鏡で測る角度、凸レンズの実像と虚像、音の波形を図で確かめ、反響の時間から距離を求める例題まで順に学べます。光の道筋と音の振動を、自分の言葉で説明するための手順をまとめました。
よくあるのは、朝のホームルーム前に理科のノートを開き、鏡の問題では角度を引き算できたのに、凸レンズの図になると線をどこへ伸ばすか迷って手が止まるという場面です。覚えた図に似せて線を引いても、物体の位置が変わると答えに自信が持てなくなります。光の進む向きと、角度や位置を測る基準を先に決めると、作図は一つずつ判断できる問題になります。
音も、耳で感じる「大きい」「高い」という言葉を、振動のようすに置き換えると整理できます。光は目へ届く道筋を、音は振動が耳へ伝わる過程を追います。この二つの見方を使い分けながら、反射、屈折、凸レンズ、音の性質、速さの計算までつなげていきましょう。多くの教科書では中1で学ぶ内容です。
この単元で身につけること
- 光が見える条件を説明します。光源が出した光や、物体で反射した光が目に入ることで、そのものが見えます。図では光の進行方向に矢印を付けます。
- 反射と屈折を区別します。境界ではね返るのが反射、異なる物質へ進むときに道筋が曲がるのが屈折です。角度は境界に垂直な線を基準にします。
- 凸レンズの像を作図します。物体と焦点の位置を比べ、光が実際に集まる実像と、光を逆向きに延長して見つける虚像を読み分けます。
- 音の大きさと高さを区別します。振幅は振動の幅、振動数は1秒間に振動する回数です。波形を比べるときは縦軸と横軸の目盛りをそろえます。
- 音の速さから距離を求めます。時間が片道分か往復分かを図や言葉で確かめてから、速さと時間を掛けます。
小学校で学んだ光や音の観察に、算数の角度と速さの考え方を組み合わせる単元です。用語だけでなく、何を測った数値なのかまで説明することを目標にします。
基本の考え方
光の直進と反射は目までの道筋で考えます
太陽や電球のように自ら光を出すものを光源といいます。本や机は光源ではありませんが、光源からの光を反射し、その光が目へ入るので見えます。目から光が出て物体を探すわけではありません。光は空気中などの同じ物質の一様な部分ではまっすぐ進みます。これを光の直進といい、光をさえぎる物体の後ろに影ができることも、この性質で説明できます。
鏡で光がはね返るとき、光が当たる点に鏡の面と垂直な線を引きます。この線が法線です。入ってくる光と法線の間の角が入射角、はね返る光と法線の間の角が反射角で、入射角 = 反射角という関係を反射の法則といいます。鏡の面との角度ではない点が要注意です。
鏡に映った物体は、鏡の奥にあるように見えます。反射した光を鏡の後ろへ延長すると、物体と鏡の面に対して対称な位置から来たように見えるためです。そこに実際に光が集まっているのではなく、鏡の後ろにスクリーンを置いても像は映りません。表面のでこぼこした紙では光がさまざまな方向へ反射するため、いろいろな方向から紙を見ることができます。小さな各面でも反射の法則は成り立っています。
屈折では境界を越える向きを見ます
図1の左は反射、右は空気から水へ進む光の屈折です。斜めに入る光は、水へ進むとき法線に近づく向きに曲がり、屈折角は入射角より小さくなります。水から空気へ進む場合は、逆に法線から離れる向きに曲がります。境界に垂直に入る場合には、進む向きは変わりません。

図1では角度の基準となる法線を破線にしています。水中の硬貨が実際より浅い位置に見えるのは、水から出た光が屈折し、目にはその光がまっすぐ来たように感じられるためです。硬貨そのものが浮き上がったわけではありません。光は境界で一部が反射することもあり、透き通った窓に景色と室内のようすが重なって見えるのはその一例です。
水やガラスから空気へ進む光では、入射角を大きくすると、ある角度を超えて空気側へ光が出なくなり、すべてが境界で反射することがあります。これが全反射です。空気から水へ進む場合と混同しないようにしましょう。光ファイバーは、内部で全反射を繰り返して光を伝える仕組みを利用しています。
凸レンズと音の用語を整理します
凸レンズは中央が厚いレンズです。レンズの中心を通る基準の直線を光軸といい、光軸に平行な光が通過後に集まる点を焦点といいます。焦点はレンズの両側に一つずつあり、レンズの中心から焦点までの距離が焦点距離です。中学校の作図では薄いレンズとして扱い、レンズの中心を通る光はそのまま直進するものとして線を引きます。
音を出している物体を音源といい、音源は振動しています。その振動が空気などに次々と伝わり、耳の鼓膜を振動させると音として感じます。音は液体や固体にも伝わりますが、伝える物質のない真空中には伝わりません。空気そのものが音源から耳まで一気に移動するのではなく、各部分の振動が隣へ伝わっていきます。光は真空中も進むので、ここは光と音の大きな違いです。
例題で解き方を確かめる
例題1 鏡の面との角度から反射角を求めます
光が鏡の面となす角が30°のとき、反射角は何度でしょうか。図1の左と同じように、鏡に垂直な法線を書いて考えます。ただし図1の角度とは条件が異なります。
- 鏡の面と法線の角を90°と確認します。入射角を測る基準へ、与えられた角度を読み替えるためです。
- 入射角 = 90° – 30° = 60°と求めます。面との角と法線との角を足すと90°になります。
- 反射の法則を使い、反射角 = 60°と答えます。等しいのは入射角と反射角だからです。
答えが30°になった場合は、反射の法則より先に、角度の基準を取り違えています。反射した光と鏡の面との角なら30°ですが、問われているのは反射角です。
例題2 凸レンズの実像と虚像を作図します
焦点距離が12 cmの凸レンズがあります。物体をレンズの左側30 cmの位置に置いた場合と、左側6 cmの位置に置いた場合で、像のでき方を比べます。図2では、どちらも物体の先端から出る光を2本選んでいます。

- 光軸、レンズ、左右の焦点を書き、物体を置きます。焦点の外側か内側かで、通過後の光の集まり方が変わるからです。
- 物体の先端から光軸に平行な光を引き、レンズを通った後は右側の焦点を通します。凸レンズの基本的な光の進み方を使います。
- 同じ先端からレンズの中心を通る光をまっすぐ引きます。別の道筋を通る2本の光を使えば、像の先端の位置が決まります。
- 光の交点、または逆向きに延長した線の交点を読みます。実際の光が集まるかどうかによって、像の種類を区別するためです。
図2の上では、右側で実際の光が交わり、倒立した小さい実像ができます。この縮尺で交点を読むと、像は右側20 cmの位置です。スクリーンをその位置に置くと像が映ります。下では通過後の光が広がるので、光を破線で左側へ延長します。交点は左側12 cmの位置にあり、物体と同じ向きで大きい虚像になります。虚像はスクリーンに映せず、レンズの右側からのぞいて見ます。ここでの破線は実際に光が進む経路ではありません。
位置の変化も整理しましょう。物体が焦点距離の2倍より外側なら、実像は反対側の焦点とその2倍の位置の間にでき、小さくなります。物体が2倍の位置なら同じ大きさ、焦点と2倍の位置の間なら大きい実像です。物体を外側から焦点へ近づけるほど、実像は遠く、大きくなります。物体がちょうど焦点上では、先端から出た光は通過後に平行になり、有限の距離に像を結びません。焦点の内側に入ると正立した大きい虚像に変わります。
例題3 反響が戻る時間から壁までの距離を求めます
音を出してから0.8 s後に、壁で反射した音が戻りました。音の速さを340 m/sとして、壁までの距離を求めます。音の速さは気温などで変わるので、計算では問題で与えられた値を使います。
- 音源から壁へ進み、音源まで戻る道筋を描きます。0.8 sが往復にかかった時間だと確かめるためです。
- 音が進んだ全体の距離 = 340 × 0.8 = 272 mと求めます。距離 = 速さ × 時間で、単位はmになります。
- 壁までの距離 = 272 ÷ 2 = 136 mと答えます。往路と復路の距離が等しいからです。
壁まで136 mなら往復は272 mになり、272 ÷ 340 = 0.8 sと元の条件に戻せます。遠くの花火が光ってから音が届くまでの時間を使う場合は、音は観測者へ片道だけ進みます。光の到着までの時間を無視できる条件なら、求めた距離を2で割りません。
つまずきやすいところと直し方
「大きい音ほど高い音になる」と考えてしまいます
誤った考え方は「強く鳴らすと振動が増えるから、必ず高い音になる」です。違いは、振動の幅が増えることと、1秒間の回数が増えることを一緒にしている点です。振幅は振動の中心から片側の端までの幅で、山から谷までの幅ではありません。同じ条件で比べると、振幅が大きいほど大きい音、振動数が多いほど高い音になります。振動数の単位はHzで、1 Hzは1秒間に1回の振動を表します。

図3は、同じ測定条件で、縦に振動の変位、横に時間を取った模式図です。AとBは同じ0.02 sに4回振動し、Bだけ振幅が2倍です。したがってBは大きい音ですが、高さは同じです。CはAと同じ振幅で8回振動し、Aより高い音です。AとBは4 ÷ 0.02 = 200 Hz、Cは8 ÷ 0.02 = 400 Hzになります。波形の曲線は、空気が上下に波打ちながら耳へ移動する道筋を表しているのではありません。
「凸レンズなら必ず光が1点に集まる」と考えてしまいます
誤った考え方は「どこに物体を置いても、スクリーンを動かせば像が映る」です。平行な光が焦点に集まる性質を、どんな物体の位置にも当てはめている点が違います。正しくは、物体が焦点の外側にあるときに実像ができ、内側では虚像になります。まず物体と焦点を図に置き、図2のように先端からの2本の光を引いて判断します。焦点を像の位置だと決めつけないことが修正の第一歩です。
「音の計算は最後に必ず2で割る」と考えてしまいます
誤った考え方は「反響の問題で半分にしたから、音の距離はいつも半分にする」です。式の最後の操作だけを覚え、測った時間の意味を見ていない点が違います。正しくは、時間内に音がどの区間を進んだかを先に確かめます。「音源→壁→観測者」なら各区間を書き、音源と観測者が同じ場所にいる場合に往復として半分にします。音源と観測者が離れていれば、単純に2で割れるとは限りません。
練習問題
練習1 鏡への入射角が40°です。反射角と、反射した光が鏡の面となす角を、それぞれ求めてください。
練習2 水から空気へ光が斜めに進み、全反射は起こっていません。屈折角は入射角より大きいですか、小さいですか。また、境界に垂直に入る場合は曲がりますか。
練習3 図2と同じ焦点距離12 cmの凸レンズで、物体を左側18 cmの位置に置きます。像の種類、上下の向き、物体と比べた大きさを答えてください。
練習4 ある音は0.01 sに5回振動しています。振動数を求めてください。また、音源と同じ場所で、音を出して0.6 s後に壁からの反響を聞きました。音の速さを340 m/sとして、壁までの距離を求めてください。
答えと解説
練習1 反射角は40°、鏡の面との角は50°です。反射角は法線から測り、面との角は90° – 40°で求めます。
練習2 屈折角のほうが大きくなります。光は法線から離れる向きに曲がりますが、境界に垂直に入る場合は向きが変わりません。
練習3 倒立した、物体より大きい実像です。18 cmは焦点の12 cmと、その2倍の24 cmの間にあります。
練習4 振動数は5 ÷ 0.01 = 500 Hzです。壁までの距離は340 × 0.6 ÷ 2 = 102 mです。前者は1秒間の回数、後者は往復の距離から片道を求めています。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
光や音の道筋を図に表す考え方は、力の向きを矢印で描く学習につながります。距離と時間を区別する習慣は、その後の運動や地震の波を考えるときにも役立ちます。
家庭では、それぞれ5分ほどで二つの観察ができます。一つ目は、透明なコップに水を入れてスプーンを差し、横から見た境界付近のずれを確かめることです。置く場所を安定させ、見る位置を変えて屈折による見え方を観察します。二つ目は、小さな声で「あー」と声を出し、のどに指を軽く当てて振動を感じることです。押さえず、声を止めたときとの違いを比べます。レンズで太陽を見たり、太陽光を集めたりしてはいけません。
個別指導では、作図が止まった位置から、法線の意味や焦点の置き方まで戻って確かめます。計算では、式を直す前に、測った時間に対応する道筋を本人の図で確認します。
まとめ
正解の図を見れば納得できても、白紙から同じ線を引けるとは限りません。答えを隠し、法線を1本引く、物体の先端から光を2本出す、音の往復を矢印で描く、という最初の操作を試してみましょう。迷った位置が見つかれば、復習する内容も具体的になります。自分で描いた線に「なぜここを通るのか」を添えられれば、条件が変わった問題にも取り組めます。光の道筋にも音の時間にも、答えを決める根拠があります。





