの具体的な進路などを、いまの考えで書く欄です。就きたい仕事がまだ決まっていなくても、この欄は書けます。興味のある分野と、それを確かめるために高校で何をするかを書けば、欄として成り立ちます。上の例なら、「まちの安全を考える仕事に関心がある。高校では地理や情報の授業を通して、地域の課題を調べる方法を身につけたい」と書けば、中学校生活の欄と同じ線の上に乗ります。3つの欄が別々の人の話に見えないことが、面接で次々に質問を受けたときの足場になります。

書式の決まりと、下書きから清書までの5段

様式はA4判の1枚です。上の受検番号などの欄には※印があり、書かないように様式に注意があるので空けておきます。宛名の行には志望校の名前を書き、その下に日付と中学校名、氏名を書きます。仕上げ方は2通りで、黒のペンかボールペンで手書きするか、電子ファイルに入力して印刷するかです。手書きのときは、こすると消えるインクのペンは使えないと様式の注意にあり、鮮明なコピーでもかまわないとされています。事故や病気、障害などで本人が書けないときは保護者などが代わりに書き、カードの下の余白に、本人が書けない理由と、書いた人と本人との関係を書き添えます。

志願変更で面接をする学校へ移るときは、移る先の期待する生徒の姿を参考に、新しいカードを作ります。文化・スポーツ等特別推薦と一般推薦を同じ学校に同時に出すときは、1部でよいとされています。

塾の面接練習で使っている、下書きから清書までの手順が図3の5段です。前の2段は書く作業で、期待する生徒の姿から結ぶ語を1つ決め、欄ごとに文の骨組みだけを先に書きます(志望理由なら3文、中学校生活なら4段)。真ん中の2段は読み直す作業です。下書きを声に出して読むと、主語が途中で入れかわる文や、一文に「〜して、〜して」が続く所が耳で見つかります。そのあと保護者や担任の先生に読んでもらいます。募集案内のQ&Aも、必要に応じて保護者や担任の先生の助言を受けて書くように勧めています。

図3 結ぶ語を決めてから、清書して写しを残すまでの5段

最後の1段が清書です。清書したら、出す前に写しを取って手元に残します。面接の前の晩にカードの文を読み返せるようにするためで、カードに書いた言葉と面接で話す言葉がずれないようにする、いちばん簡単な備えです。

よくある質問

一般入試でも自己PRカードは要りますか

一般入試でカードを出すのは面接のある学校の志願者だけなので、まず面接の有無を見ます。面接があるかどうかは、都教委の入試実施方法一覧(別表)の志望校の行と、学校の発表で確かめます。面接のない学校から面接のある学校へ志願変更するときは、その時点で新しく書くことになります。取下げから再提出までの間は短いので、志願変更を少しでも考えているなら、移る先の候補の学校についても、期待する生徒の姿を読んで下書きの骨組みだけは作っておくと慌てずにすみます。

自己PRカードの文字数に決まりはありますか

欄ごとに何文字という定めは、要綱にも募集案内のQ&Aにも書かれていません。枠の中に、読める大きさの字で収まる長さが上限だと考えます。小さな字で枠をすき間なく埋めるより、行の間にゆとりがある方が、面接官は質問にしたい言葉を拾いやすくなります。下書きの段階で枠と同じ大きさの紙に書いてみると、清書のときに最後の行がはみ出す失敗を防げます。

推薦で出したカードを、同じ学校の一般入試にも使えますか

募集案内のQ&Aは、推薦を受けたあとに同じ学校の入試を受けることになった場合、推薦の出願のときに一度出した学校でも、面接があればもう一度出すとしています。中身を同じにするか書き直すかは自分で決めてかまいませんが、推薦の面接で聞かれて答えに詰まった所があれば、その部分を見直してから出すと、次の面接の準備にもなります。

例文を見て書いてもいいですか

例文は、欄の順番や長さの感じをつかむには役に立ちます。ただ、文をそのまま使うと、面接でその続きを聞かれたときに話せません。カードは面接の資料として使われるので、面接官はカードの文を手がかりに質問を作ります。例文から借りるのは文の並べ方だけにして、体験の中身はかならず自分のものに入れ替えます。

確かめる順番

今週のうちに、次の4つを順に確かめておくと、冬休みに下書きを進められます。

  1. 志望校の「本校の期待する生徒の姿」を、都教委の募集案内にまとめて載っている資料から探して印刷する。推薦で特に望む項目が別に書かれていないかも見る。
  2. 一般入試で受ける学校に面接があるかを、入試実施方法一覧(別表)と学校の発表で確かめる。志願変更の候補の学校があれば、その学校の分も見る。
  3. 担任の先生に、カードの用紙をどこで受け取るか、電子ファイルで作るならどの様式を使うか、書き損じたときはどうするか、中学校に渡す締切はいつかを聞く。推薦の書類は中学校から志望校へ郵送で出すので、中学校に渡す日はその郵送より前になる。
  4. 家で下書きを声に出して読み、保護者に聞いてもらう。聞いた人が「それはどういうこと」と聞き返した所に印をつけ、その文から直す。

個別指導で確かめること

個別指導では、下書きの一文ずつに「それはいつ、どこで、誰と」と問いを当て、答えが出てこない文を骨組みから外すところまで戻ります。期待する生徒の姿のどの語と結んだのかを本人に言ってもらい、言えなければ図2の線を引き直す所からやり直します。そのうえで講師がカードを面接官のつもりで読み、その場で作った質問に答えてもらって、カードの文と口で話す中身が食い違っていないかを確かめます。

まとめ

点数にならない紙なので、文の上手さが点に変わることはありません。面接の席で生きるのは、聞き返されたときに続きを話せる文です。期待する生徒の姿から動きの語を1つ選び、その先に自分の体験を1つ置けば、3つの欄は同じ線の上に並び、面接官の問いもその線の上に集まります。全部の行に引いた蛍光ペンを1本に減らせた日が、このカードを書き始める日です。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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