【中1理科】力のはたらきを図解で総まとめ—力の表し方・ばねの伸び・つり合い|武蔵野個別指導塾

ばねの伸びを求める計算と、机の上の本にはたらく力の図を通して、重さと質量、フックの法則、2力のつり合いを順に確かめ、矢印で説明できる状態を目指します。

よくあるのは、部活帰りの自転車置き場で、止まっている自転車を見ながら「動いていない物体には力がはたらいていないはず」と考える場面です。ペダルを踏むと進むことは想像できても、止まった自転車にどんな力がはたらくかは、見た目だけでは判断しにくいですね。タイヤは地面に支えられ、車体は地球に引かれています。動いていなくても、力がなくなったわけではありません。

力の学習では、目に見える動きから少し離れて、「どの物体が、どの物体から、どちら向きに力を受けているか」を整理します。力を矢印で描けるようになると、止まる理由も、ばねが伸びる理由も同じ考え方で説明できます。計算でも、数をすぐ式に入れる前に、重さなのか質量なのか、伸びなのか全体の長さなのかを見分けることが出発点です。

この単元で身につけること

  • 力のはたらきを見つけます。形を変える、運動のようすを変える、物体を支えるという観点で、身近な場面を説明します。
  • 力の種類を区別します。重力、弾性力、摩擦力などを、力を及ぼす相手と結びつけて考えます。
  • 力を矢印で表します。作用点、向き、大きさの3つをそろえて、図から力を読み取ります。
  • 重さと質量を区別します。重さは力として N、質量は物体そのものの量として g や kg で表します。
  • ばねの伸びと力の関係を使います。自然の長さとの差を求め、比例の式やグラフから未知の値を調べます。
  • 2力のつり合いを判断します。同じ物体にはたらく2力について、大きさ、向き、作用線を確かめます。

小学校で扱った重さやばねの性質を、力の単位と矢印を使って整理し直す内容です。多くの教科書では中1で学びます。数学の比例と結びつけると、実験の表とグラフも一つの関係として読めます。

基本の考え方

力は相手との関係で考えます

スポンジを押すと形が変わり、転がるボールを手で止めると運動のようすが変わります。運動のようすには、速さだけでなく進む向きも含まれます。また、手のひらで本を持ち上げたまま支えるときにも、手は本に力を及ぼしています。変形や動きが目立たないからといって、力がないとは限りません。

伸ばしたばねや曲げたものが、もとの形に戻ろうとして及ぼす力が弾性力です。地球が物体を引く力が重力で、向きは地球の中心に向かいます。身近な場所では鉛直下向きとして描きます。床の上で物体を滑らせたとき、床との間には滑る動きを妨げる向きに摩擦力がはたらきます。摩擦力は滑っているときだけでなく、滑り出そうとする動きを妨げるときにもはたらきます。

磁石が鉄を引く磁力や、こすった下敷きが紙片を引く電気の力もあります。重力、磁力、電気の力は、物体どうしが触れていなくてもはたらきます。一方、机が本を支える力は、接している面から本に及ぶ力です。このように、力の名前を覚えるときは「何が何に及ぼすか」もセットにすると、図に描く対象を取り違えにくくなります。

矢印で表す3つの要素

力の大きさの単位はニュートンで、記号は N です。矢印の始点は力がはたらく点である作用点、矢印の向きは力の向き、矢印の長さは力の大きさを表します。同じ図の中では、例えば 1 N を 1 cm とするように、長さの基準をそろえます。矢印の先は、物体が進んだ到着点ではありません。

図1のように、箱の右側の点を右向きに引く力を描く場合、接して引いている点から矢印を伸ばします。ここでは 1 N を図上の1目盛りとし、3 N を3目盛りで示しています。作用点を通り、矢印の方向に伸びる直線を作用線といいます。つり合いを考えるときは、矢印の向きだけでなく、この直線にも注目します。

図1 箱を右向きに引く力の作用点と矢印の長さ

重さ・質量とばねの性質

重さは、物体にはたらく重力の大きさです。質量は、場所によって変わらない物体そのものの量で、上皿てんびんなどで比べて測ります。同じ物体を地球から月へ運んでも質量は変わりませんが、月で受ける重力が小さいため、重さは地球上の約6分の1になります。

以下の計算では、地球上で質量 100 g の物体にはたらく重力を 1 N とします。これは中学校の問題でよく使う近似で、問題に別の条件があればそちらに従います。g と N は同じ種類の単位ではなく、この条件を使って質量から重さを求めている点に注意します。

ばねに加える力を大きくすると、ばねは長くなります。ただし、比例するのは全体の長さではなく、力を加える前の自然の長さから増えた分、つまり伸びです。伸び = 力を加えたときの長さ – 自然の長さ で求めます。弾性の限界を超えない範囲で、ばねの伸びは加えた力の大きさに比例します。これをフックの法則といいます。無理に伸ばすと、力を除いてももとに戻らなくなるため、どこまでも比例するわけではありません。

例題で解き方を確かめる

例題1 質量から重さと矢印の長さを求める

質量 300 g の物体があります。質量 100 g の物体にはたらく重力を 1 N とすると、この物体の重さは何 N ですか。また、1 N を 1 cm で表すとき、重力の矢印はどの向きに何 cm 描きますか。

  1. 300 g が 100 g の何倍かを求めます。300 ÷ 100 = 3 なので、重力も基準の3倍になります。
  2. 重さを求めます。1 N × 3 = 3 N です。求めているのは質量ではないので、答えの単位を N にします。
  3. 矢印の向きと長さを決めます。重力は鉛直下向きで、3 N は 3 cm に対応します。物体全体にはたらく重力は、物体の中心付近の一点にはたらくものとして描きます。

答えは 3 N、鉛直下向きに 3 cm です。図1と力の大きさは同じですが、力の種類と向きは異なります。同じ長さの矢印でも、どんな力かはラベルや場面から判断する必要があります。

例題2 自然の長さと伸びを区別する

自然の長さが 8 cm のばねに 0.5 N の力を加えると、長さが 10 cm になりました。同じばねに 1.5 N の力を加えると、全体の長さは何 cm ですか。フックの法則が成り立つ範囲とします。

  1. 最初の伸びを求めます。10 cm – 8 cm = 2 cm です。比例させる量を取り出すため、先に自然の長さを引きます。
  2. 力の倍率を求めます。1.5 ÷ 0.5 = 3 なので、伸びも3倍です。同じばねについて比べていることが、この計算の条件です。
  3. 新しい伸びを求め、自然の長さに戻します。2 cm × 3 = 6 cm 伸びるので、全体の長さは 8 cm + 6 cm = 14 cm です。

答えは 14 cm です。力を3倍にしたからといって、最初の全体の長さ 10 cm を3倍にはしません。自然の長さの 8 cm は、力が大きくなっても足し合わせる基準として残ります。

図2のように、横軸を力、縦軸を伸びにすると、原点を通る直線になります。力が 0 N のとき伸びも 0 cm だからです。縦軸が全体の長さなら、力が 0 N のときにも 8 cm あるので、原点を通りません。

図2 ばねに加えた力と伸びの比例関係を示すグラフ

例題3 グラフから力と質量を逆に求める

図2のばねにおもりをつるして静止させると、伸びが 4 cm になりました。ばねを引く力は何 N ですか。また、おもりの質量は何 g ですか。ばね自身の重さは考えず、質量 100 g の物体の重さを 1 N とします。

  1. 縦軸の 4 cm から横にたどって直線と交わる点を見つけます。今回は伸びがわかっているので、縦軸から読み始めます。
  2. 交点から下へたどり、横軸を読みます。1.0 N なので、ばねを引く力は 1 N です。例題2の 0.5 N、2 cm の組と比べても、どちらも2倍になっています。
  3. 重さに対応する質量を求めます。おもりが静止しているので、ばねがおもりを引く上向きの力と重力がつり合い、おもりの重さは 1 N です。条件から、質量は 100 g となります。

答えは 1 N、100 g です。横軸はおもりの質量ではなく力なので、グラフで読んだ数値にそのまま g を付けないようにします。何を表す軸なのかを先に読む習慣が、単位の間違いを防ぎます。

例題4 止まった本にはたらく2力を説明する

水平な机の上で、重さ 2 N の本が静止しています。本にはたらく力を重力と机から受ける力の2つとすると、机から受ける力の向きと大きさはどうなりますか。

  1. 調べる物体を本に決めます。机にはたらく力を混ぜないため、「本が受ける力」だけを取り出します。
  2. 重力を鉛直下向きに描きます。大きさは問題で与えられた 2 N です。
  3. つり合う相手の力を描きます。下向きの重力と同じ作用線上で、反対の鉛直上向きに 2 N とします。

答えは鉛直上向きに 2 N です。机の面に垂直な向きに本を押すこの力を垂直抗力といいます。止まっている理由を説明するには、「力がない」ではなく「本にはたらく2力がつり合っている」と表します。

つまずきやすいところと直し方

動かないなら力はないと考えてしまう

誤った考え方は「静止している本の矢印は0本」です。違うのは、動きが変わらないことと、力を受けないことを同じにしている点です。机を取り除けば本は落ちるので、机があるときには支える力を受けています。正しくは、重力と机から受ける力をそれぞれ描き、つり合いを調べます。

図3のように、本の中心付近から重力を、本と机が接する面から垂直抗力を描きます。図では力を一点にまとめて表しています。2力は同じ大きさ、反対向き、同じ一直線上という3条件を満たします。始点が同じである必要はありませんが、作用線は一致していなければなりません。

図3 机の上の本にはたらく重力と垂直抗力のつり合い

逆向きで同じ大きさなら何でもつり合うと考えてしまう

誤った考え方は「本が机を押す力と、机が本を押す力がつり合う」です。違うのは、片方が机、もう片方が本にはたらいている点です。つり合いでは、同じ物体にはたらく力を比べます。正しくは、本に注目するなら、地球が本を引く力と机が本を押す力を選びます。

矢印を書く前に「本が受ける力」と欄外に書き、各矢印を「誰から受けるか」で説明してみます。大きさと向きが合っていても、別々の物体の力を集めた図では、一つの物体が静止する理由を説明できません。

ばねの全体の長さを比例させてしまう

誤った考え方は「力が2倍なら、ばねの長さも2倍」です。違うのは、力を加える前からある長さまで2倍にしている点です。正しくは、全体の長さから自然の長さを引いて伸びを出し、その伸びだけを2倍にします。最後に、求められているのが伸びか全体の長さかを読み直します。

表を作るなら、「力」「全体の長さ」「伸び」を別の欄にします。0 N の行で伸びが 0 cm になっているかを確かめると、比例させる量を選び直せます。また、ばねを取り替えると同じ力でも伸びは変わるため、違うばねのデータを一つの比例として扱うことはできません。

練習問題

以下では質量 100 g の物体の重さを 1 N とし、ばねはフックの法則が成り立つ範囲で使います。答えを出す前に、求める量の名前と単位をノートに書いてみてください。

練習1

質量 250 g の物体の重さは何 N ですか。1 N を 2 cm で表すとき、重力の矢印の長さも求めましょう。

練習2

自然の長さが 12 cm のばねに 1 N の力を加えると、長さが 15 cm になります。2 N を加えたときの伸びと全体の長さを求めましょう。

練習3

図2のばねを 6 cm 伸ばす力は何 N ですか。グラフのどちらの軸から読んだかも説明しましょう。

練習4

重さ 4 N の物体を糸でつるし、静止させました。物体が糸から受ける力の向きと大きさを答えましょう。

答えと解説

練習1は 2.5 N、5 cm です。250 ÷ 100 = 2.5 より重さを求め、矢印の長さは 2 × 2.5 = 5 と計算します。

練習2は伸び 6 cm、全体の長さ 18 cm です。1 N での伸びは 15 – 12 = 3 cm なので、2 N では 6 cm 伸び、12 + 6 = 18 cm になります。

練習3は 1.5 N です。縦軸の 6 cm から横に直線までたどり、その点から横軸の値を読みます。

練習4は鉛直上向きに 4 N です。同じ物体にはたらく下向きの重力とつり合うため、逆向きで同じ大きさになります。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

力の矢印は、この先で複数の力をまとめたり、物体の運動の変化を考えたりするときにも使います。ばねで学んだ比例の読み方は、電流と電圧など、実験結果をグラフで調べる学習にもつながります。

家で5分あれば、次の2つを試せます。まず、軽い消しゴムを手のひらに静かに置き、消しゴムが受ける下向きと上向きの力を紙に描きます。次に、柔らかいスポンジを机の上で指で軽く押し、指を離すと形が戻るようすを観察します。手に感じる押し返しを、弾性力と結びつけてみましょう。

個別指導では、計算が止まったときも、必要に応じて定規で2つの長さの差を取るところまで戻ります。図が描けないときには、調べる物体を一つ選び、力を及ぼす相手を言葉にするところから確かめます。

まとめ

力の問題で答えに迷ったら、数値を探す前に、注目する物体の輪郭を囲んでみましょう。その物体が受ける力に名前を付け、矢印を描くと、何を比べる問題なのかが見えてきます。ばねの計算なら、自然の長さを図に書き込むことで、伸びだけを取り出せます。

止まっている本にも、伸びたばねにも、説明できる理由があります。目に見える動きの有無だけに頼らず、相手と向きを確かめる読み方を身につけましょう。静止は、力が消えた証拠ではなく、力の関係を読む手がかりです。


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