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小論文で理由を2つ書く—「一つ目」「二つ目」が同じ理由の言い換えにならない並べ方|武蔵野個別指導塾

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「便利だから」と「役に立つから」が同じ反論で2つとも倒れるなら、それは1つの理由です。高校生のアルバイトを例に、本人の側と地域の側から1つずつ選んだ理由を、反論につながる順に並べ替えられます。

小論文で理由を2つ書くなら、2つは別々の「軸」から1つずつ選びます。軸とは、誰にとっての話か、いつの話か、何と何を比べた話か、という理由の向きのことです。見分け方は単純です。思いつく反論を1つ当ててみて、2つの理由が同時に倒れるなら、それは同じ理由の言い換えです。片方が押されても、もう片方が主張を支えて残るなら、2つにした意味があります。別の軸の理由がどうしても見つからない問いなら、無理に2つにしません。1つの理由を具体例と反論への応答で厚くした方が、答案の筋は通ります。「一つ目」「二つ目」と番号を振るのは、この選び分けが済んでからです。

よくあるのは、「高校生のアルバイトを認めるべきか」という問いの下書きで、理由の欄に「自分のお金があると便利だから」「社会に出てから役に立つから」と2行を並べ、そこでペンが止まっている場面です。書いた本人は、理由を2つそろえたつもりでいます。ところが2行を続けて読むと、どちらも「働く本人が得をする」という同じ話をしています。「便利」と「役に立つ」は言葉こそ違え、指している先は一つです。この2行を、別々の地面に立つ2本の理由に組み替えていきます。

「便利だから」と「役に立つから」が、一つの理由に読めてしまうわけ

理由を2つ並べるのは、数をそろえて立派に見せるためではありません。1つ目の理由に反論が来て崩れても、2つ目が主張を支えて残るようにするためです。橋の脚にたとえると、脚が2本あっても、同じ地面に並んで立っていれば、その地面が崩れたとき2本とも沈みます。2本目の脚に意味があるのは、1本目とは別の地面に下ろしたときです。

冒頭の2行を、この見方で確かめてみます。思いつく反論を1つ当てます。たとえば「本人が得をするとしても、学業の時間を削ってまで手に入れる物ではない」という反論です。この一言で、便利さも将来の役立ちも同時に押し返されます。どちらも「本人の得」という一つの地面に立っているからです。読み手には、2つの理由が並んでいるのではなく、1つの理由を2回言い直した答案と受け取られやすくなります。

教室で下書きを見るとき、2つの理由の段の最初の文に線を引いて、主語を比べてもらうことがあります。言い換えになっている下書きでは、2本の線の主語がどちらも「自分」や「働く人」で、述語の「便利だ」「役に立つ」が入れ替わっているにすぎません。もう一つよく見るのは、2つ目の段が1つ目より短く、最後の文が「このように、アルバイトには良い点が多い」と主張の言い直しで閉じている形です。2つ目に言うことが残っていなかった跡が、そのまま答案に出ています。

もう一つの弱さは、「便利だから」がまだ理由の名札でしかない点です。何が、誰にとって、どの場面で便利なのかが書かれていないので、主張とのつながりを読み手が自分で補うしかありません。主張を言い切ったあと、なぜそう言えるのかを説明の文と具体例で積み上げた一まとまりが、理由の段です。名札を2枚並べても、主張を支える段はまだ一つもできていません。

そこで、2つの理由を選ぶ前に軸を決めます。軸は、理由がどの向きから主張を見ているかを表す札です。図1の左の「言い換えの2つ」は、2本の脚がどちらも「本人の得」という同じ地面に立っているので、反論1つで両方倒れます。右の「軸をずらした2つ」は、1本を働く本人の側から、もう1本を地域の側から立てています。地域の側の理由、たとえば「夕方の人手が足りない近所の店を、歩いて通える高校生が支えている」は、本人の学業を持ち出す反論では倒れません。片方の脚が押されても、もう片方が残ります。

図1 同じ地面に立つ2つの理由と、軸をずらした2つの理由

軸の立て方は、誰にとっての話か(本人と社会)、いつの話か(短い期間と長い期間)、何と何を比べた話か(費用と効果)の3つから探すと、手がかりをつかみやすくなります。どの軸を選んでも、立場の正しさそのものは決まりません。認める側でも認めない側でも、理由が別々の地面に立っていれば、答案は反論を受け止められます。設問に「理由を二つ挙げて」のような指示が無ければ、2つという数も決まりではなく、答案を倒れにくくするために書く人が選ぶ組み立ての一つです。型は手段で、ねらいは主張から結論までの筋が通ることにあります。

小論文の理由の書き方—候補を出し、札で分け、2つを選ぶ7つの手順

ここからは、試験の中で構成メモを作る場面を前提に、理由を2つ選んで段落に書くまでを順に追います。分の数は、たとえば60分の試験を想定して教室で練習するときの配分で、決まりではありません。設問が理由の数や段落の数を指定していれば、その指定に合わせて組み替えます。

  1. 立場を一文で決めます(1分・下書き用紙の1行目)。「高校生のアルバイトは、勤務の時間に週ごとの上限を設けることを条件に認めるべきだ」のように、条件まで一文に入れます。条件つきの立場は、理由を選ぶときにも効きます。条件そのものが、あとで来る反論を先回りして受け止める場所になるからです。立場があいまいなまま理由を探すと、認める理由と認めない理由が混ざって出てきて、2つを選ぶ段で迷います。

  2. 理由の候補を語で出します(3分・下書き用紙の余白・5つ以上)。文にせず、語と矢印で書きます。アルバイトの問いなら「お金の感覚」「時間の使い方」「店の人手」「職場の大人と話す」「進路を考える材料」「一人暮らしの準備」のように並べます。似た物が出ても、この段階では消しません。「便利」「役に立つ」のような名札しか浮かばないときは、前に「誰が」「何に」を足すと、「本人が、使い道を自分で決めるのに便利」のように中身のある候補に変わります。

  3. 候補の横に軸の札を付けます(1分)。「本」(本人)、「社」(社会・地域)、「短」(いま・在学中)、「長」(卒業後)、「費」(かかる物)、「効」(得られる物)のような1字の札です。1つの候補に札が2つ付いてもかまいません。札を書き込むと、同じ札ばかりが並んでいることに目で気づけます。冒頭の「便利」「役に立つ」に札を付けると、どちらにも「本」が付きます。

  4. 札の違う候補から1つずつ選びます(1分)。下の表は、アルバイトの問いで組める軸の例です。どの行も、一つ目と二つ目の理由が別の札から来ています。

軸の組み合わせ 一つ目の理由の例 二つ目の理由の例
本人と社会 働く本人が、自分の時間とお金の釣り合いを体で覚える 夕方や週末の人手が足りない地域の店を、近くの高校生が支える
短い期間と長い期間 在学中に、自分で使うお金の計画を立てる練習になる 卒業後に一人で暮らすとき、家賃や食費の見積もりに慣れている
費用と効果 勤務の時間に上限があれば、学習の時間が減るという費用は小さく抑えられる 上限の内側で働いても、職場の大人と話す経験という効果は得られる
  1. 選んだ2つに同じ反論を当てます(1分)。「学業がおろそかになる」という反論を1つ、2つの理由に順に当てます。2つとも言い返せずに黙るなら、まだ同じ地面に立っています。片方が押されても、もう片方が「それでも夕方の店の人手の話は残る」と言い返せるなら、組み合わせは決まりです。当てた反論は消さずにメモに残します。答案の後半で、反論に応える段の材料になるからです。ここまでの1から5を合わせて、7分ほどです。

  2. 順番を決め、段落を分けて書きます。どちらを先に書くかは、読み手が受け入れやすい方を先に、反論への応答につなげやすい方を後に置くのが一つの決め方です。アルバイトの例なら、本人の側の理由は身近で受け入れられやすいので先に置きます。学業の反論が届きにくい地域の側の理由を後に置けば、反論の段に入る直前に、倒れにくい方の脚を読み手に見せておけます。迷ったら、メモの番号を入れ替えて、両方の順で1回ずつ頭の中で読みます。段落は理由1つにつき1つです。段落の最初の文に「第一に」「第二に」などのつなぎの言葉と理由の中心を置き、続けて、なぜそう言えるのかの説明、それを見せる具体例、主張へ戻る一文の順に書きます。

  3. 書き終えたら、2つの段の最初の文を並べて読みます(1分)。2つの理由の段の最初の文に線を引き、その2文を続けて読みます。主語が同じで、述語が言い換えになっていたら、2つ目の段を札の違う候補に差し替えます。練習では、差し替えて書き直すところまで行います。本番で残りの時間が少ないときは、2つ目の段の最初の文に、誰にとっての話かを示す語(「地域の店にとって」など)を足すことから手を付けます。

6の段落の長さは、たとえば800字の答案なら、序論120字、一つ目の理由220字、二つ目の理由220字、反論と応答140字、結論100字のように割り振ると、2つの理由の段が同じ長さで並びます。図2は、この割り振りを長さに比例させて帯にしたものです。800字でない問いでは、2つの理由の段を同じ長さにそろえる考え方を残して、数を組み直します。2つの理由の段の長さを近づけておくのは、2つ目が1つ目の半分ほどしかないと、読み手には付け足しの理由に見えやすいからです。

図2 800字の答案で、2つの理由の段に同じ長さを割り振る例

段落の頭に置くつなぎの言葉は、次の表のように使い分けます。どれを選んでも誤りではありませんが、段落の頭に置く言葉は、1つの答案の中で一組にそろえます。

言い方 合う場面 気をつけること
第一に/第二に 理由を段落ごとに分けて書くとき 「第一に」で始めたら、2つ目も「第二に」で受ける
一つ目は/二つ目は 「理由は二つある」と先に数を示したとき 「一つ目は〜からだ」と、述語を理由の形で閉じる
まず/次に 時間の順に起きることを並べるとき 手順の順に読まれやすいので、重みのある理由を2つ並べるのには向かない
また 1つの段の中に短い理由を足すとき 段落の頭に置くと、2つ目の理由が付け足しに読まれやすい

理由の中心の文は、「〜からだ」「〜ためだ」で閉じます。「なぜなら」を使うなら、主張の文のすぐ後に置き、その文の終わりを「〜からだ」で受けます。「なぜなら」で始めて「〜からだ」で閉じる形は、どこからどこまでが理由かを読み手に示す囲いの役をします。囲いの片方が欠けると、理由の終わりが見えなくなります。

アルバイトの答案で、理由の段を直す前と直した後

例文は答案らしく「だ・である」で書いています。直した後の文も、書き方の一つの例として読んでください。

1組目 2つの理由が同じ地面に立っている答案

冒頭の下書きを、そのまま答案の形にすると次のようになります。直す前の文です。

私は高校生のアルバイトに賛成である。一つ目の理由は、自分で使えるお金があると便利だからだ。欲しい物を親に頼まずに買える。二つ目の理由は、社会に出たときに役に立つからだ。働いた経験は将来きっと生きる。このように、アルバイトには良い点が多い。

弱い所は4つあります。2つの理由がどちらも「本」の札で、学業の反論1つで両方押し返されます。「便利」「役に立つ」が名札のままで、何がどう役に立つのかが書かれていません。最後の文は主張を言い直して閉じているので、2つ目の理由の段が付け足しに見えます。立場も「賛成」の一語で、どこまで認めるのかの線がありません。

直した後の文です。2つの理由の軸をずらし、立場に条件を入れました。

高校生のアルバイトは、勤務の時間に週ごとの上限を設けることを条件に、認めるべきだ。第一に、働く本人にとって、自分の1時間が誰かの対価になる経験は、教室では得にくいからだ。給料の明細を見て使い道を自分で決める習慣は、上限の内側で働いても身につく。第二に、地域の側から見ても、高校生の働き手には意味があるからだ。夕方や週末に人手が足りない近所の店にとって、歩いて通える高校生は日々の営業の支えになる。

一つ目を本人の側、二つ目を地域の側から立てています。学業の反論は一つ目を押せても、二つ目の店の人手の話には届きません。立場に「週ごとの上限」という条件を入れたので、その反論に対しては、次の段で上限の内側なら両立できると応える道も残っています。

2組目 「なぜなら」の後に体験を置いた答案

反論に応える段で「なぜなら」を使った所です。直す前の文は次のとおりです。

なぜなら、私の兄は高校生のときに週4日アルバイトをしていたが、成績は下がらなかった。だから、アルバイトをしても勉強はできる。

「なぜなら」で始めた文が「下がらなかった」で終わり、理由を受ける「からだ」が来ていません。読み手は、どこまでが理由なのかを自分で区切ることになります。もう一つは、兄という一人の体験を、理由の座に置いている点です。一人の例は、成績が下がった別の一人を挙げられると、たちまち釣り合ってしまいます。

直した後の文です。

勤務の時間に上限があれば、学業との両立は本人の計画で成り立つ。なぜなら、働く日と勉強する日を週の初めに決めておけば、試験の前の週は勤務を減らすといった調整ができるからだ。たとえば、平日は2日、1日3時間までと決めれば、働く時間は週に6時間に収まり、残りの夕方は学習に回せる。

「なぜなら」と「からだ」で理由を囲み、その後に「たとえば」で例を置いています。兄の体験を使いたいなら、この「たとえば」の位置に下げれば、理由を見せる例として生きます。

2つ目の理由が崩れる、よくある3つのつまずき

1つ目は、二つ目の理由の座に具体例を置いてしまうことです。「一つ目の理由は〜からだ。二つ目に、私の友人は〜」と、理由の次に体験を並べると、体験が理由と同じ高さに立ちます。図3の左のように、理由と体験の一例が同じ段に並ぶ形です。直すときは、図3の右のように、例を理由の下に置きます。体験は一つ目の理由の段の中に「たとえば」で下げ、二つ目の理由は札の違う候補から新しく立てます。具体例は「どんなふうに」を見せる物で、「なぜ」には答えていないからです。

図3 理由と体験の一例を同じ段に並べた形と、例を理由の下に置いた形

2つ目は、理由の文の主語と述語がねじれてしまうことです。「一つ目の理由は、自分のお金があると便利だ。」と書くと、「理由は」に対して「便利だ」が答えていません。「一つ目の理由は、使い道を自分で決められるからだ」か「一つ目の理由は、使い道を自分で決める経験ができることだ」のように、「理由は」を「からだ」か「ことだ」で受けます。「なぜなら」で始めた文も、読み終えたところで「からだ」が来ているかを指でたどって確かめます。長い文ほど途中で別の文に乗り換えて、終わりが迷子になりやすいので、「なぜなら」の文は60字ほどまでを教室での目安にしています。

3つ目は、理由を3つに増やして、どれも薄くなってしまうことです。図2の800字の割り振りのまま理由を3つにすると、序論と反論と結論を除いた440字を3つで分けることになり、1つの段は150字に届きません。これでは、理由の文と具体例を1つずつ書く場所も足りなくなります。3つにしてよいのは、3つ目が残りの2つと別の札から来ていて、それぞれの具体例まで指定の長さに収まるときです。収まらないなら3つ目は消して、2つの段を厚くする方に字を回します。

よくある質問

「一つ目」「二つ目」と書くと、幼く見えませんか

見え方を決めるのは、番号の言葉より、2つの段の中身が別々の向きを向いているかどうかです。「一つ目は」「二つ目は」は、先に「理由は二つある」と数を示したときに自然につながり、「第一に」「第二に」は段落の頭で短く締まります。どちらを選んでもかまいませんが、1つの答案の中では片方にそろえます。小論文の「一つ目」「二つ目」の書き方で気をつけたいのは、番号の後の述語を「〜からだ」「〜ことだ」と理由の形で閉じることです。

小論文の「なぜなら」は、何回まで使ってよいですか

使う回数は、問題に指示が無ければ書く人が決めます。教室で練習するときは、たとえば理由の段ごとに1回までを目安にしています。「なぜなら」が何度も続くと、文の頭が同じ形でそろってしまい、どれが主張を支える中心の理由なのかが見えにくくなるからです。2つ目の理由は「第二に、〜からだ」と書けば、「なぜなら」を重ねなくても理由の形を保てます。

理由が1つしか思いつかないときは、どうすればよいですか

時間の軸を動かすと、2つ目が見つかることがあります。アルバイトの問いで、在学中のお小遣いの話しか出てこないなら、卒業して一人で暮らし始めた月の家計を思い浮かべます。家賃を払う日に慌てずに済むかどうか、という長い期間の話が、2つ目の候補になります。札を付け直しても別の候補が出ないなら、その問いは1つの理由を深く掘る方が向いています。

個別指導で確かめること

2つの理由の段の最初の文を、講師と書く人で1文ずつ読み上げ、主語と述語を並べて比べるところから始めます。言い換えになっていれば、答案の文を直す前に、構成メモの候補の段まで戻り、札を付け直すところからやり直します。

反論は講師の側から1つずつ当て、2つの理由が別々に言い返せるかを、その場のやり取りで確かめます。言い返せた理由の組み合わせは、次に似た形の問いを書くときの候補の出し方の手本として、下書き用紙の隅に残してもらいます。

まとめ

「便利だから」と「役に立つから」は、言葉を変えても、同じ地面に並んだ2本の脚でした。2つの理由は、札の違う候補から1つずつ選び、同じ反論を当てて片方が残るかで確かめ、順番と段落の長さはその後で決めます。働く本人の側と地域の店の側に1本ずつ脚を下ろした高校生のアルバイトの答案は、学業を持ち出す反論に片脚を押されても倒れません。

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