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高校生の子供が勉強しない—中学より口を出せる範囲が狭い理由と、親が持てる三つの役|武蔵野個別指導塾

夜中1時まで動画の音がする高2の部屋の前で、言葉を探す親へ。単位も課題の締切も本人の手元で止まる高校で、締切の紙を貼る、家から出せるお金を話す、相談先の名前を渡す、の三つなら今週末から持てます。
高校生の子供が勉強しないとき、中学と同じように勉強の時間や中身へ口を出しても、まず届きません。高校では単位も課題も進路の締切も本人の手元で止まり、親の言葉より本人の判断で動く場面が増えるからです。親が持てるのは勉強の監督ではなく、三つの役です。締切を家の中に見える形で貼ること、家から出せるお金の見通しを話すこと、親以外の相談先の名前を渡すこと。今週末の昼、学校の配布物と課題の一覧を本人と一緒に見て、A4の紙1枚に締切だけを書き出すところから始めてください。
よくあるのは、平日の夜中1時、高2の部屋の戸の向こうから動画の音が漏れてくる、という場面です。明日も1限から授業があるはずなのに、廊下に立つ親の耳には笑い声と効果音しか入ってきません。戸を叩いて「いつまで起きてるの」と言いたくなる。けれど言えば戸の内側で何が始まるかも、もう知っている。テストが近いのか、課題は出しているのか、成績はどうなのか。どれも確かめる手立てがないまま、親は廊下の暗がりで立ち尽くします。
高校で親から見えにくくなる三つのもの
中学までは、欠席や忘れ物が続けば家に知らされ、提出物の遅れは三者面談で聞かされ、テストの範囲表は冷蔵庫に貼ってあったかもしれません。高校に入ると、そうした知らせの多くがまず本人に向けて出され、本人のところで止まります。図1のように、親とお子さまの間で知らせが届きにくくなり、本人の手元にとどまるものが三つあります。

単位と出席の決まり
高校では、科目ごとに単位を修めながら進級や卒業へ進みます。授業を休んだ時間を科目ごとに数え、一定の時間を超えると単位を認めない決まりを置く学校もあります。上限の時間数も、遅刻をどう数えるかも学校ごとに違い、生徒手帳や年度初めの配布物に書かれています。親から見えにくいのは、朝に家を出ていても、1限に遅れた回数がその科目の欄で静かに積み上がっていくことです。夜中1時まで起きている平日が続けば、最初に削られるのは朝の1限かもしれません。
課題の提出と評定
高校の評定は、定期テストの点だけで決まるとは限りません。課題やレポートの提出、授業での取り組みも合わせて決める科目があり、その割り振りは学校と科目の評価の計画で違います。課題の締切は授業の中で本人に告げられ、学校の端末で出す科目もあれば、紙で出す科目もあります。どの課題を出していないかは、学期末に成績表が届くまで家にはほとんど伝わりません。テストの点は取れているのに、提出の遅れで評定を下げる高校生もいます。
進路の期限
高1のうちに、高2からの科目の選び方や文系・理系の希望を届け出る学校があります。進路希望の調査、模試の申し込み、面談の日程、大学の説明会の申し込みも、案内は本人あてに配られることが増え、親が知るのは締切の直前か、過ぎたあとです。大学の推薦の出願では高1からの評定が見られることもあり、その条件は大学の募集要項と高校の進路の先生に確かめるものです。高1・高2の「勉強しない」は受験の前の話に見えて、実は締切の見えない期間の話でもあります。
図1の右の箱に入っている三つは、どれも本人の手元にあります。親がそれを取り上げて自分で持とうとすると、次に書く「口を出せる範囲」の壁にぶつかります。
中学より口を出せる範囲が狭い理由
理由は三つあります。
一つ目は、学校とのやり取りの相手が本人になることです。高校では、知らせも締切も、まず生徒本人に向けて出されることが増えます。学校が、本人を自分で締切を守る人として扱い始めるからです。親が間に入って先回りするほど、本人は学校との約束を自分のものとして持ちにくくなります。
二つ目は、勉強の中身に親の手が届かなくなることです。数学も英語も理科も中学より細かい科目に分かれ、親が隣で教えられる範囲を越えていきます。中身を見られない親が「勉強しなさい」と言うと、その言葉は量の催促にしか聞こえません。高校生は、そのことをよく見抜いています。
三つ目は、進路が本人の人生の選択になることです。高校の先には大学、専門学校、就職と道が分かれます。親が決めた道でつまずいたとき、本人はそれを自分の失敗として引き受けられません。反抗期と呼ばれる時期の言い返しの中には、自分で決めたいという気持ちが混ざっていることがあります。口を出せる範囲が狭くなるのは、親の力が落ちたからではありません。本人が決める範囲が広がったからです。
それでも、手放してはいけないものが残ります。本人の手元にあるのに本人が見ていない締切、本人が知らない家のお金、本人がまだ持っていない相談先です。この三つは口を出す話ではなく、渡す話です。
家でできる手順——親が持てる三つの役
図2のように、親の役は三つに絞ります。勉強の時刻、科目の順、やり方は本人に返し、親が持つのは紙とお金と名前です。

1. その夜は戸を叩かない
夜中1時の音に気づいた夜は、音を確かめて寝室へ戻ります。夜中の話し合いは、どちらも疲れていて、言い争いで終わりやすい時間だからです。言いたいことは消さずに、手帳かスマートフォンのメモに一行だけ残しておきます。たとえば「平日の寝る時刻、1限の遅れ」。話すのは週末の昼です。ただし、別の様子が重なるときは順番が変わります。朝起きられない日が何日も続く。食事の量が目に見えて減った。学校の話をまったくしなくなった。こうした様子が重なるなら、勉強の話より先に担任か医療機関へ相談します。
2. 週末に、締切の紙を本人と作る(一つ目の役、期限を家に貼る)
土曜か日曜の昼、A4の紙を1枚用意します。左の端に向こう4週間の日付を縦に書き、横に一行ずつ空けておきます。お子さまに学校の配布物や端末の課題の一覧を見せてもらい、締切だけを本人が書き込みます。課題の提出日、小テスト、定期テスト、科目選択の届け、面談、模試の申し込み。勉強の計画は書きません。書くのは「何を、いつまでに出すか」だけです。切り出しの言葉は「この紙、冷蔵庫に貼っておいていい?」くらいで足ります。何を書くかは本人が決め、親はペンと紙を出し、貼る場所を空けておきます。
3. 紙の前で言うのは日付だけにする
貼ったあと、親が口にするのは日付だけです。前の晩に「明日が締切の欄があるね」と言うところまでにして、出したか、仕上がりはどうかは聞きません。確かめたい気持ちが強いときは、出し終えた欄に本人が丸をつける約束にしておくと、親は丸の有無を見るだけで済みます。丸のつかない欄が二つ続いたら、そのときだけ「どこで止まってる?」と聞きます。月に1回、日曜の夕方に新しい紙へ貼り替えます。貼り替えの日を決めておくと、紙が古い予定のまま冷蔵庫に残る事態を防げます。
4. 家の条件を、親が先に紙に書く(二つ目の役、お金の見通しを話す)
高1の終わりから高2の夏までのどこかで、一度だけ時間を取ります。その前に、親が自分の家計の数字で、本人に見せられる形の紙を作っておきます。書くのは家の条件です。自宅から通う進学なら出せるか、一人暮らしの仕送りまで出せるか、浪人の1年を出せるか、塾や予備校の費用をどこまで含めるか。金額は家ごとに違うので、目安は親が自分で書き入れます。奨学金には借りるものと返さなくてよいものがあり、高校を通して申し込むものもあるので、時期は学校の進路の先生に聞いておきます。
話すときは「決めるのはあなた。家の側の条件だけ先に渡しておく」と始めます。お金の話は脅しではなく、本人が自分の進路を選ぶための材料です。条件を知らないまま「好きにしていい」と言われるほうが、高校生にはかえって重く聞こえます。紙は話し終えたら本人に渡し、親の手元には写しを残します。
5. 相談先の名前を、紙に書いて渡す(三つ目の役、相談先を渡す)
親に言いにくいことは、高校生にはたくさんあります。だから、親以外の大人の名前を渡しておきます。担任、話しやすい教科の先生、進路の先生、学校に相談室やスクールカウンセラーがあればその名前も。学校の外では、東京都教育相談センターが高校生の年齢まで本人からの相談も受けていて、電話は24時間受け付けています。武蔵野市にお住まいなら、市の教育支援センターも思春期の子の相談に応じています。名前を小さな紙に書くか、本人のスマートフォンのメモに入れてもらい、「使わなくていい。持っておくだけでいい」と添えて渡します。誰に相談したかを、親があとから聞き出そうとしないことも約束に入れます。
6. 担任に連絡するのは、三つの合図が出たとき
欠席や遅刻が続いたとき。学校から単位や成績についての知らせが届いたとき。課題の未提出を知らされたとき。このどれかが出たら担任に連絡します。その前に、本人に一言だけ伝えます。「先生に一度、提出のことを聞いてみようと思う」。黙って電話をして、あとで本人が知ると、締切の紙も相談先の名前も、親の見張りの道具に見えてしまいます。
7. 成績表が届いた日に、三つの役を見直す
学期末の成績表が届いたら、点の話の前に三つの役を見直します。締切の紙は回っていたか。お金の話のあと、本人の考えは動いたか。渡した相談先の名前は、まだ本人の手元にあるか。直すのは親の側の役だけにして、勉強のやり方は本人と担任の話に任せます。
言葉と場面の例
高校生に届かない言葉は、たいてい量の催促か、先回りの脅しです。言い換えるときは、日付、条件、名前のどれかに置き換えます。
夜中に戸を叩いてしまいそうなとき
言いがちなのは「何時まで起きてるの。いい加減にしなさい」です。週末の昼に、こう言い換えます。「平日、寝るのが1時を回ってる日があるよね。1限、間に合ってる?」。夜中の戸越しの言葉は、本人には眠りを邪魔された記憶として残ります。昼に事実と1限を結びつけて聞けば、話は寝る時刻の説教ではなく、本人の単位の話になります。
勉強の様子を聞きたいとき
「ちゃんと勉強してるの」は、「今週、出すものある?」に変えます。高校の勉強の量を、親は測れません。測れないものを聞かれると、本人は「してる」と答えて会話を閉じます。提出物の有無なら、本人も答えやすく、親も確かめられます。
成績が気になるとき
「成績どうだったの。見せなさい」は、「成績表で、単位のことで注意がついた科目があるかだけ教えて」に変えます。点の話は、比べられる話、責められる話として受け取られやすいものです。親が本当に知りたいのは、進級や卒業にかかわる印が出ていないかどうかのはずで、そこに絞れば本人も答えを出せます。
先の話で脅したくなったとき
「そんなんじゃ、大学なんて行けないよ」は、「家から出せるお金の条件を紙にしたから、一度見てほしい」に変えます。先回りの脅しは、高校生の判断の材料になりません。条件の紙は材料になります。行けるかどうかを決めるのは本人で、親が渡せるのは条件のほうです。
困ったときの行き先を伝えたいとき
「何かあったら、すぐ言いなさい」は、「家で言いにくいことは、この紙のどこかに言っていいからね」と、相談先の紙を手渡しながら言います。「何かあったら言いなさい」は、高校生にとっていちばん遠い窓口を指す言葉になることがあります。親に言えない話の行き先を、先に渡しておきます。
やりがちな三つのずれ
心配が強い親ほど、中学のころのやり方に戻りがちです。図3に、三つのずれと直し方を並べました。

1. 中学のときと同じように、親が計画を組む
高校生は、親の作った計画を自分の計画として扱いません。守らないことで、自分で決めたいという意思を示すこともあります。科目も中学より細かくなり、親の組む計画は授業の進み方と合わなくなります。直し方は、親は締切だけ紙に書く側に回ることです。何曜日に何をやるかは本人に返し、親は締切の欄の丸だけを見ます。
2. 成績表が届くまで何も聞かず、届いた日に問い詰める
単位や評定の注意が成績表に出たときには、その学期のうちに手を打てる時期が過ぎていることがあります。一度に問い詰めると、次の学期の話までできなくなります。直し方は、学期の途中に聞く形に変えることです。面談か担任への連絡で、提出の遅れが無いかを一度だけ確かめます。本人に先に伝えてから聞く点は、手順の6と同じです。
3. 本人に黙って端末を見る
心配から始めたことでも、本人が知った日から、親に何も言わなくなります。親が自分の知らない所で学校の情報を集めていたと知ることは、高校生にとって強い不信につながります。鞄や机の引き出しの中を確かめるのも同じです。直し方は、見たいものを本人に見せてもらう形にすることです。締切の紙を作るときに配布物と課題の一覧を一緒に見るのは、そのための場面でもあります。
よくある質問
反抗期の高校生には、勉強のことを何も言わないほうがいいですか
言わないことと、手放すことは分けて考えます。勉強の時刻や量について口を閉じるのはかまいません。けれど締切の紙、お金の条件、相談先の名前の三つは、反抗期の最中でも親の側に残る役です。言い返されやすいのは、中身が「勉強しなさい」のときです。日付と条件の話なら、返事が短くても会話は続きます。
成績表を見せてくれません。学校に直接聞いてもいいですか
保護者が担任に聞くことはできます。いちばん聞きやすいのは面談の場で、どこまで答えるかは学校の判断です。成績表や学校の通知が保護者にどう届くかも学校ごとに違うので、あわせて聞いておきます。聞く前に本人へ「面談で、単位のことだけ先生に聞くね」と伝えておきます。成績表を取り上げる形にすると、次の学期から本人が書類を見せなくなり、締切の紙まで回らなくなります。
塾に入れれば、勉強するようになりますか
通う場所を増やしても、本人が何に困っているかがわかっていなければ、夜中の動画の時間はそのまま残ります。先に本人と確かめるのは、どの科目のどこで止まっているか、自分で取り戻せそうか、誰かに見てほしいか、の三つです。本人が「見てほしい」と言ったときに、塾や家庭教師を選ぶ話が始まります。親が決めて連れていく形は、高校生では続きにくくなります。
担任と面談をこう使う
高校の面談の回数や時期は学校ごとに違うので、年度初めの予定で確かめておきます。使い方は、前の週、当日、そのあとの三つに分けます。
面談の前の週には、下の「学校と相談先で確かめること」の質問から三つ選んで、紙に書いておきます。お子さまにも「面談で、先生に聞かれたくない話ってある?」と先に聞いておき、本人が嫌がる話題を親の側から出さないようにします。面談の当日は、先に本人に話してもらい、親の質問は最後に出します。先生と親の二人で本人を囲む形にすると、本人はその場で黙り、家に帰ってからも口を開かなくなります。面談のあとは、決まった締切をその日のうちに家の締切の紙へ書き足します。勉強のことで面談のほかに担任へ連絡するのは、手順の6の三つの合図が出たときと、学期の途中に提出の遅れを一度確かめるときにとどめます。
学校と相談先で確かめること
学校でそのまま聞ける質問です。
- 単位の修得や欠課の時間について、家で知っておくべき決まりはどの書類に書いてありますか。
- 遅刻は、出席の数え方の上でどう扱われますか。
- いま、提出が遅れている課題はありますか。
- 科目選択や進路希望の届けは、いつまでに、どの形で出しますか。
- 学校からの連絡は、本人あてと保護者あてのどちらで届きますか。
- 相談室やスクールカウンセラーに相談できる曜日と、申し込み方を教えてください。
学校の外の相談先は、手順の5で本人に渡した名前と同じで、保護者も相談できます。東京都教育相談センターと、武蔵野市にお住まいなら市の教育支援センターです。三鷹市、小金井市、西東京市など武蔵野市の外にお住まいなら、住んでいる市の教育委員会の教育相談の窓口へ。眠れない、起きられない、食べられないといった体と心の不調が続くときは、勉強の相談より先に医療機関にかかります。
個別指導で確かめること
1対1の授業で高校生と最初に確かめるのは、科目ごとにどこで止まっているかと、いま抱えている締切です。数学なら教科書のどの単元の例題から手が止まるのか、英語なら文の組み立てを中学の内容のどこまで戻ればつかめるのかを、本人と一問ずつ確かめます。
課題の一覧も本人と一緒に見て、出していないものがあれば、どれから片づけるかを本人に決めてもらいます。家の締切の紙と、授業で決めた順番が食い違わないよう、本人が両方を見比べられる形にしておきます。
まとめ
高校生の子供が勉強しないとき、親が戸を叩いて取り戻せるものは多くありません。けれど締切の紙も、お金の条件も、相談先の名前も、手渡した日から本人のものになり、本人が自分で決めるための材料として働き始めます。勉強の時刻とやり方を返したぶん、親の手には三つの役がはっきり残ります。夜中1時の動画の音に返す言葉は、週末の昼、冷蔵庫の前で言えば間に合います。
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