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読書感想文の例文—型を写して自分の言葉に置き換える|武蔵野個別指導塾

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例文を探す夜に、どこを写してどこを変えるかを決める手順です。短い例文2つと3つの欄のメモ、1200字の配分、丸写しが審査の対象外になりうる理由まで、この順に読めば自分の文に戻れます。

例文は、写すためではなく、型を抜くために読みます。手順は次の4つです。

  1. 例文を読んで、「本の場面」「自分の経験」「変わったこと」の3つの欄に何が書いてあるかを見つける。
  2. 自分の本について、同じ3つの欄をメモで埋める。
  3. 例文の段落の並びだけを借りて、欄の中身を自分の言葉で書く。
  4. 書き終えたら、例文の語がそのまま残っていないかを声に出して確かめる。

よくあるのは、夏休みの終わりの夜、本は読み終えたのに1行も書けず、「読書感想文 例文」と打ってスマートフォンを開いた、という場面です。画面には上手な文がいくつも並び、読めば読むほど、自分の本の感想が薄く思えてきます。そのまま一文を写しかけて、手が止まる。写した文は自分の本の話ではないからです。止まった手を、もう一度動かすための読み方があります。例文を「答え」ではなく「設計図」として読む方法です。

書く前にすること

例文を開いたら、最初にすることは書き写しではなく、分解です。上手な感想文は、どれも大きく3つのことを書いています。本のどの場面に心が動いたか。その場面に似た自分の経験は何か。読む前と読んだ後で、自分の考えがどう変わったか。この3つを、図1のように3つの欄に分けて、例文から抜き出してみてください。

図1 例文を3つの欄に分けて、自分のメモに移す手順

たとえば、転校生が主人公の物語について書かれた例文があったとします。例文の書き手は、主人公が教室で誰にも話しかけられずに弁当を食べる場面を「本の場面」の欄に置いています。次に、自分が習い事の教室で初日に誰とも話せなかった記憶を「自分の経験」の欄に置いています。最後に、「声をかけられるのを待つのではなく、自分から一言だけ話せばよい」と考えが変わったことを「変わったこと」の欄に置いています。例文を3つの欄に分けて読むと、文のうまさではなく、骨組みが見えてきます。

骨組みが見えたら、今度は自分の本で同じ3つの欄を埋めます。ここで大切なのは、例文の欄の中身を一切使わないことです。例文の書き手が転校生の場面を選んだからといって、自分も転校の場面を探す必要はありません。自分の本を開き、読んでいて手が止まった頁、声に出して読み返した行、少し腹が立った台詞を思い出して、「本の場面」の欄に書きます。1つに絞れないなら2つまで書いて、あとで選びます。

「自分の経験」の欄は、本の場面と似ている自分の出来事です。似ている、というのは、出来事が同じという意味ではありません。主人公が試合で負ける場面なら、自分が負けた経験でもよいし、負けた友だちに何も言えなかった経験でもよいのです。気持ちの形が似ていれば、欄に入ります。ここは思いつくまま、短い言葉で3つほど書き出し、いちばん具体的に思い出せるものに印を付けます。

「変わったこと」の欄は、読む前の自分と読んだ後の自分の差です。「勇気をもらいました」のような言葉を書きたくなりますが、この欄に書くのは言葉ではなく、行動の差にしてください。読む前は弟に物を貸さなかったが、読んだ後は1度だけ貸してみた。読む前は負けた日に部屋に閉じこもったが、読んだ後は負けた理由を1つだけ紙に書いた。この程度の小さな差でかまいません。差が小さいほど本当らしく、読む人に伝わります。

3つの欄が埋まったら、メモはできあがりです。欄の中身は、箇条書きでも、単語だけでもかまいません。この時点で例文は閉じてしまって大丈夫です。書くときに例文を横に置くと、無意識に語を写してしまうからです。例文から持っていくのは、次の節で見る段落の並びだけです。

書き方の手順

例文から借りるのは、段落の並びと、それぞれの段落の長さの割合です。多くの感想文は、書き出し、本の場面、自分のこと、結び、の4つの段落でできています。割合は、書き出しが1割、本の場面が3割、自分のことが4割、結びが2割です。図2は、中学年と高学年の部の上限である1200字で割り振った例です。

図2 1200字を4つの段落に割り振った配分の例

図2のように、1200字なら書き出しが120字、本の場面が360字、自分のことが480字、結びが240字です。低学年の部の800字なら、80字、240字、320字、160字になります。中学校と高等学校の部の2000字なら、200字、600字、800字、400字です。どの長さでも、自分のことがいちばん長く、本の場面がその次です。あらすじで半分を埋めてしまう感想文は、この割合が逆になっています。

この文字数の上限は、青少年読書感想文全国コンクールの公式サイトの応募要項で確かめたものです。小学校低学年の部は本文800字以内、中学年の部と高学年の部は1200字以内、中学校の部と高等学校の部は2000字以内で、句読点はそれぞれ1字に数え、題名と学校名と氏名は数えません。学校の宿題として出された感想文は、学校の指示が優先です。先生が配った原稿用紙に枚数の指定があるなら、その枚数が上限になります。

書き出しの段落は、本の題名と、いちばん心が動いた場面を一言で置きます。「わたしは『〇〇』を読みました」という始まりは間違いではありませんが、1行目から本の場面に入ったほうが読み手を引き込みます。例文の書き出しを見るときは、文をそのまま覚えるのではなく、「場面から入っているか」「問いから入っているか」「会話から入っているか」という入り方だけを見てください。

本の場面の段落は、メモの「本の場面」の欄を文にします。ここで気をつけるのは、あらすじを最初から順に語らないことです。心が動いた場面だけを、その場面の直前から書き始めます。主人公が何をして、何を言って、自分はそれを読んでどう思ったか。この3つで1つの段落になります。本の文を引くときは、かぎかっこで短く1行だけにして、その前後を自分の言葉で説明します。

自分のことの段落は、いちばん長く、いちばん大切です。メモの「自分の経験」の欄にある出来事を、いつ、どこで、誰と、何があったかの順に書きます。ここは例文の出来事と重なってはいけない場所です。例文の書き手が習い事の初日のことを書いていたなら、自分は自分の出来事を書きます。出来事を書いたあとに、本の場面とどこが似ていて、どこが違うかを1文ずつ書くと、本と自分がつながります。

結びの段落は、メモの「変わったこと」の欄を文にします。読む前の自分を1文、読んだ後の自分を1文、これから何をするかを1文。この3文で結びは足ります。「これからもがんばりたいです」という結びが物足りないのは、行動の差が書かれていないからです。何を、いつ、1回だけでもやってみるのか。それを書いた結びは、例文のどの結びとも似なくなります。

4つの段落を書き終えたら、例文を開いて、同じ語の並びが残っていないかを確かめます。段落の並びが同じなのはかまいません。語の並びが同じなら、そこは自分の言葉に置き換えます。「勇気をもらった」が残っていたら、何をする勇気なのかを書く。「心に残った」が残っていたら、どの行が、なぜ残ったのかを書く。置き換えるたびに、文は具体的になります。

例文で見る

ここからは、自作の短い例文を2つ置きます。どちらも段落の一部だけで、そのまま提出できる長さではありません。見るのは文のうまさではなく、3つの欄がどう文になっているかです。本は、臆病な男の子が転校先の学校でなかなか友だちをつくれない物語を読んだとして書きます。

1つ目は、本の場面の段落の例です。

「給食の時間、主人公は机を動かす音の中で、自分の机だけを動かせずにいた。誰かが『こっち』と言ってくれるのを待っていたのだと思う。わたしも、その『こっち』を待つほうの人間だ。読みながら、机の脚を床にこすらせる音が聞こえた気がした。」

この例の良いところは、場面を1つに絞っていることです。転校の初日から物語の終わりまでを語らず、机を動かせない給食の場面だけを書いています。本の文を引かずに、主人公が何をしていたかを自分の言葉で言い直し、最後の1文で自分の側に引き寄せています。「音が聞こえた気がした」という書き方は、感想を「おもしろかった」と言わずに伝える方法の1つです。

この型を自分の本に置き換えるなら、残すのは「場面を1つに絞る」「主人公の行動を言い直す」「最後の1文で自分の側に引き寄せる」の3つです。給食の場面も、机の音も、「こっち」という言葉も、全部自分の本の場面に取り替えます。自分の本が野球の物語なら、残すのは型だけで、場面は例えば最終回の打席になります。

2つ目は、自分のことの段落の例です。

「去年の春、ピアノの発表会の控え室で、わたしは隣の子に話しかけられずに30分座っていた。主人公と違うのは、わたしには母が付いていたことだ。だから本当に困ってはいなかった。主人公には誰もいなかった。そこを読んで、わたしの30分は、主人公の毎日に比べれば短かったのだと気づいた。」

この例の良いところは、本の場面と自分の経験を、似ているところと違うところの両方で結んでいることです。「話しかけられない」という気持ちの形は似ているのに、「母が付いていた」という点で違う。その違いに気づいたことが、そのまま「変わったこと」の入口になっています。経験を書くときに、いつ、どこで、どれくらいの時間だったかを数で書いているのも、本当らしさを作っています。

この型を置き換えるなら、残すのは「似ているところを1つ」「違うところを1つ」「違いから気づいたことを1文」の3つです。発表会も、控え室も、30分も、全部自分の出来事に取り替えます。数を1つ入れることだけは、そのまま真似してください。数は自分の出来事にしか付けられないので、写しようがないからです。

まちがえやすいところ

例文を使うときに起きやすい誤りを3つ挙げます。どれも、例文の読み方を少し変えれば防げます。

1つ目は、例文の出来事をそのまま自分の出来事として書いてしまうことです。「ぼくも転校したとき、同じように一人で弁当を食べました」と書いた下書きがあって、聞いてみると転校の経験はなかった、ということがあります。どこが違うかというと、経験の欄に例文の中身が入っているのです。直すなら、「ぼくは転校したことはない。でも、塾の初日に教室の入口で3分立っていた」のように、自分の本当の出来事に戻します。小さな出来事でも、本当のことのほうが文に力が出ます。

2つ目は、本の場面の段落があらすじになってしまうことです。例文が短く1場面だけを書いているのに、自分の下書きは最初から最後までを順に語っている。どこが違うかというと、例文の「場面を絞る」という型を見落として、本の内容を説明する文だと思い込んでいるのです。直すなら、下書きの中で自分の気持ちが動いた1文を探し、その前後だけを残して、あとは消します。消した分は、自分のことの段落に回します。

3つ目は、丸写しです。例文の一段落を、固有名詞だけ変えて写してしまう。これは誤りというより、図3のように、文が誰のものでもなくなる行きどまりです。

図3 丸写しと型の置き換えで、文の行き先がどう分かれるか

図3の上の道が丸写しです。例文をそのまま写すと、本の場面は例文の本のままで、経験は例文の書き手のものです。読んだ先生は、自分の本の話ではないとすぐに気づきます。コンクールに出すなら、もっと重い結果になります。公式の応募要項は、個人のオリジナルで未発表の作品に限ると定め、盗作や不適切な引用があった場合は審査の対象外になることがあると書いています。写した文は、上手に見えても、審査の机に乗らないことがあるのです。

図3の下の道が、型の置き換えです。例文から残すのは、段落の並びと、各段落で何を書くかという骨組みだけです。中身は全部、自分のメモから持ってきます。直し方は簡単で、丸写しした段落の名詞と動詞に線を引き、1つずつ自分の本と自分の出来事の語に替えていきます。替え終わったときに例文の語が1つも残っていなければ、その段落は自分のものです。

よくある質問

例文を何本も読んだほうがよいですか

1本か2本で足ります。たくさん読むと、どの例文の語も頭に残り、書くときに混ざって出てきます。読むなら、自分と同じ学年の部の例文を1本、違う学年の例文を1本にして、3つの欄に分ける練習をするほうが力になります。分け終えたら、例文は閉じてください。

本の文は、どのくらい引いてよいですか

かぎかっこで1行、長くても2行までにしてください。引いた文の前後には、なぜその行を選んだかを自分の言葉で書きます。引用が長いと、本の文が自分の文の代わりをしてしまい、自分のことの段落が短くなります。公式の応募要項でも、不適切な引用は審査の対象外になることがあると書かれています。引くのは、自分の言葉で説明するためだけにします。

例文と同じ本を読んでいたら、どうすればよいですか

同じ本でも、心が動く場面は人によって違います。例文の書き手が選んだ場面を避けて、自分が手を止めた別の頁を「本の場面」の欄に書いてください。選んだ場面が違えば、自分の経験も、変わったことも、自然に違ってきます。それでも場面が重なるなら、自分のことの段落を、例文より具体的に、数を入れて書けば、別の文になります。

親の手伝い方と個別指導で確かめること

お子さまが例文を見ているときに、「写してはだめ」と言うだけでは手が止まったままになります。代わりに、「この例文は、本のどこの話をしている」「書いた人は、自分の何の話をしている」と聞いてみてください。3つの欄を口で埋める手伝いです。個別指導では、下書きを声に出して読んでもらい、例文の語が残っている場所と、自分の出来事に数が入っているかを確かめます。例文の語が残っていれば、その場で自分の言葉に置き換えるまで付き合います。

まとめ

例文から持ち帰るのは段落の並びだけで、中身はメモの3つの欄から出します。例文を閉じてから書き、書き終えてからもう一度開いて、同じ語が残っていないかを確かめる。順番はこれだけです。本の場面を1つに絞り、自分の出来事に数を入れ、変わったことを行動の差で書く。写した型の上に自分の夜を置いたとき、その文はもう例文ではなく、あなたの感想文です。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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