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三角形の合同の証明から数学的帰納法、論理と公理へ|武蔵野個別指導塾

合同の証明で書く理由が、高校の背理法や数学的帰納法、大学の公理へつながります。仮定と結論を分ける読み方と、証明を自分で組み立てる練習をたどり、答案の一行を根拠から説明してみましょう。

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三角形の合同の証明から数学的帰納法、論理と公理へ

見れば同じなのに、なぜ理由を書くのでしょうか

よくあるのは、図書館の数学の棚の脇でノートを開き、「この三角形は同じ形に見えるのに、どうして何行も書くのですか」と手が止まる場面です。計算なら答えが出たところで一区切りなのに、証明では、その答えを支える理由まで求められます。急に国語の問題になったように感じるかもしれません。

けれども、証明の中心にあるのは文章の上手さではありません。「何を出発点にして、どの決まりを使い、何が言えたか」を、ほかの人もたどれる形にすることです。図を少しゆがめて描いても、扱う数を変えても、条件が同じなら結論が保たれる。その確かさを確かめる道具が証明です。

中学では辺や角を材料にし、高校では数や条件そのものを材料にします。大学では、出発点として採用する決まりまで明らかにして議論を進めます。書く記号は増えても、「その一歩にはどんな理由がありますか」という問いは続きます。まずは、合同の証明でノートに並べる一行から、この先の数学を見渡してみましょう。

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合同の証明は、使える条件をそろえるところから

証明したいことが「ある条件ならば、ある結論が成り立つ」という形のとき、条件に当たる部分を仮定、導きたい部分を結論と呼びます。仮定は問題文から受け取れる材料です。結論は、まだ確かめる必要がある目標です。この区別があいまいだと、証明したいことを途中で理由として使ってしまいます。

三角形ABCでAB=ACとし、辺BCの中点をMとします。このとき、AMが角Aを二等分することを証明してみます。中点とは、線分上にあり、その線分を等しい長さの2つに分ける点です。したがって、BM=CMが使えます。「図の真ん中に見える」からではなく、中点という言葉の意味から出る等式です。

比べるのは三角形ABMと三角形ACMです。AB=ACは仮定、BM=CMは中点の定義、AM=AMは共通の辺であることからわかります。これで対応する3組の辺がそれぞれ等しいので、2つの三角形は合同です。合同な図形では対応する角が等しいため、∠BAM=∠CAMとなり、求める結論に到着します。

ここでは、三角形の頂点を並べる順序にも意味があります。ABMとACMを対応させると、AはA、BはC、MはMに対応します。結論に必要な角がどの角に重なるかを、この順序が示します。「合同と書けたから終わり」とせず、合同から何を取り出したいのかまで戻ると、最後の一文が決まります。

数値を入れて形を確かめることもできます。AB=AC=5、BC=6なら、BM=CM=3です。先ほどの合同から∠AMB=∠AMCもわかり、一直線上に並ぶこの2つの角の和は180°なので、どちらも90°です。三平方の定理を使える段階なら、AM²=5²−3²=16からAM=4と求められます。長さは正なので、ここで選ぶのは4です。

この計算は図を具体的に理解する助けになりますが、最初の証明は辺が5や6の場合だけを扱っていたわけではありません。AB=ACでMが中点なら、長さを指定しなくても同じ筋道が通ります。具体的な値で確かめることと、条件を満たすすべての場合に理由を示すことは、役割が異なります。

また、「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」という合同条件では、「その間」が欠かせません。等しい辺が2組あり、等しい角も1組あるだけでは、角の位置によって合同が決まらない場合があります。合同条件を使うときは、条件の名前を唱えるだけでなく、どの辺とどの角がその条件を満たすかを図上で指せるようにしましょう。

証明に行き詰まったら、結論から必要な材料を探すことはできます。角を等しいと言うには合同を示せないか、合同を示すには辺の等しさが足りているか、と戻って考えます。ただし、答案で理由を示す際は、仮定から結論へ順に進めます。考える順序と、人に説明する順序を分けてよいのです。

高校では、条件の向きと無限に続く主張を扱います

高校数学では、正しいか誤りかが定まる主張である命題を、より意識して扱います。「4は偶数である」は正しい命題です。一方、「xは偶数である」は、xが何かによって真偽が変わる条件です。変数の範囲を決め、「すべての整数xについて」などと言葉を補うと、全体として真偽を問える主張になります。

条件pを満たせば必ず条件qも満たすとき、pはqであるための十分条件、qはpであるための必要条件といいます。たとえば整数nについて、「nが4の倍数ならば、nは偶数である」は正しい主張です。n=4kと書けるので、n=2×(2k)となり、偶数の形になるからです。ここでkも整数です。

この場合、4の倍数であることは偶数であるための十分条件です。偶数であることは4の倍数であるための必要条件ですが、それだけで4の倍数とは決まりません。n=6は偶数でも4の倍数ではありません。向きを逆にした主張を「逆」と呼び、元の主張が正しくても逆は正しいとは限りません。この6のように、主張が成り立たない具体例を反例といいます。

両方向が正しいときは必要十分条件です。実数xについて「x²=0」と「x=0」は、互いに相手を導きます。必要と十分という言葉に迷ったら、まず矢印を一方ずつ書き、反例が作れるか試してみましょう。言葉だけを覚えるより、条件を満たす範囲の関係が見えてきます。

別の証明方法が背理法です。示したい主張の否定を仮に受け入れ、そこから矛盾が生じることを示します。√2が有理数ではないという証明が代表例です。有理数とは、整数aと0でない整数bを使ってa/bと表せる数です。√2が有理数だと仮定し、正の整数a、bを使った、これ以上約分できない分数a/bで表します。

両辺を2乗して整理すると、a²=2b²です。したがってa²は偶数です。整数が奇数なら、2k+1という形で書け、その2乗は4k²+4k+1という奇数になるので、a²が偶数ならaも偶数です。a=2cと置いて代入すると、4c²=2b²、つまりb²=2c²となり、同じ理由でbも偶数です。

するとaとbの両方が2で割れ、これ以上約分できないという選び方に矛盾します。よって最初の仮定が誤りで、√2は有理数ではありません。ここでの決め手は小数を長く計算することではなく、分数で表せるとした場合に必ず起きる食い違いです。途中の「平方が偶数なら元も偶数」にも、短い理由が必要です。

数学的帰納法では、自然数について限りなく続く主張を扱います。ここでは自然数を1、2、3、…とします。例として、最初のn個の正の奇数の和を考えましょう。

1+3+…+(2n−1)=n²

n=1では1=1²で成立します。次に、ある自然数kで成立すると仮定します。これはまだすべてのnで成立すると認めたのではありません。kまでの和がk²である場合に、次へ進めるかを調べるための仮定です。次の奇数2k+1を加えると、和はk²+2k+1=(k+1)²になります。

これで出発点が成立し、どの自然数kでも、そこで成立すれば次でも成立すると示せました。したがって、すべての自然数nで式が成立します。実際に1+3+5+7=16=4²ですが、この確認だけが証明なのではありません。出発点と、途切れず次へ渡す規則の両方が、無限に続く主張を支えています。

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大学では、出発点そのものを明らかにします

大学数学に進むと、定義、公理、定理の役割をはっきり分けるようになります。定義は、これから使う言葉や記号の意味を定めるものです。公理は、ある数学の体系で証明の出発点として採用する主張です。定理は、採用した公理やすでに証明した事柄から、論理に従って導かれた主張です。

たとえば、中点の意味を決めることと、中点を結んだ線分に関する性質を証明することは違います。前者が定義、後者が定理を扱う営みです。中学の合同条件も、授業では使ってよい事柄として学びますが、その位置づけは幾何学の組み立て方によって変わります。ある体系では出発点として採用し、別の体系ではほかの性質から証明することがあります。

集合と論理は、こうした筋道を共通の言葉で表す道具です。集合とは、数学でひとまとまりの対象として扱う集まりで、その中に入る対象を要素と呼びます。集合Aのすべての要素が集合Bの要素でもあるとき、AをBの部分集合といいます。これが「部分集合」の定義です。AとBが同じ集合の場合も含まれます。

整数のうち4の倍数を集めた集合をA、偶数を集めた集合をBとすれば、AはBの部分集合です。高校で扱った「4の倍数ならば偶数」という命題が、集合どうしの包含関係として書き直されたことになります。さらに、A=Bを証明するには、Aの要素がすべてBに入り、Bの要素がすべてAに入ることを示せばよいのです。

これは、必要十分条件を両方向から示すことと同じ構造です。一方だけ示したときに言えるのは、片方がもう片方に含まれることまでです。先ほどの集合では6がBに入ってAには入らないため、A=Bとは言えません。数の条件の議論が、集合の等しさを証明する手順へ一般化されています。

また、「すべての」と「ある」という言葉を正確に使うことも重要です。「すべての実数xについて、x²は0以上である」と、「ある実数xについて、x²=2である」は、求めていることが違います。前者には、勝手に選んだ実数でも成立する理由が必要です。後者には、条件を満たす実数を1つ示せば足り、√2を挙げられます。

否定にも違いが出ます。「すべての対象が条件を満たす」の否定は、「条件を満たさない対象が少なくとも1つある」です。「すべてが満たさない」まで言う必要はありません。逆に「条件を満たす対象がある」の否定は、「条件を満たす対象が1つもない」です。この区別は、反例探しにも背理法の最初の一行にも直結します。

公理を意識する例として、ユークリッド幾何を見てみましょう。平面で異なる2点を通る直線がただ1本ある、という性質は、点や直線を扱う出発点の一つです。平行線については、直線の外の1点を通り、その直線と同じ平面内で交わらない直線がただ1本ある、という形の平行線公理がよく使われます。通常の枠組みでは、これはユークリッドの平行線についての公準と同等な形です。

平行線の性質を使うと、三角形の頂点を通って対辺に平行な直線を引き、錯角を対応させて、内角の和が180°であると示せます。ところが、平行線に関する出発点を変えた幾何学では、内角の和が180°になるとは限りません。証明が崩れたというより、どの前提のもとで主張していたかが表に出たのです。

この視点は情報分野でも使われます。プログラムを実行する前に満たしてほしい条件と、終了時に保証したい条件を分け、処理の各段階がそのつながりを保つかを調べます。繰り返し処理の正しさでは、最初にある性質が成り立ち、1回の処理でも保たれることを示す考え方が、数学的帰納法に対応します。なお、結果の正しさに加え、処理が終了することを示すには別の検討が必要です。

仮定から結論へ渡す理由は変わりません

中学の合同、高校の背理法や数学的帰納法、大学の公理からの議論には、共通する骨組みがあります。使える材料を明らかにし、許された推論で次の事実へ進み、求めた結論に到着するという骨組みです。証明は、正しそうな文を集める作業ではなく、その間のつながりを示す作業です。

変わるのは、扱う対象と、説明しなければならない範囲です。中学では目の前の図形にある辺や角が中心です。高校では「どの自然数でも」という無限の範囲を扱い、大学では対象の定義や採用する公理が議論の土台になります。目で追える形から離れるほど、言葉の範囲や条件の向きが頼りになります。

中学で「AMは共通だから」と書く経験は、大学で「定義によりこの条件を満たす」と書く経験につながります。どちらも、使った事実の出どころを示しています。高校の帰納法で最初の場合を確かめるのも、証明の出発点を空白にしないためです。新しい証明法を習うたびに、この役割を探すと、手順を孤立して覚えずに済みます。

さらに、発見と証明を行き来することも共通します。図を描いたり数を入れたりして予想を立て、その予想がいつ成り立つかを条件に戻って考えます。計算で見つけた規則も、理由を付けることで、まだ試していない対象に使える知識へ変わります。具体例を大切にしながら、その例にだけ頼らない説明へ進むのです。

つながりを使った学び方

証明の練習では、解答をそのまま写す前に、作業を小さく分けましょう。まず、問題文の仮定と結論を別々の欄に書きます。「中点」「整数」「すべて」などの語があれば、その意味や対象の範囲も添えます。数式だけ抜き出すと、使えるはずの条件を落とすことがあります。

次に、結論に近づくために必要な事実を1つ選びます。角の等しさなら合同、自然数全体の主張なら帰納法が使えそうか、と候補を考えます。この時点では正解の方法を当てることより、その方法を選ぶと何を示す必要が生じるかを書き出すことが役立ちます。

その後、書いた各行の横に理由を短く添えます。「仮定」「定義」「共通」「先ほど示した式」のどれにも結びつかない行があれば、説明が抜けている候補です。最後に、条件を1つ外したり逆向きに読んだりして、反例がないか調べます。成立範囲を確かめるところまでを、ひとまとまりの練習にしましょう。

塾では、答案全体をすぐに書き直す前に、どの一歩で材料が足りなくなったかを一緒に調べます。合同条件を忘れたのか、対応する頂点がずれたのか、結論を先に使ったのかで、必要な練習は変わります。理由を口で説明してから一行にするなど、つまずいた箇所に合わせて書く負担を調整します。

家庭では、お子さまに証明全体を一度に説明してもらう必要はありません。「この等しいという印は、問題文のどこから来たの」と、一行の出どころを尋ねる形にできます。説明が止まった箇所をノートに残せば、次に質問する内容が具体的になります。保護者が解答を完成させるより、お子さま自身が説明できた部分を言葉で確かめる時間を持ちましょう。

証明についてよくある質問

証明の文章は、模範解答と同じでなければいけませんか

同じ文章である必要はありません。仮定から結論まで筋道が通り、使った性質とその条件が読み取れることが重要です。ただし、対応する頂点や角を取り違えると意味が変わります。表現を自分の言葉にしても、数学的な対応は正確に保ちましょう。

たくさん計算して合っていれば、証明になりますか

対象が有限個で、そのすべてを漏れなく確かめたなら、場合を尽くした証明になることがあります。一方、自然数全体について最初のいくつかだけ確かめても、残りは保証されません。計算で規則を見つけたあとに、その先にも通用する理由が必要です。

帰納法で途中の成立を仮定するのは、答えを使っていませんか

仮定しているのは、あるkで成立した場合です。その仮定から次の場合が導けるという条件つきの主張を証明しています。それに、独立に確かめた最初の場合を組み合わせます。最初から全体の成立を仮定することとは区別しましょう。

証明に慣れる入口は、長い答案を一息に書くことより、いま書いた一行の理由を言えることにあります。共通の辺に気づくこと、反例を1つ作ること、帰納法の最初を確かめること。その小さな確認が、大学で定義から考える力につながります。

武蔵境の武蔵野個別指導塾が証明の答案で確かめるのは、生徒が自分の一行を自分の理由で支えられるかどうかです。そこを出発点にすると、記号の多いページにも、これまで学んだ数学から続く道が見えてきます。

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