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国立大学の学費—標準額と値上げの動き、私立との差|武蔵野個別指導塾

入学料と授業料を足すと、4年間の学費は標準額の国立で2,425,200円、上限まで上げた大学で2,853,840円です。公立は住所で入学料が変わり、私立との差は下宿の有無で見え方が変わるので、その計算まで順に追えます。
2026年度時点で国が定める国立大学の標準額は、入学料282,000円、授業料が年535,800円です。4年間で2,425,200円。授業料を上限の642,960円まで上げた大学なら2,853,840円です。
| 項目 | 標準額の大学 | 授業料が上限の大学 |
|---|---|---|
| 入学料 | 282,000円 | 282,000円 |
| 授業料(年額) | 535,800円 | 642,960円 |
| 初年度の計 | 817,800円 | 924,960円 |
| 4年間の計 | 2,425,200円 | 2,853,840円 |
私立の文科系の平均を同じように計算すると4,189,087円で、標準額の国立との差は4年間で約176万円です。ただしこの差は、下宿で増える費用が月に約3万7千円を超えると消える大きさでもあります。
よくあるのは、高2の秋に配られた進路希望の用紙を前に、第1志望の欄で親子の鉛筆が止まる場面です。お子さまは「国立なら迷惑をかけないから」と書きかけ、親は自分の学生時代の記憶のままうなずく。試しに志望校の案内を開くと、授業料の欄が聞いていた額と違います。入学は1年半ほど先。その1年半のあいだに、金額のほうが動くこともあります。用紙を出す前に、数字の仕組みだけは押さえておきましょう。
標準額は2005年度から動いていません
国立大学の授業料は、文部科学省の省令が「標準額」を決め、各大学がそれを基に定めます。学部の標準額は、授業料が年535,800円、入学料が282,000円、検定料が17,000円です。授業料の標準額が最後に変わったのは2005年度で、入学料は2002年度から同じ額のままです。それまでの国立の授業料は、1975年度の36,000円から2005年度の535,800円まで、30年で約14.9倍に上がってきました。親が入学した年度によって記憶の額は違い、たとえば1995年度は447,600円です。その後、私立の授業料の平均は2005年度の830,583円から2025年度の968,069円まで上がりました。国立の物差しだけが20年以上止まっています。
大学が動かせる幅も省令で決まっています。上限は標準額の120%で、図1のように授業料なら535,800×1.2で642,960円、標準額との差は年107,160円です。法人化した当初の上限は110%で、2007年度に今の120%へ広がりました。下限は設けられていません。

標準額は学部ごとに分かれていません。文系も理系も医学部も、省令の物差しは同じ535,800円です。私立は学部で授業料が大きく変わるので、理系に進むほど私立との差が開くのはこのためです。
授業料は前期と後期に分けて納める大学が多く、半額ずつなら1回267,900円、上限の大学なら321,480円です。入学前にまとめて出ていくのは入学料のほうで、授業料を納める月は大学の案内で確かめます。
授業料を上げた大学は3つの欄で見る
文部科学省の資料が2025年6月時点で挙げる、標準額より高い授業料の大学は次の7大学です。東京と千葉に集まっています。
| 大学 | 授業料(年額) | 対象の入学者 |
|---|---|---|
| 東京科学大学(理工学系) | 635,400円 | 2019年4月以降 |
| 東京科学大学(医歯学系) | 642,960円 | 2020年4月以降 |
| 東京芸術大学 | 642,960円 | 2019年4月以降 |
| 千葉大学 | 642,960円 | 2020年4月以降 |
| 一橋大学 | 642,960円 | 2020年4月以降 |
| 政策研究大学院大学(大学院の課程) | 642,960円 | 2022年4月以降 |
| 東京農工大学 | 642,960円 | 2024年4月以降 |
| 東京大学 | 642,960円 | 2025年4月以降 |
2026年10月の財務省の審議会の資料では、2026年度に標準額を上回る大学は85大学のうち11大学でした。表のあとにも増えています。志望校がどちら側かは、大学の公式の案内で確かめるしかありません。見る欄は3つです。
1つ目は額です。上げた大学がすべて上限とは限らず、東京科学大学の理工学系は上限より7,560円低い635,400円です。入学料を上げた例もあり、東京芸術大学は入学料も上限の338,400円で、4年間の計は2,910,240円になります。
2つ目は、いつの入学者からかです。表の大学はどれも入学者の年度で区切っていて、同じ大学でも学年で額が違います。注意したいのは公表の時期で、東京大学は2024年9月に公表して翌2025年4月の入学者から、東京農工大学は2023年10月に公表して翌2024年4月の入学者からでした。高3の秋に知らされて、翌春に払う額が変わる。この順番は実際に起きています。
3つ目は、上げるのと同時に何を広げたかです。授業料の免除を広げた大学や、国の支援の対象者には増額分を負担させないと公表した大学もあります。額だけを見て候補から外すと、この欄を読み落とします。
値上げの動きは、ここで止まるとは限りません。文部科学省の資料によると、授業料を上げても国から大学へ渡るお金(運営費交付金)は減らない仕組みです。先の財務省の資料は、2028年度からの期間に向けて、標準額を物価や賃金に応じて毎年度見直す仕組みにすべきではないかと提起しました。提案の段階で決まった話ではありませんが、いま高2のお子さまが現役で入学するのが、ちょうど2028年度です。見積もりは上限の642,960円で立てておきます。標準額が上がれば上限も一緒に動くので、それでも天井とは言い切れません。
4年間の計算と、入学料を納める順番
計算は単純です。入学料に、授業料の4年分を足します。
- 標準額の大学: 282,000 + 535,800×4 = 2,425,200円
- 上限の大学: 282,000 + 642,960×4 = 2,853,840円
1年目だけが入学料の分だけ高く、2年目からは授業料だけの年になります。4年間を48か月で均すと、標準額で月50,525円、上限で月59,455円です。積み立てで備える家庭は、この月額が目安の1つになります。
差の428,640円は、年107,160円の4年分です。月に直すと8,930円。第1志望が授業料を上げていても、この数字は後で見る下宿の差と並べて読みます。
入学料のほうは、額より時期が問題です。国立の入学料は合格後の手続きで納めますが、併願した私立の入学金の締切が、国立の合格発表より先に来ることがあります。私立の入学料の平均は240,365円で、国立の282,000円と合わせると522,365円。一度納めた入学料は原則として返りません。文部科学省も2025年6月に、入学しない学生の入学料の負担を軽くする方策に努めるよう私立大学へ通知しました。一部の大学には、納付の時期を後ろにずらす区分もあります。併願先を決めるときは、合格発表の日、入学料の締切、後ろ倒しの区分の有無を同じ表に書き込みます。
支払いの順番は、出願のときの検定料17,000円、合格後の入学料、入学後の授業料です。奨学金が頼みの家庭ほど、この順番を先に見ておく必要があります。日本学生支援機構の案内のとおり、奨学金の初回の振込は進学後で、入学前の支払いには間に合いません。入学料の月に手元の現金をどう合わせるかは、高2のうちから話しておいて早すぎることはありません。
公立大学は住所で入学料が変わる
文部科学省の令和7年度の集計では、公立大学の授業料の平均は536,520円で、国立の標準額とほぼ同じです。違いが出るのは入学料で、地域内の入学者の平均は224,369円、地域外は382,806円。差は158,437円あります。国立の282,000円と比べると、地域内なら57,631円低く、地域外なら100,806円高い。4年間の計は地域内が2,370,449円、地域外が2,528,886円で、国立の標準額はその間に入ります。「公立は国立より安い」も「同じくらい」も、住所を聞かないと言えません。
地域内の決め方は大学ごとに違います。文部科学省の2024年度の一覧には、本人や親などが入学年の4月1日まで引き続き1年以上その市に住んでいることを条件にする大学の注記があります。入学の直前に引っ越しても当たらない例です。差の大きさもさまざまで、同じ一覧には医学部の地域外の入学料が846,000円の大学や、授業料が年696,000円の大学も載っています。平均で納得せず、志望校の行を見てください。
東京にお住まいのご家庭は、東京都立大学を別の計算で見ます。同じ一覧での入学料は地域内141,000円、地域外282,000円、授業料は520,800円です。そして東京都は2024年度から、学生の生計維持者が都内に住んでいる場合に授業料を全額免除する制度を始めました。所得制限はありません。住所や高校卒業からの期間などの要件があり申請も要りますが、満たせば4年間の学費は入学料の141,000円だけで、国立の標準額との差は2,284,200円です。国立か私立かの二択にする前に、この制度を候補の表へ入れておきます。
私立との差は、総額と下宿で読む
文部科学省の調査の平均で、4年間を並べます。私立は入学料に、授業料と施設設備費の4年分を足しました。施設設備費は毎年同じ額を納めるものとして計算し、実験実習料などは入れていません。国立と公立は、標準額と集計に施設設備費の欄がないので空けています。
| 区分 | 入学料 | 授業料(年) | 施設設備費(年) | 4年間の計 |
|---|---|---|---|---|
| 国立 標準額 | 282,000円 | 535,800円 | – | 2,425,200円(約243万円) |
| 国立 上限 | 282,000円 | 642,960円 | – | 2,853,840円(約285万円) |
| 公立 地域内 | 224,369円 | 536,520円 | – | 2,370,449円(約237万円) |
| 公立 地域外 | 382,806円 | 536,520円 | – | 2,528,886円(約253万円) |
| 私立 文科系 | 219,951円 | 850,392円 | 141,892円 | 4,189,087円(約419万円) |
| 私立 理科系 | 245,362円 | 1,195,313円 | 161,378円 | 5,672,126円(約567万円) |
図2のように、国立と公立は200万円台に固まり、私立は文科系で約419万円、理科系で約567万円です。標準額の国立との差は、文科系で1,763,887円(約176万円)、理科系で3,246,926円(約325万円)あります。

授業料だけの倍率は目を曇らせます。1975年度に私立の平均は国立の約5.1倍でしたが、2025年度は約1.8倍まで縮みました。それでも額の差は年432,269円あり、施設設備費がその上に毎年乗ります。
もう1つ、差額を48か月で割ってみます。文科系なら月36,748円、理科系なら月67,644円です。自宅から通える私立の文科系と、下宿で通う標準額の国立を比べるなら、下宿で増える家賃や食費が月36,748円を超えたところで学費の差は消えます。上限の国立と私立の文科系なら、差は1,335,247円で月27,818円です。「国立は安い」は学費の話で、家計全体の話ではありません。志望校の欄の横に、通学か下宿かを先に書く理由はここにあります。
よくある質問
国立大学の医学部は学費が高いのですか
省令の標準額は学部で分かれていないので、授業料の物差しは同じです。6年間なら282,000 + 535,800×6で3,496,800円、上限の大学なら4,139,760円です。私立の医歯系学部は初年度の平均だけで4,779,143円あり、国立の6年分を超えます。教材や実習にかかる費用は別に確かめます。
入学した後で授業料が上がることはありますか
あり得ます。国立大学の案内には、在学中に改定があれば改定時から新しい授業料を適用するという趣旨の注記がよく置かれています。一方で、授業料の改定を在学生には適用しないと公表した大学もあります。募集要項の注記と、改定のときの大学の発表の両方を読みます。
家計が厳しいとき、国立の学費はどこまで減りますか
高等教育の修学支援新制度では、世帯年収の目安が約270万円までの第I区分で上限額まで、約300万円までの第II区分でその3分の2、約380万円までの第III区分で3分の1が減免されます。国公立大学の上限は授業料が年54万円、入学金が28万円で、標準額の大学なら第I区分で授業料と入学料の負担がなくなる計算です。給付型奨学金は、国公立の第I区分で年額が自宅生35万円、自宅外生80万円。扶養する子どもが3人以上の世帯は、所得制限なしで同じ上限まで減免されます。年収の目安は家族の構成で変わります。上限の大学では授業料が54万円を約10万円上回るので、その分の扱いは大学の学生課に聞きます。
第1志望が授業料を上げていたら、志望校を変えるべきですか
差は4年間で428,640円、月に直すと8,930円です。小さな額ではありませんが、通学か下宿かで動く額と並べてから判断します。学びたい学部があるのに、この差だけで外すのは順番が逆です。月8,930円が家計に重いときは、志望校を変える前に支援の制度と大学の免除を調べます。
確かめる順番
今週、家庭で確かめるのは次の順です。
- 志望校を3校まで書き出し、各大学の公式の案内で入学料と授業料の年額を見ます。古い冊子や親の記憶の数字は使いません。
- 額の横に「何年度の入学者の額か」を書き、改定の知らせが出ていないかを見ます。
- 入学料 + 授業料×4を計算します。公立は地域内か地域外かを確かめてから。決めかねる国立大学は授業料642,960円で計算します。
- 通学か下宿かを仮に決め、私立と比べるときは差額を48か月で割ります。
- 日本学生支援機構(JASSO)の進学資金シミュレーターで、支援の区分の目安を家族で確かめます。
入学までの流れは図3のとおりです。高3の春には修学支援新制度の予約採用の申込が始まります。申込は在学している高校を通じて行い、締切は学校ごとに違うので、時期は進路の先生に聞いておきます。高3の秋に募集要項が出たら額をもう一度確かめ、合格後は入学料の月に現金を合わせます。

制度と金額は年度で変わります。最新は大学の学生課、高校の進路の先生、JASSOの窓口で確かめてください。
進路の話とつなげる
金額が見えると、進路の話は「国立か私立か」から「どの学部を、どこに住んで学ぶか」へ移ります。国立を候補に残すかどうかで、高2の冬から準備する教科の数も変わるので、お金の判断を春まで延ばすと勉強の計画も決まりません。個別指導の場で受けている相談は、志望校の絞り方、併願の組み方、受験に使う教科の選び方で、学習の計画と一緒に考えます。
まとめ
国立か私立かを決める前に、決めておくことがあります。どこから通うのか。上限の額でも払えるのか。上がったときに何を削るのか。この3つに家族の答えが出ていれば、改定の発表が入学の半年前に来ても慌てません。進路希望の用紙の第1志望の横に4年間の金額を書き添えた日から、その1行は願いではなく計画に変わります。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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