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算数の自由研究—数を数えて比べるテーマ|武蔵野個別指導塾

サイコロを60回振って目ごとの回数を数え、60で割った割合を棒グラフにするところから、算数の研究が1本になります。記録表の作り方、10回の目安の線の引き方、120回に増やすと割合の差が縮まる様子まで、実際の数で確かめてください。
算数の自由研究は、何かを数えて、表にして、比べるところまでで 1 本になります。計算の研究をしようとすると答えが教科書にあるので止まりますが、数える研究なら答えは自分のノートにしかありません。先に、家にある物だけで始められるテーマを 5 つ並べます。
| テーマ | 数える物 | 比べる相手 | 回数の目安 |
|---|---|---|---|
| サイコロの目 | 1 から 6 の目が出た回数 | 目ごとの回数と割合 | 60 回、できれば 120 回 |
| コインの表と裏 | 表が出た回数 | 表と裏の回数 | 50 回を 2 セット |
| 一歩の長さ | 10 歩で進んだ長さ | 家族ごとの 1 歩の長さ | 1 人 5 回 |
| 本の 1 ページの字 | 「の」が出てくる回数 | 本の種類ごとの回数 | 3 冊、各 5 ページ |
| 信号の待ち時間 | 赤が続く秒数 | 朝と夕方の秒数 | 1 か所、各 10 回 |
よくあるのは、昼ごはんのあとにサイコロを振り始めて、気づいたら窓の外が夕方の色になっている、という場面です。机の上には鉛筆で書いた正の字が並び、ノートの端には 1 の目が出た回数だけが妙に多い。本人は「このサイコロ、おかしいのではないか」と言い出し、横で見ていた弟が自分も振りたがる。この「おかしい」と思った気持ちが、そのまま研究の動機になります。数が偏って見えたなら、もっと振って確かめる。それだけで、算数の自由研究は形になります。
テーマの選び方
算数の自由研究で迷うのは、「計算の研究」をしようとして手が止まることです。計算は教科書に答えが書いてあるので、研究になりにくい。研究になるのは、答えがまだ誰のノートにも無いものです。サイコロを 60 回振ったときに 3 の目が何回出るか。これは誰も書いていないので、数えた人だけが答えを持てます。
図1のように、数えて比べるテーマは 4 つの型に分けられます。回数を数える型(サイコロ、コイン、じゃんけんの勝ち負け)、長さを測る型(一歩、影、紙飛行機の飛んだ距離)、時間を測る型(信号の赤、コップに水道の水がたまるまで、目をつぶって数える 1 分)、個数を数える型(ページの中の字、駐車場の車の色、公園のベンチ)。どの型でも、やることは同じです。1 回ごとに記録し、表にまとめ、何かと何かを比べる。型が決まれば、材料は家の中にあります。

選ぶときの決め手は 3 つあります。1 つ目は、1 回の記録が 10 秒で終わること。サイコロなら振って目を見て正の字を書くまでで 10 秒です。1 回に 5 分かかる記録は、60 回で 5 時間になり、途中で飽きます。2 つ目は、比べる相手が決まっていること。「1 の目と 6 の目」「自分の一歩と父の一歩」「朝の信号と夕方の信号」のように、2 つ以上を並べる相手がある。比べる相手の無い数は、集めても並べる先がありません。3 つ目は、全部の記録を 1 枚の表に書けること。表が 2 枚にまたがると、グラフにするときに苦しくなります。
学年で変えるなら、小学校の低学年は回数を数える型と個数を数える型、中学年からは長さや時間を測って平均を出す型、高学年と中学生はサイコロやコインで割合を出し、回数を増やすと割合がどう動くかまで追います。割合は小学 5 年で習いますが、「60 回のうち 9 回」と回数のまま書くだけなら、低学年でも伝わります。中学生なら、同じ表をもとに「なぜ回数を増やすと差が縮まるのか」を自分の言葉で書くところまで進めます。
ここでは、いちばん手早く形になるサイコロの目を例に、記録から考察まで通します。他のテーマでも、表の作り方とグラフの描き方はそのまま使えます。
進め方
用意する物は、サイコロ 1 個、紙コップ 1 個、鉛筆、ノート 1 冊です。紙コップは、サイコロを手で転がすと癖が出やすいので、コップに入れて振ってから机に出すために使います。机の上は片づけて、サイコロが床に落ちないように、机の縁に本を 1 冊置いておくと拾いに行く手間が減ります。ノートには、先に表の枠を書いておきます。列は、目、印、回数、割合の 4 つです。
手順は 5 つです。
- 振る回数を先に決める。最初は 60 回。6 つの目があるので、60 なら 1 つの目あたり 10 回が目安になり、あとで比べやすい。
- 1 回振るごとに、出た目の行に印を 1 つ書く。正の字でも、図2のように 1 マスずつ塗る形でもかまいません。
- 60 回が終わったら、目ごとの回数を数え、合計が 60 になることを確かめる。合計が合わないときは、どこかで印を書き忘れたか、二重に書いています。
- 目ごとの回数を 60 で割って、割合を出す。小数のままでも、百分率にしてもよい。
- できれば、同じことをもう 60 回やって、合計 120 回の表も作る。

図2は、60 回振り終えたときの記録表の一例です。1 の目が 9 回、2 の目が 12 回、3 の目が 8 回、4 の目が 11 回、5 の目が 10 回、6 の目が 10 回で、合計は 60 回です。自分で振れば、このとおりにはなりません。むしろ、同じにならないことが大事で、自分の表に自分の数が並んで初めて研究になります。マスを塗る形にしたのは、正の字より数え直しが楽で、塗った長さがそのまま棒グラフの下書きになるからです。
測る項目は、目ごとの回数、合計、目ごとの割合の 3 つです。割合は、回数を 60 で割ります。図2の例なら、1 の目は 9 を 60 で割って 0.15、つまり 15%。2 の目は 12 を 60 で割って 0.2、20%。3 の目は 8 を 60 で割って約 0.133、約 13.3%。4 の目は 11 を 60 で割って約 0.183、約 18.3%。5 の目と 6 の目は 10 を 60 で割って約 0.167、約 16.7% です。割り切れない数は、小数なら第 3 位、百分率なら小数第 1 位で四捨五入すると、表の桁がそろいます。
ここで、確率の入口に立ちます。サイコロの目は 6 つあり、どの目も同じくらい出やすいと考えると、1 つの目が出る割合は 6 分の 1、百分率で約 16.7% です。60 回なら 10 回が目安。ところが実際に振ると、図2の例のように 8 回から 12 回まで散らばることが多い。これはサイコロがおかしいのではなく、回数が少ないうちは偏って見えるのがふつうだからです。そこで、回数を 120 回に増やします。
120 回の例も挙げます。1 の目が 19 回、2 の目が 22 回、3 の目が 18 回、4 の目が 21 回、5 の目が 20 回、6 の目が 20 回で、合計 120 回。割合は順に約 15.8%、約 18.3%、15%、17.5%、約 16.7%、約 16.7% です。60 回のときは、いちばん多い目といちばん少ない目の差が 4 回(12 回と 8 回)で、割合の差は約 6.7 ポイント(20% と約 13.3%)でした。120 回では、回数の差は 4 回(22 回と 18 回)のままなのに、割合の差は約 3.3 ポイント(約 18.3% と 15%)に縮みました。回数を増やすと、回数の差はあまり変わらなくても、割合の差は縮まることが多い。これが、この研究でいちばん書きがいのある発見です。
記録のコツを 3 つ。1 つ目は、振る前に回数の枠を決めておくこと。「飽きたらやめる」だと、偏りが出たところで止めてしまい、結果がゆがみます。2 つ目は、印を書くときに声に出して目を言うこと。「4」と言ってから 4 の行に書くと、行の書き間違いが減ります。3 つ目は、10 回ごとに合計を数えること。60 回終わってから合計が 58 だと、どこで抜けたかわかりませんが、10 回ごとなら、その 10 回だけやり直せば済みます。
コインで同じことをするなら、表と裏の 2 行の表にします。50 回を 2 セット。1 セット目で表が 23 回と裏が 27 回、2 セット目で表が 25 回と裏が 25 回、合わせて 100 回で表が 48 回と裏が 52 回、というような数になることが多いです。表か裏かの 2 つしかないので、サイコロより早く「半分に近づく」様子が見えます。コインは机の上で回すと転がって落ちるので、サイコロと同じく紙コップで振ります。
一歩の長さを測るテーマなら、10 歩で進んだ長さを 5 回測り、平均を出して 10 で割ります。10 歩で 6.2 m、6.0 m、6.3 m、6.1 m、6.4 m なら、5 回の合計が 31.0 m、平均は 6.2 m、1 歩は 0.62 m、つまり 62 cm です。家族で同じことをすると、身長と一歩の長さの関係が見えてきます。巻き尺は床に伸ばしたまま固定し、始めの位置につま先をそろえてから歩くと、5 回の数がそろいやすくなります。
まとめ方
まとめは、動機、方法、結果、考察、感想の順に書きます。算数の研究で大事なのは、結果の節に表とグラフの両方を置くことです。表は正確な数を伝え、グラフは一目で差を伝えます。どちらか片方だと、読む人は「で、どうだったの」と戻ってきます。表は、目、回数、割合の 3 列に合計の行を足した形で、図2の塗ったマスは下書きとして残し、清書は数字だけにします。
グラフは棒グラフを選びます。目ごとの回数のように、種類ごとの数を比べるときは棒グラフ。日ごとに変わる数(毎日の気温など)は折れ線。全体の中の割合を見せたいときは円グラフですが、6 つの目はほぼ同じ割合に近づくので、円にすると差が見えにくい。今回の研究では棒グラフが向いています。

図3のように、横軸に 1 から 6 の目、縦軸に回数を取り、棒の高さを回数にします。縦軸の目盛りは 0 から始め、今回なら 15 まであれば足ります。図3では棒の中の下のほうに回数の数字を書きました。こうすると、表を見返さなくても読めます。そして、10 回のところに横線を 1 本引きます。これが「どの目も同じくらい出るなら、ここ」という目安の線です。線より上に出た棒と下に沈んだ棒が一目で見えて、考察がその線から始められます。120 回の表も作ったなら、同じ形のグラフをもう 1 枚、目安の線を 20 回にして並べます。
模造紙なら、棒の幅は 5 cm、棒どうしのすきまは 2 cm、縦軸は 1 回を 1 cm にすると、15 回で 15 cm、6 本の棒とすきまで横幅が 40 cm になり、模造紙の半分に収まります。レポート用紙なら、方眼紙に描いてから貼ると線がまっすぐになります。色は 1 色で足ります。目安の線より上の棒と下の棒で色を変えたくなりますが、読む人の目がそこに引きずられるので、線の色だけ変えるほうが伝わります。
考察は、「結果からわかること」と「もっと知りたいこと」の 2 つに分けると書きやすい。前の例で言えば、「2 の目がいちばん多く 12 回、3 の目がいちばん少なく 8 回だった。どの目も 10 回の線の近くに集まり、6 分の 1 にだいたい近い。120 回に増やすと、割合の差は約 6.7 ポイントから約 3.3 ポイントに縮まった」が「わかること」。「もっと回数を増やしたら、どこまで差が縮まるのか」「別のサイコロでも同じになるのか」が「もっと知りたいこと」です。予想と結果が違ったなら、違ったことをそのまま書きます。「最初はサイコロがおかしいと思ったが、120 回振ったら差が縮まったので、回数が少なかっただけだと考えた」は、立派な考察です。
結果と考察の区別がつかなくなったときは、数字が入っている文は結果、「だから」「と考えた」が入っている文は考察、と分けます。表やグラフを見れば誰でも言えることが結果、自分で考えないと言えないことが考察です。感想は最後に 3 行。「振るのが大変だった」より、「10 回ごとに合計を数えたら間違えなかった」のように、次にやる人の役に立つ 1 行があると、読む人の記憶に残ります。
うまくいかないとき
合計が合わない。いちばん多い失敗です。60 回振ったはずなのに、印を数えると 58 だったり 61 だったりする。原因は、印の書き忘れか、二重書きです。直し方は、やり直すのではなく、「60 回振ったが記録は 58 回分だった」と正直に書き、58 回分で割合を出すこと。そのうえで、「次は 10 回ごとに合計を確かめる」と書けば、失敗がそのまま考察になります。
偏りすぎて不安になる。60 回で 1 の目が 4 回しか出ない、ということも起こります。ここで「失敗した」と思ってやり直すと、研究が終わりません。偏ったのも結果です。そのまま書いて、もう 60 回振り、合わせた 120 回でどうなったかを並べる。偏りが残ったなら「このサイコロは 1 の目が出にくいのかもしれない」と書き、角が欠けていないか、重さが偏っていないかを観察する。それはもう次の研究の入口です。
途中で飽きる。1 日で 120 回を振ろうとすると、途中で手が止まります。60 回を 1 日目、60 回を 2 日目に分けると、1 日の作業は 15 分で終わります。日を分けたときは、表に日付を書いておくと、「1 日目と 2 日目で違いがあるか」という比べる相手がもう 1 つ増えます。
グラフの棒の高さが合わない。回数 12 の棒を 10 cm に描いてしまう、ということは、縦軸の目盛りを決める前に描き始めたときに起こります。先に縦軸に 0、5、10、15 の目盛りを書き、その目盛りに合わせて棒の高さを決めます。描く前に、いちばん大きい回数が入る高さがあるかを確かめます。
よくある質問
何回振れば足りますか
最低で 60 回、できれば 120 回です。60 回なら 1 つの目あたり 10 回の目安ができ、120 回なら「回数を増やすと割合の差が縮まる」ことを自分の数で確かめられます。300 回まで振る人もいますが、1 日で終わらせるなら 120 回で十分に書けます。
計算が苦手でも書けますか
書けます。割り算は、回数を 60 で割るだけです。小数が苦手なら、「60 回のうち 9 回」のように回数のまま書いてもかまいません。グラフは回数で描くので、割合を出さなくても棒の高さは決まります。割合は、余裕があれば足す部分です。
サイコロが 1 個しか無いときは
1 個で足ります。むしろ、1 個のサイコロを振り続けるほうが、同じ条件で比べられます。2 個を交互に使うと、「どちらのサイコロの目か」が混ざり、偏りの原因がわからなくなります。別のサイコロで比べたいなら、1 個目を 60 回、2 個目を 60 回と、表を分けます。
親の関わり方と個別指導で確かめること
親が手伝ってよいのは、表の枠を一緒に書くところと、合計を数え直すところです。振るのと印を書くのは、お子さまの手で。偏りが出たときに「やり直せば」と言わず、「それも結果だね」と言えるかどうかで、研究の出来が変わります。
塾の個別指導で確かめるのは、割合の計算と、結果と考察の境目です。9 を 60 で割る計算を筆算で確かめ、「数字の文は結果、考えた文は考察」の分け方を、本人の文章に一緒に線を引いて確かめます。模造紙に貼る前に、縦軸の目盛りと棒の高さが合っているかも見ます。
まとめ
サイコロを 60 回振って、目ごとの回数を数え、60 で割って、棒グラフに 10 回の線を引く。それだけで、「回数が少ないと偏って見える」という確率の入口を、自分の数で通れます。
偏った表も、合わなかった合計も、正直に書けば考察になります。60 回ぶんの正の字は、誰のノートにも無い、あなたの答えです。
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