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小論文の字数が足りない・多すぎる—「以内」「程度」の読み分けと、足す所と削る所|武蔵野個別指導塾

800字に120字届かなかった下書きを例に、理由を増やさずに足せる具体の場面と反論への応答、削ってよい前置きや二重の結論の場所が見つかります。
「◯字以内」は上限を決めた言い方で、下限は書かれていません。超えれば、その時点で指示の外です。「◯字程度」は指定の数のまわりに幅を認める言い方ですが、幅がどこまでかは書かれていません。「◯字以上◯字以内」なら、下限と上限の両方が条件になります。何割書けば減点されないという全国共通の決まりは無く、小論文の文字数をどう扱うかは、大学が問題の注意書きや募集要項で決めています。そのうえで、手の打ち方ははっきりしています。足りないなら理由の数を増やさず、具体の場面と反論への応答を足す。多すぎるなら、前置き、同じことの言い換え、二重の結論の順に削る。
よくあるのは、「800字程度で論じなさい」という練習の問題で下書きを書き終え、数えてみたら680字で、指定の800字に120字足りなかったという場面です。題材は「町内の夏祭りを続けるべきか」、立場は「続ける」。序論も理由も反論も結論も、形の上ではそろっています。それなのに用紙の下のほうに白いマスが何行も残り、鉛筆がそこで止まる。残りの120字を何で埋めるかで、同じ答案がまるで別の物になります。
同じ680字が、小論文の文字数の言い方しだいで足りたり足りなかったりする
字数の言い方は、設問の文末や注意書きに添えられた数文字で、その数文字が条件そのものです。さっきの680字の下書きで試してみます。問題が「800字以内」なら、680字は上限の内側にあり、条件の外には出ていません。「800字程度」なら、指定の800から120字下にずれています。下の表の練習の帯からも外れ、足りない側にいます。「700字以上800字以内」なら、下限の700に20字届かず、条件そのものを満たしていません。同じ紙、同じ680字なのに、言い方が1つ違えば、そのまま出せる答案にも、出す前に直さなければならない答案にもなる。数え始める前に、まず言い方に線を引く理由はここにあります。
では、何文字書けば足りるのか。文部科学省の令和9年度の大学入学者選抜実施要項を読んでも、小論文を何文字で書かせるか、何文字足りなければどう扱うかを定めた箇所は出てきません。長さも時間も減点も、決めるのは大学で、その答えは問題の注意書きと募集要項に書かれます。「9割書けば安全」という言い方を耳にしても、それは誰かの練習の目安であって、全国共通の決まりではありません。もう1つ、解答用紙のマスの数そのものが天井になることもあります。マスが800しかない用紙なら、「程度」と書かれていても、801マス目には書けません。
教室で数え直した下書きを並べると、字数が大きく外れた答案には、向きごとに似た穴が見えます。100字以上足りない下書きでは、理由は書いてあるのに、その理由が当てはまる場面が1つも出てこない。反論は出てくるのに、それにどう答えるかが「しかし、続けるべきだ」の1文で終わっている。読み手には、言いたいことの手前で筆が止まった答案と受け取られやすくなります。
逆に上限を大きく超える下書きでは、問いに触れる前に背景の話が何行も続き、本論で同じ主張を言葉を変えて2回言い、最後に結論を2回書いています。中身が多いのではなく、同じ中身が何度も出てくる。読み手には、主張の中心がどこにあるのかが見えにくい答案と読めます。
だから、足りないときに「とにかく字を増やす」、多すぎるときに「全体を少しずつ縮める」は、どちらも的を外します。足りない答案には足すべき場所があり、多すぎる答案には削るべき場所がある。図1のように、3つの言い方は書ける範囲の形が違います。「以内」は右に壁が1枚、「程度」は指定の数のまわりにぼんやりした幅、「以上〜以内」は左右に壁が2枚。その形を先に頭に入れておくと、何字足すか、何字削るかの見当が付けやすくなります。

下の表は、3つの言い方の条件と、塾で練習するときに目標にしている帯です。右の欄は練習の目安で、決まりではありません。本番の注意書きに別の書き方があれば、そちらが答えです。
| 指示の言い方 | 言葉の上の条件 | 塾で練習に使う目安(決まりではない) |
|---|---|---|
| ◯字以内 | 上限を決める。下限は書かれていない | たとえば上限の9割から上限まで(800字以内なら720〜800字) |
| ◯字程度 | 指定の数のまわりに幅を認める。幅の広さは書かれていない | たとえば前後1割(800字程度なら720〜880字)。マスが足りない用紙なら、上はマスの数まで |
| ◯字以上◯字以内 | 下限と上限の両方が条件 | 下限から上限の間(700字以上800字以内なら700〜800字) |
下書きを2通りに数えてから、足す所と削る所を決める6つの手順
練習の下書きを清書する前に通す順番です。かっこの中の分の数は、塾で練習するときの目安です。
手順1 問題の字数の言い方に線を引き、条件を余白に書く(30秒)
問題用紙の「800字程度」に線を引き、横に「800前後・幅の指定なし」と書きます。「800字以内」なら「上限800・下限なし」、「700字以上800字以内」なら「下限700・上限800」。注意書きに、句読点や空けたマスを字数に入れるかどうかが書いてあれば、そこにも線を引きます。数え方を決めるのは注意書きと募集要項で、そこに書かれていない数え方を自分で決まりにしないでください。
手順2 下書きを2通りに数え、紙の右下に2つの数を書く(3分)
1つ目は「多めの数」です。最後の行より上の行の数に1行のマスの数を掛け、最後の行に書いた字を足します。2つ目は「少なめの数」で、多めの数から、段落の始めに空けたマスと、段落の終わりで行に残した空きを引きます。
たとえば1行20マスの用紙で34行が埋まり、35行目に12字を書いたなら、34×20に12を足して多めの数は692です。4つの段落の始めに1マスずつ空け、前の3つの段落の終わりに3マス、2マス、3マスの空きが残っていれば、合わせて12を引いて、少なめの数は680になります。注意書きに数え方が無いときは、どちらか一方に決めつけないでください。2つの数を持っていれば、どちらで数えられても条件を外れない側へ寄せられます。
手順3 条件と2つの数を突き合わせ、足りない字数か多すぎる字数を出す(1分)
「以内」なら多めの数を上限と比べ、「以上」なら少なめの数を下限と比べます。「程度」なら、2つの数の両方が目標の帯に入っているかを見ます。夏祭りの下書きは「800字程度」で、練習の帯は720〜880字。692も680も帯の下にあり、真ん中の800をねらうなら、少なめの数で120字足りません。この120が、次の手順で割り振る量です。
手順4 足りないときは、足す場所ごとに字数を割り振る(2分)
理由は増やしません。足す場所は2つで、いまある理由のすぐ後ろに具体の場面、反論を書いた文の次にその反論への応答です。夏祭りの下書きでは、段落の横に鉛筆で「場面70」「応答50」と書き、本論に場面を70字、反論の段に応答を50字、合わせて120字と決めました。反論の段に足した応答は、たとえば次の50字です。
担い手が足りないという反対には、屋台の数を減らし、準備を2日から1日にまとめる形で十分に応えられる。
図2のように、序論と結論の長さは動かしていません。伸びたのは本論と反論の段で、本論は297字から367字に、反論の段は136字から186字になり、全体は680字から800字になりました。理由の段落を1つ増やすのではなく、いまある段落の中に字を差し込んでいます。

手順5 多すぎるときは、削る順に線を引く(2分)
削る順は、前置き、同じことの言い換え、二重の結論です。前置きは、序論の中で問いに触れる前に書いた一般論。言い換えは、「つまり」「言い換えれば」の後ろで、前の文と同じことを言っている文。二重の結論は、結論の段の最初と最後に同じ「べきだ」が並んでいる形です。
削る量の見当は、多めの数から上限を引いた数に、少し余裕を足した量にします。たとえば「800字以内」で多めの数が870なら、70字超えているので、前置きで40字、言い換えで20字、二重の結論で30字、合わせて90字を削る見当を付けます。余裕を持たせるのは、文を消すと段落の終わりの空きが動き、消した字の数と減るマスの数がぴったりそろわないからです。
手順6 直した後にもう一度2通りで数え、結論の段を読み直す(3分)
足した字の数を、元の数に足し算して済ませないでください。夏祭りの下書きは120字足して少なめの数がちょうど800になりましたが、多めの数は692から832に増えました。本論と反論の段の終わりで、行に残る空きが変わったからです。足したのは120字なのに、マスは140増えている。「程度」の練習の帯の720〜880には2つとも入っていますが、マスが800しかない用紙なら、ここで手順5に戻ります。最後に、結論の段が序論の立場と食い違っていないか、足した場面に合わせて言葉を直す必要がないかを読みます。
手順4と手順5で手を入れる物を、向きごとにまとめると次の表になります。右の欄は、夏祭りの下書きで実際に動かした字数の例です。
| 字数の向き | 手を入れる物 | 見つける場所 | 夏祭りの下書きでの例 |
|---|---|---|---|
| 足りない | 具体の場面を足す | 理由を書いた文のすぐ後ろ | 本論に70字 |
| 足りない | 反論への応答を足す | 反論を書いた文の次 | 反論の段に50字 |
| 足りない | 新しい理由は足さない | 足す場所を作らない | 理由は1つのまま |
| 多すぎる | 前置きを削る | 序論の、問いに触れる前の一般論 | 40字 |
| 多すぎる | 同じことの言い換えを削る | 「つまり」「言い換えれば」の後ろ | 20字 |
| 多すぎる | 二重の結論を削る | 結論の段の最初と最後 | 30字 |
家でお子さまの下書きを見るときも、最初に見るのは右下の2つの数と、問題用紙に引いた線です。どこに何を足すかの話は、その2つがそろってからで足ります。
足りない段落と多すぎる段落を、直す前と直した後で比べる
1組目は、680字の下書きの本論です。本論は理由を1つに絞った段で、その中心の部分を抜き出します。直す前は、次の109字でした。
夏祭りは続けるべきだ。祭りは地域の人どうしのつながりを強めるからである。つながりが強い地域は、災害のような困ったときにも助け合うことができる。だから、夏祭りは地域にとって大きな意味を持つ行事であり、なくすべきではない。
弱いのは2か所です。「つながり」という語が2回出てくるのに、どんな場面で人がつながるのかが一度も見えません。そして最後の1文は1文目の言い直しで、主張が前に進んでいない。ここに「町の店の売り上げも増える」と2つ目の理由を足せば数は埋まりますが、理由が2つとも薄いままの答案になります。直した後は179字です。
夏祭りは続けるべきだ。祭りの準備が、ふだん顔を合わせない世代を同じ作業に就かせるからである。たとえば提灯をつるす日には、中学生が年配の住民から縄の結び方を教わる。縄が少し緩むと提灯が傾くので、二人で何度も結び直す。その中学生は、祭りが終わったあとも、道でその人にあいさつをするようになる。顔見知りが多い地域は、災害のような困ったときにも助け合うことができる。
理由の文を「準備の場」に言い直し、最後の言い直しの1文を外して、提灯の場面を3文足しました。差し引きで70字増え、これが図2の本論の伸びにあたります。理由は1つのままで、「つながり」という抽象の語が、縄を結び直す二人の手元に置き換わっています。
2組目は、別の日に「800字以内」で書いた夏祭りの下書きです。多めの数で870になり、上限を70字超えていました。その結論の段の154字です。
以上のことから、町内の夏祭りは形を変えながらでも続けるべきだと考える。準備の場は、ふだん顔を合わせない世代が同じ作業をする数少ない機会であり、担い手の負担は屋台の数や準備の日数を見直せば軽くできるからである。つまり、夏祭りは町には欠かせない行事だ。結論として、私は町内の夏祭りをこの先も続けるべきだと考える。
「つまり」の20字は、1文目の立場を短く言い直した文で、新しい中身がありません。最後の30字は、1文目と同じ結論をもう一度書いた二重の結論です。読み手には、同じ結論を3回聞かされる段に見えます。直した後は104字になりました。
以上のことから、町内の夏祭りは形を変えながらでも続けるべきだと考える。準備の場は、ふだん顔を合わせない世代が同じ作業をする数少ない機会であり、担い手の負担は屋台の数や準備の日数を見直せば軽くできるからである。
この段で50字減りました。手順5で見当を付けた90字のうち、残りの40字は序論の前置きから削っています。2文目の理由のまとめは残しました。本論に書いた準備の場面と反論への応答を、1文で受け止めている文だからです。
字数合わせで答案を崩してしまう3つのつまずき
1. 足りない分を、新しい理由を並べて埋めてしまう
120字足りないときに理由を2つ足すと、数は埋まっても、1つの理由に使えるのは1〜2文になります。本論の367字に理由を3つ並べれば、1つにつき120字ほど。どの理由にも場面が入らず、読み手には箇条書きをつないだような本論に見えやすくなります。
こう変えます。理由の数は下書きのまま動かさず、手順4のとおり、いまある理由の後ろに場面を書き足す。足りない字数は、理由の「数」ではなく「深さ」で埋めます。
2. 削るときに、具体の場面から消してしまう
多すぎる下書きを前にすると、いちばん長い段落の、いちばん長い文から消したくなります。その文が、提灯の結び目のような場面の文であることは珍しくありません。場面は答案の中でいちばん替えがきかない部分で、消すと理由が抽象の語に戻ります。
こう変えます。図3のように削る順を先に決め、前置き、言い換え、二重の結論の順に線を引く。具体の場面と反論への応答に手を付けるのは、その3つを削り終えても上限を超えているときです。

3. 清書を終えてから数え、結論の段で帳尻を合わせてしまう
清書のあとで足りないとわかると、結論に「これからも考えていきたい」を足して行を埋め、多すぎるとわかると、結論を1文に縮めて押し込む。どちらも、字数の調整を答案のいちばん最後の段に押しつけています。結論は序論の立場と向き合う段で、字数の受け皿ではありません。
こう変えます。手順2の2つの数は清書の前の下書きで出し、増やすのも減らすのも本論と反論の段で済ませる。清書の途中でずれたときは、その場で場面の文を1文足すか、言い換えの文を1文消すかのどちらかにします。
よくある質問
小論文は何文字くらい書くものですか
何文字の問いになるかは大学と問題ごとに決まり、全国で標準の長さはありません。練習で書く長さは、志望する大学の問題や募集要項で見た字数にそろえます。志望先によって長さが違うなら、短い方と長い方で1本ずつ書いてみてください。どちらの長さで手が止まるかがわかれば、練習の重心が決まります。
句読点やかぎかっこ、空けたマスは字数に入りますか
1マスを使って書いた句読点やかぎかっこは、多めの数に入ります。たとえば答案に「盆踊り」と書けば、かぎかっこで2マスを使います。字数に入れるかどうかを全国で決めた決まりは無く、注意書きにあれば、その数え方が答えです。書かれていないときは、「以内」なら句読点もかぎかっこも空きマスも入れた数で上限を確かめ、「以上」なら句読点まで抜いた数でも下限に届くかを一度見ておくと、どちらに数えられても条件を外れません。
パソコンの文字数の表示で数えて練習してもいいですか
下書きを打つ段階なら便利です。ただ、パソコンで打った文には行の終わりの空きがなく、表示される数はマスの答案の少なめの数に近くなり、多めの数とはずれます。パソコンの表示で800に届いていても、マスの紙に写すと多めの数が上限を超えていることがあります。本番がマスの用紙なら、たとえば週に1本はマスの紙に写して2通りで数え、パソコンの数との差をつかんでおきます。
個別指導で確かめること
武蔵境駅から歩いて30秒の教室で、下書きを1対1で見るときに最初に指さすのは、紙の右下の2つの数と、問題用紙に引いた線です。足りないなら理由の後ろに場面が書けるか、多すぎるなら前置きと二重の結論がどこにあるかを、書いた本人と一緒に鉛筆で囲みます。
数が合わないときに戻るのは、段落ごとの字数を書いた下書きのメモまでです。清書を一から書き直すより、メモの段で割り振りを直すほうが、次の1本で同じずれが起きにくくなります。
まとめ
数え直した2つの数は、足す量より先に、足す場所を指しています。870字の下書きで消したのも、前置きと、同じ結論を言い直した2文でした。準備の場で世代がつながるという理由の文には手を付けていません。800字に届かなかった120字ぶんの白いマスには、提灯の縄を結び直す二人の手元が、まだ書かれずに残っていました。
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