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不登校の勉強は何から始めるか—最初の一週間に机に置く物と、戻る学年の決め方|武蔵野個別指導塾

何か月ぶりに教科書を出した日からの一週間、机に置くのは教科書と学校のプリントと1問の紙の3つで足ります。戻る学年は1問ずつ下がり、○が出た段の一つ上で決めます。
不登校の勉強を再開する最初の一週間は、机の上に教科書・学校のプリント・1問だけ書いた紙の3つを置けば足ります。戻る学年は、今の学年の1問から一段ずつ下がり、解けた段の一つ上で決めます。科目は短く終わる物か本人が選んだ物から始め、1日の長さは10分から、どれだけ調子がよくても20分で止めます。新しい問題集を買いそろえる前に、そしてお子さまに「どこまで進んだの」と聞く前に、今夜は本人が出した教科書の横へ、1問だけ書いた紙を1枚置いてください。
よくあるのは、何か月も鞄の底に入ったままだった教科書を、お子さまが昼に自分で取り出す場面です。平日の正午すぎ、家の中は静かで、テレビもついていません。食卓の端に数学の教科書が1冊、表紙を上にして置いてあります。開き癖がついているのは、休み始める前の週に授業で使っていたページで、しおり代わりの小テストの紙が挟まったままです。本人は何も言わず、台所で水を飲んでいます。親はその1冊を見て、うれしさと同時に、ここで何を言えば壊さずに済むのかと息を詰めます。
再開の最初に、子供の側で起きていること
教科書を自分で出したからといって、本人の中で「明日から毎日やる」と決まったわけではありません。最初の一週間に子供の側で起きやすいことを、四つに分けて書きます。どれが当てはまるかは子供によって違い、いくつかが重なることもあります。
どのページを開けばいいのかが、本人にもわからない
休んでいる間も、学校の授業は進んでいます。鞄の中の教科書は休み始めた頃のページで止まっていて、学校が今いる単元とは何十ページも離れていることがあります。本人は「今のページ」を開くべきか「止まったページ」を開くべきか決められず、表紙を眺めたまま時間が過ぎていきます。開くページを親が先に決めてしまうより、まず手が動く1問を置くほうが、本人の迷いは早く終わります。ページを選ぶ迷いを、1問を解くかどうかという小さな迷いに置き換えるわけです。
一度に取り返そうとして、机の上が物で埋まる
久しぶりに机に向かう日は、全部の教科書、たまったプリントの束、新しく買った問題集まで出してしまいがちです。物が多いと、どれから手を付けるかを選ぶだけで疲れ、最初の1問にたどり着く前に席を立つことになります。図1のように、最初の一週間に机の上へ出しておく物は3つに絞り、ほかの物は目に入らない場所へしまっておきます。しまうのは捨てるためではなく、今週は使わないという印です。

始めたことを、家族がどう受け取るかを見ている
自分から教科書を出した日に、家族が大きく喜んだり、すぐに次の予定を足したりすると、本人は2日目の机を「期待に応える場所」と感じ始めます。始めた理由が「自分で出した」から「待たれているから」に変わると、鉛筆を持つ手は重くなります。最初の一週間の親の役は、反応を小さく保ち、机の上を整える側に回ることです。喜びは、本人のいない場所で家族が分け合えば十分です。
集中が続く長さが、学校に通っていた頃と違う
起きる時刻や食事の時刻が変わっていると、以前なら1時間続いた勉強が、15分で途切れることがあります。これは今の様子であって、怠けの印ではありません。短い時間で止める前提に立って始めれば、途切れたことを本人が失敗と受け取らずに済みます。眠りや食欲の様子が続けて気になるときは、勉強の始め方を工夫するより先に、医療機関や学校のスクールカウンセラーに家での様子を伝えてください。
最初の一週間の手順
本人が教科書を出した日を1日目として、7日目までの流れを書きます。日付どおりに進まなくてかまいません。途中で止まった日は、その手順をもう一度やり直せば足ります。
1 教科書を出した日(1日目):机を空けて、そのまま残す
本人が出した教科書は、片付けずにそのまま机に残します。食卓に出したなら、その一角を勉強の場所として空けておきます。親がその日にすることは、机の上からほかの物をどけることと、夜のうちに1問の紙を1枚作ることの二つです。声をかけるなら「机のここ、空けておくね」くらいの短さで足ります。どこまで読んだのか、何をするつもりなのかは、この日には聞きません。
2 1問の紙を作る(1日目の夜)
紙は、手のひらより少し大きいくらいのメモ用紙か、A4を半分に切った物を使います。問題は1問だけ、大きめの字で書き、答えを書く欄を広く取ります。出どころは、本人が開いていたページの例題か、そのすぐ前の練習問題です。答えは紙の裏に書いておき、丸つけを本人が自分でできるようにします。2問、3問と書き足したくなっても、1枚に1問を守ります。1問なら、手を付けた時点で「全部やった」と言える量だからです。
3 学校のプリントを1枚だけ選ぶ(2日目)
休んでいる間に学校から届いたプリントがたまっているなら、束のまま机に出さず、大きな封筒にまとめて別の場所に置きます。机に出すのは、本人が出した教科書と同じ教科で、日付がいちばん新しい1枚だけです。このプリントは解かせるためではなく、学校が今どこを習っているかの目印として置きます。プリントが1枚も無ければこの手順は飛ばし、7日目の学校への連絡で受け取り方を相談します。
4 戻る学年を1問ずつ確かめる(2〜3日目)
図2のように、今の学年の1問から始め、手が止まったら一つ前の学年の同じ種類の1問へ下がります。数学なら、中2の連立方程式「x+y=7、x-y=1 のとき、xとyを求める」で手が止まったら、中1の一次方程式「3x+2=14」へ、そこでも止まったら小6の「3分の2に4分の3をかける」へ下がります。○が出た段は、この土台は残っているという印です。始めるのは、○が出た段の一つ上の単元からです。小6の分数のかけ算が解けて中1の方程式で止まったなら、中1の方程式の単元の最初のページを開きます。
×と決める目安は、答えが合っているかより、手が止まったかどうかです。3分ほど鉛筆が動かなければ×、式の途中まで書けたら△として、△の段から始めてよいことにします。1日に確かめるのは3問、つまり3段までにし、3段を確かめても○が出なければ、その日はそこで終えて翌日に続きを確かめます。下がった段の数を、本人の前で口に出して数えないでください。数えるのは、始める段を決めるためだけです。

5 科目の順を決める(4〜5日目)
2教科目に進むなら、次の二つのどちらかから選びます。一つは短く終わる科目で、漢字を2字書く、英単語を3つ写して声に出す、計算を2問解く、のように5分で終わる量が作れる物です。もう一つは本人が選んだ科目です。選ばせ方は「国語と英語、今日はどっちにする」のような二択にし、「何がやりたい」と広く聞かないようにします。学校の時間割の順に合わせる必要はありません。最初の一週間は、学校と同じ教科の数をそろえるより、机に向かった回数をそろえるほうを先にします。
6 1日の長さを決める(毎日)
1日の勉強の長さは10分から始め、どれだけ調子のいい日でも20分で止めます。タイマーは本人の手の届く所に置き、鳴らす時刻は始める前に本人が自分で決めます。時間が来たら、問題の途中でもそこで鉛筆を置きます。続きをやりたいと言われたら、続きの1問を紙に書き、翌日の机に置く約束にします。始める時刻も本人が決めます。決めかねているなら、教科書を出したのと同じ昼の頃にしておくと、生活の中の目印になります。
7 記録をつけ、学校に伝える(6〜7日目)
壁のカレンダーか小さなノートに、日付・科目・解いた問題の数を1行で書きます。書くのは本人でも親でもかまいません。「12日 数学 1問」のように短くし、感想や評価は添えません。週の終わりに、この記録をもとに担任へ連絡します。伝えるのは、家で勉強を始めたこと、使っている物、学校のプリントをどう受け取るか、の三つです。家での学習を出席として扱うかどうかを判断するのは在籍している学校の校長で、1問の紙が何枚たまっても家の側では決められません。扱いの考え方は、この連絡のついでに学校へ尋ねておきます。
言葉と場面の例
最初の一週間は、親の一言が本人の次の手を決めやすい時期です。言いがちな言葉と、言い換えの例を六組並べます。
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「やっとやる気になったのね」を「それ、置いておく場所いる?」に変えます。「やっと」は、待っていた月日を本人に背負わせる言葉です。教科書そのものではなく置き場所の話にすると、本人は始めたことを評価されずに済み、次の日も同じ場所に座れます。
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「中1の最初から全部やり直そう」を「この1問、いけそうか見てみる?」に変えます。「全部」と「最初から」は、取り返す量の大きさを先に見せてしまいます。1問なら、解けても解けなくても、その日のうちに次の段が決まり、本人は量の大きさではなく目の前の1行を見ていられます。
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「せめて1時間はやろうね」を「何分で鳴らす?」に変えます。長さを親が決めると、勉強の時間が親との約束になります。本人が決めた10分を守れた日は、翌日の机に近づく日です。親が決めた1時間を途中でやめた日は、机から一歩遠ざかる日になります。
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「全部の教科を少しずつやらないと」を「今週は、この1冊だけでいいよ」に変えます。学校の教科の数に合わせようとすると、机の上の物が一気に増えます。本人が自分で出した1冊を中心に置いたままにすると、その1冊を出した自分の判断を、本人が手放さずにいられます。
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「できたじゃない。明日もやろうね」を「1問、終わったね。続きの紙はここに置いておく」に変えます。明日の約束を親が取り付けると、明日やらなかったときに、本人は約束を破った形になります。続きの紙を置くだけなら、明日やるかどうかの決定は本人の手に残り、やらなかった日も机は責めてきません。
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「先生に、勉強始めたって言っておくね」を「週末に先生へ何て伝えるか、そのとき一緒に決めよう」に変えます。教科書を出したその場で学校の名前が出ると、本人には、始めたばかりの1問がもう学校の目に触れたように感じられます。伝える日を週末に置き、言い方を本人と決める形にすれば、記録は本人の物のまま学校へ渡ります。
やりがちな三つのずれ
親がよかれと思ってすることの中に、再開の一週間を重くするものがあります。図3に三つを並べました。
一つ目は、教材を一度にそろえて机に出すことです。新しく買った問題集は、本人には「これを全部やる」という量の宣言に見えます。物が多い机は、座った瞬間から選ぶ作業を求めてきます。直し方は、買う前に机の上を3つの物に戻すことです。問題集を買うのは、始める段が決まり、その段の単元に合う物がはっきりしてからで足ります。
二つ目は、学年の最初のページから順にやり直させることです。学年の頭の単元は、本人が手を止めた場所とも、学校が今いる場所とも、たいてい関係がありません。たまたま解ける単元が続いて退屈し、肝心の止まった単元にたどり着く前に飽きてしまいます。直し方は、始める場所を学年の区切りではなく、手が止まった単元で決めることです。手順4の確かめを先に済ませれば、開くページは一つに絞れます。
三つ目は、調子のいい日に長く続けさせることです。本人が「もう少し」と言った日に40分、1時間と延ばすと、翌日にはその長さが基準になり、10分では足りないと感じて手が出なくなります。直し方は、20分の上限を調子のいい日ほど守ることです。延ばしたい気持ちは、「明日は何時からにする」と聞いて、翌日の始める時刻を本人が決める材料に回します。

よくある質問
再開して三日で、机に向かわなくなりました。始め方がまずかったのでしょうか
三日で止まるのは、始め方の失敗というより、最初の一週間にはよく起きる波です。止まった日は、机の上の3つを片付けずに置いたままにし、1問の紙だけを新しい問題に替えておきます。長さは10分に戻し、問題は○が出た段の中でも、さらにやさしい1問にしてかまいません。机に向かわない日が何日も続き、眠りや食事の時刻も崩れているときは、勉強の工夫を足すより先に、担任やスクールカウンセラーに家での様子を伝えてください。
教科書や学校のプリントが手元にありません。何から始めればいいですか
まず担任に連絡し、今の学年の教科書がそろっているか、休んでいる間のプリントをどう受け取るかを相談します。届くまでの間は、家に残っている前の学年の教科書から1問の紙を作れば始められます。前の学年の教科書も無ければ、本人が読める本の1ページを声に出して読む、身の回りの物の名前を英語で3つ書く、といった机の上で終わる1問から入ります。物がそろうのを待って始める日を遅らせるより、手元の1冊で始めて、届いた物を後から足すほうが、再開した手は止まりません。
高校生の不登校でも、勉強の再開は同じ始め方でいいですか
机に置く物を3つに絞ることと、1問ずつ下がって始める段を決めることは、高校生でも同じです。高校の数学や英語で手が止まったときは、中学の内容まで下がってかまいません。高校の内容は中学の単元の上に積まれているので、中学の段で○が出たなら、そこが土台です。ただ、高校は課題の提出や単位の決まりが学校ごとに違うため、家で始めた勉強を学校の課題とどうつなぐかは、担任に早めに確かめてください。
学校と相談先で確かめること
学校には、次のことをそのまま聞いてかまいません。
- 今の学年で、授業はどの単元まで進んでいるか
- 休んでいる間のプリントや課題を、家でどう受け取れるか(郵送か、取りに行くか、届けてもらえるか)
- 家で使ってよい学校の教材はどれか
- 家でつけている記録を、誰にどんな形で見せればよいか
- スクールカウンセラーが学校に来る曜日と、保護者だけで話せるか
学校生活と勉強の両方にかかわることは、まず担任とスクールカウンセラーに話します。武蔵野市に住んでいるなら、市の教育支援センターで子育てや学校生活の相談ができます。市のスクールソーシャルワーカーは、市の学びの場であるチャレンジルームとむさしのクレスコーレの見学や利用の相談の窓口でもあります。都内に住んでいる、または都内の学校に在籍しているなら、東京都教育相談センターにも相談できます。住所が武蔵野市以外なら、地元の市の教育相談に尋ねてください。眠りや食事、体の不調が気になるときは、医療機関に相談します。
個別指導で確かめること
1対1の授業の最初の時間にすることも、家での手順と変わりません。今の学年の1問から一段ずつ下がり、○が出る段を本人と一緒に探します。違うのは、手が止まった瞬間に、どの式のどの行で止まったかを講師が横で見られることです。止まった行がわかれば、始める単元の中でも、最初に開くページまで絞れます。その日の終わりには次の1問を書いた紙を1枚だけ渡し、家の机に足す物はその1枚にとどめます。
まとめ
不登校の勉強の再開で、最初の一週間に決めておくことは多くありません。机の上の物、始める段、止める時刻の三つが決まれば、残りは本人の手に任せられます。学校との話も、日付と科目と問題の数を書いた1行ずつの記録が一週間分あれば始められます。机の上が3つの物のままなら、教科書を出した昼の手は、翌日も1問の紙へ伸びます。
「落ち着いている」は、「学んでいる」ではない。
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