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【数学B】統計的な推測を図解で総まとめ—確率分布・二項分布・正規分布から推定・検定まで|武蔵野個別指導塾

標本平均のばらつき、母平均・母比率の信頼区間、仮説検定を例題でたどります。二項分布と正規分布の図を使い、95%の意味や棄却できない場合の読み方まで確かめられます。
よくあるのは、体育館の隅のタイム表を見ながら、記録の一部から標本平均を求めたあと、「95%の信頼区間」とは何を表すのか考え込むという場面です。平均が52秒なら答えも52秒でよさそうなのに、なぜその両側に幅をつけるのでしょうか。表に並ぶ記録を見直しても、平均の計算だけではその幅は決まりません。さらに「仮説を棄却する」と続くと、同じ数値から何を判断すればよいのか見えにくくなります。
統計的な推測では、手元の一部のデータを使って、全体の特徴を考えます。ただし、選ばれるデータが変われば平均や割合も変わります。その変わり方を確率で表し、どの程度のずれまで見込むかを計算するのが、この単元の中心です。公式を使う前に、「何が固定され、何が標本ごとに変わるのか」を区別すると、推定と検定がつながります。
確率分布から順に、ばらつきを数で表す方法、正規分布への読み替え、信頼区間と検定の結論まで追っていきましょう。計算結果だけでなく、答えの最後にどんな日本語を書くかも確かめます。
この単元で身につけること
- 確率変数と確率分布を対応させます。起こる結果を数で表し、それぞれの値を取る確率を表やグラフで整理します。
- 期待値・分散・標準偏差を求めます。中心の位置と、その周りへの広がりを別々の量として読むことが目標です。
- 二項分布と正規分布を使い分けます。成功回数を数える場面と、連続的な値を扱う場面を区別し、必要なら正規分布で近似します。
- 標本平均の分布から信頼区間を作ります。1個の値のばらつきと、多数の値の平均のばらつきが違うことを式で確かめます。
- 仮説検定の結論を正しく述べます。仮定のもとで珍しい結果かどうかを調べ、棄却できる場合とできない場合の表現を分けます。
数学Iで学ぶデータの平均・分散と、数学Aで学ぶ確率・独立な試行が土台です。すでに得られたデータの特徴を整理するところから、まだ調べていない全体について判断するところへ進みます。百分率を小数へ直す操作、平方根の計算、不等式の変形も使うため、計算の途中では量の意味と単位を添えておくと混乱を防げます。
基本の考え方
確率分布は「値と確率」の組です
さいころの目や、4回の試行で成功する回数のように、偶然の結果によって値が定まる変数を確率変数といいます。通常は X、Y などの大文字で表します。X が値 x を取る確率を P(X=x) と書き、各値と確率の対応を確率分布といいます。どの確率も0以上1以下で、取り得る値をすべて並べたときの確率の和は1です。
確率変数 X が値 x₁、x₂、…を確率 p₁、p₂、…で取るとき、期待値は E(X)=x₁p₁+x₂p₂+…です。単に値を足して個数で割るのではなく、起こりやすさを重みとして平均します。期待値が2.4でも、X が必ず2.4を取る必要はありません。長く繰り返したときの平均を考えるための中心の値です。
μ=E(X) とおくと、分散は V(X)=E((X-μ)²)、標準偏差は σ=√V(X) です。平均との差をそのまま平均すると正負が打ち消し合うため、2乗して広がりを測ります。計算には V(X)=E(X²)-{E(X)}² が便利です。E(X²) は値を先に2乗してから期待値を取った量で、期待値を2乗した {E(X)}² とは区別します。
単位にも意味があります。X を g で測るなら分散の単位は g²、標準偏差の単位は g です。値を a 倍して b を足すと、E(aX+b)=aE(X)+b、V(aX+b)=a²V(X) となります。全体を b だけずらしても散らばりは変わらず、a 倍すると平均との差も a 倍になるからです。標準偏差は |a| 倍になります。
独立な X、Y では E(X+Y)=E(X)+E(Y)、V(X+Y)=V(X)+V(Y) が成り立ちます。期待値の和の式自体には独立性は不要ですが、分散をそのまま足すときには独立性が十分な条件になります。標準偏差どうしを足す公式ではない点に注意します。
二項分布から正規分布へ進みます
成功の確率が p である独立な試行を n 回繰り返し、成功回数を X とすると、X は二項分布 B(n,p) に従います。成功・失敗という呼び方は便宜的なものです。不良品である場合を「成功」と数えても、計算のしくみは同じです。
0≦k≦n の整数 k に対して、P(X=k) は「n 個から k 個を選ぶ組合せの数」×「p を k 個掛けたもの」×「1-p を n-k 個掛けたもの」です。成功する位置の選び方が組合せの数に当たります。たとえば4回のうち2回成功する並びは6通りです。どの順序も同じ確率になるのは、各回の成功確率が一定で、試行が独立だからです。
二項分布の期待値は np、分散は np(1-p)、標準偏差は √{np(1-p)} です。各回を成功なら1、失敗なら0と表せば、成功回数はそれらの和です。1回分の期待値 p と分散 p(1-p) を n 回分足すことで、この形につながります。
図1は B(4,1/2) の確率分布です。横軸は成功回数、縦軸は各回数を取る確率で、棒の高さが確率を表します。2回が最も起こりやすく、左右が対称です。棒の間の値、たとえば1.5回を取ることはありません。

一方、正規分布は左右対称な釣鐘形の曲線で表される連続的な分布です。平均 μ、分散 σ² の正規分布を N(μ,σ²) と書きます。括弧の第2の数は標準偏差ではなく分散です。曲線全体と横軸の間の面積が1で、ある区間の確率はその区間の面積で表されます。曲線の高さそのものが確率になるわけではありません。
連続的な分布では P(X=a)=0 です。これは値 a が不可能という意味ではなく、幅が0の部分の面積が0ということです。そのため P(a<X<b) と P(a≦X≦b) の値は同じです。離散的な二項分布では端の値を含むかどうかで確率が変わります。
X が N(μ,σ²) に従うとき、Z=(X-μ)/σ と変換すると、Z は標準正規分布 N(0,1) に従います。平均からの差を標準偏差何個分かで測る操作が標準化です。σ は正なので、不等式を σ で割っても不等号の向きは変わりません。
標準正規分布表には、P(0≦Z≦z) を載せるものと、P(Z≦z) を載せるものがあります。表の見出しを先に読み、必要な面積を図で確かめます。代表的な値は P(-1.96≦Z≦1.96) が約0.95です。左右の外側はそれぞれ約0.025になります。
n が大きく、np と n(1-p) がともに十分大きいとき、B(n,p) を N(np,np(1-p)) で近似できます。p が0や1に極端に近い場合、n だけを見てよいとはいえません。整数の成功回数を連続量で近似するときは、P(a≦X≦b) を正規分布の a-0.5 から b+0.5 の面積で近似する連続補正もあります。問題で近似や補正の方法が指定されたら、その条件に従います。
母集団から取り出した平均にも分布があります
調べたい全体を母集団、そこから取り出した一部を標本といいます。全体の平均 μ を母平均、分散 σ² を母分散、ある性質を持つ割合 p を母比率といいます。これらは全体に定まっている値ですが、通常は未知です。標本の大きさ n は、取り出したデータの個数を表します。
無作為抽出は、調べる側の好みで対象を選ばず、偶然のしくみで標本を選ぶ方法です。以下の公式では、母集団から独立に同じ分布に従って値を取り出すモデルを考えます。有限の母集団から戻さず抽出する場合も、標本が母集団に比べて十分小さいときは、このモデルで近似します。友人だけに答えてもらうなどの偏った選び方を、標本数の多さだけで補うことはできません。
標本を X₁、X₂、…、Xₙ と書くと、標本平均は X̄=(X₁+X₂+…+Xₙ)/n です。抽出前の X̄ は確率変数であり、抽出後に実際に得た平均は x̄ と書き分けます。E(X̄)=μ、V(X̄)=σ²/n なので、標本平均の標準偏差は σ/√n です。この量を標準誤差とも呼びます。
母集団が正規分布なら X̄ は正確に N(μ,σ²/n) に従います。母集団が正規分布でなくても、分散が有限で、独立な標本の大きさ n が十分大きければ、標本平均の分布をこの正規分布で近似できます。これが中心極限定理の考え方です。標本数を4倍にすると標本平均の標準偏差は半分になり、平均のぶれが小さくなります。
母標準偏差 σ が既知なら、母平均の信頼度95%の信頼区間は x̄-1.96σ/√n≦μ≦x̄+1.96σ/√n で与えられます。正規分布でない母集団では、前述の正規近似が使えることが前提です。σ が未知の場合、大標本では標本から求めた標準偏差を代用する近似を使うこともありますが、小標本でも無条件に同じ式を使えるわけではありません。
母比率については、標本中でその性質を持つ個数を R、標本比率を p̂=R/n とします。R は B(n,p) に従うので、p̂ の期待値は p、分散は p(1-p)/n です。大標本で正規近似が適切なとき、母比率の信頼度95%の信頼区間は p̂-1.96√{p̂(1-p̂)/n}≦p≦p̂+1.96√{p̂(1-p̂)/n} と近似します。標準誤差に含まれる未知の p を、観測した p̂ で置き換えた式です。成功や失敗がほとんどない場合は、この近似をそのまま信用できません。
例題で解き方を確かめる
例題1 二項分布の確率とばらつき
成功確率が1/2の独立な試行を4回行い、成功回数を X とします。P(X=2)、E(X)、V(X)、標準偏差を求めます。
- 成功回数を数える条件を確認します。4回とも成功確率が1/2で独立なので、X は B(4,1/2) に従います。この確認により二項分布の公式を使えます。
- 成功する2回の位置を選びます。組合せは (4×3)/(2×1)=6 通りで、各並びの確率は (1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)=1/16 です。したがって P(X=2)=6/16=3/8 です。
- 中心と広がりを計算します。E(X)=4×(1/2)=2、V(X)=4×(1/2)×(1/2)=1、標準偏差は √1=1 です。期待値と分散は、確率を1つ求める計算とは別に整理します。
答え:P(X=2)=3/8、期待値2、分散1、標準偏差1です。
図1の棒の高さは左から1/16、4/16、6/16、4/16、1/16です。和は1になり、期待値2を中心に対称です。「少なくとも1回成功する」確率なら、1回から4回を足すほかに、余事象を使って1-1/16=15/16とも求められます。
例題2 標本平均を標準化する
ある製品1個の質量 X は N(50,16) に従うとします。単位は g です。独立に16個を取り出したとき、標本平均 X̄ が48.04以上51.96以下になる確率を求めます。
- 母標準偏差を求めます。N(50,16) の16は分散なので、σ=√16=4 です。標準化の分母には分散でなく標準偏差を使います。
- 標本平均の分布を求めます。E(X̄)=50、V(X̄)=16/16=1 で、標準偏差は4/√16=1です。母集団が正規分布なので、標本平均も正規分布になります。
- 区間を標準化します。Z=(X̄-50)/1 とすると、48.04≦X̄≦51.96 は -1.96≦Z≦1.96 に対応します。図2のように左右の端をともに変換します。
- 中央の面積を読みます。P(0≦Z≦1.96) が約0.4750なので、対称性から求める確率は約2×0.4750=0.9500です。
答え:求める確率は約0.95です。

図2では、横軸の0が標本平均50 g、-1.96が48.04 g、1.96が51.96 gに対応します。色のついた面積が確率です。1個の質量の標準偏差4 gと、16個の平均の標準偏差1 gを区別できれば、なぜ平均の分布が狭まるのかが見えてきます。
例題3 母平均と母比率の信頼区間
次の2つの調査について、信頼度95%の信頼区間を求めます。質量の調査では、母標準偏差が10 gとわかっており、独立な標本100個の平均が52 gでした。別の割合の調査では、無作為に独立に選んだ400個のうち240個が条件を満たしました。どちらも正規分布による推定が適切であるとします。
- 母平均の中心と標準誤差を整理します。中心は x̄=52、標準誤差は σ/√n=10/√100=1 です。母平均を1つの値で推定するなら52 gですが、区間推定ではそこに幅をつけます。
- 母平均の区間の両端を求めます。誤差の幅は1.96×1=1.96なので、52-1.96=50.04、52+1.96=53.96です。両端にも質量の単位をつけます。
- 母比率の中心を求めます。標本比率は p̂=240/400=0.6 です。母比率が未知なので、区間の幅を見積もる式にも標本比率0.6を使います。
- 母比率の区間を計算します。標準誤差の推定値は √{0.6×0.4/400}=√0.0006≒0.024495、誤差の幅は1.96×0.024495≒0.04801です。よって区間は約0.55199から0.64801までです。
答え:母平均は50.04 g以上53.96 g以下、母比率は約0.552以上0.648以下です。
母比率を百分率で表すと約55.2%から64.8%です。中心は60%、片側の幅は約4.8パーセントポイントです。途中で0.024495を0.02まで丸めると幅が変わってしまうため、丸めは最後に行います。
信頼度95%は、同じ抽出と区間の作り方を何度も繰り返すと、作られる区間の約95%が真の母平均や母比率を含むという意味です。母平均や母比率が抽出のたびに動くのではなく、標本から作る区間の位置と幅が変わります。今回得た区間について「個々の製品の95%がこの範囲に入る」と読むこともできません。
例題4 母平均の両側検定
ある測定値の母標準偏差は10で、母平均は50とされていました。独立な無作為標本100個の平均が52.4だったとき、母平均が50と異なるといえるか、有意水準5%で検定します。標本平均には正規分布を用いてよいとします。
- 帰無仮説 H₀:μ=50、対立仮説 H₁:μ≠50 とおきます。「異なる」を調べるので、大きい側と小さい側の両方を見る両側検定です。仮説と有意水準は結果を見て都合よく変えません。
- 帰無仮説が正しいと仮定した分布を作ります。標本平均の平均は50、標準偏差は10/√100=1です。検定では、仮説で指定した50からのずれを測ります。
- 検定統計量を計算します。z=(52.4-50)/1=2.4 です。これは、帰無仮説のもとで想定する中心より標準偏差2.4個分だけ大きいという意味です。
- 有意水準5%の棄却域と比べます。標準正規分布の左右に約2.5%ずつを配るので、棄却域は z<-1.96 または z>1.96 です。2.4>1.96だから帰無仮説を棄却します。
答え:有意水準5%で帰無仮説を棄却し、母平均は50と異なると判断します。
有意水準は、帰無仮説が正しいのに棄却してしまう誤りの確率について、あらかじめ定める基準です。「今回の結論が間違っている確率が5%」という意味ではありません。また、棄却しただけで変化の原因まで特定できるわけではありません。
母比率の検定でも考え方は同じです。帰無仮説を p=p₀ とするなら、検定統計量は z=(p̂-p₀)/√{p₀(1-p₀)/n} です。推定の式と違い、分母には帰無仮説の p₀ を使います。帰無仮説が正しい世界で観測結果の珍しさを測るためです。二項分布の正規近似が適切な条件も確認します。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 標本平均の標準偏差を n で割る
誤った書き方は「σ=10、n=100だから、標本平均の標準偏差は10/100=0.1」です。どこが違うかというと、n で割るのは分散であり、標準偏差ではありません。分散と標準偏差を同じものとして扱っています。
正しい書き方は「V(X̄)=10²/100=1、したがって標本平均の標準偏差は√1=1」です。または10/√100=1と直接計算できます。標本平均を100個の和の1/100倍と見れば、分散は100個分を足したあとで (1/100)² 倍されるので、最終的に元の分散の1/100になります。この順序を一度書くと、平方根を落としにくくなります。
誤り2 95%を母数が動く確率だと読む
誤った書き方は「計算した50.04≦μ≦53.96という区間に、μが95%の確率で入る」です。どこが違うかというと、この推定で母平均 μ は固定された未知の値であり、確率的に変わるのは抽出される標本とそこから作る区間です。計算済みの1つの区間に母平均が入るかどうかは、すでに決まっています。
正しい書き方は「この方法で標本ごとに区間を作ると、その約95%が母平均を含む」です。信頼区間は調査方法とセットで読みます。信頼度を99%に上げると、同じ標本なら係数が約2.58となり区間は広がります。確実さを高めるほど幅が狭くなる、という逆の理解にも注意します。
誤り3 棄却できないことを正しさの証明にする
誤った書き方は「z=1.2は棄却域にないので、母平均が50だと証明された」です。どこが違うかというと、検定で確認するのは、帰無仮説のもとで今回の結果がどの程度珍しいかということです。標本が少なかったり、ばらつきが大きかったりすれば、実際には差があっても見つけにくい場合があります。
正しい書き方は「有意水準5%では帰無仮説を棄却できず、母平均が50と異なるとはいえない」です。図3のように、棄却域は左右の端に置かれます。例題4の z=2.4 は右端の赤い領域に入りますが、z=1.2 は中央にあり、判定が変わります。

図3では、左右の赤い部分を合わせた面積が約0.05です。「増えたか」だけを調べる片側検定なら、5%を右側だけに置き、境界は約1.645になります。「減ったか」なら左側の約-1.645です。両側検定の片方をそのまま使うのではなく、対立仮説に合わせて面積を配り直します。ただし、得られた平均が上にずれたから片側検定へ変更する、という選び方はしません。
練習問題
以下では、標本は独立に無作為抽出され、必要な正規近似の条件は満たされているとします。標準正規分布について P(-1.96≦Z≦1.96)≒0.95 を使ってください。数値を求めたあと、その数値が確率・分散・母数の範囲のどれを表しているかも言葉にします。
練習1
確率変数 X は、0、1、2をそれぞれ確率1/4、1/2、1/4で取ります。E(X)、V(X)、標準偏差と、Y=3X-2 の期待値・分散を求めてください。分散の計算では E(X²) を途中に書きます。
練習2
成功確率1/4の独立な試行を8回繰り返し、成功回数を X とします。E(X)、V(X)、標準偏差を求めてください。また、成功回数がちょうど2回である確率を分数で求めてください。
練習3
母標準偏差が6である正規母集団から36個を取り出すと、標本平均は20でした。母平均の信頼度95%の信頼区間を求めてください。標本数を144個に増やして同じ標本平均20が得られた場合、区間の幅は何倍になりますか。
練習4
ある性質を持つ母比率が1/2であるという帰無仮説を考えます。400個を調べると、その性質を持つものが224個でした。母比率が1/2と異なるといえるか、有意水準5%で両側検定してください。二項分布を正規分布で近似し、連続補正は行わないものとします。
答えと解説
練習1の答えは E(X)=1、V(X)=1/2、標準偏差は1/√2=√2/2、E(Y)=1、V(Y)=9/2です。E(X)=0×(1/4)+1×(1/2)+2×(1/4)=1、E(X²)=0+1×(1/2)+4×(1/4)=3/2だから、V(X)=3/2-1²=1/2です。Y の期待値は3×1-2=1、分散は3²×(1/2)=9/2となり、-2という平行移動は分散に影響しません。
練習2の答えは期待値2、分散3/2、標準偏差√6/2、確率5103/16384です。X は B(8,1/4) なので、期待値は8×(1/4)=2、分散は8×(1/4)×(3/4)=3/2です。成功する2回の位置は (8×7)/(2×1)=28 通りで、確率は28×(1/4)²×(3/4)⁶=28×729/65536=5103/16384となります。
練習3の答えは18.04≦μ≦21.96、区間の幅は1/2倍です。標準誤差6/√36=1より、20±1.96を計算します。144個なら標準誤差は6/√144=0.5なので、区間は19.02≦μ≦20.98です。全体の幅は3.92から1.96へ半分になります。標本数は4倍ですが、幅は平方根に反比例します。
練習4では帰無仮説を棄却し、有意水準5%で母比率は1/2と異なると判断します。p̂=224/400=0.56、帰無仮説のもとでの標準誤差は√{0.5×0.5/400}=0.025です。z=(0.56-0.5)/0.025=2.4となり、1.96を超えます。人数で計算しても平均400×0.5=200、標準偏差√{400×0.5×0.5}=10なので、(224-200)/10=2.4と一致します。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
統計的な推測は、データの分析で見つけた違いについて、標本の偶然のぶれだけで説明できるかを考える土台になります。さらに積分を学ぶと、正規分布の「曲線の下の面積が確率を表す」という見方にもつながります。式と図の対応を保つことが、分布を読み取る力になります。
家庭で5分あれば、まず紙に「1個の値」「標本平均」「未知の母平均」の3つを書き、標本を取り直したときに変わるものを説明してみてください。次に σ=8 として、n=16とn=64の標本平均の標準偏差を計算します。2と1になれば、標本数と推定の幅の関係を確かめられます。
個別指導で途中からわからなくなった場合は、区間の公式だけを繰り返すのではなく、確率分布の表から期待値と分散を求めるところまで戻って確かめます。保護者がお子さまの説明を聞くときも、「その1.96は何の境界か」「その分母は何のばらつきか」と尋ねると、理解が止まっている場所を見つけやすくなります。
まとめ
推定や検定の答案では、計算の前に仮定を書き、計算の後に判断の届く範囲を書きます。小数を正しく求めても、母平均と標本平均を取り違えれば、結論は別の意味になります。反対に、何が固定され、何が変わるのかを押さえれば、公式の分母や区間の幅にも理由が見つかります。
標本平均52.4を見ただけでは、それが大きなずれかどうかは決まりません。標本数100、母標準偏差10、帰無仮説の母平均50がそろって初めて、2.4という比較可能な値になります。統計の結論を支えるのは、数値の大きさだけでなく、そのずれを測る物差しです。
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