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読書感想文の書き出し—最初の一文を決める5つの型|武蔵野個別指導塾

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場面、読む前の自分、問い、本の一言、結論の5つの型から最初の一文を選び、1行目で止まった鉛筆を動かす手順を、メモの4つの箱と自作の例文、直す前後の比べ方つきで国語の講師が並べます。

最初の一文は、次の5つの型から選びます。本文を先に書き、書き出しは最後に決めてかまいません。

  1. 場面の型。本の中で心が動いた一場面を、短く切り取って置く。
  2. 自分の型。読む前の自分がどうだったかを、一文で言う。
  3. 問いの型。読みながら頭に浮かんだ問いを、そのまま書く。
  4. 一言の型。本の中の短い言葉をかぎかっこで引いて、そこから始める。
  5. 結論の型。読み終えて変わったことを、先に言い切る。

よくあるのは、原稿用紙の1行目で鉛筆が止まるという場面です。本は読み終えました。題名と名前の行も埋まりました。それなのに、本文の最初のますに何を入れるかが決まらず、消しゴムのかすだけが机にたまっていきます。「ぼくは」と書いては消し、「この本は」と書いては消す。30分たって残っているのは、題名と名前の行だけです。止まる理由は才能ではありません。最初の一文を選ぶための材料が、手元に無いからです。材料を先に作れば、1行目は書く作業ではなく、選ぶ作業に変わります。

書く前にすること

本を閉じたら、原稿用紙に向かう前に、メモ用紙を1枚用意します。図1のように紙を4つに折り、箱を4つ作ります。箱の中は文にしなくてかまいません。単語と矢印と、本のページ番号だけで足ります。この4つの箱が、5つの型のすべての材料になります。

図1 書き出しの材料になる4つの箱のメモ

1つ目の箱は「心が動いた場面」です。読んでいて手が止まったところ、息をのんだところ、腹が立ったところを、3つまで書きます。「主人公が弟の手をはなした」「犬が最後に振り返った」のように、何が起きたかを短く書き、横にページ番号を添えます。あとで本を開き直すとき、ページ番号があるかどうかで、かかる時間が変わります。3つを超えて書きたくなったら、いちばん強く残っているものだけを丸で囲みます。書き出しに使えるのは、その丸の場面です。

2つ目の箱は「読む前の自分」です。本を開く前、その話題について自分はどう思っていたか、何を知らなかったかを書きます。「うそは全部悪いと思っていた」「兄弟げんかは自分だけの問題だと思っていた」のように、今から見ると少し恥ずかしいことを書くのがこつです。ここが空だと、自分の型も結論の型も作れません。読む前の自分が書けない子は、たいてい本を読む前の記憶が薄れています。そのときは、本の表紙を見たときに何を期待したかを思い出してください。期待と中身のずれが、そのまま材料になります。

3つ目の箱は「読んだ後の自分」です。読み終えて、考えが変わったこと、やってみたくなったこと、まだ答えが出ないことを書きます。読む前の箱と並べて見ると、2つの箱の差がはっきりします。この差が、感想文の中心です。差が無いように見えるときは、「変わらなかった」と書いてかまいません。変わらなかった理由を考えると、それが問いになります。

4つ目の箱は「本の中の一言」です。心に残った言葉を、一字一句そのまま写します。自分の言葉に直してはいけません。青少年読書感想文全国コンクールの公式サイトの感想文Q&Aでも、引用は本文と一字一句違わないように書いて、必ずかぎかっこでくくるように書かれています。写す長さは一文までにします。長く写すと、原稿用紙の上でその言葉が自分の文を押しのけてしまいます。

4つの箱が埋まったら、原稿用紙を広げます。埋まらない箱があるなら、本をもう一度開きます。読み返すのは全部ではなく、1つ目の箱に書いたページの前後だけで足ります。メモを作る時間は、本を読む時間の1割ほどで十分です。その1割が、1行目で止まる30分を消します。

書き方の手順

手順は5つです。順番が大切で、書き出しを決めるのは4番目です。

手順1は、全体を3つに分けることです。感想文は「書き出し」「本の中身と自分のこと」「読んで変わったこと」の3つの部分でできています。青少年読書感想文全国コンクールの応募要項では、本文の長さが小学校低学年の部で800字以内、中学年の部と高学年の部で1200字以内、中学校の部と高等学校の部で2000字以内と決まっています(2026年11月に公式サイトで確かめた内容です)。題名と学校名と氏名はこの長さに入らず、句読点はそれぞれ1字に数え、改行のために空けたますも数えます。学校の宿題では学校の指示が優先ですが、どの長さでも書き出しの配分は同じで、全体の1割から2割です。400字詰めの原稿用紙なら1行は20字ですから、800字の感想文で書き出しは4行から8行、2000字なら10行から20行が目安です。

手順2は、中の部分を先に書くことです。1つ目の箱の場面と、2つ目と3つ目の箱の差を使って、本の中身と自分のことを書きます。ここを先に書くと、自分がこの感想文で何を言いたいのかが見えてきます。何を言いたいかが見えないうちに書き出しを決めると、書き出しと中身が別の方向を向きます。

手順3は、終わりの部分を書くことです。3つ目の箱をもとに、読んで変わったことを書きます。ここまで書くと、感想文の芯が1本通ります。

手順4で、ようやく書き出しを決めます。図2のように、5つの型のどれかを選び、最初の一文を作ります。

図2 5つの型から最初の一文を作り二文目でつなぐ流れ

場面の型は、1つ目の箱の丸で囲んだ場面を、一文で書きます。「船が傾いたとき、兄は弟の手をはなしました。」のように、本の中で起きたことだけを書き、自分の気持ちはまだ書きません。読む人は、その一文で本の中に引き込まれます。向くのは、場面がはっきり頭に残っている人です。

自分の型は、2つ目の箱をそのまま一文にします。「本を開くまで、私はうそをつく人がきらいでした。」のように、読む前の自分を言い切ります。次に読んだ後の自分が来ることを、読む人は自然に待ちます。向くのは、読む前と読んだ後の差が大きい人です。

問いの型は、2つ目の箱と3つ目の箱の差から、問いを1つ作ります。「正しいことを言うのは、本当に正しいのだろうか。」のように、答えを書かずに問いだけを置きます。向くのは、読み終えてもまだ答えが出ない人です。答えが出ていないことは、弱点ではなく材料です。

一言の型は、4つ目の箱の言葉をかぎかっこで引き、そこから始めます。「もう一回だけ、やってみる。」と犬の飼い主が言う場面を使うなら、その一言だけを1行目に置き、2文目で誰がどこで言ったかを書きます。向くのは、本の言葉が自分の言葉より強いと感じた人です。

結論の型は、3つ目の箱を先に言い切ります。「この本を読んで、私は弟に謝りました。」のように、読んだ後に起きた変化を最初に出します。読む人は理由を知りたくなり、そのまま最後まで読みます。向くのは、読んだ後にはっきりした行動が残った人です。

手順5は、2文目を決めることです。書き出しが止まる子の多くは、1文目ではなく2文目で止まっています。2文目の役目は型ごとに決まっています。場面の型なら、なぜその場面で手が止まったかを書きます。自分の型なら、本を読んでその自分がどうなったかを予告します。問いの型なら、その問いがどの場面から生まれたかを書きます。一言の型なら、誰がどこでその言葉を言ったかを書きます。結論の型なら、そう変わった理由を、これから順に書くと宣言します。2文目まで決まれば、あとは手順2と手順3で書いた中身につなぐだけです。

最後に、1文目と2文目を声に出して読みます。一文が2行を超えていたら、2つに切ります。「て」「が」「ので」で文をつないでいたら、そこで句点を打ちます。書き出しの一文は、20字から40字に収まると読みやすくなります。

例文で見る

例文は2つとも自作で、本も実在しません。型を見るためのものなので、自分の本と自分の箱の中身に置き換えて使ってください。そのまま写しても、自分の本と合わないので使えません。

1つ目は、場面の型で始めた小学生向けの例です。船で旅をする兄弟の物語を読んだ、という設定です。

「船が傾いたとき、兄は弟の手をはなしました。ぼくは、この一行で本を閉じて、しばらく動けませんでした。ぼくにも弟がいます。もし同じ場面に立ったら、手をにぎり続けられたか、自信がありません。」

良いところは3つあります。1文目が本の場面だけでできていて、気持ちの言葉が1つも無いことです。読む人は、気持ちを説明されるより先に、場面を見ます。2文目で「本を閉じて動けなかった」という自分の動きを書き、気持ちを「感動した」という言葉を使わずに伝えています。3文目と4文目で、自分の弟に話をつなげ、「手をにぎり続けられたか」という問いを置いています。ここから、中の部分に自然に入れます。

2つ目は、問いの型で始めた中学生向けの例です。友人のうそを先生に告げた主人公の物語を読んだ、という設定です。

「正しいことを言うのは、本当に正しいのだろうか。この問いは、主人公が友人のうそを先生に告げた場面から、ずっと頭を離れませんでした。読む前の私なら、迷わず『正しい』と答えていました。読み終えた今は、答える前に一度息を止めます。」

良いところも3つあります。1文目が問いだけで、答えを書いていないことです。2文目で、その問いがどの場面から生まれたかを書き、読む人に本の中身を少しだけ見せています。3文目と4文目で、読む前の自分と読んだ後の自分を並べ、「息を止める」という動きで変化を見せています。「考えが深まりました」と書くより、息を止める動きのほうが、変化がはっきり伝わります。

2つの例に共通しているのは、1文目に気持ちの言葉が無いことと、4文目までに読む前と読んだ後の自分が出てくることです。この2つが守れていれば、型はどれでも通ります。

まちがえやすいところ

よくある誤りは3つです。図3のように、直す前と直した後を並べると、どこが違うかが見えます。

図3 書き出しの3つの誤りと直した後の型の対応

1つ目の誤りは、「ぼくはこの本を読んで、とても感動しました。」です。どこが違うかというと、感動の中身が1つも書かれていません。何に感動したかを読む人は知りたいのに、感動したという報告だけが先に来ています。直すなら、場面の型にします。「船が傾いたとき、兄は弟の手をはなしました。」と、感動した場面そのものを書けば、感動という言葉を使わなくても伝わります。

2つ目の誤りは、「この本は、兄と弟が船で旅をする話です。」です。どこが違うかというと、本の紹介から始まっていて、書き手がどこにもいません。本の紹介は、本の帯や図書館のカードがすでにしています。感想文で求められているのは、本の中身ではなく、本と自分の間に起きたことです。直すなら、問いの型にします。「兄と弟は、本当に助け合うものなのだろうか。」とすれば、書き手が本に向けた問いが先に出てきて、本の紹介はその後で2行あれば足ります。

3つ目の誤りは、「ぼくがこの本を選んだ理由は、表紙がかっこよかったからです。」です。どこが違うかというと、本を選んだ理由は、本の中身と自分の変化のどちらにも関係がありません。読み終えた後の自分にとって、表紙は材料になりません。直すなら、一言の型にします。「もう一回だけ、やってみる。」のように本の中の一言を1行目に置き、2文目で誰がどこで言ったかを書けば、選んだ理由を書かなくても、その本を読んだ意味が伝わります。

3つに共通する直し方は、1文目から「本を読んで」「この本は」「選んだ理由は」を外すことです。この3つの言葉は、本文の中なら使ってかまいません。1行目に置くと、読む人の最初の一歩を止めます。

よくある質問

書き出しは何行まで書いてよいですか

全体の1割から2割が目安です。400字詰めの原稿用紙で800字なら4行から8行、2000字なら10行から20行です。これより長いと、中の部分に入る前に読む人が疲れます。短すぎて困ることはほとんどありません。1文目と2文目だけで中の部分に入れるなら、それがいちばん良い書き出しです。

「ぼくは」で始めてはいけませんか

いけなくはありません。問題は「ぼくは」の後に「思いました」「感動しました」が来ることです。「ぼくは、本を閉じてしばらく動けませんでした。」のように、「ぼくは」の後に動きが来るなら、自分の型として通ります。「ぼくは」で止まる子は、その後に気持ちの言葉を探しています。気持ちではなく、自分がしたことを探してください。

本の言葉を引くとき、どれくらいの長さまでよいですか

一文までです。一字一句そのまま写し、かぎかっこでくくります。公式サイトの感想文Q&Aに書かれているとおり、引用はかぎかっこで本文と違わないように書きます。二文以上を写したくなったら、いちばん強い一文だけを残し、残りは自分の言葉で「その後、主人公は〜と言います」とまとめます。引用が長い感想文は、自分の言葉が少なく見えます。

親の手伝い方と個別指導で確かめること

親ができるのは、書き出しを書いてあげることではなく、4つの箱を一緒に埋めることです。「どこで手が止まったか」「読む前はどう思っていたか」と聞き、お子さまが口にした言葉をそのまま箱に書き留めます。言い換えてきれいにしないでください。本人の言葉のほうが、最初の一文に使えます。

個別指導で確かめるのは3点です。4つの箱が埋まっているか、選んだ型と箱の中身が合っているか、2文目が中の部分につながっているか。この3点が通れば、書き出しは最後まで書き直す必要がありません。

まとめ

1行目で止まった鉛筆を動かすのは、才能でも気分でもなく、4つの箱に書いた一言です。箱を先に埋め、中の部分を先に書き、5つの型から1つ選ぶ。この順番を守った書き出しは、読む人を2文目へ連れていきます。最初の一文は、書くものではなく、選ぶものです。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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