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小学校中学年の読書感想文—あらすじで終わらせない|武蔵野個別指導塾

小学3年生と4年生の読書感想文が本の出来事の並べ直しで終わるのを防ぐ手順です。付せん3枚と3つの箱のメモで本の場面と自分の経験をつなぎ、1,200字を4つの段落に配分する形を、自作の例文と直し方つきで示します。
小学3年生と4年生の読書感想文は、次の4つの手順で書くと、あらすじだけで終わりません。
- 本を読みながら、心が動いたところに付せんを3枚だけ貼る。
- 付せんの場面ごとに「本のどこで」「自分のにた経験」「だから思ったこと」の3つの箱にメモを書く。
- 1,200字なら、書き出し200字、本の場面300字、自分の経験400字、これから300字の4つの段落に分ける。
- 書き終えたら声に出して読み、本の話と自分の話のどちらが長いかを数える。
よくあるのは、8月の終わりに小学3年生のお子さまが原稿用紙を書き上げ、親が読んでみると、1行目から最後の行まで本の出来事が順番に並んでいるだけ、という場面です。「主人公は森に入りました。そこでキツネに会いました。最後は家に帰りました」。文はきちんと書けています。字もていねいです。けれども、どこを読んでも、書いた本人がどう思ったのかが出てきません。親が「どう思ったの」と聞くと、返ってくるのは「おもしろかった」の一言です。それを最後の行に足しても、感想文にはなりません。下書きを消しゴムで消して書き直す前に、まず書く前の準備に戻ります。
書く前にすること
あらすじだけで終わる原因は、書く力ではなく、書く前の準備にあります。3年生と4年生は、本の出来事を順番どおりに正確に思い出すことが得意になってくる学年です。だから「何が起きたか」を書くことは上手にできます。一方で「自分はどう思ったか」は、だれかに聞かれないと頭の中に出てきません。読み終わったあとで感想を聞かれても、本の中身しか残っていないので、本の中身を書きます。これがあらすじだけの感想文ができる仕組みです。防ぐには、読んでいる途中で自分の気持ちを捕まえておき、本の場面と自分の経験をつなぐメモを、原稿用紙に向かう前に作ります。
手順は次のとおりです。
- 付せんを3枚だけ用意して、本を読みながら、心が動いたところに貼ります。「あっ」と声が出たところ、笑ったところ、いやだなと思ったところ、自分だったらこうはしないと思ったところです。10枚貼ると、あとで選べなくなります。3枚なら、どれを使うかを迷う時間が短くて済みます。3枚を使い切る前に読み終わってもかまいません。
- 読み終わったら、紙を横に3つに区切ります。左の箱は「本のどこで」で、付せんを貼った場面を1行で書きます。真ん中の箱は「自分のにた経験」で、その場面とにたことが自分にあったかを書きます。右の箱は「だから思ったこと」で、本と自分を比べて、いま考えていることを書きます。図1のように、付せん1枚につき横1列を使い、3枚なら3列になります。
- 真ん中の箱が空のままの列は、使いません。3列のうち1列でも真ん中が埋まれば、その列が感想文の中心になります。3列とも埋まったときは、真ん中の箱に書いたことが一番くわしい列を選びます。
- メモは文にしなくてかまいません。単語を並べるだけで足ります。「かけっこ、びり、くやしい、家でないた」のように、あとで自分が読んで思い出せれば十分です。この段階できれいな文を書こうとすると、手が止まります。
- 親が手伝うなら、聞き役にまわります。「そのとき、どんな気持ちだった」「同じようなこと、前になかったかな」の2つだけを聞き、答えはお子さま自身に書かせます。親が言った言葉をそのまま書くと、本文に入ったときに本人の言葉と調子が合わず、浮いてしまいます。

図1の真ん中の箱が、あらすじで終わらないための鍵です。左の箱だけを埋めて本文を書くと、本の出来事を並べた文になります。真ん中の箱に自分のことが1つ入ると、本文の中に「わたし」が出てきて、文の主役が本から自分に移ります。
埋めたメモの例を1つ挙げます。左の箱には「主人公が転校した日、給食をだれとも話さずに食べた場面」と書きます。真ん中の箱には「2年生のクラスがえで仲のよい子と別のクラスになり、4月の給食で一人で食べた」と書きます。右の箱には「主人公は3日目に自分から話しかけた。自分は待っていただけだった」と書きます。この3つがそろえば、本文の4つの段落のうち、3つはもう材料が手元にあります。足りないのは書き出しだけで、書き出しは左の箱の場面をそのまま最初の一文にすれば作れます。
書き方の手順
材料がそろったら、長さを先に決めます。青少年読書感想文全国コンクールの応募要項(公式サイトの最新の応募要項で確かめたもの)では、小学校中学年の部(3、4年生)は本文1,200字以内で、題名、学校名、氏名はこの数に入れず、句読点はそれぞれ1字に数え、改行のために空いたます目も数えます。原稿用紙の大きさや1行の字の数に決まりはなく、縦書きで自分の手で書きます。ただし学校の宿題では、原稿用紙2枚や3枚と枚数で指定されることが多く、都道府県や学校ごとに別の決まりがある場合もあります。この記事の配分は1,200字を前提にしていますので、学校の指示があるときは学校の指示が優先です。
1,200字を、図2のように4つの段落に分けます。

1つ目の段落は書き出しで、200字です。本を選んだ理由や「わたしは夏休みに〜という本を読みました」から入らず、付せんを貼った場面の一文か、自分の経験の一場面から入ります。最初の一文で、本の中の出来事と自分がつながっていることを読む人に見せます。あらすじはこの段落に3行まで入れてかまいません。本の題名と、だれが何をする話かを一文で書けば、読んだ人には十分伝わります。
2つ目の段落は本の場面で、300字です。付せん3枚のうち、メモの真ん中の箱が埋まった1枚だけを使います。場面を1つに絞ることが、あらすじにしないための一番大きな決まりです。書き方は「主人公が〜したとき、わたしは〜」の形にします。「〜したとき」の前が本の話、「わたしは」の後が自分の話で、1つの文の中に両方が入ります。この形で書くと、本の出来事を3つも4つも続けて書けなくなります。
3つ目の段落は自分の経験で、400字です。4つの段落の中で一番長くします。いつ、どこで、だれと、何があったかを順番に書き、そのときの気持ちを1つ書きます。そのあとで、本の主人公と自分とのちがいを1つ書きます。「主人公は〜したけれど、わたしは〜だった」の形です。このちがいが、感想文の中でその子にしか書けない部分になります。似た経験がある子は多くても、主人公とのちがいの書き方は一人ずつ変わるからです。
4つ目の段落はこれからで、300字です。本を読む前と読んだあとで、自分の考えや行動がどう変わったかを書きます。「〜したいです」だけで終わらせず、明日からできる小さな行動を1つ書きます。きれいな言葉より、本当にやりそうなことのほうが読む人に届きます。読んで変わらなかったなら、変わらなかった理由を書いてもかまいません。
段落の分け方にも決まりがあります。話が変わるところで改行し、次の行の1ます目を空けます。3年生は、段落の意識がこの時期に生まれてきます。4つの段落を4つのまとまりとして見せるだけで、読む人は話の流れを追いやすくなります。5つ以上に細かく分けると、1つの段落が3行ほどになり、中身がうすく見えます。4つに収めます。
原稿用紙2枚、800字の宿題なら、比をそのままに、書き出し150字、本の場面200字、自分の経験250字、これから200字にします。どの長さでも、自分の経験の段落が一番長い、という形は変えません。
書き終えたら、声に出して読みます。読みながら、本の話の行と自分の話の行を数えます。本の話のほうが多ければ、2つ目の段落から本の出来事を1つ減らし、3つ目の段落に自分の気持ちを一文足します。この数え方は、お子さま一人でもできます。
例文で見る
例文は、型を見るための短いものです。そのまま写すのではなく、自分の本と自分の経験に置き換えて使います。本の題名は伏せてあります。
1つ目は、書き出しと本の場面の例です。
「ゆうきは、転校した日の給食を、だれとも話さずに食べた。」この一文を読んだとき、わたしは2年生の春を思い出しました。この本は、山の町から海の町へ引っこした男の子が、新しい学校で友だちを作るまでの話です。わたしが一番心に残ったのは、ゆうきが3日目の朝、となりの席の子に「その消しゴム、どこで買ったの」と自分から聞く場面です。たったそれだけのことなのに、ゆうきの手がふるえていると書いてありました。わたしは、その手のふるえがよくわかりました。
この例の良いところは3つあります。最初の一文が本の中の一場面で、本を選んだ理由から始めていないことです。あらすじが「この本は〜までの話です」の一文だけで終わっていることです。そして、本の場面を書いた直後に「わたしは」が出てきて、本の話と自分の話が1つの段落の中でつながっていることです。「ゆうきの手がふるえている」という細かいところを拾っているのも、付せんを貼りながら読んだからこそ書けた部分です。
2つ目は、自分の経験の段落の例です。
わたしも2年生のとき、クラスがえで仲のよかった友だちと別のクラスになりました。4月の給食の時間、同じはんの子はみんな知らない子で、わたしは牛乳を飲むふりをして、だれとも目を合わせませんでした。話しかけてくれる子を待っていたのです。ゆうきとちがって、わたしは自分から聞くことができませんでした。だから、ゆうきが消しゴムのことを聞いた場面で、わたしは少しくやしくなりました。ゆうきにできて、わたしにできなかったのは、たった一言を先に言うことだったからです。
この例の良いところは、いつ(2年生の4月)、どこで(給食の時間)、だれと(同じはんの知らない子)、何があったか(目を合わせなかった)が順番に入っていることです。気持ちは「くやしくなりました」の1つだけで、その理由が最後の一文に書いてあります。そして「ゆうきとちがって」の一文で、主人公と自分のちがいがはっきりしています。この段落には本の出来事が1つしか出てきません。それでも本を読んだことは十分に伝わります。
2つの例に共通するのは、本の出来事が合わせて2つしか出てこないことです。転校した日の給食と、3日目の消しゴムの質問、この2つだけです。それ以外の出来事は、書かなくても感想文として成り立ちます。あらすじで終わっていた下書きには、出来事が10個も入っていたはずです。10個を2個に減らし、空いた場所に自分のことを入れると、感想文の形になります。
まちがえやすいところ
よくある誤りを3つ、どこがちがうかと直した文を並べます。図3は、1つ目の誤りを直す考え方です。

1つ目は、本の出来事が最初から最後まで順番に書いてあることです。「はじめに主人公は〜しました。次に〜しました。それから〜しました。最後に〜しました」の形は、感想文ではなく本の説明です。読む人は本の中身を知りたいのではなく、書いた人がどう思ったかを知りたいので、この形では書いた人が見えません。直し方は、図3のように出来事を1つだけ残し、残りを消して、消した場所に自分のにた経験を入れることです。残した1つは「〜したとき、わたしは」の形で書きます。
2つ目は、「おもしろかったです」「すごいと思いました」で段落が終わっていることです。気持ちの言葉はあるのに、何がどうおもしろかったのかが書いていないので、読む人には伝わりません。「おもしろかった」の前に、何がそうだったのかを足します。直した文は、「ゆうきが消しゴムのことを聞いたとき、手がふるえていたところがおもしろかったです。わたしも、声をかける前はいつも手が冷たくなるからです」のようにします。「〜からです」で理由を1つ足すだけで、その子にしか書けない文になります。
3つ目は、最後の段落が「わたしも主人公のように、勇気を出してがんばりたいです」のきれいな言葉で終わっていることです。まちがいではありませんが、本当にやりそうなことに見えないので、読む人の心に残りません。直し方は、明日からできる小さな行動を1つ、具体的に書くことです。直した文は、「来週の月曜日、朝の会の前に、まだ話したことのないとなりの席の子に、一つだけ質問をしてみます。何を聞くかは、もう決めてあります」のようにします。大きな決意より、小さな予定のほうが、本を読んで変わったことが伝わります。
3つに共通するのは、本の話と自分の話の分量です。本の話が長く、自分の話が短いときに、この3つの誤りが同時に起きます。直すときは、文を1つずつ直すより先に、自分の経験の段落を一番長くするところから始めます。
よくある質問
本の内容を書かないと、読んだことが伝わらないのではないですか
出来事を1つだけ書いても、伝わります。1つの場面を細かく書くほうが、10個の出来事を並べるより、ちゃんと読んだことが読む人にわかります。例文の「手がふるえていた」のような細かいところは、読まなければ書けないからです。どうしても本の中身を書きたいときは、書き出しの段落に「だれが何をする話か」を一文で入れ、それ以上は書きません。
似た経験が思いつかないときはどうすればよいですか
付せんを貼った場面を、もう一度親と話します。「主人公は〜したけど、あなたならどうする」と聞くと、経験がなくても「自分だったら」という考えが出てきます。それをメモの真ん中の箱に書きます。経験の代わりに「自分だったらこうする」を入れても、本の話と自分の話はつながります。それでも出てこないときは、付せんを貼る場所を変えて、もう一度読みます。
3年生と4年生で書き方は変わりますか
手順は同じです。変わるのは、自分の経験の段落の中身です。3年生は、あったことと気持ちを書けば十分です。4年生は、それに加えて、主人公と自分のちがいがどこから来るのかを一文書くと、読む人の見方が変わります。「ゆうきは前の学校でも転校をしたことがあったから、自分から話せたのだと思います」のような一文です。4年生で書けなくても、まちがいではありません。
親の手伝い方と個別指導で確かめること
親がすることは、メモの段階での聞き役と、書き終えたあとの聞き役の2つです。「どんな気持ちだった」「同じようなこと、なかったかな」の2つの問いを、書く前に聞きます。書き終えたら、本人に声に出して読んでもらい、本の話と自分の話のどちらが長いかを一緒に数えます。文を直すのは本人です。親が文を書き足すと、その行だけ調子が変わり、読む人にはすぐわかります。
個別指導で確かめるのは、メモの真ん中の箱が埋まっているか、本の場面が1つに絞られているか、自分の経験の段落が一番長いか、最後の行が小さな行動で終わっているか、の4つです。下書きを持ってきてもらい、この4つに印を付けるところから始めます。
まとめ
あらすじで終わる下書きは、書く力が足りないのではなく、自分の話を入れる場所が決まっていないだけです。付せん3枚、3つの箱、4つの段落で、入れる場所を先に作ります。本の出来事を2つに減らして空いた場所に、その子の2年生の春が入ります。感想文の主役は本ではなく、本を読んだその子です。
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