電流計と電圧計の接続、電流と電圧のグラフ、直列・並列回路を図で整理します。抵抗や電力、熱量の例題を通して、式に入れる数値の選び方まで確かめ、計算ミスの出どころを突き止めます。
よくあるのは、部活帰りの自転車置き場で、返された理科の小テストを見ながら「直列は同じ、並列は足す、と覚えたのに、なぜ逆になったのだろう」と迷う場面です。電流の規則を電圧にも当てはめると、覚えたはずの言葉が答えを邪魔します。「何が」「どこの間で」同じなのかを回路図に書き込むと、この混乱をほどけます。
電流と回路は、多くの教科書では中2で学びます。電流・電圧・抵抗の関係に加え、電気器具がどれだけのエネルギーを使うかを考える単元です。計算式は増えますが、回路のつながりを読むことと、量の意味を区別することが出発点になります。
まず電流の通り道を指でたどり、次に電圧を調べる両端を決めます。そのあとで式を選ぶ順番なら、回路の形が変わっても考え直せます。図と例題を使い、電流計のつなぎ方から、電熱線で生じる熱量までをつなげましょう。
この単元で身につけること
- 回路図を記号で読むこと。電源、抵抗、計器の位置を見て、電流の道が1本か、途中で枝分かれするかを判断します。
- 電流と電圧を分けて考えること。電流は通る場所、電圧は調べる2点の間を明らかにして、直列・並列の規則を使います。
- 電流計・電圧計で測ること。接続方法と端子、測定範囲を確かめ、目盛りを選んで数値と単位を読み取ります。
- オームの法則で抵抗を求めること。表やグラフから同じ抵抗にかかる電圧と流れる電流を選び、回路全体の抵抗も考えます。
- 電力・電力量・熱量を区別すること。1秒あたりのエネルギーと、一定時間に使った合計を分け、時間の単位をそろえて計算します。
小学校で学んだ乾電池と豆電球の回路が土台になり、比例の考え方がグラフと計算を結びます。式を暗記する前に、記号のそばへ「抵抗1個の値」「回路全体の値」と添える習慣をつけると、数値の取り違えを減らせます。
基本の考え方
電流は通る場所、電圧は2点の間を見る
電流は電気の流れで、大きさを I、単位を A(アンペア)で表します。小さい電流には mA(ミリアンペア)も使い、1000 mA = 1 A です。電流の向きは、電源の外側では+極から出て、器具を通って-極へ向かう向きと決めています。途中で道が切れていれば、電流は流れません。
電圧は電流を流そうとするはたらきの大きさで、記号 V、単位も V(ボルト)です。「この点の電圧」とだけ考えず、「抵抗の左端と右端の間の電圧」と両端を決めます。電源の電圧と、回路内の抵抗1個にかかる電圧が、いつも等しいわけではありません。
回路図では、電池の長い線が+極、短い線が-極です。抵抗は長方形、電流計は丸の中に A、電圧計は丸の中に V を書いて表します。図1のように、電流計は調べる抵抗と直列に入れ、電圧計は抵抗の両端につなぎます。実物の導線が曲がっていても、どこにつながるかが同じなら同じ回路です。

図1の電圧計へ向かう線は、抵抗の手前と先につながっています。学校で扱う計算では、電圧計に流れる電流は無視できるほど小さく、電流計の抵抗も無視できるものとして考えます。計器を入れたために元の回路が大きく変わることは、通常の問題では考えません。
計器を安全につなぎ、抵抗を考える
学校で測定するときは、電源を切り、スイッチを開いて接続します。直流用の計器では、+端子を電源の+極側へ、-端子を-極側へつなぎます。予想できない大きさを測るときは、最大の測定範囲の-端子から始め、教師の確認後に通電します。読み取りにくければ、電源を切って適切な範囲へ切り替えます。
電流計を電源に直接つなぐと、大きな電流が流れて計器や電源を傷めるおそれがあります。電源の両極を導線だけでつなぐ短絡も避けます。針式計器は正面から見て、使った端子に対応する目盛りを読みます。例えば最大値が 0.5 A の範囲なら、目盛りの中央は 0.25 A です。
抵抗は電流の流れにくさで、記号 R、単位は Ω(オーム)です。温度などの条件が一定の抵抗では、電圧を2倍、3倍にすると電流も2倍、3倍になります。これがオームの法則で、電圧 V = 抵抗 R × 電流 I、つまり V = R × I と書けます。求める量に合わせて I = V ÷ R、R = V ÷ I と変形します。豆電球では電流によって温度が変わるため、この比例がいつも成り立つとは限りません。
直列と並列では「同じもの」が違う
直列回路は抵抗を1本の道に順につなぐ回路です。枝分かれがないので、どの抵抗を流れる電流も同じです。各抵抗にかかる電圧を足すと電源の電圧になり、全体の抵抗は各抵抗の和になります。
並列回路は途中で枝分かれし、あとで合流する回路です。同じ2点の間につながる各枝の電圧は等しく、枝を流れる電流の和が枝分かれ前の電流になります。以下では導線の抵抗を無視して考えます。電源につながる2点を色分けすると、見た目の形に惑わされず並列を見つけられます。
複数の抵抗をひとまとめに見た抵抗を合成抵抗と呼びます。並列の合成抵抗は、枝の抵抗をそのまま足しません。まず各枝の電流を求めて合計し、電源の電圧をその合計で割ります。通り道が増えるため、合成抵抗はどの枝の抵抗よりも小さくなります。
例題で解き方を確かめる
例題1 グラフから抵抗を求める
図2は、ある抵抗にかかる電圧と流れる電流の関係です。抵抗の大きさと、電圧が 5 V のときの電流を求めましょう。温度による抵抗の変化は考えません。

- 横軸が電圧、縦軸が電流であることを確かめます。軸が逆なら直線の傾きの読み方も変わるからです。
- 図2の読み取りやすい点から、電圧 4 V と電流 0.2 A を選びます。同じ点の組を使うことで、同じ状態の電圧と電流を対応させられます。
- R = V ÷ I = 4 ÷ 0.2 = 20 Ω と計算します。抵抗は「電圧を電流で割った値」なので、割る順番に注意します。
- I = V ÷ R = 5 ÷ 20 = 0.25 A と求めます。同じ抵抗なら、求めた 20 Ω を別の電圧でも使えるからです。
横軸が電圧、縦軸が電流のグラフでは、同じ電圧で電流が大きい直線ほど抵抗が小さくなります。見た目の「急な線だから抵抗が大きい」という判断は使えません。原点では割り算ができないため、抵抗を求める点には原点以外を選びます。
例題2 直列回路の電圧を分ける
10 Ω と 20 Ω の抵抗を直列につなぎ、全体に 6 V をかけます。全体の電流と、各抵抗にかかる電圧を求めましょう。
- 合成抵抗を 10 + 20 = 30 Ω と求めます。直列では、流れにくさが順に加わるからです。
- 全体の電流を I = 6 ÷ 30 = 0.2 A と求めます。電源の電圧には回路全体の抵抗を対応させます。
- 10 Ω の電圧を 10 × 0.2 = 2 V、20 Ω の電圧を 20 × 0.2 = 4 V と求めます。両方に同じ 0.2 A が流れるので、抵抗が大きい側に大きな電圧がかかります。
最後に 2 + 4 = 6 V と確かめます。抵抗が2個あるから半分ずつ、とは限りません。直列で電圧が等しく分かれるのは、抵抗の大きさが等しい場合です。
例題3 並列回路を1個の抵抗として見る
10 Ω と 20 Ω の抵抗を並列につなぎ、各枝に 6 V がかかっています。各枝と回路全体の電流、合成抵抗を求めましょう。
- 各枝の電流を 6 ÷ 10 = 0.6 A、6 ÷ 20 = 0.3 A と求めます。並列では各枝に同じ電圧がかかるので、それぞれにオームの法則を使えます。
- 全体の電流を 0.6 + 0.3 = 0.9 A と求めます。枝分かれ前の電流は、各枝に分かれる電流の合計だからです。
- 合成抵抗を 6 ÷ 0.9 = 20/3 Ω、約 6.7 Ω と求めます。電源から見た回路全体を、1個の抵抗に置き換えて考えます。
約 6.7 Ω は 10 Ω よりも小さく、並列回路の性質と合っています。合成抵抗を先に丸めて電流を計算し直すと誤差が出るので、途中は分数や割り算の形で持ち、最後に必要な桁へ丸めます。
例題4 電力から熱量へ進む
電熱線に 6 V をかけると 0.5 A が流れました。電力と、2分間に使う電力量を求めましょう。また、その電力量がすべて熱になる場合の発生熱量も求めます。
- 電力 P = V × I = 6 × 0.5 = 3 W と求めます。電力は1秒あたりに使う電気エネルギーで、単位は W(ワット)です。
- 2分 = 120 s に直します。電力量を J(ジュール)で出すときは、時間を秒にそろえるからです。
- 電力量 = 電力 × 時間 = 3 × 120 = 360 J と求めます。3 W は1秒に 3 J を使うことを表すので、120秒分を合計します。
- 発生熱量は 360 J と答えます。電気エネルギーがすべて熱に変わるという条件があるため、発生熱量と電力量が等しくなります。
電力量には Wh や kWh も使います。時間を h で計算すれば、3 × 2/60 = 0.1 Wh です。1 Wh = 3600 J、1 kWh = 1000 Wh なので、単位を替えても表すエネルギーは同じです。電熱線で水を温める実験では、周囲や容器へも熱が移り、水だけが受け取る熱量は発生熱量より小さくなることがあります。
つまずきやすいところと直し方
電球を通ると電流が減る、と考える
「電球が電気を使うから、通ったあとの電流は小さい」という考え方では、電流とエネルギーが混ざっています。枝分かれのない回路では、電球の前後で電流の大きさは同じです。光や熱に変わるのは電気エネルギーであり、電流が途中で消費されて減るわけではありません。
直すときは、図3の左側の道を一周たどります。抵抗の前後に流れる電流を書き、「使った量」ではなく「そこを流れる大きさ」と読み直します。抵抗の左右に別々の電流を書いていたら、途中に分岐があるかを確かめましょう。

並列なら電流も等しく分かれる、と考える
「2本の枝なら電流は半分ずつ」という考え方は、枝の抵抗が違う場合には使えません。図3の右側は各枝に 6 V がかかりますが、10 Ω の枝は 0.6 A、20 Ω の枝は 0.3 A です。並列で等しいのは電圧であり、電流は枝の抵抗で決まります。
直すときは、まず両方の枝へ 6 V と書き、そのあとに別々の割り算をします。左側の直列回路と比べると、同じ抵抗と電源でも、つなぎ方だけで全体の電流が 0.2 A から 0.9 A へ変わるとわかります。回路の形を確かめずに数値だけを式へ入れないことが大事です。
W と J を同じ「電気の量」と考える
「電力が大きい器具ほど、いつでも電力量が大きい」とは言えません。電力は1秒あたり、電力量は使った時間全体で考える量です。使用時間が違うなら、電力だけで合計を比べることはできません。
直すときは、答えの単位を先に確認します。W を求める問題なら電圧と電流を掛け、J ならさらに秒数を掛けます。mA のまま計算したり、分を秒にせず掛けたりすると値がずれるので、例えば 500 mA = 0.5 A のように換算を独立した1行にします。
練習問題
練習1
抵抗を流れる電流と両端の電圧を測ります。電流計と電圧計は、それぞれ抵抗に対して直列・並列のどちらにつなぎますか。
練習2
ある抵抗に 3 V をかけると 150 mA が流れます。抵抗は何 Ω ですか。同じ条件で電圧を 6 V にしたときの電流も求めましょう。
練習3
6 Ω と 3 Ω の抵抗を並列につなぎ、各枝に 6 V をかけます。各枝の電流、全体の電流、合成抵抗を求めましょう。
練習4
4 V で 0.5 A が流れる電熱線を3分間使います。電力と、電力量がすべて熱になる場合の発生熱量を求めましょう。
答えと解説
練習1:電流計は直列、電圧計は並列です。電流計には調べる電流を通し、電圧計は調べる抵抗の両端につなぎます。
練習2:150 mA = 0.15 A なので、3 ÷ 0.15 = 20 Ω です。6 V のときは 6 ÷ 20 = 0.3 A で、電圧が2倍なら電流も2倍になります。
練習3:6 Ω の枝は 1 A、3 Ω の枝は 2 A、全体は 3 A です。合成抵抗は 6 ÷ 3 = 2 Ω で、各枝の抵抗より小さくなります。
練習4:電力は 4 × 0.5 = 2 W、時間は 180 s です。発生熱量は 2 × 180 = 360 J で、電力と時間の両方が必要です。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
電流の大きさや向きは、次に学ぶ電流と磁界の関係を考える土台になります。電力量と熱量は、エネルギーが別の形へ変わる学習にもつながります。回路を流れる電流と、器具で変換されるエネルギーを分けておくことが役立ちます。
家庭では、紙と鉛筆だけでできる確かめ方が2つあります。1つ目は図3を写し、直列の同じ電流を青、並列の同じ電圧を赤で囲む方法です。2つ目は例題4の使用時間だけを半分にし、電力は変わらず電力量が半分になる理由を説明する方法です。どちらも5分ほどででき、電源につなぐ作業は必要ありません。
個別指導で確かめるなら、計算の前に「枝分かれはどこか」「電圧はどの両端か」まで戻ります。そこで迷わなければ、単位の換算と式への代入を順に確認できます。
まとめ
答えが合わないとき、公式を増やす前に回路図へ戻ってみましょう。求めたい場所に電流の印をつけ、電圧を調べる両端を囲むだけで、使う数値の組が見えてきます。合成抵抗や熱量の問題でも、数値の意味を確かめる手順は変わりません。
ノートに残した回路図は、計算が止まった位置を探す手がかりになります。「なぜその電圧を使ったか」を言葉にできれば、答えを自分で点検できます。回路の理解は、同じになる量をつながりから説明できるところに表れます。





