テスト直前の復習で何をやるか|武蔵野個別指導塾が薦める学習の仕方

テストの3日前になって、まだ手をつけていない単元に気づく。あるいは、ノートを最初から読み返し始める。直前期のこの2つは、どちらも点数を下げる動きです。直前にやるべきことは、新しく覚えることでも、全体を読み返すことでもありません。すでに一度やったものを、思い出せるかどうか確かめる作業です。

直前の数日は、勉強のやり方の良し悪しがいちばん見えにくい時期でもあります。読み返しは短期的には手応えが良く、実際、直後のテストでは読み返した群のほうが成績が良かったという実験もあります。ところが2日後・1週間後には逆転します。テストが明日なら読み返しでもよいのか——この判断を含めて、以下で整理します。

この記事では、テスト3日前から当日の朝までを時間割の形で書きます。白紙復元のやり方、間違いノートの見直し方、睡眠をどこまで守るか、そして詰め込みが何を残さないかを扱います。

この記事の結論

  • 直前に新しい単元を始めない。やるのは、すでに一度やったものの点検です。
  • 主作業は白紙復元。教材を閉じて書き出し、書けなかったところだけを見ます。読み返しから始めないでください。
  • 睡眠を削って勉強を増やすと、翌日の理解とテストの出来が下がります。同じ生徒の日ごとの変動を14日間追った研究で確認されています。
  • 詰め込みは短期には通用しますが、残りません。間隔をあけた条件のほうが、参加者の90%で成績が良かった実験があります。
  • すでにできる項目をやり込んでも増えません。練習問題を3問から9問に増やしても、1週間後にも4週間後にも効果は確認されませんでした。

直前に新しいことをやらない

まず、やらないことから決めます。テスト3日前以降に、まったく手をつけていない単元を新規に始めない——これが第一の原則です。理由は2つあります。

1つ目は、時間あたりの得点効率です。一度やった単元を思い出せる状態に戻すのにかかる時間と、ゼロから理解して覚えるのにかかる時間には、大きな差があります。同じ1時間なら、前者に使うほうが取れる点は多くなります。

2つ目は、崩れやすさです。直前に新しい単元を入れると、既習の単元の点検が押し出されます。結果として、取れるはずだった問題を落とすことになります。手をつけていない単元は、範囲表に「捨てる」と書いて、視界から外してください。捨てると決めた時点で、迷う時間がなくなります。

例外は1つだけです。配点が明示されていて、かつ暗記だけで取れる部分(用語、化学式、年号など)は、直前でも拾えます。理解を要する単元は拾えません。この線引きは、前の記事で扱った「覚えるものと理解するものの仕分け」と同じ基準です。

主作業は白紙復元

直前期の作業は、次の1つに集約できます。教材を閉じて、書けるかどうか試す。読み返しから始めないでください。

  1. 範囲表を見て、単元を5つから8つに分けます。1単元あたり10分で扱える粒度にします。
  2. 白紙の上端に単元名を書き、タイマーを5分に設定します。
  3. 教科書もノートも閉じたまま、その単元について思い出せることを書き出します。用語・式・図・つながり、何でも構いません。
  4. 5分たったら教科書を開き、書けなかった項目にだけ印を付けます。書けた項目は放置します。
  5. 印の項目だけを3分で読み直し、もう一度、その項目だけを閉じて言い直します。
  6. 次の単元へ進みます。1単元8分から10分です。

この作業が読み返しより有利であることは、繰り返し確かめられています。大学生に文章を読ませ、テストを受ける群と同じ回数だけ読み直す群に分けた実験では、最終テストが5分後のときは読み直した群が上回りましたが、2日後と1週間後には逆転しました。しかも読み直した群のほうが「覚えられている」という自信は高くなっていました。

Roediger HL, Karpicke JD. Test-enhanced learning: taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science. 2006;17(3):249-255.

この結果は、直前期の判断にそのまま使えます。テストが2日以上先なら、白紙復元が有利です。テストが数時間後の場合に限り、読み返しにも短期的な利点があります。ただし、その利点は当日で消えます。

間違いノートの見直し方

間違いノートは、直前期にもっとも費用対効果が高い教材です。ただし、見直し方を間違えると、ただ読んで終わります。

  1. 問題文だけを見て、解答を隠します。解説から読み始めないでください。
  2. 1問30秒で、解法の方針だけを口に出すか書きます。最後まで計算しません。
  3. 方針が出た問題は飛ばします。出なかった問題だけ、解説を読みます。
  4. 読んだあと、解説を閉じてもう一度方針を言います。ここまでで1問2分です。
  5. 方針が出なかった問題には日付を付け、当日の朝にもう一度だけ通します。

直前期に見るべきなのは、計算の正確さではなく、「どの解法を使うか」の判断です。計算ミスは直前の3日で直りませんが、方針の抜けは1回の確認で戻ります。

もう一つ。できるようになった問題を何度も解き直さないでください。大学生216人に数学の問題の解き方を教えた実験では、練習問題を3問にした群と9問にした群を比べ、追加の6問には1週間後にも4週間後にも効果がありませんでした。安心のために解き直す時間は、書けなかった単元へ回します。

Rohrer D, Taylor K. The effects of overlearning and distributed practise on the retention of mathematics knowledge. Applied Cognitive Psychology. 2006;20(9):1209-1224.

3日前から当日朝までの割り当て

時間の配分を先に決めておきます。下の表は定期テストを想定した目安で、研究から導いた数値ではありません。

時期 やること やらないこと
3日前 全単元の白紙復元を1周。書けなかった単元を特定する 新しい単元、ノートの清書
2日前 書けなかった単元だけを2周目。間違いノートの方針確認 できた単元の解き直し
前日 暗記項目の最終確認、方針が出なかった問題の再確認 新しい問題集、夜更かし
前日の夜 いつもと同じ時刻に寝る 睡眠を削って勉強時間を増やす
当日の朝 印の付いた項目だけを10分から15分 全範囲の見直し、新規の暗記
直前の10分 覚えにくい項目を3つだけ。紙1枚に絞る 友人との答え合わせ、範囲全体の確認

この表でいちばん守ってほしいのは「前日の夜」の行です。理由は次の節に書きます。

複数の教科が同じ日にある場合の順番も決めておきます。前日の夜は、翌日の1時間目の教科を最後に扱います。直前に触れた内容が最も取り出しやすい状態にあるためで、時間割の順に合わせるのが単純です。当日の朝も同様に、1時間目の教科の紙だけを見ます。2時間目以降の紙は、その科目の休み時間に見ます。

当日の朝に見る紙は、前日のうちに作ります。作り方は次のとおりです。(1) 白紙復元で最後まで書けなかった項目を並べる。(2) 間違いノートで方針が出なかった問題の番号を書く。(3) 覚えにくい用語を3つだけ書く。この3種類だけで、紙1枚に収まります。収まらないなら、削る基準は「配点の高いものを残す」です。

睡眠を削らない

直前期に最初に削られるのが睡眠です。しかし、削った分がそのまま得点に変わるわけではありません。高校生535人を対象に、9年生・10年生・12年生の各時期に14日間の日誌をつけさせた研究があります。

Gillen-O’Neel C, Huynh VW, Fuligni AJ. To study or to sleep? The academic costs of extra studying at the expense of sleep. Child Development. 2013.

分かったのは、ふだんの勉強量がどれくらいであっても、睡眠を削っていつもより多く勉強した日の翌日は、授業の内容が理解しにくくなり、課題やテストでつまずきやすくなるということです。これは生徒間の比較ではなく、同じ生徒の日ごとの変動を見た結果です。しかも、学年が上がるほど睡眠を削る頻度が増え、この悪循環が起きやすくなることも示されました。

実務上の指針は単純です。前日の就寝時刻を、ふだんと同じにします。勉強が終わらなくても、そこで切ります。終わらない分は「捨てる」と決めた範囲に入れます。翌日の理解力を削ってまで積み増す価値のある勉強は、直前期にはほとんどありません。

詰め込みは、何を残さないか

直前に集中して詰め込むやり方は、そのテストについては一定の効果があります。問題は、そのあとです。

大学生に単語対を覚えさせ、間隔をあけて学ぶ条件と、テスト前日にまとめて学ぶ条件を比べた実験では、間隔をあけた条件のほうが成績が良く、その差は参加者の90%に見られました。ところが、最初の学習を終えた時点で72%の参加者は「まとめてやったほうが効果があった」と考えていました。手応えと結果が反対を向くため、詰め込みは実際より効いているように感じられます。

Kornell N. Optimising learning using flashcards: spacing is more effective than cramming. Applied Cognitive Psychology. 2009;23(9):1297-1317.

ここから、直前期の現実的な方針が出ます。詰め込みを全面的に否定しても始まりません。すでに直前であれば、できることは限られています。重要なのは、詰め込んだ内容が次のテストや入試まで残らないと知っておくことです。定期テストで詰め込んだ単元は、テストが終わった週に1回、白紙復元をやり直す——この1手を足すだけで、入試期の負債が減ります。

「終わった週に1回」としているのには理由があります。最適な復習の間隔は、次にそれを使う時期までの長さに応じて変わります。1,350人以上を対象にした研究では、最適な間隔をテストまでの期間に対する割合で見ると、テストが1週間後のときの約20〜40%から、1年後のときの約5〜10%まで下がりました。入試まで1年あるなら、最初の1回は数週間以内に置くのが理にかなっています。

Cepeda NJ, Vul E, Rohrer D, Wixted JT, Pashler H. Spacing effects in learning: a temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science. 2008;19(11):1095-1102.

より計画的にやるなら、「一度できたら終わり」にせず、日を分けて何度も思い出し直す形(継続的な再学習)が有効です。大学生533人を対象に、初回に何回正解させるか、そのあと何回の再学習を行うかを組み合わせた研究では、1か月から4か月後の保持と、総練習回数で測った効率の両面から、この組み合わせの効果が検討されました。

Rawson KA, Dunlosky J. Optimizing schedules of retrieval practice for durable and efficient learning: how much is enough? Journal of Experimental Psychology: General. 2011;140(3):283-302.

同じ考え方を実際の大学の授業に持ち込み、難易度の高い生物心理学の科目で、重要度の高い試験の成績が改善したという報告もあります。直前だけを工夫するより、テストの前から継続的に再学習を組んだほうが、直前期は楽になります。

Janes JL, Dunlosky J, Rawson KA, Jasnow A. Successive relearning improves performance on a high-stakes exam in a difficult biopsychology course. Applied Cognitive Psychology. 2020.

学年別

小学生

  1. 前日の白紙復元は1単元だけにします。範囲を広げると手が止まります。
  2. 当日の朝に新しいことをさせないでください。前日に印を付けた項目を1つ確認するだけにします。
  3. 就寝時刻はふだんどおりにします。ここは保護者が決めてかまいません。

中学生

  1. 3日前に全単元の白紙復元を1周する、という設計を既定にします。ここで手が回らないなら、そもそも着手が遅すぎます。
  2. 5教科すべてに同じ時間を割かないでください。白紙復元で書けなかった量が多い教科に寄せます。
  3. テスト終了後の週末に、詰め込んだ単元の白紙復元を1回やり直します。

高校生

  1. 模試と定期テストで直前期の方針を変えます。定期テストは範囲が狭いので白紙復元が回りますが、模試は範囲が広いため、間違いノートの方針確認に絞ります。
  2. 入試の直前期は、新しい問題集に手を出さないことを最優先にします。
  3. 当日の朝に見る紙を、前日のうちに1枚だけ作っておきます。当日に選ぶ時間はありません。

よくある誤り

第一に、ノートの清書です。直前期に最も多い時間の使い方であり、最も効果が薄い作業でもあります。書き写している間、思い出す作業は起きていません。

第二に、できる問題の解き直しです。安心は得られますが、点は増えません。上に挙げたとおり、やり込みの追加分には効果が確認されていません。

第三に、直前10分に範囲全体を見ようとすることです。10分では全体は見られません。3項目に絞ってください。絞る作業は前日にやります。

第四に、手応えで判断することです。読み返しは手応えが良く、白紙復元は手応えが悪くなります。上の実験が示すとおり、自信の高さは記憶の良さを意味しません。

第五に、当日の朝に新しい暗記を詰め込むことです。短時間で入れた項目は、緊張下で最初に消えます。朝に見るのは、前日までに一度覚えた項目だけにしてください。

第六に、直前期に勉強法そのものを変えることです。交互練習や新しい記録の付け方を直前に導入すると、慣れるまでの時間が丸ごと損失になります。やり方を変えるのはテストが終わったあとにしてください。直前の3日は、すでに身についている手順だけで回します。

この記事で言えないこと

上の時間割は、研究が検証した日程表ではありません。定期テストの範囲と、一般的な生活時間から逆算した実務上の目安です。「3日前」「1単元10分」「直前10分に3項目」といった数字も同様で、研究から導いたものではありません。

睡眠についての研究は、米国の高校生を対象にした日誌調査です。観察研究であり、無作為化した実験ではありません。「睡眠を削ると成績が下がる」という因果を確定したものではなく、同じ生徒の中で、いつもより睡眠を削った日の翌日に困難が増えるという関連を示したものです。ただし関連の向きは一貫しており、直前期に睡眠を削ることを勧める材料はどこにもありません。

継続的な再学習についても、引用したのは大学生を対象とした研究と、大学の1科目での実施報告です。中学・高校の定期テストで同じ設計が同じ効果を生むかは確認されていません。抄録には効果量の数値が示されていなかったため、この記事では大きさを書いていません。

詰め込みについても、ここで引用したのは単語対を材料とした実験です。定期テストの範囲全体を詰め込む場合に、同じ比率で差が出るとは限りません。また、この記事は「直前の努力が無意味だ」と述べるものではありません。直前にできることは限られている、という範囲にとどまります。成績が上がることを保証する記事ではありません。

当塾の立場

ここまでの手順は、塾に通わなくても実行できます。必要なのは白紙とタイマー、それに範囲表だけです。次のテストの3日前に、範囲を5つに割って白紙復元を1周してみてください。どこが書けないかが分かれば、残り2日の使い道は自動的に決まります。

その上で塾を使う意味があるとすれば、「捨てる範囲を決めること」と「睡眠を守ること」の2つだと考えています。この記事の研究から分かるとおり、直前期の判断は手応えに引きずられます。書けない単元を前にすると、人は読み返したくなり、夜を削りたくなります。しかし削った夜の翌日は、理解が落ちます。捨てる判断を本人と保護者だけで下すのは、心理的に難しいものです。武蔵野個別指導塾では、テスト3日前の面談で範囲を「取る/捨てる」に分け、就寝時刻を動かさない前提で残り時間を割り当てています。この判断を外に預けたい方には、この使い方を勧めます。

出典

  1. Roediger HL, Karpicke JD (2006). Test-enhanced learning: taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249-255. doi:10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x
  2. Rohrer D, Taylor K (2006). The effects of overlearning and distributed practise on the retention of mathematics knowledge. Applied Cognitive Psychology, 20(9), 1209-1224. doi:10.1002/acp.1266
  3. Kornell N (2009). Optimising learning using flashcards: spacing is more effective than cramming. Applied Cognitive Psychology, 23(9), 1297-1317. doi:10.1002/acp.1537
  4. Rawson KA, Dunlosky J (2011). Optimizing schedules of retrieval practice for durable and efficient learning: how much is enough? Journal of Experimental Psychology: General, 140(3), 283-302. doi:10.1037/a0023956
  5. Gillen-O’Neel C, Huynh VW, Fuligni AJ (2013). To study or to sleep? The academic costs of extra studying at the expense of sleep. Child Development.
  6. Janes JL, Dunlosky J, Rawson KA, Jasnow A (2020). Successive relearning improves performance on a high-stakes exam in a difficult biopsychology course. Applied Cognitive Psychology.
  7. Cepeda NJ, Vul E, Rohrer D, Wixted JT, Pashler H (2008). Spacing effects in learning: a temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science, 19(11), 1095-1102. doi:10.1111/j.1467-9280.2008.02209.x

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