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校内選考に出す指定校推薦の志望理由書—先生が読む1枚の書き出しと中身|武蔵野個別指導塾

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読むのは大学でなく高校の先生です。用紙の注意書き、大学の方針と1年の授業名、授業や探究で実際にしたことの順に並べれば、書き出しの一文は前夜からでも組み立てられます。

指定校推薦は学校推薦型選抜の1つで、大学から指定を受けた高校の中で、校長の推薦をもらえた生徒だけが出願できます。その推薦を誰に出すかを高校の中で決めるのが校内選考で、申込書の志望理由を読むのは大学ではなく高校の先生です。先生の手元にはあなたの評定や出欠の記録があり、教室での姿を見てきた人もいます。だから熱意の言葉を重ねるより、授業や探究で実際にしたことを1つ選び、それが志望する学科のどの学びにつながるかを、書き出しの一文で言い切ってください。用紙の大きさも、何字まで書けるかも、誰が読むかも高校が決めます。大学に出す志望理由書とは、読み手も問いも別物です。

書類(令和9年度大学入学者選抜実施要項・同Q&A) 要項での位置づけ
校内選考の申込書 要項に様式は無い。用紙と締め切りと読む先生は高校が決める
推薦書 校長の名で大学の学長に出す。推薦理由の欄に学力の三要素の評価(第3の1(3)③・参考様式1)
調査書 原案は担任など、作るのは校長(調査書記入上の注意事項等の3・別紙様式1)
大学入学希望理由書など 本人が書く。問いは大学が学部の教育内容をふまえて決める(第6の5(2))
推薦書のイメージ例 文言も欄も大学が変えてよい(Q&A 推-1・令和8年9月2日更新)

よくあるのは、締め切りの前夜、校内選考の申込書のうち「志望理由」の欄だけが白いまま残っている、という場面です。名前も、希望する大学と学部・学科の名前も、もう書いてある。残りは自分の言葉の数行なのに、ペンが動きません。例文を探すと、大学の学長に呼びかけるような立派な文ばかりが出てきます。けれど明日この用紙を受け取るのは、廊下ですれ違う見慣れた先生です。立派な文ほど、その先生の前では浮いてしまう。手が止まる理由の1つは、そこにあります。

要項が形を示す書類と、高校が作る1枚

令和9年度の大学入学者選抜実施要項は、2027年4月に大学へ入る人の入試の決まりです。学校推薦型選抜について、要項は大学に届く書類の形をいくつか示しています。図1のように、大学に届くのは、校長の名で出る推薦書と調査書、それに大学が求めた場合に本人が書く志望理由書などです。校内選考の申込書は、その手前で高校が推薦する生徒を決めるために作る用紙で、要項はその様式を示していません。左の箱を読むのは高校の先生、右の3つを読むのは大学です。

図1 校内の志望理由と大学に届く3つの書類

推薦書は、大学の学長に宛てて高校の校長の名で出す書類です。推薦理由の欄について、要項は大学に、志望先の学部が掲げる方針(アドミッション・ポリシー)に照らし、本人がどんな学びと活動を重ねてきたか、そこから学力の三要素がどう見えるかを書いてもらうよう定めています。学力の三要素を要項の言い方から縮めると、基礎の知識と技能、それを使って課題を見つけ、解決に向けて考え、表現する力、そして主体性をもって人と協働しながら学ぶ態度の3つです。伸ばすべき点など、入学後の指導で配慮が要ることがあれば、それも書いてもらうとされています。イメージ例の末尾には記載責任者の欄があり、校長の名の書類でも、書いた中身に責任を持つ人が別に記される形になっています。ただし同じ年度の Q&A は、このイメージ例を大学が文言や欄ごと変えてよいものとしており、どの大学も同じ形だとは限りません。

調査書のほうは、担任などがまとめた原案を関係する先生たちの委員会にかけ、校長の責任で大学に出す書類です。評定と出欠のほかに、特別活動の記録の欄と、授業や総合的な探究の時間の所見、部活動、ボランティア、表彰などの要点を箇条書きにする欄があります。あなたが志望理由に書こうとしている活動は、先生の側でも別の書類に書かれうる事実だということです。

大学に出す志望理由書について、要項は大学入学希望理由書や学修計画書という名前で触れています。大学がこうした資料を使うときは、学部の教育内容をふまえて、入学を望む理由、入学後に学びたい内容と計画、卒業後を見すえた目標を書かせる、という決まりです。さらに学校推薦型選抜では、本人が書いた資料をプレゼンテーションなどで積極的に生かすよう求めています。大学の選考の場で、書いた中身について話す場面がありうるということで、校内用の数行はその土台にもなります。

校長の推薦がなければ出願できないことと、大学が推薦の条件を具体的に決めて募集要項などで示すことも、要項の決まりです。大学への出願の受付が始まるのは、令和9年度の要項では2026年11月1日から。校内の申込書の締め切りはそれより手前にあり、何月何日かは高校が決めます。高2の人の入試にあたる令和10年度の分は、まだ公表されていません。公表されたら、推薦書と本人が書く資料の箇所をもう一度開いてください。

用紙も読む先生も、高校ごとに違う

校内選考の申込書で高校ごとに違うのは、少なくとも次の点です。志望理由の欄の大きさと、何字まで書けるか。手書きか、データで出すか。下書きを先生に見てもらえるか。出す先は担任か、進路指導の先生か。申込のあとに面談があるか。そして、志望理由を評定や欠席と並べてどう見るか。最後の点は、決め方を生徒に公表していない高校もあります。わからないからといって軽く書いてよい理由にはなりませんし、重く見られると決めつけて背伸びする理由にもなりません。

読み手が誰かで、書き方の焦点は変わります。担任の先生が読むなら、あなたの毎日を知る人が読む前提で、教室で見せてきた姿と食い違わない文にします。進路指導の先生や学年の先生がまとめて読むなら、あなたの授業を見ていない人にも伝わるよう、科目名や時期を正確に入れます。誰が読むかを知る方法は単純で、聞くことです。聞いてよいことかどうかも含めて、面談で尋ねてかまいません。

大学に出す志望理由書のほうは、大学ごとに違います。そもそも求めるかどうか、設問は何か、何字までか、手書きか。指定校推薦の書類は大学から高校に届くので、校内用を書く時点では、大学の用紙をまだ見られないこともあります。その場合でも、大学が公表しているアドミッション・ポリシーと、パンフレットや大学の頁に載っている学部の授業の名前は手元で読めます。校内用は、その2つを手がかりに書きます。

自分の場合を知るために見る物は、次の5つです。高校の校内向けの推薦の案内(校内の推薦の要項)。申込書の用紙そのものと、裏や下の注意書き。指定校の一覧の、学部・学科の名前と条件の欄。高校に届いた大学の書類のうち、志望理由書の様式と設問。そして、進路の先生との面談です。前年の先輩の用紙や、ネットで見つけた他校の様式は、自分の高校の決まりの代わりにはなりません。もし申込書に希望を2つ書く欄があるなら、志望理由の欄が希望ごとに分かれているのか、1つの欄に両方をまとめるのかも、用紙の作りで変わります。欄が1つなのに希望が2つあるときは、どちらの学科にも通じる事実を書き出しに置くか、第1希望に絞るかを、先生に聞いてから決めます。

もう1つ、はっきりさせておきます。大学が出願の条件として示した評定の数字は、志望理由をどれだけ書き込んでも動きません。条件を満たしているかどうかは、用紙の文とは別のところで決まります。志望理由の欄が担うのは、なぜこの大学のこの学科なのかを、推薦を決める側の先生に伝えることです。条件の欄と志望理由の欄を混ぜて考えると、足りない評定を言葉で補おうとして、かえって文が重くなります。

前夜からでも書ける5つの順番

図2のように、白い欄を前にしたら、いきなり書き始めずに順番を踏みます。用紙を読み、大学を読み、自分の事実を並べ、一文で結び、最後に照らし合わせる。この順を守ると、前夜の数時間でも数行は埋まります。

図2 用紙を読むことから照らし合わせまで5つの手順

1 用紙の注意書きを読む

欄の大きさ、何字まで書けるか、筆記具、消してよいか、別紙を足してよいかを確かめます。注意書きが無い用紙なら、欄の行数を数え、はみ出さない分量を決めます。たとえば欄が12行なら、書き出しに2行、高校での学びに5行、学科で学びたいことに3行、入学の意思に2行と先に割り振っておくと、途中で行が足りなくなりません。下書きは別の紙に書き、清書の前に一度、声に出して読みます。

2 大学の資料を2つ読む

志望する学部のアドミッション・ポリシーと、1年生で学ぶ授業の名前です。アドミッション・ポリシーについて要項は、高校で学んでおくべき科目や持っているとよい資格まで挙げ、「何をどの程度学んできてほしいか」を、大学がなるべく細かく示すよう求めています。その行に出てくる言葉と授業の名前に、印をつけます。高校に届いた大学の書類に志望理由書の設問があれば、それも横に置きます。

3 高校での事実を並べる

調査書の欄の名前を借りて、紙を4つに区切ります。教科・科目の授業、総合的な探究の時間、ホームルームや生徒会や学校行事、部活動やボランティアや資格です。それぞれに、いつ、何を、どうなったかを1行ずつ書きます。感想ではなく、先生が見ていた事実か、紙で確かめられる事実だけを残します。

4 一文で結ぶ

並べた事実のうち、手順2で印をつけた言葉と同じ言葉で説明できるものを1つだけ選び、書き出しの一文にします。骨組みは「高校で何をして、何に気づき、だからこの学科で何を学びたいか」です。たとえば、探究の時間に駅前の駐輪場の空きを数えた生徒なら、「探究の時間に駅前の駐輪場の空きを3か月数え、空きがあるのに路上に止める人が減らない理由を、案内の出し方に見つけました。人の動きと街のつくりを結ぶ学びを深めたく、この学科を志望します。」と書けます。化学の実験から理学部を選ぶ人なら、「化学基礎の実験で、教科書どおりの色が出なかった理由を班で調べ直したことが、分析の方法を学びたいと思った出発点です。」という入り方もあります。

どちらも、学部をたたえる言葉や、子どものころの夢から始めていません。自分のした事から始め、2文目までに学科の学びへ渡しています。大学に呼びかける「貴学」という書き方は、読み手が高校の先生の用紙では宛先がずれます。用紙に書き方の指示があれば、その指示が先です。最後の2行には、合格したら入学する意思を自分の言葉で書きます。要項はこの推薦の呼び名を使っていませんが、高校と大学が組み合わせを丁寧に詰め、本人が入学を約束して受ける非公募型の推薦に触れています。校内選考を通っても、出願したあとの辞退は原則できません。

5 照らし合わせる

清書の前に、書いた一文ずつに「先生はこれを知っているか」「調査書のどの欄に書かれそうか」と問います。部活の役職、活動の期間、資格の級は、記録と食い違いやすい所です。学校の記録と同じ呼び方にそろえます。先生が知らない学外の活動は、賞状や証明書の写しを手元に置き、面談で見せられるようにします。推薦書を組み立てる先生にとって、あなたの用紙と調査書が別のことを言っていたら、推す理由がまとめにくくなります。最後に、書いた事の1つずつを、面談で聞かれたら30秒で説明できるかを確かめます。

保護者の方は、お子さまの下書きを読むとき、言い回しを整えるより、「それはいつ、どの授業のこと」と1つずつ聞いてください。答えにつまる所が、書き直す所です。代わりに書いてしまうと、面談で本人の言葉が出てこなくなります。

白い欄の前で起きやすい思い込み

1つ目は、「評定が条件に届いていれば、志望理由は形だけでよい」という思い込みです。校内選考で何をどれだけ見るかは高校が決め、公表していない高校もあります。形だけでよいと言える根拠は、どこにもありません。しかも推薦書の推薦理由には、学部の方針に照らした学びと活動の評価を書くよう大学が求めます。その材料として、あなたが自分の言葉で書いた数行が先生の手元にあるかどうかは、小さな差ではありません。

2つ目は、「大学に出す志望理由書を短くすれば、校内用になる」という思い込みです。大学の用紙は、大学が学部の教育内容をふまえて設けた問いに答える書類で、読む人はあなたを書類と面接でしか知りません。校内用を読む先生は、あなたの記録を手元に持っています。大学向けに飾った言葉は先生の前では浮き、先生が見てきた事実と少しでもずれると、かえって目立ちます。

3つ目は、「先生は自分を知っているから、細かく書かなくても伝わる」という思い込みです。読むのが担任とは限りません。担任の先生でも、あなたが探究で何を調べたかまでは覚えていないかもしれません。図3の上の分かれ道のように、先生が知る事実なら学校の記録と同じ名前で具体的に書き、学外の活動など先生が知らない事実なら、証明の紙を添えて面談で伝えます。

図3 活動の書き方と申込の前の2つの分かれ道

4つ目は、「校内選考に通ってから、本当に行くか考えればよい」という思い込みです。図3の下の分かれ道のとおり、合格したら入学すると約束できるかに迷いがあるなら、申込書を出す前に、担任や進路の先生に相談します。入学の意思を書く最後の2行で手が止まるなら、それは文の問題ではありません。どこへ行くかの決め方の問題が残っている、という合図です。

高校の先生に確かめる質問

下の8つは、面談の席で手元の紙から読み上げても失礼にならない形にしてあります。聞いた答えは、申込書の余白ではなく別の紙に控えます。

個別指導で確かめること

塾では、評定の表と調査書の欄の名前を横に置いて申込書の下書きを1文ずつ読み、「この事実は先生が知っているか」「学部の授業のどの名前とつながるか」を確かめます。書き出しの一文は声に出して言い直し、面談で同じ中身を自分の口から言えるかを、短い受け答えで何度か試します。高校に大学の志望理由書の様式が届いたら、校内用の数行をその問いに合わせてどこまで広げるかも、同じ机の上で見ていきます。

まとめ

校内選考の志望理由は、大学への作文を縮めたものではありません。あなたの記録を手元に持つ先生に向けて、授業や探究の1つの事実から学科の学びへ線を引く数行です。欄の大きさは高校が決めても、線の引き方はあなたが決められます。その線が1本引ければ、白い欄は、あなたの高校の日々がすでに用意していた言葉で埋まります。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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