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数のパズルから整数と離散、グラフ理論へ|武蔵野個別指導塾
数当てや魔方陣の仕組みを出発点に、整数の条件整理から最短経路までをたどります。答えを探す楽しさを、漏れなく考えて理由を説明する力へつなげましょう。

数のパズルから整数と離散、グラフ理論へ
パズルの答えの先にある問い
よくあるのは、雨の日の塾の廊下で、傘をたたんだあとも数のパズルの紙を見つめ、「答えは出たけれど、これも数学なのですか」と尋ねる場面です。計算問題と違って解き方が指定されていないので、勘やひらめきだけの遊びに見えるかもしれません。けれど、答えが見つかったあとに「ほかにもあるか」「必ずそうなるか」と問い直すと、学校の数学につながる道が現れます。
たとえば、思い浮かべた数を当てる遊びでは、文字式が仕掛けを明らかにします。決まった数を升目に置く魔方陣では、合計や偶数・奇数の性質が配置を制限します。どちらも、自由に試しているようで、実は条件によって候補が絞られています。
この「区別できる候補を、条件に沿って調べる」という見方は、高校の整数問題や場合の数へ進み、大学では離散数学の柱になります。さらに、人や場所を点に置き換え、関係を線で表すグラフ理論へ続きます。パズルの正解だけで終わらず、正解に至る道筋を数学の言葉で確かめてみましょう。

中学数学では仕掛けを文字と合計でほどく
まず数当てを考えます。好きな整数を思い浮かべ、それを3倍して6を足し、3で割ったあと、最初の数を引きます。最初に何を選んでも、最後に残る数を言い当てられる遊びです。7を選ぶと、途中の数は21、27、9と変わり、最後は9−7=2になります。負の整数である−4から始めても、−12、−6、−2を経て、−2−(−4)=2です。
いくつか試すと、答えはいつも2らしいと感じます。ただし、試した整数だけでなく、すべての整数について説明するには、文字を使うと見通しがよくなります。最初の数をxとすれば、操作全体は次の式です。
(3x+6)/3−x=x+2−x=2
同じ文字xが消えるので、結果は最初の数に依存しません。ここでの文字は、まだ知らない答えを求めるためだけのものではありません。どの数を選んでも共通する仕組みを表しています。「たまたま合った」と「必ず合う」の間をつなぐのが、式の整理です。
この仕掛けでは、最初の数は整数に限らなくても成り立ちます。一方、偶数と奇数を使うパズルなら、対象を整数に限ることが欠かせません。整数を2で割った余りによって分けるのが偶数と奇数だからです。同じ数の遊びでも、使う性質によって対象の範囲が変わります。問題文の「整数」という言葉には、理由があるのです。
次に、1から9までの整数を1回ずつ使い、縦・横・斜めのどの列も同じ合計になる3行3列の魔方陣を考えます。次の配置を紙に写すと、条件を確かめられます。
8 1 6
3 5 7
4 9 2
上の行は8+1+6=15、左の列は8+3+4=15、斜めも8+5+2=15です。残りの行、列、斜めも同じ合計になります。ここでは配置を覚えるより、なぜ共通の合計が15に決まるのかを考えるほうが、先につながります。
1から9までを足すと45です。横の列は3本あり、それぞれの合計が等しいので、1列の合計は45÷3=15に決まります。どこにどの数を置くかをまだ決めていなくても、使う数全体の合計から条件がわかるのです。難しそうな配置問題の中にも、先に計算できる量があります。
中央が5になる理由も、合計から説明できます。中央の数をcとします。中央を通る横・縦・斜め2本の計4本を足すと、合計は15×4=60です。この足し方では、中央以外の数は1回ずつ、中央だけは4回数えています。すべての数を1回ずつ足した45に、中央の数をさらに3回足したことになります。
45+3c=60
したがってc=5です。中央が決まると、中央を挟んで向かい合う2つの数の和は10になります。候補は1と9、2と8、3と7、4と6です。ただし、この組を向かい合わせに置くだけで全条件を満たすとは限りません。中央を通らない行や列も調べる必要があります。
ここに、パズルから学べる大事な区別があります。「正解なら必ず満たす条件」がわかっても、「その条件さえ満たせば正解」とは限りません。中央が5だと説明できたことと、完成した配置が正しいことは、別々に確かめます。中学の文字式や方程式は、こうした条件の整理にも使えます。
高校数学では候補を尽くし、条件を見極める
高校の整数問題では、試して見つけた答えに加えて、それ以外の答えがないことを示す必要が出てきます。たとえば、正の整数x、yについて、積と和が等しくなる組を求めてみます。
xy=x+y
x=2、y=2なら両辺とも4なので条件を満たします。しかし、これを見つけただけでは探索は終わりません。数を大きくしていくと、別の組が見つかる可能性が残るからです。そこで移項し、両辺に1を加えて、積の形に直します。
xy−x−y+1=1
(x−1)(y−1)=1
x、yは正の整数なので、x−1とy−1は0以上の整数です。その積が1になるには、両方とも1でなければなりません。したがってx=y=2だけです。変形によって無数にある候補を、1の因数の組という限られた候補へ移せました。
対象を整数全体へ広げると、−1と−1の積も1なので、x=y=0も解に加わります。さらに実数まで広げれば、因数の組は整数の場合のようには限られません。問題の条件にある「正の整数」を読み落とすと、候補を絞った根拠が失われます。式変形と同じくらい、何を対象にしているかが重要です。
場合の数では、候補を並べる規則が中心になります。0か1を横に4個並べるとき、1が隣り合わない並びは何通りあるでしょうか。先頭が0でもよいとします。条件なしなら、それぞれの位置で選択肢が2つあるので、全体は2×2×2×2=16通りです。その中から条件に合うものを数えます。
1を使わない並びは0000の1通りです。1を1個だけ使う並びは、置く位置を選んで4通りです。1を2個使う場合、左から数えた位置の組は(1,3)、(1,4)、(2,4)の3通りです。1を3個以上置けば、4個の位置の中では隣り合う1が生じます。したがって合計は1+4+3=8通りです。
場合分けの軸は「1の個数」です。この分け方なら、異なる場合に同じ並びを入れることがなく、どの並びもいずれかの場合に入ります。「重複しない」と「漏れがない」を同時に説明できることが、よい場合分けの条件です。思いついた順に書く方法から、全部を捉える方法へ進んでいます。
並べる個数が増えると、毎回すべてを書き出すのは手間がかかります。そこで、n個並べるときの条件に合う並びの数をaₙとします。nが2以上のとき、最後が0なら、その前は条件に合う長さn−1の並びを自由に置けます。最後が1なら、その直前は必ず0で、その前は長さn−2の並びを置けます。
aₙ=aₙ₋₁+aₙ₋₂
何も並べない場合を1通りと数えてa₀=1とすると、a₁=2、a₂=3、a₃=5、a₄=8と求まります。こうして前の項から次の項を定める関係を漸化式といいます。末尾に注目することで、大きな問題を小さな問題の答えから組み立てられました。
ただし、数字が規則正しく並んで見えるだけで漸化式を決めてはいけません。最後が0か1かという分け方がすべてを尽くし、互いに重ならず、短い並びとの対応があることが理由です。この論理を添えると、目の前の4個だけでなく、長さを変えた場合にも通用する説明になります。
数のパズルで使った「合計に注目する」「向かい合う数を組にする」という工夫が、高校では因数分解や場合分けとして整理されます。ひらめいた操作を、どんな条件で使えるのかまで確かめることで、別の問題にも持ち運べる道具に変わります。

大学数学では点と線で関係を扱う
離散数学は、整数や有限の並び、点どうしの関係など、個々の要素を区別して扱う数学の分野です。有限の対象だけに限るわけではなく、無限に続く整数の集まりも扱います。高校までの整数問題や場合の数を含みながら、対象を数以外へ広げていきます。その代表がグラフ理論です。
ここでのグラフは、関数の値を座標平面に描いたものとは意味が異なります。まず、有限単純無向グラフを定義します。これは、有限個の頂点の集合と、異なる2頂点を結ぶ辺の集合からなるものです。同じ2頂点の間に辺は高々1本とし、自分自身へ戻る辺は含めず、辺に向きも付けません。頂点を点、辺を線で描くと、関係が見える形になります。
「単純」「無向」は、いま定めた制限を表す言葉です。向きを持つ辺を扱うグラフも、同じ2頂点の間の複数の辺を許すグラフもあります。何を辺として認めるかは、表したい問題に合わせて決めます。道路なら一方通行を表すために向きが必要になり、作業の順序なら先に終えるべき作業から次の作業へ向きを付けられます。
数の性質を調べるパズルから何が広がったのでしょうか。整数では値そのものが重要でしたが、グラフでは頂点に付ける名前を変えても、つながり方を保てます。地図上で曲がっている道路も、接続だけを扱うなら線1本で表せます。図の線が途中で交差していても、そこに頂点を置かなければ乗り換えられる場所にはなりません。絵の見た目より、定義した関係が優先されます。
最短経路を考えるため、各辺に移動時間を表す正の重みを付けます。経路とは、ここでは頂点を繰り返さず、隣り合う頂点が辺で結ばれている頂点の列とします。経路の重みは、通る辺の重みの合計です。始点と終点を結ぶ経路のうち、その合計が最小のものを最短経路と呼びます。線の本数が最少であることとは区別します。
頂点A、B、C、Dを置き、辺ABの重みを2、ACを5、BCを1、BDを6、CDを2とします。これ以外の辺はないものとします。AからDへ進むとき、A→B→Dの重みは2+6=8、A→C→Dは5+2=7です。一方、A→B→C→Dなら2+1+2=5になります。辺の本数が多い道のほうが、移動時間では短くなっています。
この例のように辺の重みが非負なら、ダイクストラ法という手順で最短距離を求められます。始点の距離を0、それ以外を未到達として始め、まだ確定していない頂点の中から、現在わかっている距離が最小の頂点を選びます。その距離を確定し、隣の頂点へ進んだ場合の距離を計算して、これまでの候補より小さければ更新します。
Aを出発点にすると、まずBの候補は2、Cは5です。Bの距離2を確定すると、CにはB経由で2+1=3、Dには2+6=8という候補が生まれます。次にCの距離3を確定し、Dを3+2=5へ更新します。最後にDの距離5が確定します。どの頂点から来たかも記録すれば、距離だけでなく経路を取り出せます。
この手順の要は、選んだ最小の候補を、その時点で確定してよいことです。辺の重みが非負なら、未確定の頂点を経由して先へ進んでも、途中で距離が減ることはありません。したがって、現在の最小の候補より短い道が、後からそのような回り道で現れることはありません。負の重みを許す問題では、この説明が成立せず、同じ手順をそのまま使えません。
コンピュータサイエンスとの接点は、この「正しい答えを得る手順」を設計するところにあります。問題を解くための明確な手順をアルゴリズムと呼びます。グラフで関係を表し、アルゴリズムで調べることで、通信網の経路選択や移動計画などを考えられます。現実の時間を重みに使うなら、混雑などの変化をどう反映するかも必要です。数学で定めた問題と現実の条件を照らすことまでが、応用の入口になります。
答えを探すことから、探し方を説明することへ
中学の魔方陣、高校の整数問題、大学の最短経路には、共通する流れがあります。まず対象を定め、満たすべき条件を取り出します。次に、条件を保ちながら候補を絞り、最後に、得た答えが条件を満たすことと、取りこぼしがないことを確かめます。題材が数から点と線に変わっても、この流れは続いています。
魔方陣では、すべての数の合計が配置を制限しました。整数問題では、因数分解が候補を限りました。最短経路では、現在の最小距離と非負の重みが、次に確定できる頂点を決めました。どれも、何でも試す前に、使える条件を見つけています。
変わっていくのは、説明を求める範囲です。中学では目の前の仕掛けがなぜ働くかを、高校ではすべての候補を扱えたかを、大学では手順がどんな対象に対して正しく働くかを考えます。さらに、答えを求められるだけでなく、対象が大きくなったときにも現実的な手間で求められるかが問題になります。
そのため、答えを見つける速さだけで数学の力を決める必要はありません。「この条件を使った」「この場合も残っている」と言葉にできることが、先の学びを支えます。パズルで行き詰まったときも、試したことと、まだ試していないことを分けて書ければ、次の一手を選ぶ材料が残ります。
つながりを使った学び方
学習では、解き終えた問題に短い記録を加えてみてください。最初の手順は、対象の範囲を囲むことです。「正の整数」「各数を1回ずつ」「1が隣り合わない」などを拾います。読み取った条件を自分の言葉でも書けば、何を自由に変えられるかが見えてきます。
次の手順は、小さい例を規則に沿って並べることです。0と1の並びなら、長さを短くして全部を書き、先頭や末尾をそろえて整理します。この段階では予想を作ります。ただし、小さい例で成り立ったことと、すべての場合の説明は分けておきます。
その次は、候補を減らした理由を書くことです。「合計が固定されている」「積が1の整数を探せばよい」「末尾が0か1かで分けられる」と、使った性質を短く添えます。式を写すだけより、どこで条件が働いたかを振り返りやすくなります。
最後に、条件を1つだけ変えて確かめます。正の整数を整数全体に変える、並びを長くする、辺の重みを変える、といった試し方です。答えだけが変わるのか、解き方の根拠まで変わるのかを区別します。元の問題の説明を読んでから取り組むと、条件の役割を確かめる練習になります。
塾では、途中の記録から、計算で止まっているのか、場合分けに漏れがあるのか、根拠を言葉にできないのかを見ます。同じ誤答でも戻る場所は異なります。講師が候補の表を一緒に整理し、生徒本人が「ここまでで全部です」と説明できるところまで、問いを小さく分けて扱います。
家庭では、お子さまの説明を聞く時間を持てれば十分です。「どうしてその候補を外せたの」と尋ね、途中の考えを話せるようにします。すぐに解答を教えることや、先の単元まで説明することを担う必要はありません。言葉に詰まった箇所をノートに残せば、次の授業で確かめる問いになります。
よくある質問
パズルが苦手だと、離散数学も苦手ですか
パズルのひらめきと、条件を整理する力は同じではありません。表を作る、場合を分ける、定義に戻るといった手順で進める問題もあります。すぐに答えが見えなくても、候補を順に確かめられることは強みです。最初は小さい問題を、漏れなく説明する練習から始められます。
最短経路は近い場所を順番に選べばよいですか
今いる場所から最も軽い辺を選び続ける方法と、ダイクストラ法は違います。ダイクストラ法では、始点からの距離の候補を比べ、未確定の頂点全体から最小のものを選びます。何を比べているかを取り違えないことが、手順を理解する鍵です。
プログラミングを先に学ぶ必要はありますか
紙の上で条件や手順を説明するところから始められます。プログラムで多数の候補を調べることはできますが、なぜその候補だけで十分かは別に考えます。手で小さい例を確かめ、手順を言葉にしておくと、後でプログラムにするときにも、何を実行させたいかが明確になります。
数のパズルを解いた紙には、消しかけの候補や遠回りした計算が残ります。その跡を見ながら、どの条件で道が開けたのかを説明できれば、遊びの経験が数学の理解へ変わります。整数からグラフへ進んでも、目の前の対象を丁寧に分けて調べる姿勢は役に立ちます。
武蔵野個別指導塾の授業では、消しかけの候補にも講師が目を留め、その候補を外した理由を生徒に尋ねます。正解に届いた一瞬だけでなく、そこへ至る判断にも、次の数学を学ぶ足場があります。
本気になった日が、入塾の日。
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