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指定校推薦の枠はどう決まるのか—大学が高校を指定し、毎年同じとは限らない仕組み|武蔵野個別指導塾

枠を出すのは大学で、高校が人数を足すことはできません。学校推薦型選抜は入学定員の5割までという令和9年度の決まりと、前年の一覧から消えた学部の見分け方を、先生への質問8つと一緒に載せています。
指定校推薦は、大学が名指しした高校から、その校長の推薦を携えて出願する学校推薦型選抜の一つで、その枠は大学が「どの高校に、どの学部で、何人まで」を決めて高校に示すものです。高校の側から枠を作ったり人数を足したりはできず、前年にあった枠が今年も届くとは限りません。令和9年度の大学入学者選抜実施要項が決めているのは、学校推薦型選抜の人数を学部などの募集単位ごとに入学定員の5割までに収めるという外側の線だけで、高校ごとの配り方の決まりは書かれていません。だから増えた理由や減った理由を外から言い当てることはできず、確かめられるのは今年の一覧と、高校が大学から受け取った書類の中身です。
| 何が決まっているか | 中身 | 文書 |
|---|---|---|
| 推薦するのは誰か | 出身高校の校長。本人の希望だけでは出願できない | 令和9年度大学入学者選抜実施要項 第3の1(3) |
| 推薦の要件 | 大学ができるだけ具体的に決め、募集要項などで示す | 同 第3の1(3) |
| 学校推薦型選抜の人数 | 学部などの募集単位ごとに入学定員の5割まで。附属高校の校長の推薦による分も数える | 同 第8の2、同Q&A Q3-4 |
| 総合型選抜の人数 | 上限の決まりは無い | 同Q&A Q3-4 |
| 高校ごとの枠の配り方 | 決まりが書かれていない(「指定校」の語も出てこない) | 令和9年度の実施要項とQ&A(令和8年9月2日更新) |
よくあるのは、夏休みの前に進路室で見た今年の一覧に、2年前に部活の先輩が進んだ学部の名前が見当たらない、という場面です。先輩からは「うちの高校にはあの学部の枠があるから、評定さえ守れば行ける」と聞いていて、その言葉を支えに定期テストを乗り切ってきました。一覧を上から三度なぞっても、その行はありません。隣では友だちが、去年は無かった学部の名前を指さしています。消えた枠と増えた枠が、同じ一枚の紙の上に並んでいるのです。
枠を配るのは大学、推薦するのは校長——令和9年度の要項が引いた線
令和9年度の実施要項は、学校推薦型選抜を、出身高校の校長の推薦にもとづき、調査書を主な資料にして評価する入試として書いています。受けたいと本人が手を挙げるだけでは出願できず、その大学・学部で学ぶ力と意欲があるかを校長が見きわめる、という順番が仕組みの芯です。だから大学の側にも、推薦の要件をできるだけ具体的に決め、募集要項などで示すことが求められています。指定校推薦の枠は、校長の推薦が無ければ始まらないこの選抜の、さらに内側に置かれています。
要項そのものは「指定校推薦」という言葉を使っていません。全文を読んでも「指定校」の三文字は一度も出てこず、面接の決まりを書いた段に、高校との緊密な連携で丁寧に組み合わせた非公募型の学校推薦型選抜で、合格したら入学すると約束して受けるもの、という書き方が一度だけ現れます。大学が高校を選んで推薦を頼む指定校推薦は、この非公募型の考え方に重なります。けれども、どの高校を選ぶのか、一校に何人を示すのかの手順は、要項のどこにも書かれていません。
数として決まっているのは、学校推薦型選抜の募集人員の天井です。要項の第8は、学部などの募集単位ごとに、入学定員の5割を超えない範囲で大学が人数を決めるとし、附属高校の校長の推薦で入る人もその中に数えると明記しています。たとえば入学定員が180人の学部なら、学校推薦型選抜で募集できるのは90人までです。附属高校からの推薦に40人を見込んでいれば、指定校や公募制の推薦などに充てられるのは、90人から40人を引いた50人以内に収まります。Q&AのQ3-4は、校長の推薦がなければ受けられない学校推薦型選抜にはこの天井があり、公募型の総合型選抜には人数の制約が無い、と並べて答えています。
図1のように、要項が線を引いているのは外側の箱と、5割という仕切りまでです。その内側で、附属にどれだけ、指定校にどれだけを割り振り、指定校の分をどの高校に何人ずつ示すかは、大学の判断に任されています。仕切りの右側にある一般選抜や総合型選抜などの人数も、同じ入学定員の箱の中で決まります。

年ごとの変わり方についても、要項とQ&Aを読むと見えてくることがあります。令和9年度の実施要項は、試験で課す教科・科目や評価の方法など選抜の基本を、各大学が2026年5月27日から7月31日までに発表し、発表した後は受験者に不利益を与えるおそれのある変更をしないよう求めています。Q&AのQ7-1は、課す教科・科目を足したり外したりするように高校での履修に大きく響く変更なら2年程度前に予告し、募集人員や出願の要件の変更はできるだけ速やかに知らせるよう求めています。ただし、これらは大学が広く公表する入試の中身についての決まりです。高校ごとの指定校の枠をいつまでに、どういう形で知らせるかについては、要項にもQ&Aにも一行も書かれていません。枠の数が年によって動くことを禁じる決まりも、読んだ範囲には見当たりませんでした。
同じ学部でも高校が違えば話が違う——自分の一覧の外側で決まっていること
指定校推薦の枠は、大学と高校の組み合わせごとに決まります。同じ大学の同じ学部でも、ある高校には枠が示され、隣の駅の高校には示されていないことがありますし、示された人数や評定などの条件の数字が高校ごとに違うこともあります。別の高校に通う友だちと一覧を見せ合って食い違いに驚くのは、その組み合わせの違いを見ているからです。自分の出願の基準になるのは、自分の高校に届いた一覧に書かれた数字だけで、ほかの高校の数字は物差しになりません。
「どうすればうちの高校に枠が来るのか」「枠が来る条件は何か」と聞かれることがあります。正直に答えると、大学がどういう考えで高校を選び、人数を決めているのかは、要項にもQ&Aにも書かれておらず、外から確かめる方法がありません。理由を公表するかどうかも大学ごとで、高校に理由が伝えられないこともあります。もっともらしい言い伝えで自分の高校の枠の行方を占うより、今年の一覧に何が書かれているかを正確に読むほうが、出願の判断を誤りません。
高校ごとに違うのは、たとえば次のような点です。
- 指定校の一覧を、いつ、どの形で生徒に示すか(掲示・配布・面談のどれか、またはその組み合わせ)
- 前年や前々年の一覧を残しているか、それを生徒に見せてくれるか
- 大学から届いた書類のうち、どこまでを生徒に伝えるか
- 一覧を示した後で枠の追加や取り消しがあったとき、どうやって知らせるか
- 校内の推薦の要項(申込みの締め切り・出す書類・選考の進め方)をいつ配るか
大学ごとに違うのは、どの学部・学科を指定校の対象にするか、学科ごとに枠を示すか学部をひとまとめにして示すか、そして推薦の要件の中身です。令和9年度の実施要項は、大学が重要と考える教科・科目を指定して、その単位を修めていることや一定以上の評定を出願の要件にできるとしています。また要項の第8は、学科ごとではなく学部ごとに募集するなど、募集の単位を大きくまとめることが望ましいとも書いています。募集の単位が変われば、一覧の行の形も変わりえます。先輩の年に学科の名前で並んでいた行が、学部の名前ひとつにまとまって見えることもあるわけです。大学が広く公開する募集要項に指定校の記載があるかどうかも、大学によって違います。
こうした違いを自分の場合に当てはめて知るために、見る物は四つあります。高校が作る校内の推薦の要項、今年の指定校の一覧、高校に届いた大学の書類のうち先生が見せてくれるもの、そして進路の先生との面談です。大学の窓口に直接問い合わせたくなったときも、その前に高校の先生に相談してください。指定校の書類は高校に届くもので、中身を手元に持っているのは先生の側です。
先輩の学部が一覧に無かった日から——生徒と保護者が今日からすること
一覧で先輩の学部が見つからなかったとき、落ち込む前に手を動かす順番があります。図2のように、まず比べる材料をそろえ、違いを四つに分け、分けた先ごとにやることを決めます。

- 先輩から聞いた話を、年度・学部・学科・人数・条件に分けて紙に書き出します。2年前に卒業した先輩なら、受けたのは今年より2つ前の年度の入試です。たとえば「経済学部に2人分の枠があった、評定の条件は覚えていない」という話なら、学科名と条件の欄は空けたまま残し、覚えていないことは覚えていないと書いておきます。記憶で埋めた欄は、比べるときに誤った答えを出します。
- 今年の一覧と並べます。高校が前年の一覧を見せてくれるなら、先輩の記憶ではなく紙どうしで比べます。一覧の写しを持ち帰ってよいか、写真に撮ってよいかは高校の扱いに従い、許されない場合は進路室でメモを取るだけにします。
- 行ごとの違いを、無くなった・減った・増えた・条件が変わった、の四つに分けます。ひとつの学部で「人数が減って条件も変わった」のように二つが重なることもあるので、当てはまる印は全部つけます。
- 無くなった行は、まず名前の変化を疑います。大学の公式の案内で、学部や学科の名前、募集の単位が変わっていないかを確かめます。たとえば、先輩の年に「経済学部 経済学科」と学科まで書かれていた行が、今年は「経済学部」とだけ書かれていれば、消えたのではなく行の形が変わった可能性があります。名前を変えて探しても見つからないなら、その学部を指定校推薦以外の入試で受ける道を、日程の順に並べます。令和9年度なら、総合型選抜の出願は2026年9月1日以降に始まり、一般選抜の個別のテストは2027年2月1日から3月25日までの間に行われます。公募制の学校推薦型選抜を設けている学部なら、それも候補に入れます。
- 減った行は、人数と条件の欄を見直します。人数が減れば、同じ枠を望む人が重なる場面は起きやすくなります。自分の評定と欠席の記録が条件を満たしているかを、今の時点の数字で確かめておきます。
- 増えた行と、条件が変わった行も見ます。名前を初めて見る学部なら、大学のアドミッション・ポリシーと1年生の授業の名前を読み、学びの中身が自分の学びたいことと重なるかを調べます。条件が変わった行は、自分の評定などと照らし直します。
- 書き上げた表を持って、担任か進路の先生に話を聞きに行きます。前年からの変化について大学から説明が届いているかを聞き、届いていない場合は、理由を自分たちで決めつけないことにします。
保護者の方は、お子さまが作った表を一緒に見て、「先輩の家は行けたのに」という言い方で話を始めないでください。今年の一覧に無い枠を嘆いても、出願の道は一本も増えません。お子さまが第2、第3の道を並べられたかどうかを確かめ、足りなければ日程の表を一緒に作るほうが、夏の時間は生きます。
いまの高2が受けるのは令和10年度の入試で、その実施要項はまだ出ていません。出たら、学校推薦型選抜の人数の天井や、大学が選抜の基本を発表する時期が変わっていないかを確かめてください。
「去年あったから今年もある」は通らない——枠をめぐる三つの思い込み
一つ目は、「先輩の年にあった枠は、今年も同じ人数で来る」という思い込みです。要項とQ&Aは、高校ごとの枠を毎年そろえるよう大学に求めていません。指定校推薦の枠が毎年同じかどうかは、その年の一覧を見るまで誰にもわからず、毎年変わりうることを前提に読むのが筋です。減ったときに理由を自分たちで作り上げると、根拠の無い話がそのまま後輩に受け継がれていきます。
二つ目は、「枠は高校が決めている」「高校が大学に頼めば増やしてもらえる」という思い込みです。図3のように、枠を決めて示すのは大学で、高校の校長が決めるのは、示された枠に誰を推薦するかです。高校の中で行う校内選考は、推薦する人を選ぶための手続きで、枠そのものを動かす手続きではありません。校内選考の決め方の細目は、高校ごとに違います。
三つ目は、「学部が推薦に力を入れれば、指定校の枠はいくらでも増える」という思い込みです。学校推薦型選抜には、学部などの募集単位ごとに入学定員の5割までという天井があり、附属高校の推薦の分もその中に入ります。天井の内側をどう分けるかは大学次第ですが、天井そのものを超えることはできません。一方で、総合型選抜にはこの天井が無いことも、Q&Aは書いています。

高校の先生に確かめる質問
面談では、次の質問をそのまま読み上げてかまいません。答えはその場でメモし、聞けなかったことは次の面談に回します。
- 今年の指定校の一覧は、前年と比べて行が増えたり減ったりしていますか。前年の一覧を見せていただくことはできますか。
- 先輩の年にあった学部の枠が、今年の一覧に見当たりません。学部の名前や募集の単位が変わって、別の行になっている可能性はありますか。
- 前年からの変化について、大学から高校に説明は届いていますか。届いていない場合も、そのまま教えてください。
- 一覧が示された後で、枠が追加されたり取り消されたりすることはありますか。あった場合、生徒にはどうやって知らせますか。
- 一次で埋まらなかった枠を、もう一度募ることはありますか。
- 校内の推薦の要項は、いつ、どこで配られますか。申込みの締め切りと出す書類を先に知っておきたいです。
- 枠の条件欄に書かれた評定や欠席の数字は、いつの時点の記録と比べますか。
- 一覧に無い学部を総合型選抜や一般選抜で受ける場合、進路室でどんな相談ができますか。
個別指導で確かめること
塾では、高校が持ち出しを認めている範囲で書き写した一覧のメモと、学年ごとの評定の表を机に並べます。消えた学部を別の入試で受けるなら何が足りないか、面談で先生に何を聞くかを、紙の上で一つずつ決めていきます。
まとめ
指定校推薦の枠は、大学がその年に高校へ示すもので、先輩の代から受け継ぐ約束ではありません。決まっているのは学校推薦型選抜の人数が入学定員の5割までという天井だけで、内側の配り方と増減の理由は大学の手の中にあります。先輩の年の一覧は思い出として取っておき、出願は今年の一覧の行で決めてください。
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