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春はあけぼのの暗記のコツ—枕草子や平家物語の冒頭を、暗唱テストで言い切る覚え方|武蔵野個別指導塾

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「やうやう白くなりゆく」で止まるのは、息の切れ目が意味の切れ目と1語ずれているからです。山ぎはまでをひと息にして、止まったら区切りの頭へ戻る練習を、今夜の30〜50分で組み立てましょう。

春はあけぼのの暗記のコツは、息を継ぐ場所を意味の切れ目に合わせることです。「やうやう白くなりゆく山ぎは」までをひと息で言い、区切りごとに現代語の短い絵を1つ付けます。声で言えるようになったら教科書を閉じて白紙に書き、歴史的仮名遣いまで合っているかを確かめます。本番で止まったときは先頭に戻らず、止まった区切りの頭から言い直します。表記は、自分の教科書のとおりにそろえます。

よくあるのは、国語の授業の前の休み時間に、廊下の窓ぎわで教科書を胸に抱えたまま、口の中で冒頭をくり返している場面です。「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく」までは勢いよく出るのに、その先で声がふっと消えます。もう一度頭から言っても、同じ所で止まります。チャイムまであと3分。昨夜は10回以上読んだはずなのに、と焦るほど、次の一語は遠くなっていきます。

なぜそうなるのか

廊下で声が消える「やうやう白くなりゆく」のあとは、たまたま忘れた場所ではありません。教室で暗唱の練習を聞いていると、止まる場所にはきちんと理由があります。大きく分けると、次の4つです。

息の切れ目と、意味の切れ目がずれている

「やうやう白くなりゆく」で息を継ぎたくなるのは自然です。音の長さがちょうど区切りやすいからです。けれど意味の上では、白くなっていくのは「山ぎは」、つまり山のすぐ上の空です。「だんだん白くなっていく、山のすぐ上の空」がひとかたまりで、「やうやう白くなりゆく山ぎは」までが1つの区切りになります。音の都合で「なりゆく」の後ろを切ると、そこで頭の中の手がかりも切れ、次の「山ぎは」を呼び出すきっかけが無くなります。図1のように、覚えた切れ目と意味の切れ目が1語ずれているだけで、その1語が毎回の落とし穴になるのです。

図1 覚えた切れ目と意味の切れ目が「山ぎは」の前後でずれる様子

意味の絵が無い語を、音だけで支えている

あけぼの、山ぎは、紫だちたる、たなびきたる。どれも、ふだんの会話では口にしない言葉です。意味が浮かばない語は、前の音の続きとしてしか覚えられません。音の鎖は1か所が切れると、その先がまとめて落ちます。反対に「夜明け」「山の上の空が白む」「ほんのり明るい」「紫がかった雲」「細く横にのびる」と絵が並んでいれば、音を見失っても絵が次の語を引っぱってきます。この冒頭は、夜の暗さから白、明るさ、紫へと空の色が順に移っていく文です。色の順番が見えている人は、途中で止まっても空を思い浮かべれば戻れます。

読めた回数を、覚えた回数と取り違えている

昨夜の10回が、教科書を目で追う黙読や、本文を見ながらの音読だったなら、その10回は「読む練習」です。本文が目の前にある間は、次の語を自分で思い出す必要がありません。読むたびに言えている気がするのは、言えているのではなく読めているからです。思い出す練習を一度もしないまま教科書を閉じると、廊下で初めて穴が見つかります。

先頭からしか言い出せない

毎回「春はあけぼの」から始めて最後まで通す練習だけだと、入口は先頭の1か所しかできません。途中で止まったときに戻れる場所が先頭しか無いので、頭から言い直し、同じ勢いで同じ所に着き、同じように止まります。前に出て一人ずつ言う形の暗唱では、これが一番もったいない止まり方です。

今夜からの手順

枕草子の春の段なら、今夜の練習は30〜50分を目安にします。図2のように今夜の分を5つの段に分け、6段目は翌朝に回します。範囲が冬の段まである場合や、平家物語のように漢語の多い作品では、段ごとの時間を少しずつ延ばしてください。

図2 今夜の5段の手順と、段ごとの時間の目安

1. 教科書の本文を写して、意味の切れ目に線を引く

最初に、自分の教科書を開きます。友だちのプリントや、ネットで見つけた本文から覚え始めないでください。同じ冒頭でも、教科書によって「山ぎは」と「山際」、「少し」と「すこし」、平家物語なら「娑羅双樹」と「沙羅双樹」のように表記が違うことがあります。どこまでを正しいとするかは先生の採点の決め方によりますが、迷わないためにも最初から教科書の字で覚えます。範囲が春の段だけなのか、夏・秋・冬まで続くのかも、授業のプリントや先生の説明で確かめておきます。

本文は、ノートの1ページの左半分に、1行ずつ空けて写します(5〜10分)。写したら、読点の位置ではなく意味の切れ目に縦の線を入れます。春の段なら、次の5つに分けられます。

2つ目の区切りが、廊下で止まったあの場所をまたいでいることに注目してください。線を引くこと自体が、止まる場所をつぶす作業になっています。

2. 区切りごとに、現代語の絵を付ける

ノートの右半分、それぞれの区切りの横に、現代語の短い言葉を書きます(5〜10分)。訳を全部書く必要はありません。頭の中に絵が1枚浮かぶ、いちばん短い言葉で足ります。「春は夜明け」「山のすぐ上の空が、だんだん白く」「ほんのり明るくなって」「紫がかった雲が」「細く横にのびている」という具合です。

書き終えたら、右半分だけを見て、空の色が暗い、白い、明るい、紫と移っていく順番を指でなぞります。絵の順番が先に頭に入ると、音はそのあとから付いてきます。意味がわからない語は、教科書の脚注や授業のノートで確かめ、自分で意味をこしらえないようにします。意味を取り違えたまま絵を作ると、その絵が別の言葉を呼んでしまうからです。

3. 声に出して、区切りを1つずつ足す

いちばん時間を使う段です(10〜15分)。まず読み方をそろえます。歴史的仮名遣いは、字と声が違います。「やうやう」は「ようよう」、「山ぎは」は「やまぎわ」と声に出します。最初は教科書を見ながら、読み方だけを確かめるつもりで全体を2回読みます。

次に、区切りを1つずつ足していきます。1つ目だけを2回、1つ目と2つ目をつなげて2回、1つ目から3つ目までを2回、と新しい区切りを足すたびに頭から言い直します。足した区切りでつかえたら、その区切りだけを本文を見ながら3回言い、もう一度つなげます。

声の調子も決めておきます。区切りの終わりで、指先で机を軽く1回たたき、そこで息を継ぎます。たたく場所が意味の切れ目と重なっていれば、手の動きそのものが次の区切りの合図になります。最後の2回は立ち上がり、先生の前で言うときの速さと声の大きさで言います。座って小声なら言えても、立って声を張ると急に速くなり、区切りが崩れることがあるからです。

4. 教科書を閉じて、白紙に書く

声で言えるようになったら教科書を閉じ、白い紙に冒頭を書きます(5〜10分)。ここで書くのは声の形ではなく、字の形です。「ようよう」と正しく言えていた人が、紙にも「ようよう」と書いてしまうのはめずらしくありません。書き終えたら教科書を開き、赤で1字ずつ照らし合わせます。

違っていた所に印を付け、その区切りだけをもう一度、声に出して3回言います。全部をやり直す必要はありません。印がどの区切りに集まっているかを見れば、自分の弱い場所がわかります。暗唱が声だけのテストでも、一度書いておくと頭の中の本文の輪郭がはっきりします。定期テストに冒頭の書き取りが出るかどうかは学校や先生で違うので、範囲の説明で確かめておきましょう。

5. くじを引いて、途中から言う

小さな紙を5枚用意し、1から5までの番号を書いて伏せます(5分)。1枚引いて、その番号の区切りから最後まで言います。3を引いたら「少しあかりて」から始めます。5枚を引き終えるまで続けます。

途中から言い出す練習は、先頭以外の入口を作る練習です。本番で止まったとき、その区切りの頭に戻って言い直せるのは、この入口ができているからです。言い出しの一語が出てこない番号があったら、ノートの右半分の絵を見てから言います。絵を見れば言える区切りは、絵を思い出すだけで戻れる区切りになっています。

6. 翌朝と授業の前に、1回ずつ通す

寝る前に、新しいことを詰め込み直す必要はありません。翌朝、家を出る前に一度だけ、立って全体を通します。止まった所があれば、その区切りの絵を思い出してから続けます。授業の前の休み時間にも1回通します。このときも教科書は閉じたままにして、止まったときだけ開きます。廊下で声が消える場面は、このひと手間で、消えても戻ってこられる場面に変わります。

学年と時期で変わるところ

どの作品をどの学年で習うかは、教科書によって違います。そこで、学年の名前ではなく、古文との付き合いの長さで分けて考えます。

古文に初めて触れる頃は、歴史的仮名遣いの読みそのものが壁になります。「やうやう」を字のまま「やうやう」と読んでしまい、声と字の行き来で手が止まりがちです。この時期は手順の3段目を長めに取り、読み方を確かめる通し読みを2回から4回に増やします。一晩で覚えきろうとせず、1日目に1〜3段、2日目に4〜5段と、2晩に分けるのも一つの手です。

冒頭をいくつか覚えたあとは、作品どうしが頭の中で混ざることがあります。作品ごとに「形」を一言で持っておくと混ざりにくくなります。枕草子は季節と時刻の組、平家物語は対になった2つの文、竹取物語は昔話の始まり方、おくのほそ道は旅のたとえ、という持ち方です。暗唱の前にその一言をつぶやいてから始めると、別の作品の言い回しが入り込みません。

高校生になって同じ冒頭に出会い直したら、文法の目で区切りを見直してみてください。文が「たなびきたる」で止まり、そのあとに「趣がある」に当たる言葉が省かれていると読むことを知っていれば、最後の区切りで迷いません。助動詞や助詞の働きがわかると、区切りの理由を意味だけでなく形からも説明できるようになり、初めて見る古文でも自分で線を引けます。

時期で見ると、ふだんは、授業で冒頭を習った日のうちに手順の1段と2段(線と絵)だけを10分ほどで済ませておきます。暗唱テストの日が近づいたら、3段から5段を2〜3日に分けて回します。定期テストで冒頭の書き取りが出るかどうかは学校の決まりや先生の範囲の説明で確かめ、出るなら4段の白紙の練習を2回に増やします。夏休みや冬休みのような長い休みは、覚えた冒頭を休みの初めと終わりに1回ずつ声に出せば足ります。休み明けに暗唱がある場合は、休みの最後の週に3段目からやり直します。

よくある失敗と直し方

失敗1 ネットの本文や友だちのプリントで覚えた

手近な本文で覚えると、表記が教科書と違うことに気づかないまま、その形が声にも手にも染みつきます。「山際」と覚えた人が、「山ぎは」と書く教科書の書き取りに向かうと、意味は合っているのに字が違うという、本人には納得しにくい間違いになります。

直し方は、覚え始める前に本文を自分の教科書から写し直すことです。すでに覚えてしまった場合は、教科書と照らして違う字だけを赤で囲み、その区切りだけを3回書きます。覚えた全体を捨てる必要はありません。

失敗2 通し読みばかりで、後半が薄い

毎回頭から通すと、前半は何十回も口にするのに、後半は止まるたびに練習が途切れて回数が少なくなります。冒頭が長い作品ほど、前半だけがなめらかで、後半が細っていく形になります。

直し方は、練習の半分を後ろから組むことです。最後の区切りだけ、最後の2つ、最後の3つと、後ろから前へ足していきます。後半が先に固まると、通したときに最後まで同じ勢いで言い切れます。

失敗3 止まったら最初から言い直す

先頭にしか入口が無いので、言い直すたびに同じ勢いで同じ所に着き、また同じ所で止まります。前に出て言っている最中なら、焦りが重なってさらに出てこなくなります。

直し方は、図3のように、止まったらその区切りの頭に戻り、区切りの絵を思い出してから続きを言うことです。「やうやう白くなりゆく」で止まったなら、「やうやう」から言い直しながら、山のすぐ上の白んでいく空を思い浮かべます。区切りがひと息になっていれば、「山ぎは」は絵と一緒に出てきます。言い直しをどう扱うかは先生の決め方なので、暗唱の前に聞いておくと、止まっても落ち着いて戻れます。

図3 止まったときの2つの戻り方と、それぞれの行き先

よくある質問

平家物語の冒頭は漢語が多くて、暗記のコツがつかめません

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。」は、2つの文が同じ形で並んでいます。前の文は、寺の鐘の音に「すべては移り変わる」という響きがある、と言い、後の文は、木の花の色が「勢いのある者もいつかは衰える」という道理を表す、と言います。寺と木、鐘の音と花の色、という組を先に持つと、四字の言葉が置き場所を見つけます。枕草子と違うのは、漢字の書き取りが別の壁になることです。書き取りが出る場合は、四字の言葉だけを先に取り出して練習し、読みと字(娑羅か沙羅か)は教科書のふりがなと表記で確かめます。

竹取物語は、冒頭のどこまで覚えればよいですか

範囲は先生の指示がすべてです。「今は昔、竹取の翁といふものありけり。」の一文で区切る場合もあれば、その先まで続く場合もあります。物語の冒頭は「いつ・だれが・どうした」の順に進むので、区切りもその順に、「今は昔」「竹取の翁といふもの」「ありけり」と置けば足ります。気をつけたいのはやめどきです。範囲の外まで覚えようとすると、範囲の最後の区切りが薄くなります。範囲の終わりの一文を他より多めに言って、そこで手を止めてください。

奥の細道の冒頭は、意味がつかみにくいです

「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。」は、月日を旅人にたとえた一文です。「月日はずっと旅を続ける旅人のようなもので、来ては去っていく年もまた旅人だ」という意味の芯を先に持ちます。前半の「月日は」と後半の「年も」が向かい合っているので、区切りは「にして、」の後ろに置きます。もう1つ気をつけたいのは題名です。ひらがなで「おくのほそ道」と書く教科書もあれば、漢字で書く資料もあります。題名まで書かせる問題に備えるなら、教科書の書き方にそろえておきます。「百代」「過客」の読みも、教科書のふりがなで確かめてください。

保護者が手を貸すなら

お子さまが暗唱の練習をしているときは、聞き役になるのがいちばんの手伝いです。教科書を開いて横に座り、本文を目で追いながら最後まで聞きます。止まっても、すぐに続きを言わないでください。5秒ほど待ち、それでも出なければ、止まった区切りの最初の一語だけを小さく言います。続きを全部言ってしまうと、本人が思い出す機会が消えてしまいます。言い終わったら、間違えた所を並べるより先に「どこで止まった」と聞き、本人の口から場所を言ってもらいます。歴史的仮名遣いの読みに家の人が自信を持てなくても構いません。教科書のふりがなを一緒にのぞくだけで足ります。聞く回数は1回の練習につき1〜2回までにして、いつ聞いてもらうかは本人に決めてもらうと、見張られている感じになりません。

個別指導で確かめること

暗唱で止まる生徒には、まず教科書の本文を声に出して読んでもらい、歴史的仮名遣いの読みと区切りの位置が合っているかまで戻って確かめます。読めているのに止まる場合は、意味の絵が抜けている区切りを探し、その区切りだけを一緒に現代語の短い言葉にしていきます。それでも止まるときは、区切りの番号だけを告げて途中から言い出せるかを試し、入口が先頭にしか無いのかどうかを確かめます。

まとめ

昨夜の10回の音読は、明日の朝、1回の思い出す練習に置きかえてください。チャイムまでの3分でやるべきことは、頭から言い直すことではありません。「やうやう」に戻り、山のすぐ上の空を思い浮かべることです。廊下で消えた続きは、その白みはじめた空の中に置いてあります。

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