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【化学基礎】金属の反応性と電池を図解で総まとめ—イオン化傾向・ダニエル電池・電気分解の基礎|武蔵野個別指導塾

金属と水・酸の反応を整理し、ダニエル電池の電子の向きと電気分解の電極を図で確かめます。反応式や析出量を求める例題を通して、暗記した金属の順序を説明に使えるようにしましょう。
よくあるのは、塾の玄関の傘立ての前で、ぬれた金属の部分を見ながら「鉄はさびるのに、どうして電池の図には亜鉛と銅が出てくるのだろう」と考え、覚えた金属の順序と実際の反応がつながらなくなる場面です。金属の名前を順番どおりに言えても、どちらの金属が溶け、どこに電子が移るかを説明するには、もう一段の整理が必要です。
出発点は、金属の原子が電子を失って陽イオンになる変化です。この変化を、水や酸との反応、別の金属イオンとの反応、電池の負極での反応に共通するものとして見ていきます。ただし、さびの生じ方には水や酸素、表面の状態も関係するため、金属の順序だけで進む速さまで決めることはできません。
電池と電気分解も、電子を与える側と受け取る側を分けると見通しがよくなります。反応式、装置の図、物質量の計算を往復しながら、「なぜその向きなのか」を自分の言葉で説明できることを目指します。
この単元で身につけること
- イオン化傾向を使って反応の向きを判断します。金属が水溶液中で電子を失い、陽イオンになりやすい程度を比べる尺度として使います。
- 金属と水・酸との反応を条件とともに説明します。水なら温度、酸なら種類や濃さを確かめ、金属の名前だけで結論を出さないようにします。
- 電池の負極と正極を半反応式から決めます。電子を放出する酸化が起こるのが負極、電子を受け取る還元が起こるのが正極です。
- ボルタ電池とダニエル電池の違いを説明します。正極で水素が生じる場合と、銅が析出する場合を区別し、電流が続くための仕組みを考えます。
- 実用電池の役割と電気分解の基礎を整理します。化学変化で電気エネルギーを取り出す場合と、外部から電気エネルギーを与える場合を分けます。
前の単元で学んだ「酸化は電子を失う変化、還元は電子を受け取る変化」と、反応式の係数が物質量の比を表すことを使います。電池だけの新しい暗記を増やすのではなく、既に学んだ電子とmolの考え方を金属の反応に当てはめていきましょう。
基本の考え方
イオン化傾向は金属が電子を渡す側になりやすい順序
イオン化傾向とは、金属が水溶液中で電子を失って陽イオンになろうとする傾向です。例えば亜鉛では、Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ と書きます。e⁻は電子を表し、亜鉛原子1個が電子2個を失うので、できるイオンの電荷は2+です。右辺の電荷は2+と2−を合わせて0となり、左辺の電荷と一致します。
高校で扱う代表的な順序は、大きい方から K、Ca、Na、Mg、Al、Zn、Fe、Ni、Sn、Pb、(H)、Cu、Hg、Ag、Pt、Au です。(H)は金属ではなく、水素イオンが水素になる反応との比較の目印です。この順序は元素の原子番号順ではありません。また、水素より前の金属が、どれも常温の水と激しく反応するという意味でもありません。
図1のように代表的な金属だけを取り出すと、ZnはCuよりイオン化傾向が大きいことが読み取れます。矢印は順位の向きだけを示し、金属の間隔は反応性の差を数値で示したものではありません。

硫酸銅(Ⅱ)水溶液中に亜鉛を入れたときの変化は、Zn + Cu²⁺ → Zn²⁺ + Cu です。亜鉛が電子を失い、銅(Ⅱ)イオンがその電子を受け取って金属の銅になります。水溶液中の金属イオンが電子を受け取って固体の金属となり、表面に現れることを、金属が析出するといいます。金属の亜鉛と、イオンのCu²⁺を組み合わせて読むのが大切です。
この反応では、亜鉛は酸化され、銅(Ⅱ)イオンは還元されます。亜鉛は相手を還元する還元剤、銅(Ⅱ)イオンは相手を酸化する酸化剤です。一方、銅を硫酸亜鉛水溶液に入れても、通常は同じ考え方による亜鉛の析出は起こりません。「2種類の金属がそろえば反応する」のではなく、どちらが金属の単体で、どちらがイオンなのかを見分ける必要があります。
水や酸との反応には条件がある
K、Ca、Naは常温の水と反応して水素を発生し、水酸化物を生じます。例えば、2Na + 2H₂O → 2NaOH + H₂ です。Mgは常温の水とは反応しにくいものの、熱水とは反応します。Al、Zn、Feは高温の水蒸気と反応し、酸化物と水素を生じます。金属の種類に加えて「常温の水」「熱水」「高温の水蒸気」を問題文で区別しましょう。
水素よりイオン化傾向の大きい金属は、一般に希塩酸や希硫酸中のH⁺に電子を渡し、水素を発生します。例えば、Zn + 2H⁺ → Zn²⁺ + H₂ です。塩酸を化学式で示すなら、Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂ となります。水素原子2個がまとまってH₂になるため、H⁺の係数は2です。CuやAgは水素よりイオン化傾向が小さく、希塩酸や希硫酸から水素を発生させません。
ただし、酸ならすべてH⁺だけが反応の相手になるわけではありません。硝酸や熱濃硫酸には強い酸化作用があり、銅も溶けますが、このとき発生する気体は水素ではありません。硝酸なら条件に応じて窒素酸化物、熱濃硫酸なら二酸化硫黄が生じます。「銅は酸に絶対に溶けない」という覚え方を避け、希塩酸・希硫酸についての規則として整理します。
さらに、表面をおおう物質が反応を妨げる場合があります。Alは表面の酸化被膜によって内部が保護されます。Fe、Al、Niなどは濃硝酸中で緻密な酸化被膜をつくり、反応しにくい不動態になります。また、Pbは希塩酸や希硫酸中で難溶性の塩が表面にでき、反応が進みにくくなります。イオン化傾向は反応の向きを考える基準であり、表面の状態や反応の速さをすべて決めるものではありません。ここで述べた反応は学習上の整理で、家庭で金属を酸や水と反応させて確かめる課題ではありません。
電池は酸化と還元の場所を分ける装置
亜鉛と銅(Ⅱ)イオンが同じ場所で反応すると、電子の受け渡しはその場で起こります。酸化と還元が起こる場所を分け、電子の通り道として導線を用意すると、化学エネルギーを電気エネルギーとして取り出せます。これが電池の基本です。導線などを通って電池の外側をつなぐ経路を外部回路といい、放電中の電子は外部回路を負極から正極へ移動します。電流の向きは電子の移動と逆です。
ボルタ電池は、亜鉛板と銅板を希硫酸に浸し、外部回路でつないだ電池です。負極では Zn → Zn²⁺ + 2e⁻、正極の銅板上では 2H⁺ + 2e⁻ → H₂ が起こります。銅板そのものがCu²⁺になるのではなく、銅板の表面でH⁺が電子を受け取ります。正極付近に水素が生じることなどにより起電力が低下する現象を分極といい、電流が続きにくくなる原因になります。起電力は、電池が電流を流そうとするはたらきを電圧で表す量です。
ダニエル電池は、亜鉛板を硫酸亜鉛水溶液に、銅板を硫酸銅(Ⅱ)水溶液に入れ、2つの水溶液を素焼き板などで隔てた電池です。負極の反応はボルタ電池と同じですが、正極では Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu が起こります。正極で水素を生じる反応を利用しないため、ボルタ電池より安定して電流を取り出せます。ただし、反応物の量には限りがあり、いつまでも電流を取り出せるわけではありません。
水溶液の内部では、イオンの移動が電荷の偏りを小さくします。素焼き板は溶液どうしが一度に混ざるのを抑えつつ、イオンの移動を可能にします。塩橋という、電解質を含む通路で2つの溶液をつなぐ方法もあります。電解質は、水などに溶けてイオンとなり電流を通す物質です。導線だけをつなぎ、溶液間のイオンの通り道を完全にふさぐと、電荷の偏りによって反応は続かなくなります。電子が溶液の中を亜鉛板から銅板まで走る図を描かないようにしましょう。
例題で解き方を確かめる
例題1 反応する組み合わせを選ぶ
亜鉛板を硫酸銅(Ⅱ)水溶液に入れる場合と、銅板を硫酸亜鉛水溶液に入れる場合を比べます。通常の水溶液中で金属の析出が起こるのはどちらでしょうか。反応する場合のイオン反応式も書きます。
- 図1でZnとCuの順序を確認します。Znの方がイオン化傾向が大きいので、Znが電子を与える側になりやすいと判断できます。
- 単体とイオンを区別して半反応式を書きます。Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ と Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu を組み合わせると、両者で電子を受け渡せることが確かめられます。
- 2つの式を足して電子を消します。電子はこの反応の途中で渡されるもので、全体として新しく生まれたり残ったりしないためです。
答え:亜鉛板を硫酸銅(Ⅱ)水溶液に入れた場合に銅が析出し、Zn + Cu²⁺ → Zn²⁺ + Cu となります。
水溶液中にはSO₄²⁻もありますが、この電子の受け渡しでは変化しないので、イオン反応式では省いています。式の左右でZnとCuの原子の数、合計の電荷がそれぞれ等しいことまで確認すると、覚えた式の写し間違いにも気づけます。
例題2 ダニエル電池の向きと変化を読む
図2のダニエル電池が放電しているとき、負極・正極、外部回路での電子の向き、両極の質量の変化を答えます。図2では、中央の素焼き板を通じてイオンが移動できる構造を模式的に示しています。

- 亜鉛板で Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ が起こると考えます。電子を外部回路へ渡す酸化の場所なので、亜鉛板を負極と決めます。
- 銅板で Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu が起こると考えます。外部回路から電子を受け取る還元の場所なので、銅板を正極と決めます。
- 電子の出発点と到着点を導線で結びます。電子は亜鉛板から銅板へ進み、外部回路の電流は銅板から亜鉛板へ向かいます。
- 固体としての金属が増えるか減るかを式から読みます。亜鉛は水溶液中へZn²⁺として移り、銅はCu²⁺から固体になるので、質量の変化は逆になります。
答え:亜鉛板が負極、銅板が正極で、電子は外部回路を亜鉛板から銅板へ流れ、亜鉛板の質量は減少、銅板の質量は増加します。
このとき負極側ではZn²⁺が増え、正極側ではCu²⁺が減ります。硫酸銅(Ⅱ)水溶液の青色が薄くなることも、Cu²⁺が減少することと対応します。色は銅板の色ではなく水溶液中のイオンに関係するので、図の「板」と「液」のどちらの変化を問われたかを確認しましょう。
例題3 亜鉛の減少量から銅の析出量を求める
ダニエル電池で亜鉛が0.020 mol溶けました。副反応を考えず、対応する反応がすべて銅の析出に使われるとして、析出する銅の質量を求めます。以後の計算では教科書で用いる値として、Cuのモル質量を64 g/mol、Mgのモル質量を24 g/mol、標準状態の気体1 molの体積を22.4 L/molとします。
- 電子の物質量を求めます。Zn 1 molから電子2 molが放出されるため、0.020 mol × 2 = 0.040 molです。原子1個当たりの個数の比は、molでも同じ比になります。
- Cu²⁺が必要とする電子の量を確認します。Cu 1 molの析出に電子2 molが必要なので、析出するCuは0.040 mol ÷ 2 = 0.020 molです。
- 物質量を質量に換算します。0.020 mol × 64 g/mol = 1.28 gとなり、与えられた数値の有効数字2桁に合わせて1.3 gとします。
答え:析出する銅の質量は1.3 gです。
全体の式 Zn + Cu²⁺ → Zn²⁺ + Cu から、ZnとCuの物質量の比1:1を直接使っても解けます。ただし、1:1は質量の比ではありません。異なる元素では1 molの質量が違うため、亜鉛が減った質量と銅が増えた質量をそのまま等しいと置くことはできません。
例題4 金属と酸の反応で生じる気体を求める
Mg 0.48 gを十分な量の希塩酸と反応させます。Mgがすべて反応するとき、発生する水素の標準状態での体積を求めます。ここで標準状態は0 ℃、1.013 × 10⁵ Paの状態で、水素を乾いた気体として扱います。
- Mg + 2HCl → MgCl₂ + H₂ と書きます。係数から、MgとH₂の物質量の比が1:1であることを確認するためです。
- Mgの質量を物質量に直します。0.48 g ÷ 24 g/mol = 0.020 molとなり、反応式に使える量になります。
- 水素の物質量を体積に直します。H₂も0.020 molなので、0.020 mol × 22.4 L/mol = 0.448 Lです。有効数字2桁では0.45 Lとなります。
答え:発生する水素の体積は、標準状態で0.45 Lです。
「十分な量の希塩酸」は、Mgが残らず反応できるだけのH⁺があるという条件です。Mgと酸の両方の量が示される問題なら、先にどちらが不足するかを調べます。また、22.4 L/molを使えるのは指定された標準状態であり、室温で測った気体の体積に無条件で使う数値ではありません。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 水素より前の金属はどんな条件でも同じように反応する
誤った書き方は「Alは水素より前だから、常温の水に入れるとすぐ水素が出る」です。違うのは、酸中のH⁺との反応の目安を、そのまま常温の水に広げている点です。Alでは表面の酸化被膜も反応を妨げます。正しい書き方は「Alは水素よりイオン化傾向が大きいが、常温の水とは反応しにくく、水との反応では温度や表面の状態を確認する」です。
直すときは、反応相手、温度、表面の状態の3点を問題文の横に書き出します。希塩酸なのか濃硝酸なのかが変われば、同じ金属でも説明が変わります。順序を思い出せることと、条件を読めることを別々に確かめると、誤答の原因が絞れます。
誤り2 電池の正極では銅板が電子を出す
誤った書き方は「正極だから正の電荷が増え、Cu → Cu²⁺ + 2e⁻ が起こる」です。違うのは、正極という名前から金属のイオン化を連想している点です。ダニエル電池の正極は電子を受け取る側であり、反応するのは水溶液中のCu²⁺です。正しい書き方は「正極でCu²⁺が電子を受け取り、Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu が起こる」です。
また、負極と正極に電子が際限なくたまっていくわけではありません。放電が続くには、電極の反応と外部回路の電子の移動、溶液中のイオンの移動が対応する必要があります。図2の導線に電子の矢印を足し、溶液側には「イオンが移動する」と書き分けると、2つの通り道を混同しにくくなります。
誤り3 電気分解の陽極でも還元が起こる
誤った書き方は「電池の正極で還元するので、電気分解の陽極でも還元する」です。違うのは、電池の正極と、外部電源の正極につないだ電気分解の陽極を同じものとしている点です。電気分解とは、外部から電気エネルギーを与えて酸化還元反応を起こすことです。外部電源の負極につないだ電極を陰極、正極につないだ電極を陽極といいます。
正しい書き方は「電気分解では、陰極で電子を受け取る還元、陽極で電子を放出する酸化が起こる」です。図3は、炭素電極で塩化銅(Ⅱ)水溶液を電気分解し、陰極に銅、陽極に塩素が生じる場合の模式図です。外部電源から陰極へ電子が供給され、陽極からは電子が取り去られます。

陰極では Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu、陽極では 2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻ です。2つを足すと Cu²⁺ + 2Cl⁻ → Cu + Cl₂ となります。陽極に向かう陰イオンと、陰極に向かう陽イオンという対応も、電極名の漢字だけで取り違えないようにしましょう。塩素は有害な気体であり、この図は家庭で行う実験の手順ではありません。
どんな水溶液でも「溶けている陽イオンが金属になる」とは限りません。水溶液には水もあり、水が反応して水素や酸素が生じる場合があります。例えば塩化ナトリウム水溶液の電気分解では、陰極に金属ナトリウムは析出せず、水素が生じます。電極材料自体が反応する場合もあるので、電気分解の問題では水溶液の種類と電極材料を必ずセットで読みます。
電池と電気分解を次の表で比較すると、極の名前と反応を別々に確かめられます。「酸化で電子を出す、還元で電子を受け取る」という定義は、どちらの装置でも変わりません。
| 装置 | 酸化が起こる電極 | 還元が起こる電極 | エネルギーの主な変換 |
|---|---|---|---|
| 放電中の電池 | 負極 | 正極 | 化学エネルギーから電気エネルギーへ |
| 電気分解 | 陽極 | 陰極 | 電気エネルギーから化学エネルギーへ |
練習問題
練習1 水素を発生する金属を選ぶ
ZnとCuをそれぞれ希塩酸に入れた場合、水素を発生するのはどちらですか。反応する金属について、H⁺を用いたイオン反応式も書きましょう。酸の種類を読み取り、図1の水素の位置を判断の基準にします。
練習2 ボルタ電池の正極を説明する
ボルタ電池の銅板上で起こる反応を半反応式で書き、ダニエル電池の銅板上で起こる反応との違いを述べましょう。電極の材質が同じでも、水溶液中の何が電子を受け取るかを区別して答えます。
練習3 電子の物質量から析出量を求める
ダニエル電池の外部回路を、電子0.030 molが移動しました。銅の析出以外の反応を考えないとして、析出した銅の物質量と質量を求めましょう。Cuのモル質量は64 g/molです。電子のmolをそのまま銅のmolにしないように、半反応式の係数を使います。
練習4 電気分解の量的関係を読む
図3の塩化銅(Ⅱ)水溶液の電気分解で、陰極にCuが0.010 mol析出しました。示した2つの反応だけが起こるとして、陽極で生じた気体の名称と物質量を求めましょう。気体の体積は求めず、両極で受け渡す電子の物質量が等しいことを利用します。
答えと解説
練習1の答えはZnで、Zn + 2H⁺ → Zn²⁺ + H₂ です。Znは水素よりイオン化傾向が大きく、Cuは小さいため、希塩酸中のH⁺との反応ではこの違いが出ます。塩化物イオンCl⁻はこの電子の受け渡しで変化しないので、式には現れません。
練習2の答えは、ボルタ電池では 2H⁺ + 2e⁻ → H₂、ダニエル電池では Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu です。前者はH⁺が還元されて水素が発生し、後者はCu²⁺が還元されて銅が析出します。銅板だから必ず銅が増えるという判断はできず、正極側の水溶液の成分まで見る必要があります。
練習3の答えは、銅0.015 mol、0.96 gです。Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu より、銅の物質量は0.030 mol ÷ 2 = 0.015 mol、質量は0.015 mol × 64 g/mol = 0.96 gとなります。物質量、質量ともに有効数字2桁で示しています。
練習4の答えは、塩素Cl₂が0.010 molです。銅0.010 molの析出で受け取る電子は0.020 molで、陽極ではCl₂ 1 molを生じると電子2 molを放出します。したがって、Cl₂は0.020 mol ÷ 2 = 0.010 molです。Cl⁻は0.020 mol減りますが、Cl₂は塩素原子2個からできるため、気体のmolはその半分になります。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
実用電池は、使った後の反応をもとに一次電池と二次電池に分けて整理できます。一次電池は通常、充電して繰り返し使うことを想定しない電池で、マンガン乾電池やアルカリマンガン乾電池が例です。どちらも負極の亜鉛が酸化され、正極側では二酸化マンガンが還元されます。二次電池は充電によって繰り返し使える電池で、鉛蓄電池やリチウムイオン電池が例です。充電では外部から電気エネルギーを与え、放電で進んだ変化を逆向きに進めます。
鉛蓄電池は、放電時に鉛の負極と二酸化鉛の正極がともに硫酸鉛へ変化する電池です。リチウムイオン電池では、リチウムイオンが電極材料の間を移動することが充放電に関係します。身近な充電池の説明を読むときも、電極の反応とイオンの移動を分ける視点が役立ちます。二次電池という分類は、一次電池にも電気を流せば安全に再利用できるという意味ではありません。
燃料電池は、水素などの燃料と酸素などを外部から供給し、反応させながら電気エネルギーを取り出す装置です。水素を使う場合の全体の反応は 2H₂ + O₂ → 2H₂O で、燃焼の熱を経由して発電するのではなく、酸化還元反応から直接電気エネルギーを取り出します。材料や資源の利用を学ぶときには、こうした電池の性質と用途の関係を考えることになります。
家庭では、次の2つをそれぞれ5分程度で確かめられます。1つ目は、白紙にZnとCuの板を描き、半反応式から電子の矢印と質量の増減を書き込むことです。2つ目は、電池と電気分解について「電子を出す場所」「電子を受け取る場所」を声に出し、極の名前を当てはめることです。薬品や電池を分解する必要はなく、紙と鉛筆で反応の理解を確かめられます。
個別指導で説明が止まった場合は、Zn²⁺の2+が何を意味するか、Cu²⁺がCuになるには電子がいくつ必要かまで戻って確認します。ご家庭でも、答えの極名だけでなく、その根拠となる半反応式をお子さまが示せるかに注目すると、次に確かめる内容が見えてきます。
まとめ
金属の順序を唱えられても、反応相手と条件が書かれていなければ、反応の説明はまだ途中です。水や酸の種類を確かめ、電子を渡す物質と受け取る物質を決めると、析出、電極の質量変化、気体の発生が同じ反応式の上で結びつきます。
解き直しでは、正解の記号を横に書くだけで終えず、間違えた矢印の出発点を確かめましょう。負極・正極という名前を先に当てはめるよりも、半反応式から電子の行き先を追う方が、装置が変わったときにも説明を組み立てられます。電池の理解を決めるのは、覚えた極名の数ではなく、電子の出発点と到着点を反応式で結べることです。
本気になった日が、入塾の日。
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