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中学生の読書感想文—2000字を組み立てる|武蔵野個別指導塾

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部活のあとの机で2000字が止まる中学生へ。書き出し200字、場面500字、主張と根拠800字、変化400字、結び100字の配分と、あらすじを1400字から500字に減らす直し方を、自作の例文で追えます。

2000字は、思いつきで埋める長さではなく、組み立てる長さです。手順は次の5つです。

  1. 読みながら、心が動いた場面に付箋を3枚だけ貼る。
  2. 付箋ごとに「場面・理由・自分の経験」をメモに書く。
  3. 2000字を「書き出し200・場面500・主張と根拠800・変化400・結び100」に割る。
  4. 主張を一文で決めてから、下書きを書く。
  5. 読み返して、あらすじが500字を超えていたら削る。

よくあるのは、部活のあとの8月の机、という場面です。夕方の練習から帰って、汗の引かないまま原稿用紙を広げます。本は読み終わっています。面白かったという気持ちもあります。けれど鉛筆は1行目で止まり、気がつくとあらすじを書き写しているうちに原稿用紙が2枚埋まり、感想の入る場所がなくなっています。残り3枚を前に、何を書けばよいのかがわからなくなる。この夜に足りないのは、本を読む力でも文章の力でもなく、2000字を組み立てる手順です。

書く前にすること

中学生の読書感想文が長く感じられるのは、書く材料を集めずに原稿用紙に向かうからです。材料が3つあれば、2000字は余るほど書けます。材料は本を読み終わってから探すのではなく、読みながら拾います。

まず、心が動いた場面に付箋を貼ります。貼るのは3枚までです。10枚貼ると、あとで選ぶのに時間がかかり、結局どれも浅くなります。「面白い」より「ひっかかる」「腹が立つ」「自分ならこうしない」と感じた場面のほうが、感想文の材料として強いです。心が動くというのは、賛成することだけではありません。登場人物の判断に納得できない、という場面も、立派な材料です。

付箋を貼り終えたら、1枚ごとにメモを作ります。図1のように、1つの場面について4つの欄を埋めます。

図1 付箋1枚につき、場面・理由・経験・変化の4つを書くメモ

1つ目の欄は「心が動いた場面」です。誰が、何をして、どうなった場面かを、2行以内で書きます。ここで本の文章をそのまま写さないでください。自分の言葉で言い直すと、あとで本文に入れるときにあらすじくさくなりません。

2つ目の欄は「なぜ動いたか」です。これがいちばん大切で、いちばん手を抜きやすい欄です。「すごいと思ったから」では理由になっていません。「主人公は負けるとわかっていて試合に出た。負けるとわかっていたら私は出ない。だから驚いた」のように、自分の判断と登場人物の判断を並べると、理由が見えてきます。

3つ目の欄は「自分の似た経験」です。同じ出来事である必要はありません。本では試合、自分は合唱コンクールの伴奏、というように、似た気持ちになった場面を探します。中学生なら、部活、委員会、友だちとのすれ違い、家族との言い合いなど、材料は毎日の中にあります。経験が思いつかないときは、「もし自分がその場にいたら、どうしたか」を書いても構いません。

4つ目の欄は「本を読む前と後の違い」です。読む前は、負けるとわかっている勝負は避けるものだと思っていた。読んだ後は、避けた勝負のことをずっと考えていた自分に気づいた。この欄が書けていれば、感想文の終わりが「面白かったです」で終わることはなくなります。

3枚のメモができたら、その中から1枚を主役に選びます。2000字は長いように見えて、3つの場面を同じ深さで書くには足りません。主役を1枚、脇役を1枚、残りの1枚は使わなくてもよい、と決めると、本文の重心が定まります。主役の付箋は、4つの欄が全部埋まっているものを選んでください。欄が空いている付箋は、心は動いたけれど、まだ言葉になっていない場面です。

メモ作りにかける時間は、本を読み終わってから30分で足ります。この30分を飛ばして原稿用紙に向かうと、下書きと清書を合わせて3時間かかります。先に30分使うほうが、机に座っている時間は短くなります。

書き方の手順

材料がそろったら、2000字を部屋に分けます。図2のように、書き出し200字、場面500字、主張と根拠800字、自分の変化400字、結び100字の5つです。足すとちょうど2000字になります。実際の本文は上限いっぱいでなくてよいので、1800字から2000字の間に収まれば十分です。

図2 2000字を5つに分ける配分の目安

書き出しの200字は、本との出会いを書く場所です。「私がこの本を読んだのは」と始めるより、主役の付箋に書いた場面を一文で置くほうが、読み手の目を止められます。「負けるとわかっている試合に出る人を、私は初めて見た。」のように、自分の驚きから始めます。書き出しで本の題名と作者を入れておくと、審査する人や先生が何を読んだ感想文なのかをすぐに把握できます。

場面の500字は、あらすじの代わりに置く部屋です。本の最初から最後までを順に書くのではなく、主役の付箋の場面だけを、前後の説明を少し添えて書きます。読んでいない人がその場面を思い浮かべられる程度で足ります。500字と決めておくのは、あらすじが膨らむのを防ぐためです。中学生の感想文で最も多い失敗は、あらすじが1400字になり、感想が600字しか残らないことです。

主張と根拠の800字が、感想文の中心です。ここでいう主張とは、その本について自分が言いたいことを一文にしたものです。「負けるとわかっていても、出ることで初めて見えるものがある」のように、一文で言える形にします。一文で言えないうちは、まだ主張が決まっていません。主張が決まったら、根拠を2つ置きます。1つ目の根拠は本の中にあります。主人公がその場面でどう考え、何を言ったか。2つ目の根拠は自分の経験の中にあります。メモの3つ目の欄に書いた、似た気持ちになった出来事です。本の根拠が400字、自分の根拠が400字という配分にすると、本から離れすぎず、自分の話だけにもなりません。

自分の変化の400字は、中学生の感想文で小学生との差がはっきり出る部屋です。「考えさせられました」と書くだけでは、何をどう考えたのかが伝わりません。読む前の自分と読んだ後の自分を、具体的な行動で比べます。「読む前の私は、負けそうな試合の日に体調が悪いと言って休んだことがある。読んだ後の私は、次の練習試合の出場希望に名前を書いた」のように、行動が変わったか、変わっていないなら何が引っかかっているのかを書きます。変わっていないと正直に書くのも、立派な変化の書き方です。読んだだけで人は変わらない、と気づいたことが変化だからです。

結びの100字は、主張をもう一度、別の言い方で置く場所です。最初の主張をそのまま繰り返すと、読み手は飽きます。「負けるとわかっていても出る」を、結びでは「次に逃げたくなったとき、この本の主人公の背中を思い出す」のように、未来の自分の行動に言い換えます。

下書きは、この5つの部屋の順番どおりに書く必要はありません。いちばん書きやすいのは主張と根拠の800字です。中心から書いて、そのあとに場面を書き、最後に書き出しと結びを書くと、書き出しで止まる時間がなくなります。1行目で鉛筆が止まる夜の多くは、いちばん難しい部屋から書こうとしているだけです。

下書きが終わったら、読み返す前に一晩置きます。8月の夜に書いた文章は、翌朝の自分が読むと、あらすじの多さと同じ言葉の繰り返しがよく見えます。見えたところを削り、空いた分だけ根拠を厚くする。この一往復で、文章は見違えます。

例文で見る

型を写して、自分の言葉に置き換えるための短い例を2つ置きます。本は架空の物語で、吹奏楽部の少年が、負けるとわかっている地区大会に出るかどうかで迷う話だと思ってください。例文はそのまま使える長さにしていません。どこが型なのかを見てから、自分の本と経験に置き換えてください。

1つ目は、書き出しと場面をつなげた例です。

「負けるとわかっている大会に出る人を、私は初めて見た。主人公のケンは、部員が足りず、地区大会の規定人数をぎりぎり満たした吹奏楽部の副部長だ。顧問は出場を迷っていた。ケンは、結果より、全員で舞台に立った事実が欲しいと言って、出場届を自分で出しに行く。私が付箋を貼ったのは、この届を出しに行く廊下の場面だった。」

この例の良いところは3つあります。1つ目は、最初の一文が自分の驚きになっていることです。本の題名から始めなくても、何に驚いた人が書いているのかが伝わります。2つ目は、あらすじを最初から説明せず、付箋を貼った場面に向かって最短で進んでいることです。人数が足りないという前提だけを添えて、廊下の場面にたどり着いています。3つ目は、最後の一文で「私が付箋を貼ったのは」と、自分の視点に戻していることです。場面の説明のあとに自分に戻る一文があると、次の主張の部屋に自然につながります。

2つ目は、主張と根拠から自分の変化へ進む例です。

「私の主張は、結果が見えている勝負ほど、出た人にしか見えないものがある、ということだ。ケンは本番で音を外し、順位は最下位だった。それでも帰りのバスで、来年は何人で出られるかを数えていた。負けた人が次の話をしている。私は去年の合唱コンクールで、伴奏を頼まれて断った。うまく弾けないとわかっていたからだ。断ったあと、本番の日に自分の教室の歌を廊下で聞いていた。あの日の私は、負けてもいないのに、ケンより先に次の話ができなくなっていた。読む前の私は、断ったことを賢い判断だと思っていた。読んだ後の私は、今年の伴奏の募集の紙を、まだ捨てずに机に置いている。」

この例の良いところも3つあります。1つ目は、主張が一文で、しかも本の言葉ではなく自分の言葉で置かれていることです。2つ目は、根拠が本と自分の2つあり、しかも「次の話をしているかどうか」という同じ物差しで比べられていることです。物差しが同じだと、本の話と自分の話が別々の段落に見えません。3つ目は、変化を「紙を捨てずに置いている」という行動で書き、「挑戦したいと思いました」と決意の言葉で終えていないことです。まだ応募していない、という中途半端さを隠さないので、読み手は本当のことだと受け取ります。

2つの例を合わせても400字ほどです。2000字の感想文では、場面の部屋に本の描写をもう少し足し、根拠の部屋で本の中の別の場面を1つ加え、変化の部屋で伴奏を断った日の様子を具体的に書けば、水増しせずに長さが出ます。足すのは言い換えではなく、場面の細部です。

まちがえやすいところ

中学生の感想文を直していて、何度も出会う誤りが3つあります。

1つ目は、あらすじが長すぎることです。原稿用紙5枚のうち、3枚半があらすじで、感想が1枚半しかない。本を読んでいない人に説明しなければ、という気持ちが強いほど、こうなります。図3のように、あらすじを1400字から500字に減らし、空いた分を主張と根拠に回します。読み手は本の全体を知りたいのではなく、あなたがどの場面でどう考えたかを知りたいのです。直すときは、あらすじの段落から、主役の付箋の場面に関係のない文を消します。残った文に、前後の説明を2行だけ添えれば、500字に収まります。

図3 あらすじを減らして主張と根拠に回す直し方

2つ目は、感想が「思った」の連続になることです。「すごいと思った。かわいそうだと思った。自分もがんばろうと思った。」という段落は、3つの文が全部同じ形で、しかも理由がありません。どこが違うかというと、思ったことの中身ではなく、なぜそう思ったかが抜けています。直した文は、「主人公が廊下で出場届を出しに行く場面で、私は手が止まった。私なら、顧問が迷っているあいだは待つからだ。」です。「思った」を消し、自分の行動と、そうする理由に置き換えると、同じ場面でも感想文の文になります。

3つ目は、変化の部屋が「これからは〜したい」で終わることです。「これからは逃げずに挑戦したいです」という結びは、どの本を読んでも書ける文です。どこが違うかというと、本を読む前の自分が書かれていないので、何から何に変わったのかが見えません。直した文は、「読む前の私は、伴奏を断った日を忘れていた。読んだ後の私は、その日の廊下の冷たさを思い出した。」です。前と後を並べ、変わったことを気持ちではなく、思い出した場面や手に取った物で書くと、「〜したい」に頼らずに結べます。

3つの誤りに共通するのは、本の話と自分の話のどちらかだけになっていることです。あらすじが長い文章は本の話だけ、「思った」の連続は自分の気持ちだけ、「〜したい」の結びは未来の自分だけです。本の場面と自分の経験を、同じ物差しで並べる。それだけで3つとも直ります。

よくある質問

本を最後まで読み終えていなくても書き始めてよいですか

読み終えてからのほうがよいですが、付箋が3枚貼れていれば、メモ作りは始められます。読み終わる前に主役の場面を決めてしまうと、終盤に出てくる場面を見落とすことがあります。残りが少ないなら読み切ってから、半分以上残っているなら、先にメモを作りながら読み進めてください。読む速さより、付箋を貼りながら読んでいるかどうかのほうが、仕上がりに関係します。

あらすじはどのくらい書けばよいですか

2000字なら500字までです。読んでいない人がその場面を思い浮かべられる程度で足り、本の最初から最後までを説明する必要はありません。あらすじを書く理由は、自分の主張の根拠になる場面を、読み手と共有するためです。主張に関係のない場面は、たとえ面白くても省いてください。迷ったら、「この文を消しても、自分の主張は伝わるか」と自分に聞いてみると決められます。

コンクールの決まりで気をつけることはありますか

青少年読書感想文全国コンクールの、この記事を書いた時点の公式の応募要項では、中学校の部は本文2000字以内です。句読点も1ますに1つで数に入り、行を変えて空いたますも数に入ります。数えないのは題名と学校名と氏名です。原稿用紙を使って縦書きで自筆し、原稿用紙の大きさや字詰めに規定はありません。課題読書と自由読書で、それぞれ1編ずつ応募できます。都道府県や学校で別の規定を設けている場合があるので、学校のお便りと公式サイトで、その年の要項を確かめてください。要項は毎年見直されるため、学校の指示が優先です。

親の手伝い方と個別指導で確かめること

保護者の方にお願いしたいのは、文章を直すことではなく、付箋の場面について質問することです。「どこで手が止まったの」「自分だったらどうした」の2つを聞くだけで、お子さまの口から理由と経験が出てきます。それをそのままメモに書かせてください。大人が言い換えた言葉は、本文に入ると浮きます。

個別指導で確かめるのは、主張が一文で言えているか、根拠が本と自分の2つあるか、変化が行動で書けているかの3点です。この3点がそろっていれば、文章の細かな直しは最後で足ります。そろっていなければ、原稿用紙に戻る前に、メモの欄を埋め直すところから一緒にやり直します。

まとめ

付箋3枚とメモ4欄、そして5つの部屋があれば、部活のあとの机でも2000字は組み立てられます。あらすじは500字まで、主張は一文、根拠は本と自分から1つずつ、変化は行動で書く。この4つを守った感想文は、読み終わった夜の自分が、読む前の自分に宛てて書いた手紙になります。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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