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微分の公式一覧—多項式から積・商・合成関数まで|武蔵野個別指導塾

(x² + 1)³ を微分すると、なぜ 6x が前に出るのか。xⁿ、積、商、合成関数、sin x、eˣ、log x、接線の式を数学Ⅱと数学Ⅲに分けて表にし、忘れても導き直せる道まで持ち帰れます。
| 微分する関数 | 微分した結果 | 範囲 |
|---|---|---|
| xⁿ | n xⁿ⁻¹ | 数学Ⅱ(n は正の整数)、数学Ⅲ(n は実数) |
| 積 f g | f′g + f g′ | 数学Ⅲ |
| 商 f / g | (f′g − f g′) / g² | 数学Ⅲ |
| 合成関数 f(g(x)) | f′(g(x)) × g′(x) | 数学Ⅲ |
| sin x | cos x | 数学Ⅲ |
| cos x | -sin x | 数学Ⅲ |
| tan x | 1 / cos²x | 数学Ⅲ |
| eˣ | eˣ | 数学Ⅲ |
| log x | 1 / x | 数学Ⅲ |
| x = a での接線 | y − f(a) = f′(a)(x − a) | 数学Ⅱ |
f と g は x の関数で、f′ は f を x で微分した関数(導関数)を表します。n は指数、a は接点の x 座標です。log の底は e(約 2.718)で、sin cos tan の角は弧度法(ラジアン)で測ります。
よくあるのは、夜の自習室の蛍光灯の下で、丸つけの赤ペンが止まるという場面です。(x² + 1)³ を微分した自分の答えは 3(x² + 1)²。解答には 6x(x² + 1)² とあります。6x はどこから来たのか。前の問題に戻っても教科書をめくっても見つからず、スマートフォンに「微分 公式」と打ち込みます。探しているのは公式の形より、自分の答えに何が足りないかのはずです。その 6x の正体は、この先の図4に描いてあります。
公式の一覧
微分の公式は、習う科目と役割で 3 つの組に分かれます。図1は、その 3 組がどこから生まれたかを矢印でつないだ地図です。左端の「接線の傾き」が出発点で、矢印の先にある公式は、矢印の元にある公式から作り直せます。覚える量を決めるときも、この地図を使います。

数学Ⅱ:多項式の微分と接線
| 式 | 微分 | 使った例 |
|---|---|---|
| 定数 k | 0 | (7)′ = 0 |
| xⁿ(n は正の整数) | n xⁿ⁻¹ | (x⁵)′ = 5x⁴ |
| k f(x) | k f′(x) | (3x²)′ = 6x |
| f(x) + g(x) | f′(x) + g′(x) | (x² + x)′ = 2x + 1 |
微分の定義は f′(a) = lim (h→0) {f(a + h) − f(a)} / h です。x が a から h だけ動いたときの変化の割合を求め、h を 0 に近づけた行き先を指します。この値は x = a での接線の傾きなので、接線の式は y − f(a) = f′(a)(x − a) と書けます。
数学Ⅲ:組み合わせの規則
| 式 | 微分 | 使った例 |
|---|---|---|
| 積 f g | f′g + f g′ | (x sin x)′ = sin x + x cos x |
| 商 f / g | (f′g − f g′) / g² | {x / (x + 1)}′ = 1 / (x + 1)² |
| 逆数 1 / g | -g′ / g² | (1 / x)′ = -1 / x² |
| 合成 f(g(x)) | f′(g(x)) × g′(x) | {(2x + 1)³}′ = 6(2x + 1)² |
| f(ax + b) | a f′(ax + b) | (sin 3x)′ = 3 cos 3x |
| xʳ(r は実数、x > 0) | r xʳ⁻¹ | (√x)′ = 1 / (2√x) |
合成関数は、y = f(u)、u = g(x) と分けて dy/dx = dy/du × du/dx とも書きます。口で言えば「外側の微分 × 内側の微分」です。数学Ⅲの微分で手が止まる場面の多くは、この 1 行に戻ると動き出します。
数学Ⅲ:三角関数・指数関数・対数関数
| 式 | 微分 | 条件 |
|---|---|---|
| sin x | cos x | 角は弧度法 |
| cos x | -sin x | 角は弧度法 |
| tan x | 1 / cos²x | cos x が 0 でない |
| eˣ | eˣ | すべての x |
| aˣ | aˣ log a | a > 0、a ≠ 1 |
| log x | 1 / x | x > 0 |
| logₐ x | 1 / (x log a) | x > 0、a > 0、a ≠ 1 |
| log f(x) | f′(x) / f(x) | f(x) > 0 |
x が負の範囲まで含めたいときは、絶対値をつけた形 (log|x|)′ = 1 / x を使います。
なぜこの形になるのか
微分は接線の傾きです。図2は y = x² のグラフで、点 A(1, 1) と、そこから h だけ右にある点を直線で結んだものです。h = 1 のとき直線の傾きは 3、h = 0.5 のとき 2.5。h を 0 に近づけると、直線は曲線にそっと触れる接線 y = 2x − 1 に落ち着き、傾きは 2 になります。式で書けば {(1 + h)² − 1²} / h = 2 + h で、h が消えて 2 が残る計算です。

xⁿ の形も同じ計算から出ます。(x + h)³ = x³ + 3x²h + 3xh² + h³ なので、x³ を引いて h で割ると 3x² + 3xh + h²。h を 0 に近づけて残るのは 3x² だけです。一般の n でも、(x + h)ⁿ を展開して h が 1 個だけ入る項は n xⁿ⁻¹h です。n 個のかっこのどれから h を取るかで n 通りあり、これが前に降りてくる n の正体です。
積の公式が 2 項になる理由は、図3の長方形で見えます。横 f、縦 g の長方形の面積が f g です。x が h だけ増えると、横は約 f′h、縦は約 g′h 伸びます。増えた面積は右の帯 f′h × g、上の帯 f × g′h、角の小片 f′h × g′h の 3 枚です。h で割って h を 0 に近づけると、h が 2 個ある角の小片だけが消え、f′g + f g′ が残ります。

商は積から作れます。q = f / g と置くと f = q g なので、積の公式で f′ = q′g + q g′ です。これを q′ について解くと q′ = (f′ − q g′) / g で、q = f / g を戻して分母と分子に g をかければ (f′g − f g′) / g² になります。逆数の公式 -g′ / g² は、ここで f = 1 と置いた形です。
合成関数は倍率のかけ算です。図4は y = (x² + 1)³ の x = 1 での様子を、u = x² + 1 と y = u³ の 2 段に分けたものです。x が少し動くと u はその 2 倍動きます。(x² + 1)′ = 2x に x = 1 を入れた値です。u が動くと y はその 12 倍動きます。(u³)′ = 3u² に u = 2 を入れた値です。2 段通るので全体は 2 × 12 = 24 倍。解答の 6x(x² + 1)² に x = 1 を入れても 6 × 4 = 24 で、同じ値になります。

三角関数は sin x から始まります。加法定理で書き直すと sin(x + h) − sin x = sin x (cos h − 1) + cos x sin h です。h が小さいとき (sin h) / h は 1 に、(cos h − 1) / h は 0 に近づくので、h で割った行き先は cos x になります。弧度法を使う理由はここにあります。度で測ると (sin h) / h は 1 に近づかず、公式に π/180 という余分な係数がつきます。cos x = sin(π/2 − x) に合成関数の公式を当てると -sin x が出ます。tan x = sin x / cos x に商の公式を当てると、(cos²x + sin²x) / cos²x = 1 / cos²x です。
e は、y = aˣ のグラフの x = 0 での接線の傾きがちょうど 1 になる底 a の値で、約 2.718 です。この底を選ぶと eˣ は微分しても形が変わりません。log x は eʸ = x を満たす y のことなので、両辺を x で微分すると eʸ × y′ = 1、つまり y′ = 1 / eʸ = 1 / x です。aˣ は、a を「e の log a 乗」と書き直せば合成関数の公式で aˣ log a が出ます。logₐ x は底の変換で log x / log a にすれば 1 / (x log a) です。
例題で使い方を確かめる
どの問題も、計算を始める前に式の形を見ます。足し算か、かけ算か、割り算か、かっこの中に別の関数が入っているか。公式を選ぶ判断は、ほとんどこの見分けで済みます。
例題1 数学Ⅱ:多項式の微分
y = 2x³ − 5x² + 4x − 7 を x で微分してください。
- 項ごとに分けます。和の微分は微分の和なので、1 項ずつ別々に処理して構いません。
- 係数を残し、xⁿ の部分だけを n xⁿ⁻¹ に変えます。定数倍は微分の外に出せるからです。2x³ は 2 × 3x² = 6x²、-5x² は -5 × 2x = -10x、4x は 4 です。
- 定数 -7 は 0 にします。y = -7 のグラフは水平で、傾きが 0 だからです。
答え: y′ = 6x² − 10x + 4
例題2 数学Ⅱ:接線の式
曲線 y = x³ − 3x の x = 2 における接線の式を求めてください。
- 接点の y 座標を出します。接線はこの点を通るので、f(2) = 8 − 6 = 2 が必要です。
- 導関数を作ります。どの x でも傾きを出せる式を先に持っておくためで、f′(x) = 3x² − 3 です。
- x = 2 を入れて傾きを 1 つの数にします。f′(2) = 12 − 3 = 9 です。ここで x を残すと、式が直線になりません。
- y − f(a) = f′(a)(x − a) に入れます。接点と傾きがそろえば直線は 1 本に決まるからです。y − 2 = 9(x − 2) を整理します。
- できた式に x = 2 を入れて確かめます。9 × 2 − 16 = 2 で接点を通るので、計算の取り違えがあればここで気づけます。
答え: y = 9x − 16
例題3 数学Ⅲ:商の微分
y = (x² + 1) / (x − 1) を x で微分してください。
- f = x² + 1、g = x − 1 と名前をつけます。名前を決めておくと、引き算の順番で迷いません。
- f′ = 2x、g′ = 1 を書き出します。公式に入れる材料を別に出しておくと、写し間違いが減ります。
- 分子に f′g − f g′ を作ります。2x(x − 1) − (x² + 1) × 1 = 2x² − 2x − x² − 1 = x² − 2x − 1 です。後ろのかっこ全体にマイナスがかかるので、x² と 1 の符号がどちらも変わります。
- 分母は g² のまま残します。このあと増減を調べるときは、分母が 2 乗の形のほうが符号を読みやすいからです。
答え: y′ = (x² − 2x − 1) / (x − 1)²
例題4 数学Ⅲ:積と合成関数の組み合わせ
曲線 y = eˣ sin 2x の x = 0 における接線の式を求めてください。
- いちばん外の形を見ます。eˣ と sin 2x のかけ算なので、最初に使うのは積の公式です。
- sin 2x の微分を先に用意します。内側の 2x を微分した 2 がかかるので、(sin 2x)′ = 2 cos 2x です。
- 積の公式に入れて共通の eˣ をくくります。y′ = eˣ sin 2x + eˣ × 2 cos 2x = eˣ(sin 2x + 2 cos 2x) です。
- x = 0 を入れます。接線に要るのは点と傾きの 2 つだからです。e⁰ = 1、sin 0 = 0、cos 0 = 1 なので、点の y 座標は 0、傾きは 2 です。
- 接線の式 y − 0 = 2(x − 0) に入れます。接点が原点なので、定数の項は残りません。
答え: y = 2x
まちがえやすいところ
積をそれぞれ微分してかけてしまう
- 誤った書き方: (x² sin x)′ = 2x cos x
- どこが違うか: これは f′ × g′ の形で、図3でいえば、h で割っても h が残って消えるはずの角の小片だけを数えています。残るはずの 2 本の帯が丸ごと抜けています。微分は足し算には分けられますが、かけ算には分けられません。
- 正しい書き方: (x² sin x)′ = 2x sin x + x² cos x
合成関数で内側の微分を落とす
- 誤った書き方: {(x² + 1)³}′ = 3(x² + 1)²
- どこが違うか: 図4の 2 段のうち、外側の 12 倍だけを使い、内側の 2 倍を落としています。x = 1 で比べると誤った式の値は 12 で、実際の傾きは 24 です。x を 1 から 1.001 にしたときの変化の割合を電卓で計算すると約 24.04 になるので、どちらが正しいかは数字で決着します。
- 正しい書き方: {(x² + 1)³}′ = 3(x² + 1)² × 2x = 6x(x² + 1)²
指数関数に xⁿ の公式を当てる
- 誤った書き方: (2ˣ)′ = x × 2ˣ⁻¹
- どこが違うか: xⁿ の公式が使えるのは、下が変数で肩が定数の形だけです。2ˣ は下が定数で肩が変数なので、別の関数です。x = 0 で比べると誤った式の値は 0 ですが、2ˣ のグラフは x = 0 でも右上がりで、傾きが 0 のはずがありません。実際の値は log 2 で約 0.693 です。
- 正しい書き方: (2ˣ)′ = 2ˣ log 2
覚え方と忘れたときの戻り方
暗記するのは図1の左から 2 列目にある公式だけで、それより右の 2 列は戻り道ごと覚えます。試験の途中で忘れても、次の順に手を動かせば戻れます。
- 商を忘れたら、f = q g を積の公式で微分して q′ について解きます。余白 2 行で足ります。
- 分子の順番が不安なら、f = 1、g = x を入れます。y = 1 / x のグラフは x > 0 で右下がりなので、答えは負のはずです。(f′g − f g′) / g² に入れると (0 − 1) / x² = -1 / x² で負になり、順番が合っているとわかります。
- cos x の符号は、グラフで決めます。x が 0 から π/2 に進むと cos x は減るので、微分は負です。sin x はこの範囲で正ですから、-sin x と決まります。sin x を微分し続けると cos x、-sin x、-cos x、sin x と 4 回で一周します。
- tan x は sin x / cos x に戻して商の公式を当てます。
- どの公式も、最後は定義に戻せます。h = 0.001 として {f(x + h) − f(x)} / h を電卓で計算すれば、自分の答えが合っているかを数字で確かめられます。
語呂より唱え方が役に立ちます。よく使われるのは、合成関数の「外の微分かける中の微分」と、商の「上の微分かける下 ひく 上かける下の微分 割る下の 2 乗」です。声に出すと順番を間違えにくくなりますが、唱え方はあくまで手がかりです。迷ったら上の手順のように、簡単な式か数字を入れて答えと比べてください。
練習問題
例題と同じ判断で解けます。最初に「いちばん外の形」を言葉にしてから手を動かしてください。
- 練習1(数学Ⅱ): 曲線 y = x⁴ − 2x² + 3 の x = 1 における接線の式を求めてください。
- 練習2(数学Ⅲ): y = x² log x を x で微分してください。x > 0 とします。
- 練習3(数学Ⅲ): y = sin³(2x) を x で微分してください。sin³(2x) は sin 2x の 3 乗を表します。
答えと解説
練習1 の答えは y = 2 です。f(1) = 1 − 2 + 3 = 2 で接点は (1, 2)。f′(x) = 4x³ − 4x より f′(1) = 0 なので、接線は傾き 0 の水平な直線です。y − 2 = 0 × (x − 1) を整理すると y = 2 になります。直線の式に x が残らないことに戸惑うかもしれませんが、この点はグラフの谷の底にあたり、水平な接線で正しいのです。
練習2 の答えは y′ = 2x log x + x です。x² と log x のかけ算なので積の公式を使います。(x²)′ × log x + x² × (log x)′ = 2x log x + x² × (1 / x) で、2 項目は約分すると x になります。x でくくって x(2 log x + 1) と書いても同じです。
練習3 の答えは y′ = 6 sin²(2x) cos(2x) です。外から順に 3 段あります。いちばん外は 3 乗で、微分すると 3 sin²(2x)。次の段は sin で、微分すると cos(2x)。いちばん内側は 2x で、微分すると 2 です。この 3 つをかければ 3 × 2 = 6 が前に出ます。合成関数の段は 2 段とは限らず、かっこを 1 枚はがすたびに倍率が 1 つ増えます。
次に確かめる公式
- 二項定理: (x + h)ⁿ を展開するときに使い、xⁿ の微分で n が前に降りてくる理由を一般の n で確かめられます。
- 加法定理: sin x の微分を定義から導くときに使い、(sin x)′ = cos x に納得できないときの戻り先になります。
- 積分の公式: 微分の逆の計算なので、上の表を右から左へ読むと、基本の積分がそのまま手に入ります。
個別指導では、合成関数で止まったときに公式を繰り返す前に、x² + 1 のような内側と ( )³ のような外側を言葉で分けられるかまで戻って確かめます。数学Ⅲの微分が進まないときは、数学Ⅱの定義の式と接線の式で、傾きの意味を説明できるかも見直します。
まとめ
公式の表は検索すれば何度でも出てきますが、自分の答案で 2 段目の倍率に気づく目は、自分の手で 24 を計算した人にしか育ちません。sin 2x でも e²ˣ でも、見るところは同じです。かっこを見たら、中身を 1 回微分する。夜の自習室で探していた 6x のうち、2x は最初からかっこの中にいました。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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