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小学生の不登校、家での勉強はどこまで—低学年と高学年で変える一日の量と順番|武蔵野個別指導塾

低学年は音読と数の数え方と書き取りを5分ずつ、高学年は教科書の単元を1つずつ。届いたプリントの分け方、連絡帳に書く1行、欠席中の学びを学校が成績で考慮できる三つの要件まで、昼の10分から組めます。
小学生の不登校の時期に家でする勉強は、低学年なら「読む・数える・書く」を短く一つずつ、高学年なら教科書の単元を一つずつ進める形にして、どちらも1日10分から始めます。量を決めるより先に順番を決め、学校から届いたプリントには日付を書いて残します。家での学びには、学校が判断すれば欠席中の成果として成績の評価で考慮される道があり、残した紙はその判断の材料になります。今日の最初の一手は、プリントの束から1枚だけを選び、右上に今日の日付を書くことです。
よくあるのは、学校から届いたプリントの束を、居間のテーブルに一枚ずつ並べた小3の昼という場面です。算数の新しい単元の説明、漢字の練習、音読カード、学級だより。並べ終えるとテーブルの端から端までが紙で埋まり、親は「これを全部やらせるのか」と手を止めます。お子さまはソファの端から、その紙の列を横目で見ています。誰も口を開かないまま、時計の針が正午を回ります。ここで決めたいのは、どの紙から、どれだけ、どの順番で手をつけるかです。
欠席中に家で学んだことを、学校が成績で考慮できる仕組み
家で続けた勉強は、学校に行っていないからといって消えてしまうわけではありません。文部科学省は令和6年8月29日に「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」を出し、同じ日に国の省令の改正と、満たすべき要件を定めた告示を公布し、施行しました。骨組みを一言でいえば、学校に来られない間に家や学校の外で積み上げた学びの成果を、学校の判断で、成績をつけるときに考慮してよいという決まりです。
この考え方は急に生まれたものではありません。令和元年10月25日の不登校の支援についての通知も、学校の外での学習を学校がつかんで評価し、結果を本人や保護者に伝えることを、「児童生徒の学習意欲に応え、自立を支援する上で意義が大きい」と書いていました。令和6年の改正は、その中身を法令の上ではっきりさせたものだと、通知自身が説明しています。
考慮できるのは、次の三つの要件がそろったときです。図1のように、三つは選んで一つ満たせばよいものではなく、全部を満たす必要があります。
- 家での学習の計画と中身が、お子さまが籍を置く学校の教育課程に照らして適切だと、学校が確かめていること。
- 学校と保護者(または学びを支える公的な機関や民間の施設の職員)の間で連絡と協力の形が保たれ、学校が学習の様子を定期的に、途切れずにつかんでいること。
- 学校が、家庭訪問による対面の指導やオンラインでの相談・指導などを通じて、本人と直接の関わりを持ち続けていること。

対象は小学校・中学校など義務教育の段階で、心や体、まわりの環境などの理由から学校生活になじめず、長く学校に来られない子です。小学生はこの中に入ります。一方で、保護者の教育についての考え方に基づき、正当な理由なく登校していない場合は対象になりません。高校はこの仕組みの外にあり、別の決まりで単位を扱います。
家の勉強の組み立てに関わる細かい点が二つあります。一つ目は、すべての教科に評定がつくとは限らないことです。在籍している学年より前の学年の内容に戻って学んでいる教科や、評価の材料が足りない教科では、評定や観点の欄を埋めず、指導要録の所見の欄に文章で学習の様子を書く扱いもありうると通知は書いています。二つ目は頻度です。学校は、少なくとも成績を知らせる区切り(学期ごとなど)に合わせて、学習の様子をつかむ必要があるとされています。通知の取り組みの例には、学校から届いたプリントや教材を使って家で学んだ成果を成績に反映する形も挙がっています。居間のテーブルに並んだあの紙の束は、まさにその材料になりうる物です。
ただし、考慮するかどうか、どの教科をどう評価するかを決めるのは、お子さまが籍を置く学校です。指導要録の出席の扱いも、別の基準で学校(最後は校長)が判断します。親も塾も「成績に入ります」とは約束できません。家でできるのは、学校が判断するときに見られる材料を、毎日少しずつ、本人の手で残しておくことです。
家でできる手順—低学年と高学年で変える量と順番
ここからの手順は、プリントの束が届いた初日の昼から、最初の2週間を想定しています。時間の値は、塾の現場で最初に置く「ここから始める」値で、お子さまの様子を見て週ごとに動かしてかまいません。
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初日は、プリントの束を三つの山に分けるだけにします。テーブルに並んだ紙を、お子さまと一緒に「一人でできそう」「一緒ならできそう」「今はまだ」の三つに分けます。分けるのはお子さまで、親は山の名前を書いた付箋を貼る役に回ります。学級だよりや行事のお知らせは勉強の山に入れず、親の手元に移します。紙の量に押されて動けなくなった状態から抜けるには、全部を見渡して仕分けるという作業そのものが一歩になるので、初日はここで終えてかまいません。
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二日目から、始める時刻と場所を一つずつ決めます。時刻はお子さまに選ばせ、場所は居間のテーブルなら、始める前に上をプリント1枚と鉛筆と消しゴムだけにします。親はキッチンタイマーを10分に合わせて、お子さまから見える所に置きます。終わる時刻が目に見えていると、始めるときの重さが減ります。
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低学年(小1・小2)は、教科で分けずに「読む」「数える」「書く」の三つで一日を組みます。最初の週は読むと数えるを5分ずつ、合わせて10分。2週目に書くを5分足します。読むは、音読カードか教科書の1ページを声に出して読み、親は隣で聞いて、読めた行の頭に鉛筆で小さな点を打ちます。数えるは、算数のプリントに入る前に、おはじきやクリップを10個並べて、2つずつ、5つずつ数えてから、プリントの問題を2〜3問だけ解きます。書くは、ひらがなか漢字を5字だけにして、マスを全部埋めるより、1字ずつ止め・はね・はらいを一緒に見ます。
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低学年の順番を読む→数える→書くにするのは、声を出す作業がいちばん入りやすく、書く作業がいちばん手と目を使うからです。疲れる作業を最後に短く置くと、「もう少しやりたい」と思えるところで終われます。逆に書く作業から始めると、最初の1字で消しゴムを使い始め、そこで一日が止まりやすくなります。
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高学年(小5・小6)は、学校から届いたプリントのうち、算数か国語の今の単元を1つだけ選び、その単元のプリントが終わるまで同じ教科を続けます。一日の順番は、教科書のそのページを読んで例題をノートに写す→プリントの問題を解く→丸つけ、の三つです。最初は10分、慣れたら週ごとに5分ずつ延ばし、20〜30分を一日の上限の目安にします。教科を増やすのは、一つの単元のプリントを最後まで解き終えてからです。何教科も同時に開くと、どれも途中で止まり、終えたという手応えがどこにも残りません。
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小3・小4は、その間です。最初は低学年の三つの型で入り、慣れてきた教科から単元の型に移します。プリントを並べていた小3なら、音読と漢字は低学年の型、算数の新しい単元は高学年の型、というように教科ごとに型を分けてもかまいません。図2のように、低学年は短い作業を三つ並べ、高学年は一つの単元の中で読む・解く・確かめるを回す、という違いだけを覚えておけば、学年の途中でも組み替えられます。

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10分が終わったら、連絡帳かノートの端に「日付・教科・したこと」を1行で書きます。例えば「11月9日 国語 音読カード2行と漢字5字」のような形です。書くのはできればお子さまで、難しい日は親が書き、最後にお子さまのひと言を添えます。前の学年の内容に戻っている日は、「2年生のかけ算」のように何年生の内容かも書き足します。連絡帳は週に1回、家族が学校へ届けるか、担任と決めた方法で渡します。この1行の積み重ねが、学校が学習の様子をつかむときに見せられる材料になります。
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丸つけは親がします。間違えた問題は消しゴムで消させず、問題の番号の横に小さな印を付けて、次の日の最初の1問にします。解き終えたプリントは日付の順にクリアファイルへ入れ、途中までしか解けなかった紙も捨てずに同じファイルに入れます。
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週末に、1週間分のファイルを一緒に開き、来週の量を「同じ」「5分足す」「減らす」の三つからお子さまに選ばせます。減らすを選んでも理由は聞きません。量の決め手を本人に渡しておくと、次の月曜に机へ向かうときの言い訳がひとつ減ります。
言葉と場面の例
同じ10分でも、始める前と終わった後の一言で、次の日の座り方が変わります。言いがちな言葉と言い換えを五つ並べます。
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「学校の分、全部終わらせようね」→「今日はこの1枚だけ。終わったら、あとは好きにしていいよ」。束の全部を目標にすると、お子さまには終わりの位置が見えず、1枚目に手が伸びません。終わりを先に見せる言葉にすると、始める理由がはっきりします。
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「もう3年生なんだから、これくらいできるでしょ」→「この字、きのうより止めがはっきりしてるね」。学年と比べる言葉は、できない理由を本人に突きつけます。比べる相手をきのうの自分にすると、ほめる場所が紙の上に見つかります。
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「クラスのみんなは、もう次の単元に進んでるよ」→「先生が送ってくれたのは、このページだね。どの問題からやる?」。よその子の進み方は、本人には変えようがありません。目の前の紙の中で選ばせると、話がその1枚に戻ります。
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「学校に行かないなら、せめて勉強くらいして」→「学校のことと勉強のことは、別々に考えよう。今日は10分だけ、一緒にやろう」。登校と勉強を交換の条件にすると、勉強そのものが罰のように聞こえます。二つを切り離して話すと、10分に向かう気持ちが軽くなります。
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「先生に見せるんだから、きれいに書いて」→「書けたところまででいいよ。日付だけは入れておこう」。見せるための紙にすると、間違いを消すことに時間を使い、学びの様子が紙から消えます。日付だけを約束にすると、途中の紙も記録として残ります。
場面でいえば、低学年のお子さまが音読の途中で詰まり、黙り込んだときは、親が続きを一行だけ読んで、次の行から本人に返します。高学年のお子さまが丸つけで間違いが続き、鉛筆を置いたときは、その日はそこで終えて、間違えた問題の番号だけを連絡帳の1行に書いておきます。どちらも、止まった所を責めずに次の日の入口に変える返し方です。
やりがちな三つのずれ
一つ目は、学校の時間割どおりに、朝から1時間目、2時間目と並べてしまうことです。親としては遅れを出したくない一心ですが、量が教室の一日と同じになり、二日目か三日目に止まります。時間割は、学校に戻ったときのための物と割り切り、家では10分の型から始め直します。止まった日に量を足すのではなく、元の10分に戻すのが直し方です。
二つ目は、遅れが心配で前の学年まで大きく戻るか、逆に今の学年の単元だけを追い続けることです。戻ることそのものは悪くありませんが、何年生のどこをしているかが学校に伝わっていないと、評価の場面でお子さまの学びの様子が見えません。戻る日は連絡帳の1行に学年を書き、担任にも一度、口頭か手紙で伝えておきます。
三つ目は、学期の終わりに、きれいに埋めたプリントだけを束にして出すことです。親が答えを書き込んだり、お子さまが答えを写したりした紙は、学びの様子を伝えません。学校が学習の様子をつかむのは、少なくとも成績を知らせる区切りごとですが、家の側はその前から少しずつ渡しておけます。図3のように、毎日は日付と1行、週に1回は連絡帳で学校へ、学期ごとなどの区切りで学校が様子を確かめる、という三段にしておくと、学期末に慌てて説明する必要がなくなります。紙は埋めずに、できた所までをそのまま出します。

よくある質問
小学生が家でまったく勉強しない日が続いたら、どうすればいいですか
机の上の勉強が止まっている日も、生活の中に「読む・数える・書く」を置くことはできます。夕飯の献立を一緒に決めて買う物を紙に書く、計量カップの目盛りを読む、レシートの品数を数える、といった形です。勉強と呼ばずに頼むと、お子さまは手伝いとして動けます。眠れない、食べられない、朝に頭やおなかが痛むといった体の様子が続くときは、勉強の量を考える前に、小児科などの医療機関と学校のスクールカウンセラーに相談します。
低学年の子が一人で座っていられません。親がずっと隣にいていいですか
低学年のうちは、10分のあいだ隣にいてかまいません。読む・数える・書くは、親が聞く、親が並べる、親が見るという形で、もともと二人でする作業として組んであります。2週目からは、最初の1問だけを一緒に解き、残りの時間は同じテーブルで親が自分の書き物をする、という距離に少しずつ移します。離れる練習は量を増やすより後に回します。
不登校の小学生の勉強に、タブレットのアプリを使ってもいいですか
使ってかまいませんが、1日の10分の中に、紙のプリントを1枚は残してください。家での学びを学校に伝えるときには、日付と本人の字が入った紙のほうが見せやすいからです。鉛筆で字を書く練習は、紙の上で続けます。
学校と相談先で確かめること
担任の先生には、次の質問をそのまま聞くことができます。メモに書いて、面談や電話の前に手元に置いておくと話がそれません。
- 「家で解いたプリントは、連絡帳・封筒・学校に届けるなど、どの方法でお渡しすればよいですか」
- 「欠席中の学習を成績の評価で考慮する仕組みを、この学校ではどのように使っていますか。家で残しておくとよい物はありますか」
- 「先生が本人と直接話す機会(家庭訪問やオンライン)は、どのくらいの間隔でいただけますか」
- 「前の学年の内容に戻っている教科は、どのようにお伝えすればよいですか」
- 「通知表では、家での学習の様子をどのように書いていただけますか」
学校の中では、担任のほかに、スクールカウンセラーにも親から相談を申し込めます。武蔵野市にお住まいなら、市の教育支援センターで子育てや学校生活についての相談ができ、学校の外の学びの場については、市のスクールソーシャルワーカーが一緒に考えてくれます。市のチャレンジルームは原則として小学4年生から中学3年生までが対象なので、低学年のうちは教育支援センターへの相談が入口になります。市の窓口と並べて、東京都教育相談センターも、子供の学校生活や不登校をめぐる保護者の相談を受け付けています。三鷹や小金井など、武蔵野市の外で暮らす家庭は、お住まいの自治体の教育委員会が設けている教育相談の窓口に声をかけてください。
個別指導で確かめること
1対1の授業では、最初に学校から届いたプリントの1枚を一緒に解き、どの問題で手が止まるかを見ます。高学年の算数なら、止まった問題の考え方が何年生の単元にあるかをたどり、そこから今の単元まで何回の授業で戻るかを決めます。低学年なら、音読で引っかかる字と、数を数えるときの指の動きを確かめます。
成績の評価や出席の扱いを決めるのは学校です。授業でしたことは、日付と単元と解けた問題を書いた記録にして、ご家庭から学校へ渡せる形にしておきます。
まとめ
プリントの束を前にした昼に決めることは、全部をやるかどうかではありません。低学年なら読む・数える・書くの順を決め、高学年なら一つの単元を選び、10分が終わったら日付と1行を書く。その小さな繰り返しが、学校の判断を待つ間にも手元に残ります。テーブルの上の紙の列は、日付が一枚ずつ入るたびに、学校へ届けられる学びの記録へと姿を変えていきます。
「落ち着いている」は、「学んでいる」ではない。
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