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偏差値を1上げるには何点要るか—標準偏差から必要な点数を計算する|武蔵野個別指導塾

標準偏差18点の科目なら偏差値1は1.8点、7上げるには12.6点。成績表に標準偏差が無いときの逆算と、満点でも届かない天井の見分け方まで、自分の点を入れて試せます。
偏差値を1上げるのに要る点は、その科目の標準偏差の10分の1です。標準偏差が18点の科目なら1.8点、24点の科目なら2.4点で、同じ「1」でも科目によって重さが違います。ただし、これはまわりの点が動かないときの値です。受けた人の多くが同じだけ伸びれば、自分の点が上がっても偏差値は動きません。そして「偏差値1につき何時間」という決まった数字はありません。要る時間は、足りない点がどの設問に落ちているかを分け、1回の練習を自分の時計で測ってから決まります。高校受験の模試でも、式と手順は同じです。
よくあるのは、秋の面談で高2が成績表を伏せたまま「偏差値をあと7上げたいです」と言う場面です。7という数字には迷いがありません。けれど、何の偏差値を、どの科目で、何点分上げるのかと聞くと、言葉が止まります。7は願いの単位で、机の上で動かせるのは点数の単位です。偏差値の欄だけを何度も見て、点の欄を一度も読んでいないことも珍しくありません。面談は、成績表を表に返し、平均点と自分の点を蛍光ペンで囲むところから始まります。
偏差値1の重さは、科目ごとの点の散らばりで決まる
偏差値は、自分の点が平均点からどれだけ離れているかを、受けた人全体の点の散らばりを物差しにして測り直した数です。式を並べると次のようになります。
偏差値 = 10 × (自分の点 − 平均点) ÷ 標準偏差 + 50
標準偏差は、受けた人それぞれの点が平均点から離れている幅を2乗して平均し、平方根をとって点の単位に戻した値です。点が平均のまわりに固まっている科目では小さく、高い点の人と低い点の人に大きく分かれる科目では大きくなります。
この式で、平均点と標準偏差をそのままにして、自分の点だけを動かしてみます。自分の点が d 点上がると、偏差値は「10 × d ÷ 標準偏差」だけ上がります。これがちょうど1になる d は、標準偏差の10分の1です。偏差値1にあたる点は、標準偏差を10で割るだけで出ます。
図1のように、たとえば標準偏差が18点の英語なら偏差値1は1.8点で、7上げるには12.6点要ります。標準偏差が24点の数学なら偏差値1は2.4点で、7上げるには16.8点です。同じ「7」でも、数学では英語より4.2点多く取り戻さなければなりません。反対に、点の散らばりが小さい科目では、数点の差が偏差値の大きな差になります。散らばりの小さい科目で落としたうっかりの2点は、思っているより高くつきます。

合計の偏差値は、もう一段ややこしくなります。3教科の合計の標準偏差は、科目ごとの標準偏差を足した値を超えることがなく、たいていはそれより小さくなります。英語が高かった人が数学でも高いとは限らないので、合計では科目ごとの上下が打ち消し合うからです。たとえば英語18点・数学24点・国語14点の標準偏差を足すと56点ですが、成績表にある合計の標準偏差が46点なら、合計の偏差値1は4.6点です。合計で7上げるのに要るのは32.2点で、科目ごとに7ずつ上げる点を足した39.2点より7点少なく済みます。「全科目で7ずつ」と「合計で7」は、別の目標です。
7という幅の大きさも、点の散らばりが釣り鐘の形に近ければ目安がつきます。偏差値55は上から約31%、62は上から約11.5%の位置です。100人の模試なら、19人ほどを追い越す計算になります。実際の点の散らばりは釣り鐘の形からずれるので、ここは目安として読んでください。
この計算には前提が一つあります。平均点と標準偏差が動かないことです。模試はそのたびに受ける人も問題も変わるので、次の回の平均点と標準偏差は、受けてみるまで決まりません。要る点の計算は、前回の成績表を物差しにした見積もりで、次の成績表で答え合わせをするものです。定期テストの点でも式は同じですが、学校によっては平均点しか配られず標準偏差がわからないので、ここでは成績表に数字がそろう模試で考えます。
「あと7」を科目ごとの点数と失点の内訳に直す6つの手順
図2の順に進めます。手順1から3は、成績表と電卓があれば20分ほどで終わります。科目が多くて終わらなければ、2日に分けてかまいません。手順4から先は、答案が返ってきてから1週間以内に始めてください。答案を見たときの記憶が新しいうちのほうが、失点の理由を正しく分けられます。

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成績表から、科目ごとに3つの数字を写します。自分の点、平均点、偏差値です。合計の行も写します。ノートの見開きの左側に、科目を縦、3つの数字を横に並べた表を作ります。右側は、次の模試の数字を書く場所として空けておきます。
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標準偏差を出します。成績表に標準偏差が載っていれば、それを写します。載っていない模試もあるので、そのときは手順1の3つの数字から逆算します。式を並べ替えると「標準偏差 = 10 × (自分の点 − 平均点) ÷ (偏差値 − 50)」です。たとえば英語が61点、平均点52点、偏差値55.0なら、10 × 9 ÷ 5 で標準偏差は18点です。ただし、自分の点が平均点に近い科目では、この逆算がぶれます。たとえば54点・平均点52点・偏差値51.2の科目で、51.2が小数第1位で四捨五入された数なら、本当の値が51.15のとき標準偏差は約17.4点、51.25のとき16.0点です。平均点との差が10点以上ある科目で逆算し、差の小さい科目は前回の成績表の標準偏差を借りるほうが確かです。
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「あと7」を点に直します。偏差値1の点、つまり標準偏差を10で割った点に7を掛けます。科目ごとにも、合計でも出しておきます。下の表は、たとえばの3教科で計算した例です。
| 科目 | 自分の点 | 平均点 | 標準偏差 | 偏差値 | 偏差値1の点 | 7上げる点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 英語 | 61 | 52 | 18 | 55.0 | 1.8 | 12.6 |
| 数学 | 50 | 44 | 24 | 52.5 | 2.4 | 16.8 |
| 国語 | 65 | 58 | 14 | 55.0 | 1.4 | 9.8 |
| 3教科の合計 | 176 | 154 | 46 | 54.8 | 4.6 | 32.2 |
合計の偏差値54.8を61.8にするには、まわりが動かなければ合計で32.2点、点は整数なので33点が要ります。これが「あと7」の正体です。
- 失点を種類に分けます。返ってきた答案を大問ごとに見て、落とした点を4つに分けます。「時間が足りず手をつけなかった」「解き方を知らなかった(根拠の探し方を含む)」「知っているはずなのに思い出せなかった」「計算やつづりのうっかり」です。種類によって、取り戻すための練習がまるで違うからです。たとえば英語の失点39点を分けると、次のようになります。
| 失点の種類 | 点 | 取り戻す練習 |
|---|---|---|
| 時間が足りず、最後の長文に手をつけなかった | 10 | 長文1題を、時計を置いて解く |
| 内容を問う設問で、根拠の行を取り違えた | 12 | 解いた長文の根拠の行に線を引き直す |
| 知っているはずの語や語法を思い出せなかった | 8 | 間違えた語だけで小テストを作り直す |
| 英作文で、つづりと時制で減点された | 9 | 短い英作文を1つ書き、動詞に印をつけて見直す |
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1回の時間を測ってから、取り戻す点を選びます。表の練習をそれぞれ1回だけやってみて、かかった分をノートに書きます。時間は先に決めません。たとえば測ってみて、長文1題が25分、小テストの作り直しが10分、短い英作文が20分だったとします。次の模試まで8週間、平日に英語へ使えるのが1日40分なら、使える時間は8週間で1,600分です。長文を週2回で400分、小テストを平日毎日で400分、英作文を週2回で320分、合わせて1,120分で、残りの480分は解き直した問題の見直しに回せます。入りきらないときは、1回の練習を雑にするのではなく、取り戻す点を減らし、そのぶんを別の科目へ移します。こうして、たとえば英語で12点、数学で14点、国語で7点と割り振れば合計33点で、まわりが動かなければ合計の偏差値は54.8から62.0になります。この点数はまだ見込みで、取れたかどうかは次の模試の答案が決めます。
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次の模試で、点の動きと平均点の動きを分けて確かめます。新しい成績表が届いたら、手順1の見開きの右側に新しい数字を書き、自分の点の差と平均点の差を並べます。自分の点が平均点より何点多く伸びたかが、偏差値を動かした分です。標準偏差も前回と並べます。散らばりが小さくなっていれば、平均点との差が同じでも偏差値は大きく出ます。この確かめを飛ばすと、偏差値が動かなかった理由を、やり方のせいにしてしまいます。
点を上げたのに偏差値が動かない、上のほうで伸びが止まる
偏差値の差を、点の差と同じに読んでしまう
「英語も数学も5ずつ上げる」と決めると、数学では英語より多くの点を取り戻す計画になっているのに、同じ量の勉強を割り当ててしまいます。こう変えます。目標は必ず点数に直してから、科目ごとに並べます。偏差値のままで予定を組まないことです。
点が上がったのに偏差値が動かず、やり方が間違っていたと思ってしまう
たとえば前回は自分58点・平均点50点、今回は自分64点・平均点56点で、標準偏差はどちらも16点だったとします。点は6点上がりましたが、平均点も6点上がったので、偏差値はどちらも55.0です。まわりも同じだけ伸びたか、問題が易しくなったかで、自分の6点が消えたわけではありません。こう変えます。手順6のとおり、平均点との差を前回と並べて見ます。差が縮んでいなければ、やり方を捨てる理由はありません。
上のほうで、同じ勉強を続けて伸びが止まる
偏差値が高くなるほど、残っている失点は最後の大問や、正解した人の少ない設問に寄っていきます。取りやすい点は、もう取ってしまっているからです。さらに満点という天井があります。図3のように、たとえば平均点55点・標準偏差20点・満点100点のテストで85点なら、偏差値は65.0です。ここから7上げて72.0にするには99点が要り、満点を取っても72.5で止まります。残りの15点のうち14点を、いちばん難しい設問から取らなければなりません。こう変えます。上のほうでは、その科目で7を追いかけるのをやめ、まだ取りやすい失点が残っている科目へ点を移します。

時間を先に決めてしまう
「毎日1時間増やす」と決めてから何をするかを考えると、取りやすい失点ではなく、やりやすい勉強に時間が流れます。単語帳を最初の頁から開き直すのが、その典型です。こう変えます。手順4の内訳の表を先に作り、点の大きい行から1回分ずつ練習を測ります。時間は、そのあとで決まります。
確かめの問題
問1 たとえば5教科の合計点で、成績表にある合計の標準偏差が70点でした。まわりの点が変わらないとして、合計の偏差値を4上げるには、合計で何点多く取ればよいでしょうか。
問2 たとえばある科目で、自分の点が79点、平均点が53点、偏差値が60.0でした。成績表に標準偏差は書かれていません。この科目の標準偏差は何点でしょうか。また、この科目で偏差値を3上げるには何点要るでしょうか。点は整数で答えます。
問3 たとえば前回の模試で自分68点・平均点60点、今回の模試で自分74点・平均点63点でした。標準偏差はどちらも12点です。点は6点上がりましたが、偏差値はいくつ上がったでしょうか。また、6点の伸びのうち、偏差値を動かしたのは何点分でしょうか。
答えと考え方
問1 偏差値1にあたる点は標準偏差の10分の1なので、7.0点です。4上げるには 7.0 × 4 で28点です。合計の標準偏差は科目の標準偏差を足した値ではないので、必ず成績表の合計の行の数字を使います。
問2 逆算の式に入れると、10 × (79 − 53) ÷ (60.0 − 50) で 260 ÷ 10、標準偏差は26点です。偏差値1は2.6点なので、3上げるには7.8点、点は整数なので8点です。平均点との差が26点あるので、偏差値の四捨五入による逆算のぶれは小さく済みます。
問3 前回は 10 × 8 ÷ 12 + 50 で約56.7、今回は 10 × 11 ÷ 12 + 50 で約59.2なので、上がったのは約2.5です。平均点との差は8点から11点へ広がったので、偏差値を動かしたのは3点分です。残りの3点は、平均点が3点上がったぶんと打ち消し合っています。偏差値1は1.2点なので、3 ÷ 1.2 で2.5と確かめられます。
保護者が家でできること
お子さまが「偏差値をあと7上げたい」と言ったら、数字の大きさを褒めたり心配したりする前に、成績表を一緒に開いて「それは何点のこと」と聞いてみてください。標準偏差を10で割って7を掛ける計算は、電卓ですぐに終わります。親子で同じ数字を見るだけで、話が願いから作業に移ります。
家で確かめるのは、偏差値より、平均点と自分の点の差です。前回の成績表を捨てずに取っておき、今回と並べて、差が広がったか縮んだかを見ます。偏差値が動かなかった回でも、差が保たれていれば、お子さまの勉強は崩れていません。
言わないほうがよい言葉もあります。「偏差値、上がってないじゃない」は、平均点が一緒に上がっただけの回にも刺さります。「点は何点動いたの、平均点はどうだった」と言い換えてください。「あと何時間やるの」も、時間を先に決めるつまずきへ背中を押してしまいます。「どの失点から取りに行くの」と聞けば、失点の内訳の表が話の真ん中に来ます。きょうだいや友だちの偏差値と比べる言葉は、科目も受けた回も違う数字を並べることになるので、控えてください。
個別指導で確かめること
内訳の表で「解き方を知らなかった」に入った点は、練習の回数を増やしても戻りません。答案のその設問が、どの学年のどの単元まで戻れば解けるのかを講師が一緒に確かめ、戻る場所を決めてから練習を組みます。上のほうで伸びが止まった科目では、残った失点が本当に最後の大問に寄っているのかを、答案の減点の跡で確かめます。時間切れの失点が大きい生徒とは、大問ごとに何分で次へ移るかを決め、過去の模試を1回通しで解いて、その区切りが守れるかを見ます。
まとめ
偏差値1の点は、標準偏差を10で割れば出ます。難しいのはその先で、まわりの伸びと満点の天井が、同じ7を科目ごとに別の重さに変えます。だから計算は一度で終わらず、成績表が届くたびに数字を入れ直します。「あと7」は、科目ごとの点数と失点の行に書き直した日から、毎日の机の上で一行ずつ減らせる数になります。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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