
武蔵野個別指導塾の特徴
読書感想文におすすめの本の選び方—学年別の考え方|武蔵野個別指導塾

図書館の棚の前で迷う親子へ。読み切れるか、話せる場面があるか、引っかかりがあるかの3つの問いで本を決め、薄い本に逃げて書く場面が1つしか残らない落とし穴を、学年ごとの目安と定番の書名つきで防ぎます。
本は、次の 3 つの問いで決めます。
- 自分で読み切れるか(最初の 10 ページを声に出して読み、詰まらないか)
- 読み終えたあと、人に話したくなる場面が 1 つ以上あるか
- 「なぜ」「自分なら」と引っかかるところがあるか
3 つとも「はい」なら、その本で書けます。薄さや有名さで選ばないでください。
よくあるのは、図書館の棚の前で、親子が 30 分立ちつくしているという場面です。お母さんは「これはどう」と背表紙の厚い本を抜き、子どもは首を横に振ります。子どもが手に取るのは絵の多い薄い本ばかりで、お母さんは「それでは書くことがないでしょう」とため息をつきます。閉館の放送が流れ、結局その日は何も借りずに帰り、翌週もまた同じ棚の前に立ちます。止まっている理由は、選ぶ基準を二人が持っていないからです。厚さで選ぶ親と、薄さで選ぶ子は、どちらも「読んだあとに何を書くか」を見ていません。
書く前にすること
本を決める前に、紙を 1 枚とペンを用意します。選ぶ作業そのものを、書く準備にしてしまいます。
まず、候補を 3 冊まで絞ります。棚の前で 10 冊を抱えても決まりません。学校から配られた課題図書の一覧、図書館の司書の方がすすめる棚、去年の夏に読みかけて止まった本、この 3 か所から 1 冊ずつ取るのが早い方法です。
次に、候補の 1 冊ずつに、図1 の 3 つの問いを当てます。

図1の 1 つ目は「読み切れるか」です。最初の 10 ページを、その場で読みます。小学生なら声に出して読み、知らない言葉で 3 回以上止まるなら、その本はまだ早いと判断します。読める本でなければ、感想は生まれません。
2 つ目は「話せる場面があるか」です。目次か、まんなかあたりの見開きを開いて、いっしょに来た人に「ここで何が起きているか」を 1 分で話せるかを試します。話せる場面が 1 つもない本は、読み終えても「おもしろかったです」で止まります。
3 つ目は「引っかかりがあるか」です。主人公のしたことに「自分ならしない」と思う場面、「なぜこの人はこうしたのか」とわからない場面があるかどうかです。感想文の芯になるのは、共感よりも引っかかりです。納得できない場面がある本ほど、書くことが増えます。
3 つの問いに「はい」が並んだ本を選びます。並ばない本は、どんなに有名でも、どんなに薄くても、今回は見送ります。
選んだら、紙に 3 行だけ書きます。本の題名、選んだ理由を 1 行、読む前に予想した結末を 1 行です。この 3 行は、読み終えたあとに「予想とどう違ったか」を書く材料になります。読む前の自分を記録しておくと、本を読んで変わった自分を書けます。予想は外れてかまいません。外れた予想ほど、あとで書くことが増えます。書いた紙は、しおりの代わりに本にはさんでおきます。
ここまでで、図書館での作業は終わりです。かかるのは同じ 30 分でも、立ちつくす 30 分とは中身が違います。
書き方の手順
本の選び方は、学年で変わります。理由は、求められる長さと、書く中身の深さが変わるからです。青少年読書感想文全国コンクール(主催は全国学校図書館協議会と毎日新聞社)の 2026 年度、第 72 回の応募要項では、部ごとの本文の上限が図2 のように決められています。

図2のとおり、小学校低学年の部(1、2 年生)は本文 800 字以内、中学年の部(3、4 年生)と高学年の部(5、6 年生)は 1,200 字以内、中学校の部と高等学校の部は 2,000 字以内です。句読点は 1 字に数え、改行のために空いたますも数えます。題名、学校名、氏名は数えません。学校の宿題は学校の指示が優先ですが、この上限を目安にすると、学年ごとに「どれくらい書ける本が要るか」が見えてきます。要項は年度ごとに出ますから、応募する年の要項で確かめてください。
低学年(1、2 年生)は 800 字を 1 つの場面で埋める
800 字は、400 字詰めの原稿用紙で 2 枚です。書くのは、いちばん心が動いた場面を 1 つと、そのとき自分がどう思ったかです。だから本は、絵本か、絵の多い短い物語で十分です。大事なのは、「自分のことと似ている」と言える場面があることです。弟や妹ができた、友だちとけんかした、初めてひとりで何かをした、そういう場面が本の中にあると、自分の話につながります。
定番としてすすめやすいのは、『ぐりとぐら』(中川李枝子 作、大村百合子 絵)、『スイミー』(レオ・レオニ 作)、『エルマーのぼうけん』(ルース・スタイルス・ガネット 作)です。『エルマーのぼうけん』は低学年には長く感じますが、親が読み聞かせて子どもが感想を話す形なら、2 年生で書けます。
中学年(3、4 年生)は 1,200 字にあらすじ以外のことを入れる
1,200 字は原稿用紙 3 枚です。ここで初めて「あらすじだけで終わる」という失敗が出ます。防ぐには、主人公が何かを選ぶ場面がある本を選びます。選ぶ場面があれば、「自分ならどうするか」が書けます。
『ごんぎつね』(新美南吉)、『モチモチの木』(斎藤隆介 作、滝平二郎 絵)、『ルドルフとイッパイアッテナ』(斉藤洋)、『チョコレート工場の秘密』(ロアルド・ダール)は、どれも主人公が決断する場面がはっきりしています。『ごんぎつね』は教科書で読んだ子も多い話ですが、教科書で読んだ話をもう一度本で読み、「教室で習ったときと今で、ごんの気持ちの読み方が変わったか」を書くと、中学年らしい一本になります。
高学年(5、6 年生)は 1,200 字で主題を 1 つに絞る
上限は中学年と同じ 1,200 字ですが、求められる中身が変わります。「楽しかった」ではなく、「この本は何について書かれた本か」を自分の言葉で言い、それに対する自分の考えを書きます。本は、主題がはっきりしていて、しかも答えが 1 つでないものを選びます。
『西の魔女が死んだ』(梨木香歩)、『二分間の冒険』(岡田淳)、『夏の庭』(湯本香樹実)は、主題を「死」「成長」「約束」などと言いやすく、そのうえで読み手によって受け取り方が割れます。割れる本には、自分の読みを書く余地があります。『ハリー・ポッターと賢者の石』(J.K.ローリング)も高学年の定番ですが、長いので、書く前に「どの場面について書くか」を 1 つに決めてから読み返す必要があります。
中学生は 2,000 字に主張と根拠を置く
2,000 字は原稿用紙 5 枚です。感想文というより、短い論説に近づきます。本に対して「わたしはこう考える」という主張を立て、本の場面を根拠にして、自分の経験で裏づけます。本は、登場人物の考えに賛成も反対もできるものを選びます。全員が良い人で、全部がうまくいく話は、主張が立ちません。
『坊っちゃん』(夏目漱石)、『走れメロス』(太宰治)、『カラフル』(森絵都)、『バッテリー』(あさのあつこ)は、主人公の行動に賛否が分かれます。『走れメロス』は短いので薄い本の落とし穴に見えますが、メロスの行動に「本当に正しいのか」と引っかかれる人には、2,000 字でも足りないほど書けます。短い本でも、引っかかりが深ければ書けます。
高校生は 2,000 字で作者の意図と自分の読みをぶつける
上限は中学生と同じですが、本の読み方が変わります。作者がなぜこの話をこう書いたのかを考え、それに対する自分の読みを置きます。本は、一度読んだだけでは意味の取りきれないものを、あえて選びます。
『こころ』(夏目漱石)、『羅生門』(芥川龍之介)、『人間失格』(太宰治)、『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎)、『博士の愛した数式』(小川洋子)は、どれも「結局この人は何をしたかったのか」を問える本です。問いが立つ本なら、2,000 字を埋めるために水増しする必要がありません。
学年の目安は、あくまで目安です。コンクールの要項にも、同じ部の中に学年の指定はないと書かれています。4 年生が高学年向けの本を選んでも、6 年生が中学年向けの本で深く書いても、かまいません。決めるのは、図1 の 3 つの問いです。
例文で見る
本を選ぶ段階で、感想文の書き出しはもう決まっています。選んだ理由をそのまま書けばよいからです。短い例を 2 つ置きます。型を見るためのもので、言葉は自分のものに置き換えてください。
1 つ目は、中学年の子が『ごんぎつね』を選んだ場合です。
「わたしは 4 年生のとき、教科書でごんぎつねを読みました。そのときは、ごんはかわいそうだと思いました。冬休みに図書館でもう一度読んだら、かわいそうだと思う前に、ごんはなぜ兵十に名乗らなかったのだろうと思いました。」
この書き出しの良いところは、本を選んだ経緯が、そのまま「読み方が変わった」という内容になっているところです。教科書で読んだ本を選ぶのは手抜きに見えるかもしれませんが、前に読んだときの自分と比べられるのは、二度目に読む本だけです。引っかかり(なぜ名乗らなかったのか)がはっきりしているので、このあとの段落は、その問いに自分なりの答えを出す形で進みます。あらすじを書く必要がありません。
2 つ目は、中学生が『走れメロス』を選んだ場合です。
「ぼくがこの本を選んだのは、短いからです。正直にそう書きます。でも読み終わって、短いのに書くことが多くて困りました。メロスは走りましたが、ぼくはメロスが王のところに戻ったことより、途中で一度あきらめかけたことのほうが気になります。」
この書き出しの良いところは、「短いから選んだ」という本音を隠さず、そこから引っかかりに移っているところです。選んだ理由が立派である必要はありません。立派でない理由から始めて、読んだあとに考えが動いたことを書けば、読んだ証拠になります。あとの段落では、「あきらめかけた場面」を本から引いて、自分があきらめかけた経験と並べ、主張(人は一度あきらめかけるからこそ信じるに値する、など)につなげます。
どちらの例も、選んだ理由が書き出しになり、引っかかりが本文の芯になっています。本選びが決まれば、書き出しは決まります。
まちがえやすいところ
本を選ぶときの誤りを 3 つ挙げます。
1 つ目は、薄い本を選んで、書くことが足りなくなることです。「早く読み終わる本がいい」と、絵の多い薄い本を取ります。読み終わるのは 20 分です。書き始めると、心が動いた場面が 1 つしかなく、800 字どころか 400 字で止まります。図3 のように、薄い本は「読める」が「書ける」とは別です。

図3の右側のように、引っかかる本を選ぶと、読みながら付箋を 5 枚つけ、そのうち書く場面が 3 つ残ります。3 つあれば、1,200 字は埋まります。左側の薄い本は、書く場面が 1 つしか残らず、足りません。直し方は、薄い本をやめることではなく、「薄くても引っかかる本」を探すことです。『スイミー』は薄いですが、スイミーがなぜ目になったのかに引っかかれる子は、800 字では足りないほど書きます。
2 つ目は、親が「ためになる本」を押しつけることです。伝記や名作全集を、お子さまが読みたくないのに持たせます。読みたくない本は、読み切れません。読み切れない本の感想文は、あらすじの写しになります。直し方は、親が候補を 3 冊まで用意し、最後の 1 冊はお子さまが選ぶことです。3 冊のどれを選んでも書ける本にしておけば、押しつけにはなりません。
3 つ目は、映画やアニメで見た話の本を選ぶことです。話を知っているから楽だと思って選びます。ところが、書き始めると、映画の場面と本の場面が混ざります。本にない場面を書いてしまい、読んでいないと見抜かれます。直し方は、映画で見た本を選ぶなら、「映画と本で違うところ」を主題にすることです。違いを探しながら読めば、本を読んだ証拠が本文に残ります。
よくある質問
課題図書と自由読書は、どちらを選ぶべきですか
コンクールには、主催者が指定する課題読書と、自分で選ぶ自由読書があり、それぞれ 1 編ずつ応募できます。2026 年度の課題図書は、小学校の 3 つの部に 4 冊ずつ、中学校の部と高等学校の部に 3 冊ずつです。課題図書は読みやすさと主題のはっきりさで選ばれていますから、迷うなら課題図書から選ぶのが早い方法です。自由読書は、フィクションでもノンフィクションでもかまいません。ただし、教科書や副読本、雑誌は対象になりません。自分の部の課題図書は自由読書として出せませんが、ほかの部の課題図書なら自由読書として応募できます。
去年読んだ本で書いてもよいですか
よいです。むしろ、二度目に読む本は、前に読んだときの自分と比べられるので、書きやすい本です。ただし、読み直さずに記憶だけで書くと、場面があいまいになります。読み直して、付箋をつけ直してから書いてください。
読むのが遅くて、長い本は無理です
長い本を選ぶ必要はありません。図1 の 3 つの問いに「はい」が並ぶ本なら、短くてもかまいません。読むのが遅い子は、最初の 10 ページを声に出して読む確かめを、必ずしてください。そこで詰まらない本は、最後まで読めます。
親の手伝い方と個別指導で確かめること
親ができるのは、候補を 3 冊まで用意することと、お子さまが選んだあとに「どこがおもしろそうか」を 1 分聞くことです。選ぶのはお子さまです。「それでは書くことがない」と言いたくなっても、まず読ませてください。書けなかったら、そのときに一緒に理由を探せばよいのです。
個別指導では、本を選んだ段階で、図1 の 3 つの問いにどう答えたかを講師が聞き取ります。「読み切れるか」の確かめでは、最初の 10 ページを一緒に読みます。引っかかりが見つかっていない場合は、本を替えるのではなく、「主人公のどの行動に納得できないか」を質問して、引っかかりを掘り起こします。本を替えるのは、読み切れないと判断したときだけです。
まとめ
低学年なら心が動く 1 つの場面、中学年なら主人公が選ぶ場面、高学年なら受け取り方が割れる主題、中学生なら賛否、高校生なら作者の意図、そう考えて棚を見れば、30 分で決まります。厚い本を抜いて首を振られる前に、最初の 10 ページを一緒に読んでください。
付箋が 3 枚つく本を選べたら、感想文はもう半分書けています。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
武蔵境駅徒歩30秒、講師1人に生徒1人の完全1対1。授業のあいだ、先生は隣を離れません。いまの詰まりを、無料相談でそのまま話してください。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。




