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学校推薦型選抜のメリットとデメリット—年内に決まる代わりに手放すもの|武蔵野個別指導塾

推薦に合格して在学契約を結ぶと、3月31日までの辞退で授業料等が返るという原則の外に立ちます。早く決まる利点と引き換えに何を手放すのか、出願の前に4つの問いで量っておきましょう。
公募推薦(学校推薦型選抜の公募制)で手に入るのは、一般選抜より早く出る結果と、高1から積み上げた評定や活動の記録をまとめて読んでもらえる場です。引き換えに手放すのは、合格したあとに進学先を選び直す自由と、秋の数か月の勉強時間です。しかも手放すものの多くは、出願の日ではなく、合格した日から効いてきます。
| 得るもの | 手放すもの |
|---|---|
| 推薦の合否は2026年12月1日より前には出ないが、12月中に発表する区分なら年内に進学先が決まる | 専願の区分に出すと、受かった大学に入学するという約束が付く |
| 調査書が評価の中心になり、3年分の評定と活動の記録が生きる | 推薦の合格で在学契約を結ぶと、3月31日までの辞退で授業料等が返るという原則の対象から外れる |
| 面接や小論文で、学びたいことへの意欲を自分の口で伝えられる | 志望理由書・面接・小論文の準備に、9月から12月の時間を取られる |
| 一般選抜とは別の観点で評価される機会を、一般選抜の前にもう1つ持てる | 国公立の推薦は1年に1つの大学・学部だけで、受かると、辞退が許されない限りほかに出願した国公立では合格者になれない |
よくあるのは、二者面談の終わりに担任から「推薦も考えてみたら」と言われ、昇降口で靴を履き替えながら、スマートフォンに「推薦 メリット」と打ち込む放課後という場面です。勧められたのはうれしいのに、何かを先に約束させられるような気もします。その引っかかりは当たっています。推薦は、受ける前に決めておくことが一般選抜よりずっと多い入試だからです。
学校推薦型選抜のメリット—結果の早さと、3年分の積み上げ
文部科学省の令和9年度の大学入学者選抜実施要項は、推薦の合否を2026年12月1日より前に出すことを認めていません。逆に言えば、大学が12月のうちに発表日を置いた区分なら、冬休みに入る前に進学先が決まることがあります。ただし、年内に決まるのは共通テストを使わない区分に限られます。共通テストを使う推薦は2027年1月の本試験の点を待つので、結果はどうしても年明けです。発表日は大学ごとに違い、募集要項の試験日程の欄で確かめるほかありません。
2つ目のメリットは、3年分の積み上げがそのまま評価の材料になることです。推薦は、出身高校の校長の推薦にもとづき、調査書を主な資料として選ぶ入試です。調査書には高1から学年ごとの評定が並び、高3の分は、その時点までの直近の成績を高校が総合して判定したものが入ります。一般選抜の合否が主に試験の日の点で決まるのに対して、推薦では、定期テストの前に机に向かった夜の数が紙の上に残っています。要項は大学に、評定の欄だけでなく、総合的な探究の時間や特別活動、指導上参考となる諸事項の欄まで活用するよう求めています。部活動で引き受けた役割も、探究で追いかけたテーマも、読まれる材料です。
3つ目は、面接と小論文で、点数にならない部分を自分の言葉で伝えられることです。なぜその学問を学びたいのか、高校の授業で何に引っかかってきたのか。答えが志望理由書や調査書の中身とつながっていれば、評定の数字に厚みが出ます。塾で推薦の書類の下書きを読んでいても、評定が同じくらいなら、話す材料のある書類のほうが、読み終えたあとに問いを返したくなります。
なお、早く決まった後の数か月は空白ではありません。要項は大学に、入学手続をした人へ入学までの課題を用意するよう努めること、とくに12月までに手続をした人には積極的に行うことを求めています。年内の合格は「春まで休める」という意味ではなく、大学の学びを先に始める合図だと考えてください。
デメリットは合格したあとに来る—専願の約束と授業料等の返還
一般選抜では、合格がそろってから行き先を選べます。推薦では、その選ぶ作業の大部分を出願の前に済ませておかなければなりません。デメリットの正体はここにあります。
私立の公募推薦には、合格したら入学することを条件に受ける専願の区分と、ほかの大学との併願を認める区分があり、どちらなのかは募集要項の出願資格や出願の条件の欄に書かれます。専願で受かれば、1月や2月にもっと行きたい大学の結果が出ても、そちらへ移る道はもう残っていません。国公立はさらに固く、国立大学協会と公立大学協会の2027年度の実施要領は、1人が1つの年度に推薦を受けられるのを1つの大学・学部に限っています。両協会の要領は、推薦の合格者がその大学に手続をして入学するのが「当然」だと書き、合格者がほかに出願していた国公立を受けても合格者にはなれないと定めています。辞退が認められるのは、特別な事情があって推薦した高校の校長が辞退願を出し、大学が許可したときだけです。
お金の話も、合格のあとにやってきます。文部科学省の要項は大学に、3月31日までに入学を辞退すると申し出た人には、納めた授業料等を原則として返すよう求めています。ところが、この原則からは、専願や学校推薦型選抜(これに類する入試を含む)に合格して大学と在学契約を結んだ人が外されています。推薦の合格で在学契約を結ぶと、返還の原則の外に立つことになるわけです。実際にどう扱われるかは大学の入学手続の案内に書かれるので、出願の前に、納付の時期と一緒にご家庭で読んでおいてください。
もう1つ見落とされやすいのが、推薦の名義です。推薦は、高校の校長が「この大学で学ぶのにふさわしい」と判断して出すもので、要項も、志願者が自分の意志だけで出願できる入試ではないと書いています。合格のあとに気持ちが揺れたとき、話を通す相手は大学だけではなく、推薦を出した高校でもあります。
図1は、ここまでの得るものと手放すものから、どの志望先にも関わる3つずつをてんびんに載せた図です。左の「早ければ年内」「評定3年分が生きる」「意欲を面接で話す」と、右の「専願は入学の約束」「授業料等が返る原則の外」「秋の勉強時間」は、左が軽い人もいれば右が軽い人もいます。

推薦は楽な入試ではない—面接と試験、そして秋の勉強時間
「推薦は書類で決まるから楽」という見方は、いまの要項では成り立ちません。推薦では、調査書や推薦書といった出願書類だけで合否を決めず、教科・科目の個別テスト、共通テスト、小論文や面接や実技など、資格・検定の成績のうち少なくとも1つを必ず使い、そのことを募集要項に書くことになっています。さらに2027年度入試から、推薦でも、志望する分野への意欲や適性を面接で評価するのが原則になりました。面接を置くかどうかを大学が決めてよいのは、高校と大学が丁寧に結び付いた非公募型で、合格したら入学すると確約して受けるものです。また、2026年度入試にもう置かれていた区分で面接を入れにくいものは、遅くとも令和11年度(2029年度入試)までに入れればよいとされているので、今年の募集要項に面接の無い公募の区分が残っている可能性はあります。それでも、準備の前提は「面接がある」と置いてください。
準備には時間がかかります。志望理由書は書いて直してまた書き、推薦書の材料は担任に早めに渡し、面接は声に出して練習し、小論文は時間を計って書きます。どれも9月から12月の放課後と週末を確実に削ります。
本当のデメリットは、推薦そのものより、その間に一般選抜の勉強が止まることです。図2は、2026年9月から2027年3月までを、間隔を日数に比例させて並べた暦です。図2のとおり、共通テストの出願は2026年9月15日から10月2日までで、推薦の出願が始まる11月1日の30日前に締め切られています。11月になってから「推薦がだめなら共通テストで」と考えても、もう出願できません。推薦の発表がいちばん早い12月1日だったとしても、共通テストの本試験の2027年1月16日(土)までは46日、一般選抜の個別試験が始まる2月1日までは62日です。秋に止めていた科目を取り戻すには、心もとない日数です。

共通テストに出願済みの高3は、推薦の準備中も共通テストの科目を毎週続けてください。高2は、来年の共通テストの出願期間を来年の実施要項で確かめ、推薦を考えていても9月の出願を見送らないことが、手放さずに済む最初の一手になります。
学校推薦型選抜に向いている人、向いていない人
向いているかどうかは、性格の明るさや話のうまさより、次の4つの問いに「はい」と言えるかで決まります。図3の順に、上から1つずつ確かめてください。
- 合格なら入学する。志望先を1つに絞り、受かったらそこに入ると、家族の前で言い切れるか。専願や国公立の推薦では、この答えがそのまま約束になります。
- 評定が条件に届く。募集要項の出願資格で、評定の条件が全体の学習成績の状況で書かれているのか、特定の教科で書かれているのかを読み、自分の調査書の数字と比べます。届かない区分には出せません。
- 話せる材料がある。探究の時間のテーマ、部活動で引き受けた役割、授業で解けなかった問い。大きな実績より、自分で考えて動いた跡が書類と面接の材料になります。
- 一般の勉強も続く。推薦の準備をしながら、一般選抜の科目を毎週何時間か続ける予定を、紙に書けるか。

図3で1つでも迷いが残るなら、他の方式と比べる側へ進んでください。向いていない人には、はっきりした型があります。まず、比べたい大学がまだいくつも残っている人です。専願の推薦に出すと、比べる前に決まってしまいます。次に、一般選抜が不安だから推薦に逃げようとしている人です。推薦にも書類のほかの評価が少なくとも1つは入り、面接では志望する分野への意欲そのものが評価されます。不安の中身が学力なら、推薦に出しても消えません。そして、模試の点が秋に伸びている最中の人です。伸びている時期の時間を書類づくりに回すと、その伸びが止まります。どの型にも当てはまらず4つとも「はい」と言える人にとって、推薦は、手放すものよりも得るもののほうがはっきり重い入試です。
よくある質問
学校推薦型選抜で受けるほうが一般選抜より有利ですか
方式そのものに有利も不利もなく、評価の物差しが違うだけです。調査書を主な資料にする推薦は、3年間の定期テストと授業での取り組みを積んできた人に合いやすい物差しです。逆に、評定は条件に届かないけれど模試の点は伸びている人には、一般選抜の物差しのほうが合います。どちらが合うかは、志望先の募集要項の評価方法の欄と、自分の調査書の評定を並べて決めてください。
推薦で落ちたら、一般選抜に切り替えられますか
切り替えられます。ただし共通テストの出願は2026年10月2日に締め切られたので、出していない高3は、共通テストを使わない一般選抜の中から出願先を探すことになります。国公立の推薦を受けた人も、不合格に備えて一般選抜に出願しておけます。国立は前期と後期で合わせて2つまで、公立は中期を含めて3つまでです。
高2のうちに決めておくことはありますか
決めるより先に、評定を落とさないことです。調査書には高1からの学年ごとの評定が載るので、高2の学年末の成績も推薦の資料になります。来年の推薦の日程と条件は来年度の要項と募集要項で示されるので、今年の募集要項で区分の形と欄の並びだけを知っておき、数字は来年に確かめ直してください。
保護者として、推薦を勧めてよいか迷っています
勧める前に、「受かったら、その大学に入るか」をお子さまと言葉にしておいてください。専願や国公立の推薦では、合格した時点で進学先がほぼ決まります。入学手続の締切と納付の時期、推薦で在学契約を結んだあとの授業料等の扱いは大学の入学手続の案内に書かれるので、出願の前にご家庭で一緒に読んでおくと、12月に慌てずに済みます。
確かめる順番
推薦を受けるかどうかは、次の順で今週のうちに材料をそろえると決めやすくなります。
- 志望先の募集要項で推薦の区分を探し、専願か併願可か、出願資格の評定、試験の中身(面接・小論文・個別テストなど)、発表日を1枚の紙に書き出す。
- 同じ募集要項か入学手続の案内で、手続の締切、納付の時期、推薦で手続をしたあとの授業料等の扱いを読む。
- 担任か進路指導の先生に、公募推薦で高校の推薦書をもらう手続と、頼む期限を聞く。
- 高3は共通テストに出願済みかを確かめ、一般選抜の出願先と締切を、推薦の発表日と同じ暦に並べる。高2は、来年の共通テストの出願期間を書き込む欄だけを手帳に作っておく。
- 家族で「受かったら入るか」を話して決め、迷いが残る大学は併願可の区分か一般選抜に回す。
1から4は紙を読めば終わります。時間がかかるのは5だけなので、話し合いの日を先に決めてしまうのがいちばんの近道です。
個別指導で確かめること
塾では、募集要項の評価方法の欄と調査書の評定を並べ、条件に届いているかを一緒に読み合わせます。志望理由書の下書きは推薦書の材料と突き合わせ、面接の練習では、書いた中身を自分の言葉で話せるまで質問の角度を変えて繰り返します。推薦の準備に追われる週も、一般選抜の科目を何時間残すかを、週ごとの予定表に書き込んで守ります。
まとめ
推薦の重さは、出願書類の厚さではなく、合格したあとに背負う約束の重さで量るものです。担任の「推薦も考えてみたら」に返事をする前に、合格通知が届いた夜を思い浮かべてください。そこでほかの大学の名前が1つでも頭をよぎるなら、その推薦はまだ出す時期ではありません。
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