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聞き流しで英単語は覚えられるか—音声を使うときに止めて言う手順|武蔵野個別指導塾

イヤホンで流すだけの単語の音声は、訳が先に聞こえてしまい、自分で思い出す間が残りません。英語の直後で止めて意味を言い、言えなかった語の番号を書く通学15分の組み方なら、明日の電車から変えられます。
単語帳でまだ一度も意味を見ていない語は、聞き流すだけではほとんど覚えられません。音は耳に入っても、意味と結びつく前に次の語が流れてくるからです。家で一度でも文字と意味を見た語なら、話は変わります。音声を英語の直後で止め、訳が流れる前に自分で意味を言う聞き方に変えれば、通学の電車の15分は、覚えたつもりの語を確かめる時間になります。ただし、耳から入るのは音と意味までです。英作文や記述で自分が書く語は、家で文字を見て、つづりを別に確かめてください。
よくあるのは、通学の電車でイヤホンから単語の音声を流している高2が週末の小テストで、音声で何度も聞いたはずの語の前で手を止めてしまう、という場面です。音声は単語帳の最初の語から順に流れ続け、本人は窓の外を見ながら、知っている語が聞こえるたびに小さくうなずいています。行きと帰りを合わせれば毎日30分近く英語を耳に入れているのに、どの語が言えなかったのかは、本人にも見えていません。聞いていなかったのではなく、聞き方が「流す」だけだったのです。
聞き流しで耳に残るもの、残らないもの
英単語の覚え方として聞き流しを選ぶ前に、聞き流しで何が残り、何が残らないのかを分けておきます。分けておくと、音声に任せてよい仕事と、任せてはいけない仕事がはっきりします。
残るのは、語の音の形です。environment(名詞・環境)なら、en、vi、ron、ment の4つのかたまりでできていて、2つ目の vi を強く読むこと。何度も流れてくる音は、「聞いたことがある」という手ざわりとして耳に残ります。すでに意味を言える語なら、音を聞いてから意味が浮かぶまでが少しずつ速くなります。文字で覚えた語を、音でも受け止められるようにする。聞き流しが役に立つのは、ここまでです。
残らないものの1つ目は、知らない語の意味です。英語の後に日本語の訳が続く音声では、英語が終わった次の瞬間に訳が耳に入ります。自分で「何だったか」と探し始める前に答えが届くので、頭は思い出す仕事をしないまま次の語へ移ります。英語と訳のあいだに、思い出す間がないのです。教室で小テストをすると、この差がはっきり出ます。音声で何度も聞いた suggest(動詞・提案する)を、紙に英語だけで出すと手が止まる。本人に聞くと「聞いたことはある」と言います。聞いたことがあるのと、意味が言えるのとは、別のことです。
2つ目は、つづりです。耳に入るのは音だけで、文字の並びは入りません。environment を音だけで覚えた生徒の答案には、ron の n が抜けた enviroment というつづりがよく出ます。速く読まれると、その n は弱くなって聞き取りにくいからです。音声を何周しても、この欠けは直りません。
3つ目は、どの語が言えなかったかという記録です。流しっぱなしの音声は、言えた語と言えなかった語を同じ速さで通り過ぎます。駅に着いたとき、手元には何も残っていません。翌日も同じ最初の語から流すことになり、言えない語は言えないまま、何度も耳の前を素通りしていきます。
ここから、音声の使い方が決まります。聞くだけの使い方を、止めて先に言う使い方に変えることです。図1のように、英語の直後で音声を止めれば、訳が流れる前に自分で思い出す間ができます。自分で言ってから訳で確かめるので、思い出せた語は、それで確かめが済みます。思い出せなかった語は、訳を聞いた瞬間に「それだった」と引っかかり、言えなかった語として手元に残ります。聞き流しとの違いは、この「言えなかった」が見えるようになることです。

電車の15分で、英語の直後に止めて意味を言う
行きの電車が15分の高校生を例に、1日の流れを手順にします。乗っている時間が違えば、語の数をその時間に合わせて変えてください。
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家を出る前の5分で、その日に聞く区切りを決めます。たとえば単語帳の番号で30語です。区切りの中に初めて見る語があれば、ここで一度だけ文字と意味に目を通します。電車の中で初めて出会う語は、止めても言えることが何もないからです。音声は、一度は目で見た語を確かめる道具として使います。
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使う音声の並びを確かめます。英語の後に日本語の訳が続く並びで、英語と訳の間に少し間があれば、その間で意味を言えます。間が短くて言い切れないときは、一時停止を使います。再生の速さは標準のままにしてください。速くすると、止める指が英語に追いつきません。
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電車では、英語が聞こえたらすぐ一時停止を押し、声を出さずに唇だけを動かして意味を言います。たとえば decide(動詞・決める)なら、英語の音が終わったところで止め、「決める」と口の形で言ってから再生し、流れてきた訳と比べます。図2が、1語ごとの流れです。止めるのは毎回でなくてかまいません。間のある音声で言い切れる語は、止めずに進みます。

- 止めたときの自分を、次の表の3つに分けます。分け方を決めておくと、電車の中で迷わずに次の語へ進めます。
| 止めたときの自分 | 書き方 | 次に聞く時 |
|---|---|---|
| 訳が流れる前に意味を言えた | 何も書かない | 今日はもう聞かない |
| 訳を聞いて「それだ」と思い出した | 番号を書く | 帰りの電車 |
| 訳を聞いても初めて聞く気がした | 番号を書いて丸で囲む | 家で文字と意味を見てから |
番号は、スマホのメモか小さな紙に書きます。揺れる電車の中で英語のつづりまで書こうとすると、手が止まって次の語に追いつけなくなるので、書くのは番号だけです。訳を聞いてから「知っていた」と思った語も、訳の前に言えなかったのなら、番号を書きます。
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時間を割り振ります。たとえば1語の音声が「英語2秒・間3秒・訳2秒」の7秒で、止めて言う分を3秒足すと、1語に10秒かかります。30語なら300秒、つまり5分です。15分の電車なら、はじめの5分で今日の30語を1周し、そのあと番号を書いた語だけをもう一度聞きます。たとえば番号を書いた語が13語なら130秒、2分ほどです。残りの8分近くは、前の日に丸をつけた語を聞きます。
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帰りの電車で聞く語を、行きの結果で決めます。番号を書いた語が区切りの3割を超えた日は、30語の区切りを全部もう一度、止めながら聞きます。3割以下なら、番号を書いた語だけを聞きます。たとえば30語の区切りで番号を書いた語が13語なら、3割の9語を超えるので、帰りは30語全部です。超える日が何日も続くなら、家を出る前に初めての語に目を通す時間が足りていません。区切りの語を少なくするか、前の晩に文字と意味を見ておきます。
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歩く時間は、止める操作をしません。歩きながら画面を見て指を動かすのは危ないからです。間のある音声を流し、英語の後の間に頭の中で意味を言うだけにします。音量は周りの音が聞こえる大きさにし、交差点と駅のホームと階段では、イヤホンを外します。
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家に帰ったら5分、番号を書いた語を単語帳で開き、文字を見ながら声に出して読みます。丸をつけた語は、意味と一緒に、単語帳の例文を1回読みます。英作文や記述で自分が書く語だけは、ここで紙につづりを書きます。音声では直らないつづりの欠けを拾うのは、この5分です。
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区切りの語が止めずに言えるようになったら、例文の音声へ進みます。単語だけで聞く音と、文の中で聞く音は違うからです。たとえば She decided to join the team. の音声では、decided の終わりの音が後ろの to とつながり、単語だけで聞いた decide とは別の音のように聞こえます。例文を聞いて、その語が出たところで止め、文の中での意味を言います。リスニングの点に結びつくのは、この段です。令和9年度の共通テスト(いまの高3が受ける試験)の英語では、リスニングにもリーディングと同じ100点が割り当てられ、60分の試験時間のうち解答に使う時間は30分です。いまの高2が受けるのは令和10年度の試験なので、その年の出題方法は大学入試センターの発表で確かめてください。文字で見ればわかる語を音で聞き逃す失点は、単語の段階で音を確かめておくほど起きにくくなります。
1日の場面ごとに、音声の使い方をまとめると次のようになります。英単語の覚え方を音声とリスニングの両方につなげるなら、止める場面と止めない場面を、先に分けておくことです。
| 場面 | 時間の例 | 音声の使い方 | 止めるか |
|---|---|---|---|
| 家を出る前 | 5分 | 今日の30語を決め、初めての語の文字と意味を見る | 音声は使わない |
| 駅まで歩く | 10分 | 間のある音声で、頭の中で意味を言う | 止めない |
| 行きの電車 | 15分 | 英語の直後で止めて意味を言い、言えなかった語の番号を書く | 止める |
| 帰りの電車 | 15分 | 3割を超えたら30語全部、超えなければ番号の語だけ | 止める |
| 家に帰って | 5分 | 番号の語を文字で読み、自分が書く語だけ書く | 音声は使わない |
聞くだけで終わる4つの形と、その変え方
止めて言う聞き方を始めても、しばらくすると流す聞き方に戻ってしまうことがあります。教室でよく見る形を4つ挙げます。
1つ目は、単語帳の1冊を最初から最後まで流しっぱなしにしてしまう形です。区切りがないと、言えなかった語が何番だったのかがわからず、翌日どこから聞くかも決まりません。聞く範囲は、家を出る前に30語ずつ番号で区切ってから再生ボタンを押す、と変えます。
2つ目は、止めるのが間に合わず、結局は訳を待ってしまう形です。英語の音を聞き終えてから指を動かすと、もう訳が始まっています。一時停止のボタンに指を置いたまま聞き、英語の直後で止めるつもりで構えます。間に合わずに訳が先に聞こえた語は、言えなかった語として番号を書きます。「訳を聞いたらわかった」を、言えた側に数えないことです。
3つ目は、電車の中で「全部わかった」と感じ、聞いて終わる形です。家の5分を飛ばしても、その日は困りません。けれども音声で確かめられるのは音と意味までなので、飛ばした日のつづりの欠けは、そのまま英作文の小テストに出ます。番号を書いた語が1つもない日でも、自分が書く語の中から5語だけ選んで、家で文字を見る時間を残します。
4つ目は、再生の速さを上げて、周回の回数を稼いでしまう形です。速くすると1周の時間は短くなりますが、止める指が追いつかず、言う間もなくなります。回数が増えても、言えたかどうかを確かめた語は増えていません。速さは標準に戻し、記録するのは周回の数ではなく、番号を書いた語の数にします。
図3は、そのうち3つの形と、変えたあとの形を並べたものです。左の形はどれも楽で、続けているあいだは勉強している感じがあります。右の形に変えると、言えなかった語の数が毎日目に入るので、はじめは気が重く感じるかもしれません。その数が、次の朝に何を聞くかを決める材料になります。

確かめの問題
問1 ある単語帳の音声は、日本語の訳を先に読み、そのあとで英語を読む並びになっています。この音声で「止めて先に言う」聞き方をするとき、どこで止めて、何を言えばよいでしょうか。
問2 たとえば、行きの電車で40語の区切りを1周したところ、訳の前に言えなかった語が11語ありました。帰りの電車では、何を聞けばよいでしょうか。手順の6にある「3割」の決まりを使って答えてください。
問3 receive(動詞・受け取る)は、音声で英語を聞けば、訳の前に意味を言えます。ところが、英作文の小テストでは recieve と書いてしまいました。音声を聞く回数を増やせば、このまちがいは直るでしょうか。直らないなら、何を足せばよいでしょうか。
答えと考え方
問1の答えは、日本語の訳が終わったところで止め、英語を先に言うことです。そのあとに流れる英語と、自分が言った英語を比べます。並びが逆になっても、音声より先に自分で言うことは変わりません。英語を先に言う聞き方では、自分の発音と音声の発音のずれにも気づけます。
問2の答えは、番号を書いた11語だけを聞くことです。40語の3割は12語で、言えなかった11語は12語を超えません。帰りの電車で区切り全部を聞き直す必要はなく、家に帰ったら、その11語を文字で見て読みます。
問3の答えは、直らない、です。意味は音で確かめられていますが、つづりは耳から入らないからです。家の5分で単語帳の文字を見て、c の後ろが ei の順になっていることを確かめ、紙に書く練習を足します。
保護者が家でできること
通学の電車の中は、保護者の目が届かない時間です。だからこそ、家では「聞いたかどうか」ではなく「言えなかった語がいくつあったか」を確かめます。
声をかけるなら、帰ってきたお子さまに「今日は何語、番号を書いた?」と数だけを聞いてください。止めて言っていれば、数はすぐに出てきます。番号のメモを見せてもらうのも、1つの確かめ方です。番号が並んでいれば、音声を止めて言っているしるしです。何日も白紙が続くなら、全部言えているのか、流しているだけなのかを、1語だけ止めて意味を言うところを見せてもらって確かめます。
言わないほうがよい言葉もあります。「イヤホンで聞いているだけで覚えられるわけがない」は、音声を使うこと自体をやめさせてしまいます。「今日の区切りは何番から何番?」と、範囲を聞く言い方に変えてください。「もっと聞きなさい」も、流す時間を延ばすほうへ押してしまいます。「番号を書いた語は、帰りにもう一度聞くの?」と、言えなかった語の行き先を聞くほうが、次の聞き方につながります。
もう1つ、歩くときの音量と、駅のホームや交差点ではイヤホンを外すという約束は、家で決めておいてください。単語の音声は、安全に使えてはじめて、毎日の道具になります。
個別指導で確かめること
教室では、授業の最初に前の日の番号のメモを見せてもらい、講師がその語を英語で読み上げて、訳を言う前に意味が出るかを確かめます。出ない語は単語帳の文字と意味を見るところまで戻り、英作文で使う語は、つづりが書けるかまで確かめます。音声を聞いた時間ではなく、止めて言えた語の数を、その場で数え直します。メモの番号と授業で言えなかった語が食い違うときは、止めるのが間に合わずに訳を待っていなかったかを、本人と一緒に音声を1語ずつ流して確かめます。
まとめ
聞き流しで耳に残るのは、語の音の形と、聞いたことがあるという手ざわりまでです。意味は訳の前に自分で言ってはじめて確かめられ、つづりは家で文字を見てはじめて確かめられます。電車の15分を英語の直後で止める時間に変え、言えなかった語の番号を家まで持ち帰ってください。一時停止に指を置いた朝から、イヤホンの中の英語は、聞こえてくる音から自分で言える語に変わり始めます。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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