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【化学基礎】中和滴定を図解で総まとめ—器具・指示薬・滴定曲線・計算の手順|武蔵野個別指導塾

ビュレットの読み方や器具の洗い方を、溶質の物質量と結びつけて整理します。食酢の希釈計算を含む4つの例題と滴定曲線の図で、操作の理由から指示薬の選択まで確かめられます。
よくあるのは、理科室の実験台の脇で、洗ったホールピペットを見つめながら「水で洗ったのに、なぜもう一度入れる溶液で洗うのだろう」と手が止まる場面です。隣のコニカルビーカーは水でぬれたままでよいと聞くと、器具ごとに別々の約束を覚えるしかないように感じるかもしれません。しかし、その違いは、これから量るものが濃度なのか、体積なのか、それとも反応する物質の量なのかを考えると説明できます。
中和滴定は、濃度がわかっている溶液を使い、相手の溶液の濃度を調べる実験です。色が変わったところで終える操作と、ノートに書く濃度の式は別々の話ではありません。どの器具で何を量り、何と何がちょうど反応したのかが、計算の根拠になります。器具、指示薬、グラフ、計算を順につなげて、実験結果から濃度を自分で説明できるところまで進みましょう。
この単元で身につけること
- ホールピペット、ビュレット、コニカルビーカー、メスフラスコの役割を区別します。一定の体積を取り出す器具と、一定の体積に仕上げる器具を混同しないことが出発点です。
- 共洗いが必要な理由を説明します。器具に残った水によって、これから量る溶液の濃度が変わるかどうかに注目します。
- 中和点と終点を区別します。反応量がちょうどつり合う点と、指示薬の色で実際に判断する点を結びつけて考えます。
- 滴定曲線から適切な指示薬を選びます。中和点付近で pH が急に変わる範囲と、指示薬の変色域が重なることを確かめます。
- 反応式、物質量、希釈倍率の順に濃度を求めます。測定した滴下量が、どの試料の量に対応するのかを言葉でも示せるようにします。
前の単元で学ぶモル濃度と中和反応の量的関係が、この単元の土台です。濃度の公式を増やすのではなく、「物質量=モル濃度×体積」を実験の各段階に当てはめます。特に、体積を L で式に入れる習慣が、桁の取り違えを防ぎます。
基本の考え方
中和滴定で何を調べているのか
中和とは、酸と塩基が反応して、互いの性質を打ち消し合う反応です。塩酸と水酸化ナトリウム水溶液なら、HCl+NaOH → NaCl+H₂O と表せます。反応式の係数は 1:1 なので、HCl が 1 mol あれば NaOH も 1 mol 必要です。この関係を使い、濃度が未知の酸に、濃度が正確にわかっている塩基の水溶液を少しずつ加えます。
このように相手の溶液を加えて反応に必要な量を測る操作が滴定です。滴定に使う、濃度が正確にわかっている溶液を標準溶液といいます。標準溶液の濃度と使った体積がわかれば、その中の溶質の物質量が求められます。さらに反応式の係数比から、試料に含まれていた酸の物質量を逆に求められます。
酸と塩基が過不足なく反応する点を中和点といいます。ただし、すべての中和点で pH が 7 になるわけではありません。中和点は反応量で決まり、そのときの液性はできた塩などによって変わります。一方、実験で指示薬の色の変化を見て滴定を終える点を終点といいます。適切な指示薬を少量用い、中和点に十分近いところで終点を判断することが大切です。
酸の価数を a、塩基の価数を b とすると、中和の量的関係は a×酸の物質量=b×塩基の物質量です。価数は、酸 1 個が放出できる H⁺ の数など、中和に関わる数を表します。酸や塩基の強弱とは別の性質です。酢酸が弱酸だからといって、NaOH と中和するときの必要量を小さくすることはありません。酢酸も 1 価の酸として、NaOH と 1:1 の物質量で反応します。
4つの器具と洗い方を結びつける
図1のように、試料を正確に取り出す器具と、反応を進める器具は役割が分かれています。図は器具の役割を示す模式図で、大きさの比を表すものではありません。滴定ではビュレットをスタンドに固定し、その下に試料の入ったコニカルビーカーを置きます。

ホールピペットは、決まった体積の溶液を正確に取り出す器具です。中央が膨らみ、細い管に標線があります。蒸留水で洗った後、取り出す溶液を少量使って内側をすすぐ共洗いをします。水が残ったままだと吸い上げた溶液が薄まり、標線まで取っても本来の量の溶質を取り出せないためです。吸引には安全ピペッターなどを使い、口で吸ってはいけません。標線と液面を同じ高さで見て、透明な水溶液では液面のくぼみの最下部を合わせます。自然に流出させる形式では先端の残液を無理に吹き出さず、器具の指定に従います。
ビュレットは、加えた溶液の体積を目盛りの差から測る器具です。蒸留水で洗った後、中に入れる標準溶液で共洗いします。内側の水で薄まると、記録した標準溶液の濃度と実際の濃度が一致しなくなるからです。コックと先端まで溶液を満たし、気泡がないことを確かめてから最初の目盛りを読みます。目盛りは下に向かって大きくなるので、滴下量は「終了時の目盛り−開始時の目盛り」です。開始を必ず 0 に合わせる必要はありません。充填に使った漏斗は読み取りと滴定の前に外し、途中で液が落ち込まないようにします。
コニカルビーカーは、取り分けた試料を入れて反応させる容器です。蒸留水で洗い、水でぬれたまま使えます。ホールピペットで試料を正確に入れた後は、水が加わっても試料中の酸の物質量は変わりません。そのため、中和に必要な標準溶液の量も変わりません。逆に試料で共洗いすると、内側に残った試料の分だけ余計な酸が入り、正確に量り取った量に上乗せされます。
メスフラスコは、溶液全体を決まった体積に調製する器具です。蒸留水で洗い、水でぬれたまま使えます。一定量の試料を入れ、蒸留水を加えて最終的に標線まで満たすので、初めから残っていた水も完成後の体積に含まれるためです。栓をして十分に混ぜ、濃度を均一にしてから使います。試料で共洗いすると、量を測っていない溶質まで加わるので不適切です。「水を 100 mL 加える」のではなく、「溶液全体を 100 mL にする」という違いにも注意します。
実験では保護眼鏡を着用し、薬品が皮膚や目に触れないようにします。ビュレットの充填は液面を安全に見渡せる高さで、教員の指示に従って行います。終点が近づいたら少量ずつ加えて、そのつど穏やかに混ぜます。フェノールフタレインを用いた酸の滴定では、混ぜた後にごく薄い赤色が残るところを観察します。濃い赤色になるまで加える操作ではありません。廃液の扱いも実験室の指示に従います。
滴定曲線と指示薬の選び方
滴定曲線は、横軸に加えた標準溶液の体積、縦軸に pH を取ったグラフです。pH は水溶液の酸性・塩基性の程度を示す値です。ここでは教科書で通常扱う 25 ℃ の水溶液を考え、中性の pH を 7 とします。酸に塩基を加える場合、通常は滴下とともに pH が上がり、中和点付近で急に変化します。
指示薬の色が変わる pH の範囲を変色域といいます。メチルオレンジは pH 3.1〜4.4 で赤色から黄色へ変わり、途中は橙色に見えます。フェノールフタレインは pH 8.0〜9.8 で無色から赤色へ変わります。指示薬は「pH 7 を知らせる液」として選ぶのではありません。中和点付近の急な pH 変化の中に変色域があれば、わずかな滴下量の差で色が変わり、中和点に近い終点を判断できます。
塩酸のような強酸を NaOH のような強塩基で滴定すると、中和点はほぼ pH 7 です。通常の実験濃度では、その前後の急な変化の範囲が広く、メチルオレンジもフェノールフタレインも使えます。酢酸のような弱酸を強塩基で滴定すると、中和点の溶液は酢酸ナトリウムを含んで塩基性を示すので、フェノールフタレインを使います。メチルオレンジでは中和点に達する前に変色してしまい、適しません。
アンモニア水のような弱塩基を塩酸のような強酸で滴定する場合は、中和点の溶液が酸性になり、メチルオレンジが適しています。この場合は酸を加えるので、滴定曲線は右下がりです。弱酸と弱塩基の組合せでは中和点付近の pH 変化が小さく、これらの指示薬だけでは終点を明確に判断しにくくなります。組合せを見てから指示薬を選ぶ順番にしましょう。
例題で解き方を確かめる
例題1 ビュレットの目盛りから塩酸の濃度を求める
濃度未知の塩酸 10.0 mL を、0.100 mol/L の NaOH 水溶液で滴定しました。開始時の目盛りは 1.20 mL、終点の目盛りは 13.60 mL でした。終点を中和点とみなして、塩酸のモル濃度を求めます。目盛りは器具に応じて最小目盛りよりさらに1桁を目分量で読み、この問題では小数第2位まで記録しています。
- 使った NaOH 水溶液の体積を求めます。目盛りは容器内に残る体積ではなく、滴下した量を差で読むため、13.60−1.20=12.40 mL です。これを 0.01240 L に直します。
- NaOH の物質量を求めます。標準溶液の濃度がわかっているので、0.100 mol/L×0.01240 L=0.001240 mol です。途中の計算では丸めを急がず、最後に有効数字を整えます。
- HCl の物質量へ移します。反応式 HCl+NaOH → NaCl+H₂O の係数比が 1:1 なので、HCl も 0.001240 mol です。酸と塩基の体積が同じになるわけではありません。
- 酸の体積で割ります。濃度はもとの塩酸 10.0 mL 中の物質量から求めるので、0.001240 mol÷0.0100 L=0.124 mol/L となります。滴定後の混合液の体積で割ると、別の量を求めることになります。
答え:塩酸のモル濃度は 0.124 mol/L です。
例題2 2価の酸では係数を先に確かめる
硫酸 10.0 mL を、0.100 mol/L の NaOH 水溶液 16.0 mL で完全に中和しました。硫酸のモル濃度を求めます。硫酸は 2 価の酸、NaOH は 1 価の塩基として扱います。濃度と体積だけを見る前に、反応する物質量の比を決めましょう。
- 反応式をそろえます。H₂SO₄+2NaOH → Na₂SO₄+2H₂O なので、H₂SO₄:NaOH=1:2 です。硫酸 1 mol に対して NaOH が 2 mol 必要という意味です。
- NaOH の物質量を計算します。0.100 mol/L×0.0160 L=0.00160 mol となります。濃度が既知の側から始めると、未知数を増やさずに進められます。
- 硫酸の物質量を求めます。NaOH の半分なので、0.00160 mol÷2=0.000800 mol です。硫酸の価数が 2 だからといって、硫酸の物質量を NaOH の 2 倍にしないようにします。
- 硫酸の体積で割ります。0.000800 mol÷0.0100 L=0.0800 mol/L です。有効数字は 3 桁で、先頭の 0 は桁数に数えず、末尾の 0 は測定の精度を表す桁として残します。
答え:硫酸のモル濃度は 0.0800 mol/L です。
例題3 食酢を薄めてから滴定する
食酢中の酸をすべて酢酸とみなします。食酢 10.0 mL をメスフラスコに取り、蒸留水を加えて 100 mL にし、十分に混ぜました。その希釈液 10.0 mL を取り、0.100 mol/L の NaOH 水溶液で滴定すると、12.0 mL 必要でした。もとの食酢中の酢酸のモル濃度を求めます。ここでは希釈倍率を 10.0 倍として扱います。
図2のように、最初に採取した食酢を薄め、その一部分を改めて取り出しています。中央の大きな枠は希釈液全体で、等しい面積の10区画はそれぞれ 10.0 mL に対応します。橙色の1区画が、滴定に使った量を示します。容器内で区切られているという意味ではなく、体積の割合を見える形にした図です。

- 反応比を確かめます。CH₃COOH+NaOH → CH₃COONa+H₂O なので、酢酸と NaOH の物質量は 1:1 です。弱酸であっても、中和に使う係数比はこの式から決まります。
- 滴定した部分の酢酸の物質量を求めます。0.100 mol/L×0.0120 L=0.00120 mol です。この値は希釈液全体の酢酸ではなく、取り出した 10.0 mL に含まれる酢酸の量です。
- 希釈液の濃度を求めます。0.00120 mol÷0.0100 L=0.120 mol/L です。ここで求まったのは薄めた後の濃度なので、まだ問題の答えではありません。
- もとの濃度に戻します。全体の体積を 10.0 倍にしたとき、酢酸の物質量は変わらず濃度が 10.0 分の1になるので、0.120×10.0=1.20 mol/L です。食酢が希釈液より濃いことも確認します。
答え:もとの食酢中の酢酸のモル濃度は 1.20 mol/L です。
別の確かめ方では、滴定した 10.0 mL は全体 100 mL の10分の1なので、希釈液全体の酢酸は 0.0120 mol です。これは最初の食酢 10.0 mL に含まれていた量ですから、0.0120 mol÷0.0100 L=1.20 mol/L となります。濃度を10倍する方法と、物質量を全体に戻す方法のどちらでも同じ答えになりますが、両方の10倍を重ねてはいけません。
例題4 中和点に達する前の過不足を調べる
0.100 mol/L の塩酸 20.0 mL に、0.100 mol/L の NaOH 水溶液を 15.0 mL 加えました。塩酸が何 mol 分余るかと、中和点まであと何 mL 加える必要があるかを求めます。滴定の途中では「加えた塩基がすべて反応した」と「酸がすべて反応した」を区別します。
- 最初の HCl の物質量を求めます。0.100 mol/L×0.0200 L=0.00200 mol です。これが中和に必要な NaOH の総量の基準になります。
- 加えた NaOH の物質量を求めます。0.100 mol/L×0.0150 L=0.00150 mol です。係数比が 1:1 なので、その量だけ HCl が中和されます。
- 差から余った酸を求めます。0.00200−0.00150=0.00050 mol です。より少ない側の NaOH は反応し終わっていますが、酸が残っているので溶液は酸性です。
- 追加する体積に直します。0.00050 mol÷0.100 mol/L=0.0050 L=5.0 mL です。差の計算では、もとの物質量の小数の位を踏まえて 0.00050 mol と表し、追加体積も対応する精度で示しています。
答え:塩酸は 5.0×10⁻⁴ mol 分余り、中和点までさらに 5.0 mL 必要です。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 水でぬれている器具はすべて使えない
誤った書き方は「コニカルビーカーに水が残ると酸が薄くなるので、必要な NaOH が減る」です。薄くなること自体は正しいのですが、中和に必要な量を決めるのは酸の濃度だけではなく、酸の物質量です。正確に取り分けた後の試料に水を加えても、酸を外へ捨てない限り、酸の物質量は減りません。
正しい書き方は「コニカルビーカー内で試料が薄まっても、酸の物質量は変わらず、中和に必要な NaOH の物質量も変わらない」です。一方、ホールピペット内で薄まってから一定体積を取ると、取り出す酸の物質量が減ります。水が混じる時点が「正確に取り分ける前か後か」を図や操作の順番に書き添えると整理できます。なお、極端に薄めれば変色の判断が難しくなるので、必要もなく大量の水を加えるという意味ではありません。
誤り2 中和点ならどの組合せでも pH 7 になる
誤った書き方は「酢酸と NaOH の中和点も pH 7 だから、pH 7 付近で変わる指示薬を選ぶ」です。中和点は酸と塩基が量的に過不足なく反応する点であって、中性になることの言い換えではありません。酢酸と NaOH の中和点では、生成した酢酸ナトリウムを含む水溶液が塩基性を示します。
正しい書き方は「酸と塩基の組合せから中和点付近の pH 変化を考え、その急変範囲に変色域が入る指示薬を選ぶ」です。図3のように、塩酸 20.0 mL を同じ濃度の NaOH 水溶液で滴定する場合、中和点は滴下量 20.0 mL の位置にあります。紺の曲線が pH、橙の帯がメチルオレンジ、緑の帯がフェノールフタレインの変色域です。図中ではそれぞれ MO、PP と略しています。

図3は、塩酸も NaOH 水溶液も 0.100 mol/L、温度は 25 ℃ とした場合です。横軸の目盛りは 10 mL ずつ、縦軸は pH 2 ずつ等間隔です。赤い点が中和点で、その近くでは少しの体積差で曲線が両方の変色域を通ります。したがって、この条件では両方の指示薬が適しています。酢酸の滴定にこの図をそのまま当てはめず、弱酸では中和点が塩基性側にあることと、酸性側の変化が緩やかなことを思い出しましょう。
誤り3 酸と塩基の濃度×体積をいつでもそのまま等しくする
誤った書き方は「硫酸でも、酸の濃度×体積=NaOH の濃度×体積」です。この式だけでは、硫酸 1 mol に対して NaOH が 2 mol 必要という関係が抜けています。反応式を見ないまま濃度と体積を掛けると、見た目のそろった式でも答えが 2 倍ずれます。
正しい書き方は「2×硫酸の濃度×硫酸の体積=1×NaOH の濃度×NaOH の体積」です。両方の体積を mL でそろえた等式なら、L への換算の共通因子が打ち消されるため計算できます。ただし、片側だけから物質量を求めるときは、mol/L に掛ける体積を必ず L に直します。式の各辺の意味を「中和に関わる量」と読めるか確かめてから、数値を入れましょう。
練習問題
練習1 読み取りと濃度
塩酸 20.0 mL を、0.100 mol/L の NaOH 水溶液で滴定しました。ビュレットの開始時の目盛りは 2.35 mL、終点の目盛りは 20.75 mL でした。滴下量と塩酸のモル濃度を求めてください。終点を中和点とみなします。まず差を取り、次に反応式の係数比を使いましょう。
練習2 価数を含む計算
硫酸 10.0 mL を完全に中和するために、0.100 mol/L の NaOH 水溶液が 15.0 mL 必要でした。硫酸のモル濃度を求めてください。硫酸の物質量を、NaOH の物質量からどちら向きに換算するかを言葉でも説明しましょう。
練習3 希釈と指示薬
酢酸だけを酸として含む試料 10.0 mL を薄め、全体を 100 mL にしました。希釈倍率は 10.0 倍とします。その希釈液 20.0 mL を、0.100 mol/L の NaOH 水溶液で滴定すると 16.0 mL 必要でした。もとの試料の酢酸のモル濃度と、適切な指示薬を答えてください。滴定した量が希釈液全体ではないことに注意しましょう。
練習4 操作によるずれ
塩酸を NaOH 水溶液で滴定します。Aは、ホールピペットを共洗いせず、水が残った状態で塩酸を量り取りました。Bは、正しく塩酸を量り取った後、コニカルビーカーに少量の蒸留水を加えました。それぞれ、中和に必要な NaOH 水溶液の体積は、正しい操作の場合より小さくなる、大きくなる、変わらない、のどれですか。ほかの条件は同じとします。
答えと解説
練習1の答えは、滴下量 18.40 mL、塩酸の濃度 0.0920 mol/L です。20.75−2.35=18.40 mL から、NaOH は 0.100×0.01840=0.001840 mol です。HCl も同じ物質量なので、0.001840÷0.0200=0.0920 mol/L となります。20.75 mL をそのまま滴下量にしないことが要点です。
練習2の答えは 0.0750 mol/L です。NaOH は 0.100×0.0150=0.00150 mol、硫酸はその半分の 0.000750 mol です。これを 0.0100 L で割ります。硫酸が 2 価だからこそ、同じ量の NaOH を反応させるのに必要な硫酸の物質量は少なくなります。
練習3の答えは 0.800 mol/L、フェノールフタレインです。滴定した部分の酢酸は 0.00160 mol、希釈液の濃度は 0.00160÷0.0200=0.0800 mol/L です。これを 10.0 倍します。弱酸と強塩基の中和点は塩基性側にあるため、その付近の急な pH 変化を捉える指示薬を選びます。
練習4の答えは、Aが小さくなる、Bが変わらない、です。Aは量り取る前に塩酸が薄まり、一定体積中の HCl の物質量が減っています。Bは量り取った HCl の物質量が保たれています。この違いが説明できれば、共洗いの必要性を器具名の丸暗記だけに頼らず判断できます。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
中和滴定で使う「既知の物質量から、反応式の係数比で未知の物質量を求める」という考え方は、次に学ぶ酸化還元反応の量的関係にもつながります。反応の種類が変わっても、何が何 mol 反応したかを追う手順は共通です。さらに、実験値を読むときに器具の精度や終点の判断を考える姿勢は、測定結果を適切な桁数で表すことにもつながります。
家庭では薬品を使わず、紙の上でそれぞれ 5 分ほどの確認ができます。1つ目は、4種類の器具名を書き、役割と共洗いの要否を理由つきで結ぶことです。2つ目は、例題3の数値を隠し、「採取した食酢→希釈液全体→滴定した部分」という矢印を書いて、物質量が保存されるところと、一部だけを取るところに印を付けることです。
個別指導で式が立たないときは、モル濃度の意味や mL から L への換算まで戻って確かめます。式が立つのに答えがずれるときは、反応式の係数、目盛りの差、希釈倍率のどこで対応が外れたかを、実験操作と照らし合わせます。
まとめ
滴定の記録には、色が変わった瞬間だけでなく、その体積に対応する反応量が含まれています。計算が終わったら、答えの濃度が原液と希釈液のどちらを表すのか、もう一度問題文に戻って確かめましょう。器具の名前を答えられる段階から、残った水が結果に影響する理由を説明できる段階へ進めば、初めて見る実験の設問でも判断する根拠が生まれます。中和滴定の答えを支えるのは、色の記憶ではなく、量り取った溶質を最後まで追う一本の道筋です。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。



