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私立高校の授業料無償化—年45万7200円で足りるか、自己負担の計算|武蔵野個別指導塾

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全国平均の授業料と支援の上限の差は131円でも、入学料と施設費は支援の外にあり、都内在住で東京都の平均なら初年度に479,363円が残ります。

足りるのは授業料の欄だけです。私立の全日制の授業料は全国平均で年457,331円、国の就学支援金の上限は年457,200円で、差はわずか131円です。ところが入学料と施設整備費等に支援は届かず、初年度にはまとまった額が残ります。文部科学省の令和6年度の調査の平均で計算すると、次の表になります。

初年度の欄 全国平均 東京都の平均(都内在住)
授業料 457,331円 486,531円
国の就学支援金で消える分 457,200円 457,200円
東京都の助成で消える分 計算に入れず 29,331円
入学料 165,898円 253,782円
施設整備費等 157,232円 225,581円
初年度に残る額 323,261円 479,363円

制服、教材、修学旅行の積立、定期代は、この表の外にあります。支援の額は2026年度時点のもので、最新は学校と都道府県の窓口で確かめてください。

よくあるのは、私立の学校案内を広げた食卓という場面です。夕飯の皿を下げたあと、お子さまが見学で気に入った学校の冊子を開き、親は巻末の学費の表に指を置きます。授業料の下に、入学金、施設費、教育充実費、後援会費と欄が続きます。聞いていた無償化の額を電卓で引いても、数字はゼロになりません。「無償じゃなかったの」という一言に、ここからは欄を一つずつ分けて答えます。

45万7200円は、授業料の欄にしか届きません

就学支援金は2026年4月に所得制限がなくなり、私立の全日制なら世帯の年収にかかわらず年457,200円、月にして38,100円が上限です。返済は要りません。ただ、お金の通り道を見ると印象が変わります。文部科学省の案内によると、受け取るのは学校の設置者で、生徒に代わって受け取って授業料に充てます。家庭の口座に45万円が入る制度ではありません。

届く先は授業料に限られます。東京都私学財団の案内は「授業料には施設費や積立費等は含まれません」と明記しています。図1は、文部科学省の令和6年度の調査から、私立の全日制の初年度納付金の平均を同じ縮尺で並べたものです。調査の「入学料」は学校案内の入学金にあたります。図1のように、緑の授業料には支援が届き、オレンジの入学料と赤の施設整備費等には届きません。東京都の平均では、棒のほぼ半分が支援の外にあります。

図1 初年度納付金の平均を全国と東京都で並べ、支援が届く範囲を示した図

ここで、授業料の安い学校ほど家計に軽いと思い込むと間違えます。同じ調査の都道府県別の平均を見ると、大阪府は授業料605,162円に施設整備費等31,398円、岡山県は授業料399,200円に施設整備費等377,968円です。授業料と施設費の配分は、これだけ違います。岡山県の平均の授業料なら上限まで58,000円余りますが、余った枠を施設費に回すことはできません。比べるのは授業料の欄ではなく、支援を引いたあとの合計です。

なお、2026年3月以前から在籍している生徒には経過の扱いがあり、細部は学校と都道府県で確かめることになります。ここから先の計算は、これから入学するお子さまの場合です。

自己負担は、授業料の高さと住所で決まります

計算は引き算です。学校案内の授業料の欄から国の支援金を引き、住んでいる都道府県の上乗せを引きます。ゼロを下回れば残りはゼロで、差額を受け取ることはありません。「年間納入額」の合計から引くと、支援の届かない欄まで消してしまうので、必ず授業料の欄だけを取り出します。月額で書かれていれば12倍します。

東京都の助成(上限43,800円)を例に、授業料が違う3校で計算すると次のとおりです。

授業料の年額 国の支援金 都の助成 残り(都内在住) 残り(都の助成なし)
400,000円 400,000円 0円 0円 0円
480,000円 457,200円 22,800円 0円 22,800円
550,000円 457,200円 43,800円 49,000円 92,800円

図2のように、授業料が40万円の学校は国の枠の内側に収まり、48万円の学校は都の助成で埋まり、55万円の学校は合わせた上限の501,000円を超えた分が赤く残ります。55万円の学校の残りは、都内在住なら月にして約4,100円、3年で147,000円です。都の助成が使えず、住んでいる県の上乗せもなければ、月に約7,700円、3年で278,400円になります。

図2 授業料が年40万、48万、55万円の学校で残る額を都内在住で比べた図

授業料以外も足して、3年の見通しを立てます。2年目以降は入学料が消え、施設整備費等だけが同じ額で続くと置きます。全国平均なら初年度が323,261円、2年目と3年目が各157,363円で、合計637,987円です。東京都の平均で都内在住なら、初年度が479,363円、2年目と3年目が各225,581円で、合計930,525円です。施設費が入学時だけの学校もあれば、毎年かかる学校もあるので、この置き方が当たるかどうかは学校の表でしか確かめられません。

入学料と施設費の重さは、地域で違います

支援の外に残る額を首都圏で並べます。文部科学省の令和6年度の調査の平均です。

地域 授業料 入学料 施設整備費等 入学料と施設整備費等の計
全国 457,331円 165,898円 157,232円 323,130円
東京都 486,531円 253,782円 225,581円 479,363円
神奈川県 480,228円 221,032円 280,666円 501,698円
埼玉県 402,658円 221,802円 210,037円 431,839円
千葉県 383,133円 152,176円 231,302円 383,478円

首都圏の4都県は右端の列が全国平均より6万〜18万円ほど重く、授業料が上限を下回る埼玉県と千葉県でも38万〜43万円あります。これは平均なので、志望校の募集要項の数字に置き換えて使ってください。

学校に納める額だけでも、まだ足りません。文部科学省の子供の学習費調査(令和5年度、2026年の訂正後)は、保護者が実際に出したお金を項目別に集めています。私立の全日制で、授業料と入学金等を除いた年間の平均は次のとおりです。

項目 年額の平均 中身の例
通学関係費 136,790円 通学の交通費、制服
学校納付金等 127,346円 施設整備費等、学級費、PTA会費
図書・学用品・実習材料費等 73,312円 授業の図書、文房具、実験実習の材料
教科外活動費 63,440円 クラブ活動、運動会、芸術鑑賞会
修学旅行費等 62,778円 修学旅行、遠足、見学
その他 9,524円 上の項目に入らないもの
計 473,190円 月にならすと約39,400円

就学支援金の上限は月38,100円ですから、授業料の欄が消えても、それを少し超える額が毎月別の欄から出ていく計算です。入学金等の80,290円を足すと年553,480円、3倍すると1,660,440円になります。ただし、この調査の学校納付金等には施設整備費等が含まれるので、先の表の施設整備費等と足すと二重に数えます。2つの調査は、別の物差しとして見てください。学校の外で使う学校外活動費は平均で年346,611円あり、ここには入れていません。

都道府県の上乗せは、住所で決まります

国の就学支援金は国の制度なので、住まいと別の都道府県の学校に通っても対象です。上乗せは事情が違います。文部科学省の案内は、都道府県が独自の支援事業を国の制度に重ねている場合があり、要件は制度ごとに違うとしています。問い合わせ先は、お住まいの都道府県か学校のある都道府県です。

東京都の授業料軽減助成金は、確かめやすい例です。上限は年43,800円で、国の分と合わせて年501,000円まで、ただし実際に負担した授業料が上限です。所得は問いません。条件は住所で、生徒と保護者が都内に住んでいること(2026年度は5月1日から申請時まで引き続き。例外の扱いは東京都私学財団の案内にあります)です。都外の私立に通っていても対象になります(通信制課程を除く)。逆に、都外に住んで都内の私立に通う場合、都の助成は使えません。国と都は別々の申請で、国の支援金だけで授業料が全額埋まるなら都の申請は要りません。

時期も別です。東京都の案内では国の分は主に6月、都の分は7月で、2026年度の都の通常の受付は7月1日から31日まででした。やむを得ず申請できなかった方のために、2027年1月上旬に特別申請の期間を設ける予定と案内されています。振込は、都内の学校なら10月、12月、翌年3月のいずれか、都外の学校なら12月か翌年3月のいずれかです。

授業料以外には、高校生等奨学給付金があります。教科書費や教材費などを支える返還不要の給付で、所得の要件があります。文部科学省の令和8年度の案内が私立の全日制で示すイメージは、住民税非課税の世帯に約15万円、年収目安270万円以上380万円未満の世帯に約5万円、380万円以上490万円未満の世帯に約4万円です。年収は、親のどちらか一方が働き、高校生と中学生が1人ずついる4人世帯の目安です。就学支援金とは別の申し込みで、都道府県によって実施の状況が違い、給付するのは保護者の住む都道府県です。新入生は4〜6月に一部の早期支給を申請できると案内されています。

入学時に要るお金は、この順番で出ていきます

順番が問題になるのは、支払いが先で、支援が後だからです。図3は都内在住の家庭を例に、上の段に払うお金、下の段に手続きと入金を並べました。図3のように、上の段は4月までにほぼ終わり、下の段は6月ごろから始まります。

図3 入学前後の支払いと、支援の申請と入金の順番を並べた図
  1. 出願のとき。受験料が併願の数だけ出ていきます。
  2. 合格の直後。入学金の締切は募集要項にあります。都立を受けるなら、都立の発表まで納入を待てる学校かどうかを先に確かめます。子供の学習費調査の入学金等には、併願で実際には入学しなかった学校へ納めた額まで含まれています。戻らないものとして数えておくのが安全です。
  3. 入学の前。施設費、制服、指定の品、教材が続きます。施設費を入学金と一緒に集める学校もあります。
  4. 4月。授業料の始まりです。文部科学省の案内では、基本は授業料を集める時点で支援金を差し引きますが、先に全額を集めて後から差額を還付する学校もあり、還付の時期は学校に確かめることになっています。経済的に困難な家庭には、徴収の猶予が使える場合もあります。
  5. 6月ごろ。国の申請です。学校から配られる通知書のログインIDで、オンラインで手続きします(学校や都道府県から別の案内があれば、それに従います)。支給は原則として申し込みの月から始まるので、提出期日に遅れられません。
  6. 7月。都の申請です。国の分とは別に、改めて手続きします。
  7. 10月以降。都の助成が振り込まれます。国の分の決定が遅れると、振込も遅れる場合があります。

いちばん重い形を数えておきます。東京都の平均で授業料を年額で先に集める学校なら、春までに965,894円が動き、そのうち486,531円が後から戻ります。最後に残るのは479,363円です。通帳が耐えられるかは前の数字で、3年間払えるかは後の数字で判断します。この2つを混ぜると、払えるはずの学校を諦めることにも、払えない月を見落とすことにもなります。

つなぎの資金は、日数から逆に数えます。日本政策金融公庫の案内によると、国の教育ローンは高校の入学金や授業料にも使え、上限はお子さま1人につき350万円(条件により450万円)です。金利は令和8年11月2日現在で年4.60%、返済は20年以内で、世帯年収の上限があります。合格発表の前から申し込めます。申し込みの完了から審査結果まで10日前後、振込までさらに10日前後かかり、10月から3月は混み合うので、必要な時期の2〜3か月前が目安とされています。東京都には生徒本人に無利子で貸す育英資金があり、申請は各学校の定める期間内(4月からおおむね1〜2か月)です。入学時の費用を支える入学支度金は、制度の有無が学校によって違います。借りるかどうかは家庭の判断ですが、日数だけは今のうちに数えてください。

よくある質問

世帯年収が高い家庭も対象ですか

対象です。2026年4月の改正で所得の上限はなくなり、東京都の授業料軽減助成金も所得を問いません。ただし、黙っていても支給は始まりません。東京都の案内では、国の分も都の分も毎年度の申請が要ります。国籍や在留資格には別に要件があるので、該当する場合は学校に確かめてください。

授業料が上限より安い学校なら、差額は受け取れますか

受け取れません。支援は在学校の授業料が上限で、授業料が40万円の学校なら57,200円分の枠はどこにも届きません。施設費に回すこともできません。言い換えると、上限の内側では授業料の高い低いは家計に響かず、差がつくのは施設費から下の欄です。

留年したらどうなりますか

文部科学省の案内では、支給は全日制で原則36か月までで、3年を超えて在学している生徒は対象外です。3年分の上限を足すと1,371,600円で、4年目の授業料は原則として家庭の負担になります。在学が延びそうなときは、学校と都道府県に早めに相談してください。

都立に通うのと同じ負担になりますか

なりません。公立の全日制の上限は年118,800円で、授業料の差は小さくなりました。けれど子供の学習費調査(令和5年度)で授業料を除いた学校教育費を比べると、私立は年553,480円、公立は年306,251円で、差は年247,229円、3年で741,687円です。差の大きい順に、学校納付金等、入学金等、通学関係費が並びます。

2027年4月に入学する場合も同じ額ですか

同じとは言い切れません。東京都の案内にも、翌年度以降は変更となる場合があると書かれています。文部科学省の令和9年度の概算要求の資料に載っている私立の上限は同じ45万7200円ですが、要求の段階の数字です。決まったら、この計算の457,200円と43,800円を差し替えてください。引き算の形は変わりません。

確かめる順番

今週の食卓でできることを順に並べます。図3の上の段を、志望校の日付で埋めていく作業です。

  1. 志望校の募集要項か学校案内から、授業料、入学金、施設費、その他の納付金を1行ずつ書き写します。年額か月額か、毎年か入学時だけかを横に書きます。
  2. 授業料から457,200円を引きます。マイナスなら残りは0円です。
  3. 住所の都道府県に上乗せがあるかを窓口で確かめます。都内在住なら合わせて501,000円までです。
  4. 学校に3つ聞きます。支援金は授業料から差し引くのか、後から還付するのか。還付はいつか。施設費は毎年かかるのか。
  5. 併願校の合格発表と入学金の締切を1枚の紙に並べ、都立の発表より前に払う額を出します。
  6. 立て替える額が手元を超えるなら、融資の日数を締切から逆に数えます。奨学給付金の所得の目安は、マイナポータルの「わたしの情報」で住民税の所得割額を見れば確かめられます。

進路の話とつなげる

お金の心配は、志望校の数と併願の組み方にそのまま響きます。1校増えれば受験料が増え、発表の順番によっては入学金を2回払う月が生まれます。学費を理由に候補から外すなら、残る額を計算してから外してください。計算しないまま消した学校は、二度と候補に戻りません。私たちが個別指導の進路相談で受けるのは、学費の表の読み方と、併願の順番、出願の時期の並べ方です。融資や税の判断は、公庫や税務の窓口に任せます。

まとめ

無償化は、親から学費の心配を取り上げてはくれませんでした。心配の置き場所を、授業料の欄から、その隣の欄と支払いの月へ動かしただけです。隣の欄は学校ごとに違い、支払いの月は併願の組み方で変わります。だから平均の額をいくら覚えても、出願する学校は決まりません。食卓で信じてよい数字は、志望校の表から引き算して電卓に残った一つだけです。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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